「ドラマ嫌われる勇気」第三話 ~ 競争意識と優越性の追求 ~
ドラマ嫌われる勇気第三話は、「競争意識」と「優越性の追求」がテーマになっていました。優劣をめぐって人との競争の中に生きていると、心が片時も休まることはないと哲人は指摘します。常に勝たなければならない、負けないようにしなければならない。それは強迫観念となって、自らの精神を追い込み、周囲の人と良好な関係を築けなくなります。今回は学校教師が殺害されるという事件が起きました。相楽樹さん演じる検死官の相馬めい子は、いつも人を振り回す刑事の庵堂蘭子にイライラが止まりません。相馬に意見を求められたとき、初回から成長が目覚ましい若手刑事の青山からは、心に響く言葉が出てきました。「確かに庵堂さんは人を振り回すし腹も立つけど、勝とうと思ったことはありません。一緒に事件を捜査する仲間ですから」職場の嫌な人を思い浮かべて、グサリときた人も多いのではないでしょうか。個人的に納得いかない感情がそこにある。でも組織内で足を引っぱり合っても、全体としての生産性が下がるだけ、というジレンマですね。なんとか庵堂の弱点を突きたいと画策する相馬ですが、やがて一人相撲をとっていたことに気づきます。「気づいて楽になる」ということは、心理的なブロックが外れ、個人を大きく成長させるターニングポイントなんです。同じような状態に陥っていたな~と、それぞれ見ている人が気づくきっかけにできるのが、このドラマのいいところだと思います。そしてもう一つ、競争意識と絡んで出てきたのが、「優越性の追求」です。優越性というと、なんだか競争を煽りそうな言葉に聞こえますが、そうではありません。他者との比較なしに、自分の理想を目指して向上していく、という意味合いです。競争意識やケンカがなく、個人が自由に向上して協力し合うことが、組織や社会の理想形ですね。次回の第四話では、「自由」についての議論がなされるようです。