転換
『転換』って言葉聞いたことありませんか?
車なんかの場合、総額300万円の支払いになるところを、それまで乗っていた車を100万円で下取りして
『お支払いは200万円です』というのと同じような制度です。
実際『保険の下取り』なんていう方もいらっしゃいますよね。
現金で支払う分は確かに300万円が200万円ですから支払いが少なくなったように感じます。
さて
死亡保障3000万円 入院特約5000円 保障期間10年 毎月の保険料13500円
一般的な保障の様に見えるこの保険、加入時31歳の独身である私の身内が入っていた保険です。
しかも
転換価格356000円
以前加入していた保険をこちらに入れ替えたって事ですね。
特に保険の見直しをするような出来事は無かったのにナゼか?
このような保険になっていました。
『なんでこれにしたの?』と聞くと、「良くわからないけどこっちが得だと言われて実際保険料もほとんど変わらないのに保障が良くなったように思えたから」
と返ってきました。
なぜ独身(一生結婚するつもりは無いらしいです)の30代にこんな保障が必要なんでしょう?
不自然ですよね?
今回なんで相談を持ちかけてきたのかと言うと、この保険に加入させた僅か4年後にさらに転換の設計を持って来て、『こっちに換えれば同じ保障で保険料が安くなるから』と言われたものの、ホントにこれで大丈夫なのか?と疑問に思われたからなのでした。
しかもその提案内容は・・・
それまでの契約も転換していたとは言え『主契約転換』と言って、主契約の「お金が貯まる機能がある保険」にそれまで貯まった解約返戻金を充当していたのですが、持ってきた設計は『特約転換』
今度は解約返戻金を掛捨て部分に充当する内容になってました。
ご丁寧に「毎回の保険料7407円 特約保険料10223円」と書いてあります。
本来払うべき保険料より実際払う保険料が少ないって事ですね。
実際毎月の保険料もそれまでより安くなってます(見せ掛けですけど)。
解約返戻金表も1年目403000円が10年目には173000円となってます。本来10年も続ければそれなりに増えるハズですが逆に・・・
要はそれまで支払ってきた保険料のうち主契約の部分に貯まったお金を、特約に入れ替えて吸い上げるかのような内容に変更してくれと言うのと同じです。
実はこの保険を勧めてくれたのは・・・これまた親戚のオバサマなんですよ
内容を説明すると、こんなコトになっているなんて夢にも思っていなかったようでした。
オバサマも成績が厳しくて身内にお願いする気持ちは良くわかりますけど、どうせならせめて役に立つものにしてくれたら良いのに・・・
おそらく勧めているオバサマ自身も良く理解せぬままに会社から指示されて・・・ってところだと思うので、あまり責めてははカワイソウだとは思いますが。
しかし実際のところこのようなケースは良く見かけるパターンでもあります。
募集人都合って事ですよね。
保険の見直しは大事ですが、見直しにはそうする理由と目的がはっきりしていなければなりません。
保険は年齢によって保険料が決まりますので、当然若いときよりも年を重ねた方が高くなります。
後から加入しなおして安くなるのにはキチンと『そうなる理由』があるんですよ。
このケースでは保障と資産形成を兼ねた死亡保障と医療保険の組み合わせで、若干保険料が上がりましたが十分納得できる内容を一緒に考えた上で加入いただきました。
身内や知り合いから加入してはダメとは言いませんが(私もしっかり身内からお預かりしてますし)、大事なお金を預ける(私は保険は大事な金融資産だと思うのでお預かりするという言葉を使います)モノですから、内容はしっかり理解して慎重に加入してくださいね。
過去に同じような事を言われて保険の見直しをしたことがある方は一度証券を確認しみてはいかがですか?
通院給付特約
お客様の証券診断をしていて久しぶりにこんな特約を見ました。
『通院給付特約』
医療系の特約で退院後の通院1日につきいくら給付するという特約です。
私が取り扱っている医療保険にもつけることは出来ますが、まず勧めることはありません。
「なんでこの特約をつけたのですか?」と訊ねても、最初から当然のようについているのであまり疑問にも思わなかったみたいです。
まだまだこんな例はいくつもあるんでしょうね・・・
私はこの『通院給付特約』など全く無駄な保障だと思っています。
ナゼ無駄なのか?
私が取り扱っている医療保険の例でお話すると
30歳男性 通院給付特約5000円 特約保険料 1165円
終身医療保険の特約なので更新などはありませんが、10年間この特約をつけると特約保険料払込総額は・・・
139800円になります。
この間に入院して退院後1ヶ月間、週1日通院しても、給付金受取額は2万円。
まるで経済合理性が見出せません。
これなら特約をつけずに貯金しておいた方がはるかにマシですよね?
ちなみに以前保険金の支払い漏れが見つかった時に、漏れていたのは通院給付だったりしましたよね。
保険は請求主義なので請求が無ければ支払われませんが、そもそも加入者が忘れてしまう様な保障ってどうなの?と思いますし、この特約を必要とするケース自体がかなりレアだと思います。
要は保険会社の為の特約って感じですね。そんなに保険会社を喜ばせなくても良いと思うのですが・・・
一度ご自身の証券を確認してみてください。無駄な特約ついてませんか?

責任準備金とソルベンシーマージン
今日もちょっとお堅い話で・・・
いや、ホントは違うこと書きたかったんですけど、ヨソの記事見てたら用語の使い方が全然違っててどうにも気になってしまったものですから・・・
せめて保険のプロやFPは用語の意味をキチンと理解してもらいたいと思う今日この頃です。。。
さて本題
『責任準備金』とは保険会社が将来支払うことになる保険金や満期金に備えて、お預かりしている保険料の一部から積み立てるお金の事を言います。
皆さんがお支払いになっている保険料は「事業費」や「営業費」などを賄うための『付加保険料』と「保険金」や「満期金」などを支払う為の『純保険料』に分けられます。
責任準備金はその純保険料から災害時などに備えてキープしておく「危険保険料」を除いた「蓄積保険料」のことを言います。
責任準備金は、先にもあるように被保険者の死亡や入院などの際に支払う保険給付金、満期時に支払う満期保険金、解約時に支払う解約返戻金として支払われます。
(最近の医療保険は解約返戻金を無しとして、その代わりに保険料を安く設定するというのが主流です)
そして、それ以外の責任準備金は、運用資産として、不動産や株、債券などで運用されていきます。
先の決算で損失を計上している保険会社が多かったのは、特別勘定で運用している分の含み損が大きくなり、責任準備金の積み増しをしなければならなかったからというのが大きな理由の一つです。
特別勘定はまた折を見てお話しますが、要は支払いの準備が足りなくなったからそちらにお金を回したということですね。
○ソルベンシーマージン
ソルベンシー・マージン比率とは、責任準備金を超える保険会社の支払い能力を表したもので、大事故や天災、株価の暴落など、予想を超える事態が起きたときに、保険金などを支払う余裕があるかを測る基準となっています。
このソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると、金融庁の行政措置の対象となります。
しかし、過去に破綻した会社はいずれも200%以上のソルベンシーマージンを持っており、この数字以外にもディスクロージャー資料などで業績内容を確認するなどしないと保険会社の安全性は分かりませんね。
生命保険会社は、責任準備金をはじめ業績などをディスクロージャー資料にまとめて、閲覧用に作成しています。各保険会社の本・支店はもちろん、生命保険協会にも据え置かれています。万が一の責任準備金がきちんと積み立てられているかは、気になるところ。知りたいときは、いつでも閲覧できるようになっています。
気になる方は一度ご確認してみてはいかがですか?