GWの旅行の記事も、ようやく3日目まで来ました(長かった、笑)。この日は観劇は夜だけなので、日中まとまった時間が取れ、ウィーン以外のまちを訪れるチャンスです。
どこに行こうか?地球の歩き方「オ-ストリアとウィーン」の「ウィーン近郊の見どころ」には、7ページに渡り、いろいろなまちが載っているので、こういう検討の時に重宝します。
そして着目したのが、標高2,075mのシュネーベルクという山。ここは登山鉄道で山に登って、ハイキングもできるそう。夜の観劇ともいいコンビネーションなので、ここに行くことを検討しました。ところが、4月だと山頂の気温が低かったり、風が強くてハイキングを楽しめない可能性があり、さらに登山鉄道は事前に予約をしないと乗れないこともあるそうです。リスクがあるので、またの機会にしました。
さてどうしたものか?思案していた時に、たまたま以下のコンサートを聴きに行きました。
(参考)2018.3.29 トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンのモーツァルト&ベートーベン
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12364268841.html
ウィーンのアーティストのみなさまによる素晴らしいコンサートでしたが、プログラムには、ベートーベン/交響曲第7番第3楽章のところで、以下の解説が載っていました。
「躍動する第3楽章スケルツォのなかほどで聴こえる牧歌風の調べは、下部オーストリア・シュタイヤーマルク地方の霊地マリアツェルに伝わる巡礼歌からヒントを得たものだろうか。」
マリアツェル!!!その手があったか!ビビビッと反応した瞬間でした!マリアツェルはオーストリア随一の巡礼教会を持つ山里の村。一度行ってみたいと思っていたところでした。このタイミングで目にしたのも何かのご縁。マリアツェル行きを検討しましょう。
ただ、マリアツェルはウィーンからかなり遠いイメージがありました。周りには何もなく、山の中にポツーンと村がある感じです。地球の歩き方には、ザンクト・ペルテンから狭軌線のマリアツェル線で所要約2時間30分、およそ2時間おきの運行とあります。ウィーンから行って帰って、夜の観劇に間に合うのでしょうか?
さっそく調べたら、何と、ウィーンから直行の07:00発/10:00着のバスがありました!帰りのバスは遅い時間ですが、今度は列車で帰れば、何とか観劇に間に合います。滞在時間は約3時間と強行軍になりますが、ここは行ってみましょう!
ということで、3時間バスに揺られて(路線バスですが、途中1回休憩あり)、マリアツェルに到着しました。少し歩くと、大きくて綺麗なバジリカが見えてきて、感動です!
(写真)マリアツェルの巡礼教会のバジリカ。小さなまちですが、立派なバジリカで壮観でした!
マリアツェルに巡礼教会ができたのは、12世紀に修道士がこの地域で目的地に行く途中、大きな岩が道を塞いでいたため、手にしていた木彫りのマリア像に助けを求めたところ、岩が割れて道ができた、という奇跡が由来です。その奇跡の木彫りのマリア像は白い服を着て、教会の真ん中に祀られています。
(写真)マリアツェルのまちなみ。小綺麗なホテルが並んで非常にいい感じの雰囲気です。
(写真)お土産もの屋さんの並び。ロザリオなど宗教にちなんだものを多く売っていました。
(写真)薬屋さんで売っている薬草系のリキュールのボトル。見るだけで美味しそうなデザイン!
(写真)まちの周りには山の緑が広がります。
バジリカではこの日の行事の時間割が張り出されていて、「11:15 ミサ」とありました。せっかくマリアツェルに来たので、ここはミサに参加してみましょう!
ミサが始まりました。私は一番後ろの席で控えめに参加です。ウィーン少年合唱団が参加するウィーンの王宮礼拝堂のミサでは、少年合唱団、お説教、アカペラの歌、オルガンなど、様々な内容ですが、マリアツェルのバジリカのミサは、オルガンとお説教のみとシンプルな内容、オルガンもごくごく素朴な音楽を奏でます。奇跡の木彫りのマリア像を眺めながらのミサは非常に感動的です。
巡礼教会なので、地元の方だけでなく、いろいろなところから来て参加されていると思いますが、お説教に合わせて、タイミング良く言葉を唱えたり、歌ったりするので、みな敬虔なカトリック教徒なんだなと思いました。中には、杖をついている人、怪我をされている方も見られ、マリアさまにお祈りする気持ちが伝わってきます。さらには、ライダースーツ姿の方も!オートバイで巡礼に来るんですね。
ミサの終わりの方で、周りの方と握手をする時間があります。周りが観光客ばかりのウィーンだと、しているのは仲間内だけですが、ここではそういう気分になり、近くのおじさんと笑顔で握手!なかなか良いものですね。
そして、ミサの後のオルガンの後奏。それまで素朴な音楽を奏でていたオルガンが、一気にギアを上げて、ブルックナーのような複雑な和声の音楽を弾き始めました!何と言う感動!!!オルガンの凄さを改めて体感しました!
(写真)せっかくマリアツェルに来たので、ミサの後、ランチでマリアツェルのビールをいただきました。
帰りは列車で帰る予定でしたが、駅に行ったら列車が5月中頃まで動いていないそうで、途中までバスで移動、そこから列車でザンクト・ペルテン→ウィーンでした。列車の場合、マリアツェルの近くでは、山岳鉄道のように山の中を縫うように走るそうで、ちょっと残念でしたが、それでも4月のオーストリアの地方の萌えるような緑の山や草原の景色を十分に楽しめました。
マリアツェル、滞在時間は限られましたが、行ってみて非常に良かったです!奇跡を起こしたマリアさまが祀られているバジリカでミサまで参加できて感無量。とても良い思い出となりました。
ところで、最初に検討した山といい、マリアツェルといい、実はこの日の夜の観劇と深い関係がありました。「山」や「マリア(さま)」にこだわった理由とは?この次の記事で!
(写真)お土産に買ったハート型のレープクーヘン