2022年夏休み 地獄から生還編その1
PCR検査場でしか人と出会わなくなった神州半島
サーフショップの並びの路上でホットドッグやおでんを売っていた若者3人組と出会う
顔は知ってるけど、名前も知らない程度の知り合いだ。
それでも今の私にとって、貴重な話相手。
ここぞとばかりに声を掛けwechatを交換する。
偶然にも同じマンションエリアの違う棟に住んでいるという。
これは心強い!いまやマンションが違うと遊びに行くこともできないのだ。
すると、今度は彼らから「今日は食材が手に入ったから、一緒にご飯たべよう」と声をかけてくれ
商売道具の「おでん」と美味しい中華料理を作ってくれた。
ロックダウンにだいぶ心が病んできた中での、つかの間の楽しい時間だった
フットワークの軽い若者の手料理&美味しいおでんが私を癒してくれた。
そして8月29日ようやく車で海口に帰る人への救済政策が発表された。
7日連続のPCR陰性証明と身分証、車のナンバー、ホテルでなく自宅があるなどの条件をクリアしたら、それを記入してスマホから帰宅申請を出せば良いという。
良かった、これで帰れる~ 長かった~ 本当に長かった~
29日に申請を出し、30日には帰る気まんまんで、荷造りし、部屋までピカピカに掃除した。「飛ぶ鳥跡を濁さず」だ。
そしてPCR検査以外一歩も出かけずに、いつ来るか分からない連絡を待ち続けた。
申請許可が何時頃に出るか分からない、というのはキツイ。
さらに許可が下りたら、その日のうちに海口に戻らないと、再び申請して1からやり直しだそうだから、たまらん。
夕方18時、申請許可の降りた名簿がグループチャットに出回った
YEAH?、、、あ、、あれ? こんなもん? なんか名簿は100人ちょいの名前しかない。もちろん私の名前はない
なんと、条件を満たせば全員帰れる訳ではなかったのだ
聞いた話では、7000人ほどが申請を出したそう、、、7000分の100しか許可おりない
私達グループチャットの誰一人申請許可が降りなかった。そりゃそうだろう、、、
おそらく医療従事者や健康上の理由がある人などが優先されたと思われる。。。
このまま待ってても、こんな調子じゃいつまで経っても帰れないような気がする
やばい、なんとかしないと、永遠に帰れないぞ!
慌てた私は思いつく限りのありとあらゆる所に連絡した。しかしこういう時は、みんなが問合わせているので、どこに電話しようが通じない。さらにどこにメールしようが返事は来ないのが世の常。学校にも頼んで学校経由であちこちに連絡してもらったが電話が通じなかったり、通じたところで「規定どおりやりますので」と冷たい対応。
、、と、そんな中、唯一応対してくれたところが「海南省外事処」つまり海南省に住む外国人を管理している大元締めだ。
ここが万寧市の外事に連絡し、万寧市の外事の人から電話が来た!おおお~
「かくかくしかじかで、こんなに困っている、もうすぐ学校も始まってしまう。私は教師だ。生徒が戻ってきても教師が戻れなくては授業ができない等々」とにかく訴えた(じつはオンライン授業が決定していたが、この際そのことは伏せた)
するとその外事の人「分かった!なんとかしよう!君はまず本日0時になった瞬間にオンライン申請を出すんだ、いいね」と。
なんか、頼もしい、しかし、今まで何度ともなく、こんなやり取りしては裏切られてきた中国。それでもたった一つの頼りの綱。言われた通りに0時とともに申請を出した。
翌31日、、、、再び荷造りして、準備万端で連絡を待つこと18時間、そろそろ18時。きのうはこの時間に申請許可の通知が来た。受験発表よりも緊張してその時を待った。待ったが。。。一向に連絡が来ない。ダメならダメで連絡が欲しい。。。どっちか分からないこの時間が耐えられない
そして20時を回った。。。もう無理だ、、、せめて唯一優しく対応してくれた万寧の外事の人に世話になったお礼だけでも言おう、とメールをしたところ、「いや許可降りたと聞いたぞ、もう少しまってみろ」と。
「え?」
その2分後、私の携帯に申請許可の通知が届いた
「ああああああ~」もう20時をとうに過ぎている、しかし、その日の内に帰らないと無効になってしまう!
外事の人にお礼のメールを入れ、不動産屋に慌てて連絡し、あたふたと最終荷造り&猫を車に積み、おでんの3人組を呼び出し、余った食材を全部託し、夜逃げさながらに出発~
、、、の1分後
神州半島の出入り口の門番さん「そんな話 聞いてないよ」
「え?」
(地獄から生還編その2へ続く)
2022年夏休み 地獄編 その3
マンションの契約終了日には、どう考えても海口に帰れそうもないので、不動産屋さん経由で大家さんに延長を申し込む。
こんなご時世なので、私の後に入居者などいるはずもなく、大家さんにとっても家賃が入るのだから、喜ばしいことに違いない。
あわよくばこの状況を考慮して、若干値引きしてくれないかな~と交渉してみた。
「三亜は帰れないお客さんに対してホテル代半額の政策をとってるので、なんとか考えてもらえないかしら」
すると、返ってきた答えは「何言ってんのよ、びた一文値引きはしないわよ!」だった。
もともと1ヶ月3000元の契約だったので、「延長1日あたり100元ね」と。
しかも「その部屋は1日300元は取れる部屋なんだから、100元にしてやっただけでも有り難く思ってちょうだい」との言い草、まったく血も涙もない大家だ。。。 かと言って、今更ほかの部屋を借りる事など出来ない。どこのホテルも新規の客は受け付けない状態だ。そしてどこのマンションも住民以外は立ち入り禁止。動くことも出来ないのだ。
仕方なくその条件で契約更新。。。楽しいなら文句ないが、まったく楽しくないのに、これから先は想定外の家賃だけが日々膨らんでいく。。。食事のストレス、孤独のストレス以外に経済的ストレスも追加。。。
ちょうど夏休みと重なった事で私以外にも、もちろん三亜を中心にあちこちの旅行客が帰宅難民となっていた。
私の知り合いは三亜のホテルに缶詰状態、食事はホテルから提供される高くて不味い料理を食べることしか選択肢がないと。
さらに別の友人は、大陸に遊びに行っていて海口に帰る飛行機のチケットが次々にキャンセルになり帰宅難民中。
あちこちから悲鳴が聞こえて来る
そして面白いことに(中国の特徴なのか、今は全世界そうなのか分からないが)帰宅難民wechatグループというのが出来始めた。「同じ困難を抱えてる人たちで情報共有し、助け合おう」というものだ。
のちに「飛行機で帰る組」「フェリーで帰る組」さらに私のような「車で海口に帰りたい組」とドンドングループが細分化されていった。
このグループチャットにどれだけ支えられたことか。情報共有はもちろんだが、苦しんでるのは自分だけじゃない、という精神的支えが大きい。自分よりもっと悲惨な人がいっぱいいる、こんなことでメゲちゃダメだ!と変な励ましにもなった。
そのうちに、大陸から来た旅行客の救済政策が始まった。PCR陰性証明等の色々な条件をクリアしてスマホから申請すれば、帰宅できるようになったのだ。色々混乱はあるものの、政府の用意する専用バスで空港まで行けるようになった。
1日3本のバスに乗るために待機する人々。
しかし、それは空港から飛行機で大陸に帰る旅行客に限られた政策で、わたしのような自分の車で移動する旅行客の救済措置はいまだ発表されず。待ちきれない何人かの旅行客は車を置いて飛行機で帰っていった。次の休みに車を取りに来るという算段らしい。
大陸に帰らない省内移動組の私は、飛行機に乗るという選択肢は無いので、ただひたすら政策が発表されるのを待つしかない。
そのうち、早朝だけOPENしていた市場も完全に閉まってしまった
どう考えてもおかしい これじゃ餓死しろと言うのか
「いったいどうなってんだ~」と鼻息荒く、マンションの管理事務所に文句を言いに行くと
「あれ?団体購入すれば?」と軽く言い放たれた。
「え、、、なにそれ?」「聞いてないんですけど?」
どうやら各マンション単位で団体購入制度があるらしい事を初めて知る
そんな制度があるなら、エレベーター前に貼るとか、なんかお知らせしろよ~ 中国、こんな事ばっか
「じゃあ それ申し込むから、どういう制度なのよ」「あ、今日の分はもう終わったから」「はぁ」
そして、下記の表をくれた
見えるだろうか? 選択の余地なく、決められた野菜セット、肉、卵を 通常よりバカ高い値段で買うしかないシステムだ。
しかも量が多すぎる、これは大家族用だ。私のような一人暮らしかつ、帰れるようになったらすぐさま海口に帰りたい人には、まったく向いていないシステム。イライラがつのっていく
スーパーも閉まったままだ。
トイレットペーパーは無くなり、テッシュペーパーで代用中。テッシュペーパーもなくなったら、と思うと怖い
リンスもなくなり、シャンプーのみで髪を洗うようになった。髪の毛がゴワゴワになった。
そう言えば、上海の教え子がロックダウンの時「意外と困るのがトイレットペーパーとか、調味料とか、嗜好品なので、たくさん買っといた方がいいですよ」と言っていたのを思い出した。
食材は(選択の余地は無いが)なんとか手に入るものの、生活用品に関してはまったく手に入らないのだった。(ちなみに宅配便はもちろん止まっていて届かない)
街にはタバコを求めて彷徨う人がゾンビのようにちらほら、、、ペットの餌がなくなり慌ててる人もいた。私も猫を連れているので、他人事ではない。たくさん餌を持ってきていて本当に良かった。あとは花子(愛猫)が体調を崩さない事を祈るのみ。動物病院もないここで何かあったら、、、
さらに神州半島はガソリンスタンドも無い。そう言えば最初の頃は車が走ってたが、最近は走ってない。私の車もガソリンが心細くなっている、、、怖い。何か不測の事態が起こったら、、、、。想像するだけで怖い。。。
いつしか、海で遊ぶことも許されなくなった。
こんなだった海が
こんな風景に
誰もいない海、、、、ある意味レアだ。
そしてレア写真を撮っていた私は、このあとすぐに保安に「何やってんだ!帰れ、帰れ」と追い返されたのだった
警察に追い返されるサーファー(ご愁傷さまです、、、^^;)
サーフィンも出来なくなり、PCR検査以外に人と会うこともなくなった神州半島
そして私はいつ海口に帰れるのだろうか、、、(「地獄からの帰還編」へ続く)
2022年夏休み 地獄編 その2
今回のコロナは今までと違い、あれよあれよという間に海南島全土に広がっていった。
全ての市とは言わないが、ほぼ全てと言ってもよいほど、田舎まで広がった。
中国のTikTokでは「1武漢、2上海、そしてついに3番目に海南がロックダウン~」となんとも悲壮な音楽に乗せて情報がUPされていた。
えそんなに大げさな事になっているの
確かに三亜は上海並に大変な事になってるらしいけど、ここはそんなに困ってないし、、、、
島から外には出れないけど、食物もあるし、出歩けるし、なんといっても波あるし、サーフィンも出来るし
ちょっとサーフィン友達が居なくなっちゃったのが想定外だったけど、サーフィンは一人でも出来るし、、、
なんて余裕をかましていたが、、、長引くコロナ、、、いつまでも収束せず、、、やがて、、、、
あれれ?ライフラインのはずのスーパーが閉まってる!?
「コロナなので臨時休業」って書いてあるけど、、、いやいやいや、、、おかしくない?
うわお~ 市場も閉まっちゃってるやん
あれれ?飲食店も封印の赤紙貼られちゃってる!? テイクアウトも無理!?
サーフショップのお隣の海南土産屋さんも赤紙
友達のいなくなった私にとって、ショップのお隣さんは、大事な話相手だったのに
そう、ここ神州半島は私にとってアウェイ。
サーフショップの友達がいるから遊びに来たのであって、彼らがいないと友達ゼロの場所なのだ
友達のサーフショップ経由でなんとなく顔見知りの人が数人いるだけのアウェイの地、、、
やばい、徐々に孤独を感じ始めてきた、、、、
おおっと、後ろに回り込んだらこっそり営業してるではないか。
とりあえずここでビールを買う。「スーパーや市場も閉まっちゃいましたねー(^^;)」
なんて二言、三言会話をするのが、その日した会話のすべて。
その際に「深夜22時なら空いてるよ」なんて情報を教えてもらう。
そうだったのか
私のような他所者には、なかなか手に入れることの出来ない貴重な情報を地元の人から仕入れ
その日夜22時頃行ってみると、市場もスーパーも確かに空いていた
政策としては、店を開けてはいけないが、お店だって売りたい、私達だって買いたい、ってことで利害が一致し
深夜にこっそり営業していたのだ。(面白いからブログ用に写真撮ったらメチャ怒られ、今すぐ消せと言われたので写真はありません)
そのうち、夜の営業も取り締まりにあい、次に入手した情報によると朝6時なら物が買えるらしい、、、ということで
朝5時半起きして6時に市場へ向かう(経験した事はないけど、戦時中の闇市場ってこんな感じなんだろうな~としみじみ)
闇市場も大変らしく、野菜や果物は売ってるけど、お肉や魚は買うことが出来ないので、卵でタンパク質を補う。
飢える事はないが、その日に手に入った食材でなんとか食いつなぐという毎日。
それでも私はマンションを借りてるので自炊出来るが、普通のホテルに泊まっている旅行客はどうしているのだろう、、、、
このスーパーはたしか、野菜以外に冷凍の鶏肉売ってたんだよな~ 赤紙貼られちゃってるな~
でも、もしかして、お土産屋さんのように裏口に回ると空いてるかもしれない!
っと1%の期待を胸に裏に回ったら、本当に空いていた
中には入れてくれないシステムで、入口でお店のおばちゃんに「鶏肉、鶏肉、とにかく鶏肉」と言うと
じゃじゃ~ん
まるごと一匹、手に入ってしまった。。。
手羽先が良いだの、こんなに要らないだの、言う余裕はなかった。
肉が手に入らない日々の中、買えただけでも感謝だ
人生初の「丸ごと一匹」を解体した。。。
そんなこんなの日々の中、そろそろ私の借りてるマンションが契約終了の時期に近づくが、どう見てもコロナが落ち着く様子はない、、、
いよいよ本格的に困っていく(地獄編その3へ続く)
2022年夏休み 地獄編 その1
さて夢のリゾート生活、前半2週間は本当に天国だった。
しかし、8月に入り、三亜市にコロナ感染者が現れた。
とはいえ三亜の出来事であり、万寧市は関係ない出来事だった。
8月6日、サーフショップの友人達は仕事の都合で、深センに車で出かけた。
「8日か9日には帰るから、店番よろしく~」と。
私もその時期、友人が遊びに来ていたので機嫌よく
「ok!店番は任せて」と元気よく送り出したのだった、、、。
(友人のブログ参照:神州半島 | 椰子の風に吹かれて 中国海南島便り (ameblo.jp))
、、が、感染力の強いオミクロン株の今回のコロナ。
みるみる感染者が増えていき、本来は、8月6,7日の土日に友人といつものサーフキャンプをやる予定だったが
どうやら雲行きが怪しくなってきたので、ツアーは中止した。
すでに遊びにきていた友人も7日の朝に、「なんか雲行き怪しいから、早めに帰るわね」と帰っていった。
7日の午前中に友人を駅まで車で送り、戻ってきたその日の午後
なーんと神州半島の出入り口の門が封鎖されたではないか!
入る事も、出る事も出来なくなったのだ!!!
急な封鎖でとまどう人々と車
危なかった!封鎖が早まっていたら、友人は海口に帰ることが出来なくなっていた。
あるいは、タイミングによっては友人を送って戻ってきた私は、島に入ることが出来なくなっていたかもしれない。
猫をマンションに置いたまま、私は島の中のマンションに戻れない、、、想像するだけで地獄だ
あれ?食物とかだいじょうぶかな?と心配になりスーパーに行くと
みごとに野菜の棚がスッカラカン(^^;)
しかし常にある程度の食材を常備している私は、あまり慌てずにこの状況をまだ楽しむ余裕があった。
それに飲食店もテイクアウトは出来る状態だったので、食料に関してはなんの心配も要らなかった。
8月16日までマンションを契約していた私は、まだ何日もあるし、、、と甘く見ていたのだ。
そして深センに出張に行っていた友人からTEL
「万寧まで戻ってきたけど、高速道路降りられないから、、、海口に戻ることになった。どこの出口も出れない」と
高速道路、出口封鎖してるんだ、、、、、
海口から高速に乗った友人は、3時間かけて万寧まで帰ってきて、再び3時間かけて海口へ戻っていった、、、、
このさき、いったい何が待ち受けているのか、、、、(地獄編その2へ続く)
2022年夏休み 天国編 その2
私の夢の生活とは、どんな生活なのか ご紹介しましょう~
朝6時半~7時頃 起床 バルコニーから波チェック BGMは波の音
バルコニーで1杯のレモン水を飲む(寝起きに飲むのが健康に良い)
レモン水の後は珈琲を飲み、「天猫精霊(テンマオジンリン)」(中国版「Hey Siri(ヘイ シリ)」みたいなもの)に心地よい音楽を流してもらう
海をみながら軽くヨガをして体をほぐす
ホームベーカリーで焼いたパンの香りが部屋中に漂い、焼きたてパンで朝ごはん。
時には近くの灯台まで、かるくジョギング 海もあるけどプールもあるリゾート地
南国の花があちこちに咲いている
海をみながら太極拳をしている人々
そして友人の店に行き、日中は仲間とお喋りしてダラダラと過ごし、夕方涼しくなってからサーフィン
新しい板も買い、新しいサーフィン仲間も出来て、最高~
そして何よりも最高の時間がサーフィン後のビールタイム
ショップの前のこのテラスで、サーフィンした後に飲むビールタイムが最高の時間なのだ
友人達とワインで美味しい夕食
時には、教え子や友人が遊びに来てくれ
もう足りない物がない、100%完璧な夏休み
最高だ~
一緒にリゾート生活を満喫する花子
そう、この時の私は、後半に訪れる「地獄」など、想像もせずに、夢のリゾート生活を満喫していたのだった。
(地獄編へ続く、、、)
ついでに、遊びに来てくれた友人のブログも見てみてください↓