その研究、何の役に立つのか? | 中野瑞樹『5400日フルーツ物語』the Japanese Fruitarian

中野瑞樹『5400日フルーツ物語』the Japanese Fruitarian

元東大教員 体を張るフルーツ研究家
Mizuki Nakano Official Blog
”Let's pass cleaner batons to the next generation by eating fruit!”

2002年、ノーベル賞受賞会見で、記者からの「何の役に立つのか?」という質問に対し、  故小柴昌俊先生はきっぱりと「何の役にも立ちません」と言った。
小柴先生は、本当は、「今は役に立たないけれど、いつか人類に役立つものにつながる可能性はある」と言いたかったんじゃないかと思う。
でも、記者はもちろん、その奥にいる世間の、基礎研究に対する無理解に対し、遣る方ない気持ちになられたように思う。

私も学生時代に、研究者ではない知人から、「その研究は私たちに何の役に立つの?」と訊かれた。
少し、嫌みっぽい空気を感じたので、税金の無駄使いだと思われたのかもしれない。

研究者なら誰しも、携わっている研究の意義と目的を考える。
当時私が携わっていた研究も、国の安全保障にも関わる有意義なものだった。
しかし、ある機関からの依頼研究ではあったけれど、渡航費も数ヶ月の海外滞在費も全く出ず、全て実費だった。自分の貯金だけでは足らないので、親から借りた。
もちろん、知人は、そんな状況なんてつゆ知らないから、ある意味仕方がない。
しかし、「その研究、何の役に立つのか?」という質問、特にそれが心ないものであれば、研究者の心を突き刺す。
 

私の話は、20年以上も前のことだが、当時から、基礎研究よりも、すぐにお金になる、応用研究重視の傾向はあった。
さらに、2003年からは、国立大学が法人化し、交付金が削られたため、以前よりも、研究費を競争的に獲得する必要がある。
応用研究であれば、まだ企業からの寄付も得られやすい。

しかし、実用研究は、基礎研究の積み重ねの上に成り立つ。
携帯、テレビ、パソコン、車、飛行機、人工衛星・・・・・
数えきれない基礎研究があったから、今、私達は利便を享受している。

とにかく、実用につながるまで何十年かかるかわからない基礎研究は、「すぐに役立つか」だけの尺度で評価されると厳しい。
さらに、1989年に導入された消費税は、1997年に5%、2014年に8%、2019年には10%に増額され、どんどん研究現場を圧迫している。

国の交付金の割合が大きい基礎研究は、国策に関わる。
私は、学校教育で、直接的にはお金にならない、基礎科学研究の重要性を教える必要があると考えている。
心ない「何の役に立つのか?」は、基礎研究に対する無理解が原因だからだ。
しかし、独法化以降、国立大学への研究費を削っている現状から類推するに、基礎研究より実用研究をというのが、国の方針なのだろう。

今日のABEMAニュースで、個人の研究者を支援する学術系クラウドファンディングがあることを知った。
もっと広まってほしいと思う。

研究費を獲得するためにも、「何の役に立つのか?」に対して、研究者側も、自分の研究の意義と可能性を、分かりやすく説明できなければならない。
 
 
ABEMAニュース 2020年12月12日
学術系クラウドファンディング

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