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飲食M&Aアドバイザーによる、M&Aを検討するオーナー経営者向けブログ

主にM&Aを譲渡側として検討する経営者向けです。

【支援実績抜粋】
◆地域トップクラスの飲食企業の、上場企業グループへの参画
◆100店舗近く展開する成長企業へのファンドの資本参画

など。1店舗〜数十億の企業まで数多く支援してきております。

【要約】
後継者がいなくて、短期的に代表の座を降りないといけないときにはM&Aが現実的な選択肢となる。

 

個人的な事情によって、会社の代表から短期間で退かないといけない、ということがあります。

とすると、後継経営者を早急に探さないといけなくなります

 

一般的な後継者不在問題左差しと比べると、緊急性を要するために、中期的なスパンでもって後継者の育成とか社外からの登用とか、ということを考える余地がないのが問題です。

 

経営の経験どころが、これまで会社に全く携わっていなかった親族が急遽後継者となり、しかし紆余曲折を経てその後会社が順調に成長していった、というような成功話を聞くことがありますが、それはとても稀。

 

実際には、経営がうまくいかず、結果的に重い負債を抱えてしまったり、というようなことがどうしても多くなってしまいます。

 

ですから、このような緊急事態におきましては、よほど有望な後継者が予め存在している場合を除いては、基本的には社外に後継者を求めることを推奨します。

これは「後継者不在はどう解決するか左差し」でも記載しているように、基本的には資本の承継を絡めて考えるべきこととなります。

 

また、経営と株式を分けて承継する際には様々な懸念が生じる左差しため要注意です。

 

M&Aの成約期間は案件によってかなりマチマチで、最速1,2か月で決まることもあれば、数年かかることもあります。

概ねスピードは売却条件に比例しますので、引き受ける企業にとってのハードルを条件面で下げてあげれば、短期的に成約させることはある程度現実味を帯びてきます。

【要約】
展開できるモデルにそもそもなっているか。また、加盟店をしっかりと支援する体制が整っているか。これは加盟するFCを選ぶうえでの一つの判断基準です。

 

FC店舗がFC本部の思っているようにうまく広がらない要因を紹介します。

 

①加盟開発能力が弱い左差し

②先行した加盟店の業績が良くない左差し

③物件開発の難易度が高い

④本部の支援体制

 


 

【③物件開発の難易度が高い】

 

当たり前の話ですが、適切な物件がなかなか出てこないような事業モデルでは、FC店舗の増加は期待できません。

 

FC展開する前に、100店舗以上は優に展開でき、物件も相当に確保できるだろうという算段が必要です。

その算段が成り立たないようでは、そもそもFC展開に適していないモデルということになります。

 


 

【④本部の支援体制】

 

全くの飲食未経験者が加盟することもあるでしょう。

 

ということは物件の探し方が分からなければ採用も分からないし、教育も評価制度も何も分からない。

 

このような企業に対して、本部として物件開発機能、人材育成機能など各種本部機能左差しを備え、適切にオープンまで指導し、尚且つオープンしたお店が順調に軌道に乗るように支援する必要があります。

 

その支援がなければ未経験者は不安で加盟できませんし、加盟店任せのFCでは加盟する意義を見出しづらくなってしまいます。

 

【要約】
事業譲渡を検討するときには、並行して分割を検討することを推奨します。

 
M&Aは様々な手法を総称した言葉ですが、中小企業M&Aの殆どは「株式譲渡左差し」「事業譲渡左差し」「分割」のいずれかに集約されます。
 

 
分割は先に説明した株式譲渡左差し事業譲渡左差しの合わせ技のようなものです。
 
分割は4種類とそれぞれの特徴があるのですが、ややこしい説明になるので、ここでは中小企業がM&Aにて分割を活用するときのイメージとして説明とします。
 
①事業譲渡は個別承継、分割は包括承継
 
事業譲渡では、賃貸借契約等の取引先との契約や借入等の債務、従業員との雇用契約などを個別に引き受け手に承継する手続きを経ないといけません。
個別の承継には個別の合意が必要なため、そこでハードルが生じて事業譲渡が成立しないことがありえます。
 
分割を活用することで、これらを包括的に承継することが可能となります。
個別合意が必要でなくなるため、そこでハードルが生じる可能性が少なくなります。
 
※債権者が適切に保護されている前提
※従業員の承継は労働承継法に基づく
※許認可はものによる
 
②事業譲渡は消費税あり、分割はなし
 
事業譲渡では譲渡する課税資産に対しては消費税が課税されてしまいます。
事業譲渡価格が数千万円、あるいは数億円ともなれば消費税だけで数百万~数千万と膨れ上がってしまいます。
 
分割では必要ありません。
 
また、分割の方法によって、結果的に譲渡時の税制面で得となる可能性があります。
※分割時の税務に注意する必要があります
 

 
デメリットもあります。
 
■手続きに少し時間がかかること1.5~2か月程度
■手続きに費用がかかること(登記等の費用に加え、専門家に分割支援をしてもらうときにはその費用)
■事業譲渡は取締役会決議であるのに対し、分割は株主総会決議のため、株主が分散している場合には実現が難しいかもしれない
 
メリットとデメリットをよく比較して判断する必要があります。
事業譲渡を検討する際には、分割と並行して検討されることをお勧めします。
また、分割の検討は複雑であるため、専門家を活用されることを推奨します。
 
【要約】
事業譲渡は事業の運営主体が変わるため、手続き的には煩雑。また家主や従業員の賛同を得られないと、そもそも実現が難しくなります。

 
M&Aは様々な手法を総称した言葉ですが、中小企業M&Aの殆どは「株式譲渡左差し」「事業譲渡」「分割左差し」のいずれかに集約されます。
 
よく、一部の店舗だけの譲渡ってできるの?と聞かれますが、基本的にはできます。
方法としては事業譲渡か分割左差しになります。
 

 
【事業譲渡】
事業譲渡は、会社の一部の事業のみを譲渡することを言います。
厳密にいうと、株式譲渡で譲渡されるのは株式ですが、事業譲渡では資産が譲渡されます。
 
例:株式会社□☆が運営していたカフェ事業を株式会社〇△に譲渡
 
事業譲渡では、譲渡するのは会社ですので、譲渡対価は会社に入ります
事例では株式会社□☆に入ります。
 
譲渡されるのは事業に関する資産です。
その資産の簿価額を上回る金額で譲渡されたときには、その差額に対して法人税が課税されます。
譲渡資産の内、課税資産には消費税もかかります。
 
事業譲渡の場合は対象事業の主体者が変わるため、様々な変化があります。
対象事業の従業員は引き受け会社での雇用に変わります。
賃貸借契約は引き受け企業の名義に変更する必要があります。
取引先も引き受け企業との取引に変えないといけません。
 

 
事業譲渡における典型的なハードルは賃貸借契約と従業員です。
 
賃貸借契約では、一般的に契約の譲渡が禁止されています。
そのため、契約者を変えることについて家主の事前承認を得ないといけません。
 
その際に家主から、
■新規契約とすることで保証金を償却する
■新規契約とすることで礼金を取得する
■仲介会社が新規契約等にすることで手数料をとる
■家賃を値上げする
というようなことを要求を受けることがあります。
 
これらの費用はどちらが持つのか?
家賃が変わってしまうと譲渡後のPL自体が変わり、想定収益を獲得できなくなってしまうかもしれない。
 
このような問題を予め想定して取り決めておくことが肝要です。
 
また、今の人手不足の時代においては従業員付きでないと引き受けられないということが多いため、仮に従業員が転籍を拒めば、引き受け側としては、考えを変えざるを得なくなってしまうかもしれません。
 
【要約】
株式譲渡は株主が変わるだけなので最もシンプル。譲渡後の経営体制などは予め定めておくことが賢明。

 
M&Aは様々な手法を総称した言葉ですが、中小企業M&Aの殆どは「株式譲渡」「事業譲渡左差し」「分割左差し」のいずれかに集約されます。
 

 
【株式譲渡】
株式譲渡は文字通りで、対象会社の「株式」を譲渡することです。
それによって対象会社の所有者が変わります。
 
※保有している株式数によって、譲渡の意味合いは変わります。詳しくは「資本の承継」左差しにて。
※以下は100%株主が、100%株式を譲渡したことを前提とします。
 
図で言うと田中さんが保有する株式を鈴木さんに譲渡したことになりますので、譲渡の対価は田中さん個人に入ります
田中さんは株式の譲渡益に対して課税されることとなります。
 
株式譲渡で会社の何かが変わることはありません。
但し、新株主には取締役を任命・解任する権限が移りますので、経営陣を変えることができれば、その新しい経営陣の下で会社の色々なことが変化していくということは理屈上はあり得ます。
 
譲渡後のことはあくまで新株主の意向に委ねられることにはなりますが、急な変化は軋轢や問題を生じさせる可能性があります。
そのため、経営体制や従業員の待遇等、ある程度はM&Aの交渉時に事前に取り決めをしておくことが一般的です。
 
【要約】
集中しない事業は、それに価値を見出す別の会社にバトンタッチする。

 
多店舗展開している企業は、大きな括りでは飲食という一つの事業を展開しているように見えますが、その実態は店舗という事業の複合体です。
ですので、運営する店舗の中での「選択と集中」という選択肢が生まれます。
 
【選択と集中】
自社の中核事業を見極め、会社の経営資源をそこに集中的に投下することで、会社の更なる発展を目指すこと。
 
【例】
複数ブランドを展開していて、そのうちの一つに、他と比べて高い成長性を見出せたとします。
各ブランドを均等に伸ばすよりは、その一つに集中して伸ばすことで、会社としてのより大きな成長を実現できるかもしれません。
 
【例】
全国に展開したものの、西日本が東と比べて業績が明らかに良い。
更に全国的に広げるよりは、西日本に集中してドミナント展開するほうが会社として成長できるかもしれません。
 
このように、理屈としてはシンプルですが、経営者としては同時に悩みも出てくるはずです。
 
集中しないブランドについてです。
 
そこに関わる従業員たちにどう希望を持ってもらうか。
事業戦略上の位置づけをどうするか。
 
そこで、事業譲渡左差し、もしくは分割左差しによって集中しないブランドを譲渡する、という選択肢があります。
 
各会社の戦略、方針はバラバラです。
自社では伸ばせないブランドと判断したとしても、他の会社からは全く違う見え方になるかもしれません。
 
中途半端にしておくぐらいなら、それを伸ばしてくれる会社にバトンタッチする、という考え方です。
 
会社の中の一部事業だけを譲渡することを、事業譲渡左差し、と言います。

【要約】

事業を売却しての資金確保、資金力のある会社に債権含めて会社を丸ごと譲渡、という再生方法があります。


 

会社の資金繰りが厳しく、再生工程が必要な場合にM&Aは選択肢となります。

 

その目的は概ね以下2つです。

 

資金繰り:事業や資産を一部譲渡して資金を確保する

スポンサー:自前での再生を諦め、他社資本の傘下にて再生を目指す

※不採算事業の切り離し

 


 

【①資金繰り:事業や資産を一部譲渡して資金を確保する】

 

複数店舗展開しているとすれば、一部店舗の売却を通じて一時的な資金を確保することが出来ます。

 

不採算店舗でも、物件が良好であったり、店舗数が10店舗以上などある程度まとまっているとすれば譲渡できる可能性があります。

 

譲渡によって敷金・保証金の戻り入れも想定できるため、一時的にはまとまった資金を確保できるかもしれません。

 

但し、これはその対価が大きければ大きいほどPLを棄損してしまう可能性があります。

 

高く売れるのはそれだけ利益の出ていた店舗であるはずです。

譲渡対価は将来獲得する予定だった利益の先取りと同じですので、今後その店舗からの利益が取れなくなる分、会社の収益は当然悪化します

 

譲渡によって会社の収益がどう変わるのかを想定した上での判断が必要です。

 


 

【②スポンサー:自前での再生を諦め、他社資本の傘下にて再生を目指す】

 

一部事業・資産の譲渡でも再生が難しいときには、債権者との交渉が必要となりますが、条件変更には限界がありますし、債務免除には高いハードルがあります。

 

債務をそのままに会社を引き継いでくれるところがあれば、有望かつ魅力的な選択肢となります。

ただし、引き受け手側で再建イメージが鮮明、且つ投資対効果が十分に得られるという前提となりますので、相当にハードルは高いです。

 

一方で、債権者が条件変更や債務免除に応じてくれるなら、引き受け手が出てくる可能性は高まります。

 

債権者とすれば自力再建が無理となれば債権が0になってしまいかねませんので、有望な再建計画とそれを支えるスポンサーが実にいるのだとすれば、必要範囲の中で交渉に応じる可能性が出てきます。

 

私的整理、法的整理という中で各種方法があります。

これは弁護士領域になるため、経験のある専門家に相談されることをお勧めします。

 

いずれにしても、引き受ける会社が出てくれば会社は存続できますし、従業員の雇用を守れる可能性も高いです。

経営者自身も引き続き関与できる可能性も出てくることとなります。

 


 

【※不採算事業の切り離し】

 

一部の不採算店舗の影響で、会社全体が厳しくなってしまっているとすれば、その店舗の切り離しをお考えになると思います。

 

その際に、店舗を撤退するのではなく、譲渡できればベターです。

 

撤退はコストがかかりマイナスですが、譲渡できればそれがプラスに転換する可能性があります。

いわゆる居ぬき譲渡、造作譲渡と呼ばれるものです。

 

これはM&Aとは少し性質が違い、M&A会社は積極的に扱わないため、※とさせて頂きます。

 

【要約】
モデルとなるべき既存店の業績が悪ければ、開発が進まないのは当然です。ただし、その要因はFCモデルではなく加盟者選考にある可能性もあります。

 

FC店舗がFC本部の思っているようにうまく広がらない要因を紹介します。

 

①加盟開発能力が弱い

②先行した加盟店の業績が良くない

③物件開発の難易度が高い

④本部の支援体制

 


 

【②先行した加盟店の業績が良くない】

 

先行して出店した加盟店の業績がシミュレーション通りに上がっていないと、続いて加盟検討する企業は不安で意思決定ができないでしょう。

加盟開発初期は、加盟店は出店エリアを自由に選べるという小さくない特権がありますので、店舗が増えた後と比べると成功しやすい環境にあるはずです。

 

それでもうまくいかないということは、モデル自体が破綻左差ししているか、加盟させている人を間違えているかだと考えられます。

 


 

FC本部にとって、加盟者の選考は重要事項です。

店長が変われば店舗の業績が変わるように、FCモデルがどれだけ優秀で、どれだけ好立地で出店しても、経営する企業によって業績は大きく変わります

 

モデルにもよりますが、法人を加盟対象とすることを推奨します。

脱サラなどの個人は経営力に乏しいことが少なくなく、うまくいかない可能性が高いばかりか、本部に責任転嫁される可能性も高まります。

 

また、同業が加盟するような業態はモデルの優秀さの裏付けになりえます。

敢えて加盟金・ロイヤリティを払ってでも同じ飲食店をやるというのは、よほど事業に魅力があるからにほかなりません。

 

更に、加盟企業が増えるとそれだけ本部としての管理は大変になりますので、少数の企業による複数店舗加盟が理想的です。

 

【要約】
FCは3~5年で100店舗程度は展開しないとあまりメリットがない。

 

ロイヤリティの構造を考えていくと、改めてFCがロイヤリティを獲得するためのビジネス(低リスク、投資なしで簡単に稼げる)、という考えが間違いだということが分かります。

 

月商500万円で20%の利益=100万円を残せるビジネスがあったとします(これぐらい儲かればFC展開の可能性あり)。

ロイヤリティが5%とすれば、FC本部は加盟店より月25万円を得ることができます。

仮に20店舗をFCにて展開した場合、利益額としてはやっと直営5店舗分となります。

 

さて、FC本部と名乗りながらも加盟店が20店舗にも到達していないブランドはどれぐらいあるでしょう。

恐らく、殆どのFC本部は20店舗の展開にさえ成功していません。肌感覚では9割以上が20店舗いってない。

FC店が増えていかない理由はこちらから左差し

 

20店舗開発するのに仮に2年かかったとして、20%も利益出せるモデルなら直営で5店舗展開してしまったほうが良くないでしょうか?

 

FCには本部機能左差しが必要ですので、20店舗にも満たないFCでは本部コストを考えるとコスト倒れになる可能性もあります。

 

上記のように、FC展開するなら、ある程度の店舗数を短期間で確保する前提でないとメリットがない、ということになります。

FC展開の目的=「他人資本を活用することで展開スピードを飛躍的に上げる」左差し

 

目安は3~5年で100店舗。

3~5年で直営25店舗分の展開が出来れば、パフォーマンス的には価値を見出せるのではないでしょうか。

【要約】
加盟する側は数千万円の投資の意思決定をすることになる。それは簡単ではなく、飲食店で料理を提供するのとは全く違う仕事。専任の部隊が必要です。

 

FC店舗がFC本部の思っているようにうまく広がらない要因を紹介します。

 

①加盟開発能力が弱い

②先行した加盟店の業績が良くない左差し

 

③物件開発の難易度が高い左差し

④本部の支援体制左差し

 

 


 

【①加盟開発能力が弱い】

 

加盟店を募集するには営業活動が必要です。

 

本業の飲食店では個人消費者向けに料理を数千円で提供するのに対し、加盟開発は法人経営者に対して数千万円の投資の意思決定を迫る活動となります。


概ね、業態のことを一番よく知っているということで業態の事業部長が開発の担当者になるケースが多いですが、それでは開発を促進するのは難しいと思います。
20店舗に満たないFC本部は、知り合いの経営者に加盟してもらったり、ごく一部の熱心なファンが加盟してくれるということで終わるケースが殆どでしょう。

同業の飲食店に加盟してもらうならば、何故わざわざ少なくない加盟金を支払って、月々ロイヤリティを支払ってまで他社の業態をやるのか、という意義を明確にしないといけません。

異業種への提案であれば、数多ある新規事業の中で、自社のことを選んでもらう要因が明確になっていないといけません。
何故飲食業が良いのか。何故飲食業の中でも自社のFCが良いのか。
検討企業が抱える経営課題や経営者としての欲求に即した提案が出来なければなりません。

数千万円の投資の意思決定ですから、儲かるだけでは到底簡単に広げることはできないのです。


対策として、3~5年で100店舗展開を実現するには、加盟開発の専任部隊が必要となります。
経験者であることが好ましいと思われます。