アマゾネス系女子のためのコーチ 伊藤史子です

 

前回の記事はこちら 

https://ameblo.jp/fmk110/entry-12449810068.html

 

〔感想 2〕 

Part.Ⅰ 女性のキャリアが行き詰るとき

第1章「私たちがこの本を書くまで」

 

(vol.2)

 

 

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この本の中で、著者であるコーチが、クライアントである 働く女性に対しての言葉

 

「女性のクライアントに対しては、

『そんなに自己批判的になってはいけませんよ』と説得することだった。

 

    ↓

 

 

 

なぜなら

 

「どんなに優れていようと、どんなに高い評価を得ていても、

『女性は足りない点に焦点を合わせる傾向がある』」

 

    ↓

 

 

 

「男性の場合、評価されると受け入れ、非難はかわそうとするが

 成功を収めた女性は、他人ではなく自分自身を批判する傾向がある。」

 

 

 

「男性とは異なる行動や癖をもたらしている」

 

 

 

 

確かに、真面目で仕事に誠実に取組み、結果も出している女性は、
「まだまだ足りない」と思う人は多く

 

(私の知人女性にもこれに当てはまる人がいて、

上司から人事考課で実績をだしている事を評価されても、それが受け取れず、

逆に「何で他に指導することが無いのか!?」と言い出したそうです(笑))

 


 

この本の著者であるお二人の マーシャル(男性)とサリー(女性)が

共催したセミナーでの事例が紹介されていました。

 

 

 

これも、男性と女性の行動や意識の違いが、分かりやすく挙げられています。

 

 

 

〈男性講師 マーシャルの行動〉

 

・ズボンを忘れてやってきてしまい、セミナー前にチノパンを買う

 

・ロビーにいる参加者から見えるトイレで転んでしまったが笑っている

 

・セミナーは流動的に進め、セミナー中は参加者と即興のやりとりをしている

 

・飛行機の出発時間を間違えていたため、セミナー中に退場。

しかし、受講生からはスタンディング・オベーションの拍手で送られる

 

 

 

〈女性講師 サリーの行動〉

 

・仕事用の服なしでクライアントと会うなんて悪夢のように感じる

 

・多くの時間をかけてリハーサルを行い、話すポイントを記憶して、

円滑に、ミスのないように話そうとする

 

・セミナー前日の早い時間に到着し、リバーサルや準備を行う

 

・きっちり準備したプログラムに沿ってやり、

「知っていることは全て話してあげなくては!」

という義務感を抱いていた

 

 

 

途中で、マーシャルが帰った後、セミナー会場にはぽっかり穴が空いたようになった。

 

 

 

この体験を振り返ったサリーは、

 

・必死で準備したコメントをコツコツと進めるやり方が

上手く行っていなかったことに気づいた。

 

・勤勉に、自らものすごくハードに働いたことは、

講師の仕事を始めたことには大いに役立ったが、

 

彼女の忠実なやり方を、

マーシャルの場に応じたおおらかなやり方と比べて考えてみると、

 

「『完璧でありたい』という気持ちを全面に出さなかったら、

受講生はもっと楽しみ、たぶんもっと学んだだろうことは明らかだった」

 

 


 

これは、私自身も振り返って、サリーとほぼ同じ行動をし、またサリーの気持ちもよく共感できます!

 

 

 

事前準備はしっかりして、話す内容も全て原稿化し、

自宅で観葉植物に向かって声に出して読み、

可能であればお客さんが入る前に壇上に上がり客席を見回しマイクテストもする…

 

そして、まさに知っていることは可能な限り伝えようとする!!

 

 

私もそのようにやっていたのです!!

 

 

 

そして、かつて職場の男性の同僚が説明に行った時の様子を聞いた時、本当に仰天しました。

 

 

 

それは、会場に着いたけど、どこに座って待てば良いかわからなかったので

そのまま客席に座り(←スタッフに聞きなさいよ!)、

 

出番で呼ばれたら客席からステージに上がった!!(←サプライズゲストかっ!)

 

 

 

原稿も作らず、時間が来たので説明が途中だけど「時間が来たので終わります」と行って終了した…

 

 

 

「ありえんわ!!」 そんな印象でした。

 

 

 

他にも、別の男性上司は、数年前の「働き方改革」の説明の場面で

 

「働き方改革をしている企業、または働き方改革を知っている方は?」と尋ねても

誰も挙手しなかったので、

 

「働き方改革をご存知でないっ!?」(爆)と、切れキャラで説明を始めてこれまた仰天。

 

 

 

この本を読んでマーシャルのエピソードを読むと、決して彼らが全くおかしいのではなく、

そういう傾向だったのか、と改めて思わされます。

 

 

 

「今の地位にたどりつくのに役立った行動が、

次のステージに進むのを阻んでいることが突然理解できる

『あっ、そうか』という経験が、

 

この章では書かれていますが、私もようやく理解できた気がします。

 


 

女性が行く道の障害となっていること

 

 

 

・完璧になろう、他人に喜んでもらおうと、多くのエネルギーを使う

 

・専門性を過大評価する

 

そのため、気楽は会話を犠牲にしていないか?

 

 

 

・あまりに多くのことを話そうとしたり、神経質になりすぎる

 

・細かいところにとらわれて、ポイントを外したり

 

ということに苦労していないか?

 

 

 

・はっきり言わなくても、よく働いていればすぐに気付いてもらい

報われると期待していないか?

 

 

 

・忠誠心のあるところを見せようとして、キャリアより仕事を優先させていないか?

 

 

 

・あなたの仕事ぶりを外に向かって話してくれる味方がいないということはないか

 

 

 

これらに当てはまるのなら、この本を読んでくださいとのメッセージが、この第1章での締めくくりです。

 

 

 

次は第2章「あなたが今いるところ」です。

 

 

 

 

アマゾネス系女子のためのコーチ 伊藤史子です

 

前回のブログで、この本について書こうと思ったきっかけを書きましたが、

https://ameblo.jp/fmk110/entry-12445973631.html

 

 

(参考インタビュー)

サリー・ヘルゲセン「リーダーの悪癖、男と女で違い」「いい仕事は周囲からおのずと評価される」と期待していないか?|日経ARIA 
https://aria.nikkei.com/atcl/column/19/020700065/020700001/

 

 

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すでに、

私もこの本を読んで、「えーっ、そうだったのか!?」と思ったことがたくさんありますし、

 

 

 

「私のかつての仕事を振り返っても、書かれていることが当てはまるわ~!」

 

「10年前に教えておいてくれ〜!!(←誰も教えてはくれませんでした)」

 

と思わされることが沢山ありました。

 

 

 

そして、この本はアメリカ人の方が書かれているのですが、

私自身日本人であるけどよく当てはまり、

 

アメリカ人女性もこのような特性があるのだな、

それは国籍問わず女性に共通するよくある特性なのかも!?とも感じました。

 

 

 

それを少しずつシェアして、私の感想や体験を付け加えてご紹介したいと思ったので、

ブログで書いてみますね。

 

 

 


 

 

〔感想 1〕 

Part.Ⅰ 女性のキャリアが行き詰るとき

第1章「私たちがこの本を書くまで」

 

(vol.1)

 

「ここまでの昇進に役立った行動そのものが、

さらに上を目指すときには逆にマイナスになることがよくある」

 

 

 

まずここからが、ショックの一発目です。

 

誰も、これまで上手く行ったやり方や行動(成功体験)を元に、次の行動を計画したり、

行動を起こしたりするのではないでしょうか?

 

 

 

「さらに上を目指す時には」これまでとは違った行動を取らないといけない!

 

まるでゲームや試合のルールが変わるように、違う行動をとらないといけないよです

 

 

 

私も、かつて長らく仕事をした組織ではほぼ女性で、年功序列で、適性や向き不向き関係なしに

管理職へ登用される職場でしたが、言われてみると見覚えのある景色はあります。

 

 

 

管理職手前は「課長(室長)補佐」というポジションですが、

そこまではある意味「真面目にコツコツと」総務業務とか、

補佐的業務をそつなくこなしていれば可能なのですが、

 

 

 

管理職になった後も、「その癖が抜けない」というのか、

「リーダーシップが発揮できない」方が多かったのです。

 

 

 

だから、「方向性が示せない」「決定できない」「業務を部下に委任できず、抱え込んで仕事している」

 

そして、相変わらずデスクに張り付いて、コツコツとは業務をこなしているけど、

 

いざとなった時に「私、知らないから〜」みたいな対応する人までいました。

 

 

 

「『我の強い、自己中心的な行動』は、

成功した女性の行く手を阻むものではない」

 

 

 

これも、多くの女性が「えっ!?」と思うのでは?

 

「我が強くて、自己中心的な行動」を女性が取ると、たいがい嫌がられると思うのでは?

 

「勝手な行動をして」とか、「協調性がない」 私もそう感じてました。

 

それが、実は違うとは!

 

これは、かなりインパクトがありました。

 

 

「女性は他人の手柄を横取りして自分の手柄に対する行動を取る代わりに、

むしろ自分の手柄を口にするのをためらう傾向がある」

 

これも私も思い当たるところがあり、かなり多くの女性がそうではないでしょうか?

 

子どもの頃から、女子は躾や教育の現場でも、「謙虚」とか「控えめ」が良いとされてきたので、

 

「自ら『自分がこんなに成果を出しました』『貢献しました』と自己主張するのはとんでもない! 

 

そんな文化から、自ずとそうなってしまったのではないか?と感じます。

 

 


 

この本では

 

「キャリアの次のステージに進みたい、

そして、自分の所属する組織や地域のコミュニティ、

さらには世界の役に立ちたいと思っている女性に、

具体的で役立つアドバイスを提供する」

 

とされているので、

 

必ずしも組織で働くキャリアウーマンだけではなく、
フリーランスで働く女性の他、地域活動をしている女性や、

家事全般受け持っている主婦の方も、

 

何かしら当てはまったり、役立つ内容はあるのではないでしょうか?

 

また、女性だけでなく、男性の方にも女性理解を深めるためにも是非読んでもらいたい!と感じました。

 

 

長くなったので、続きはまた。

 

 

 

次の記事はこちら

https://ameblo.jp/fmk110/entry-12451969303.html

 

 

 

アマゾネス系女子のためのコーチ 伊藤史子です

 

前回の記事 https://ameblo.jp/fmk110/entry-12443589493.html

 

前回のブログで、これまでの経験が自分の制限を強化し続けて、

諦めの早さになってしまっていた と書きましたが、

 

そんななか、まるで引き寄せの法則かのように、

先月の2月19日に、こんなことを学んできました。

 

浜田義之さんの「ブレイン・リボーン・プログラム 体験セミナー」です。

 


 

ここでは概略だけ説明しますが、

 

子供の頃のしつけや教育で、

否定的な言葉や制限をかけられる経験をしてくると

 

自分で存在価値がない」と感じてしまい、不満や不安にかられるようになり、

自分を責めるようになり、不安定になる

 

これが、脳の中に「恐怖の回路」ができる元。

 

 

 

その「恐怖の回路」を強化すれば強化するほど、自己肯定感が持てず、恐怖から行動に移せない

 

 

 

そして、人間は、その恐怖の回路に従って生きていて、実は脳の奴隷になっている

 

 

 

講師の浜田さんが脳梗塞になった時、リハビリをする際に療法士に

「どうしてリハビリをするとまた動くようになるのですか?」と質問したところ

 

 

 

療法士は、「脳梗塞で脳内の壊れた部分は治らない。

しかしリハビリをすると、別の回路ができて動くようになる」と聞いたことから

 

 

 

脳内に「恐怖の回路」ではなく、「自己肯定の回路」を作れば良い 

と大きな気づきを得られたそうです。

 

 

 

それを90日間実践したら、これまでできなかったことも頑張らなくても自然にできている 

 

そんな変化があった とのお話でした。

 

 


 

私もここ数年のコーチングで、子供の頃の家庭のしつけや教育、周囲の環境から

 

「〇〇してはいけない」

「〇〇しなさい」

(何かやりたいと言っても)「あなたには無理」

「女性(男性でも可)は〇〇であるべき」

 

といった言葉をインプットされ続け、自分に対する制限が強くかかっていて

「やりたいけど、どうせやれない」「私なんて」という想いが生じることに気づいてきました。

 

 

 

逆に子供の頃から今まで振り返ってみて

「やってみたら! できるよ」とか

「〇〇ちゃんならできる」とか

「やりたいことをやったら」と言われた経験は、ほぼ皆無でした。

 

自分をポジティブにとらえる経験が少なかったのです。

 

改めて周囲を見回すと、昭和生まれて、昭和のしつけや教育で育った40代以上の人

(30代もいるかもしれないけど)は、思考に制限がかかっている方が多いのでは?と感じます。

 


 

体験セミナーで学んだワークを2つほど紹介します。

 

1つは、「肯定ワーク」

「〇〇している自分はスゴイ」

を書き出すのです。

 

例)「歯を磨いている自分はスゴイ」

「こんなので良いの?」と思われるかもしてないけど、

「歯を磨かない→虫歯になる→食べ物が食べられない→命に関わる」だから凄い!!んです。

 

 

 

もう1つは、「幸せ」と感じることを書く

 

この2つを、早速毎日10個ずつ書いていってみました。

 

 


 

そして、今日で1ヶ月近くになります。

 

毎日、肯定ワークをすると、ついつい自分が至らないところ、

できてない事にフォーカスが当たり続けるのですが、

 

 

 

これを書いていると、自分ができている事、頑張っている部分に意識を向ける事ができます!

 

 

 

まるで、視力検査の図で、いつも欠けている部分ばかり見ているのが、

「黒い欠けていない部分」に意識が向くようです。

「欠けてない部分がこんなにあるって!」

 

 

また、書いているうちに、頑張ってない自分もOKが出せるような感覚になってきました

(まだまだ、「やれてない」と自分が責めそうになりますが)

 

 

 

そして、幸せも書いていくと

「日常のささやかな幸せ」(住む家がある、健康でいられる、食事が取れる)に気づける時間になってきました。

 


 

まだ初めて一月ですが、前向きになってきたり、チャレンジすることもできるようになってきました

(早起きして朝活に参加!したり、週1回のジム通いが10週継続できたり)

 

 

 

「90日間コツコツと継続することによって、脳が臨界点に達し回路が変化する

 

とのことなので、どう変化していくか楽しみに続けていきます。

 

 

 

気力や根性で頑張っても行動できなかったり、良い習慣が身につかないと自分を責め続けるよりも、

 

脳の機能も上手く使って習慣や行動力を身につけていけたら、努力根性頼みよりも楽ですよね。

 

 

 

アマゾネス系女子のためのコーチ 伊藤史子です

 

 

 

これからこの本について、読んで感じたことや気づいたことなどを書いてみたいと思います。

 

「コーチングの神様が教える『できる女』の法則」

~女性特有のキャリアアップを邪魔する12の悪癖~

 

 著者:サリー・ヘルゲセン、マーシャル・ゴールドスミス

https://www.nikkeibook.com/item-detail/32255

 

 

 

 

 

 

 

 

この本で感想を書こうと思ったきっかけは、

 

私も26年半、公務員として「働く女性」として生きてきました。

 

 

 

そして、行政の立場から、まだ「女性は寿退職が当たり前」の時代から、

 

育児休業や、結婚や子供ができても(最近は介護もです)辞めないで、継続勤務ができるよう

 

企業や法人に指導などで働きかけてきました(セクハラ対策も!)。

 

 

 

四半世紀たち、女性育児休業を取るのは当たり前になり、街には働く女性があふれています。

 

 

 

女性が活躍していくための制度や環境整備は一定整ったと考えています。

 

私も行政での一定の役割は果たせたと感じています。

 

 

 

これからは、働く女性が整った環境で

 

決して自分を粗末に、犠牲にする働き方ではなく

 

生き生きと働いて、自分自身も自分事も大切にして人生を生きる

 

そんな女性が増えていってほしいと考えています。

 


 

私自身も働く女性として、

 

気が付いたら転勤要員にされており、嫌だといっても転勤を強いられて(西日本7府県転勤です)、

 

おかげでお金も時間もエネルギーも消耗し、人間関係はバッサリ無くなっていき、

 

 

 

育休取得者や病休者が出たら、その分の負担が来るため、

 

なぜか「自分が頑張らないと職場に支障が出る」と勝手に考えてしまい、

 

身体に支障が出ても無理をして働いてしまったり

 

 

 

結果や成果を出さないといけないため、自分も人にも厳しくしてしまったり

 

 

 

そんな経験もしてきました。

 


 

この本の著者のサリー・ヘルゲソン氏の来日講演の概要が日経新聞に掲載されており、

 

そこに書かれていた 「働く女性が良かれと思ってしていることが、逆に悪影響となっている」との内容は、

 

読んでいて思い当たる節もあり、「そうだったのか!?」とのショックもありました。

 

 

 

速攻で本を購入し、読み進めるうちに、

 

「これをもっと以前にこのことを教えてもらえたら良かったのに!」という思いが強まり、

 

自分の経験も踏まえてブログでシェアしようと思いました。

 

 

 

現在、勤続10年以上になって、教えられる立場から自分から仕事を回す立場になっている方で、

キャリアアップやステップアップのために何が良くて何がダメなのか知りたい…

 

また自分は頑張って誰よりも専門性を積んで「この分野なら負けない」と思っているのに、

なんだか評価されている気がしない…

 

そんな方に役立てたら幸いです。

 

 

 

また、女性を部下に持つ男性上司の方にも、この本を読んでいただいたら、女性を活かすのにとても参考になるかと思います。

 


 

また、今後はこの本の読書会も企画中です!

 

読んで気づいたことや、各々の経験からこうだった ということを一緒にシェアできたらな、と考えていますので、よろしくお願いします。

 

次の記事 

https://ameblo.jp/fmk110/entry-12449810068.html

 

 

「女性の活躍で、男性も幸せに」


―伊藤さんは26年間の国家公務員としての生活にピリオドを打って、コーチとして独立されたと聞いています。

その大きな決断に至った理由はなんでしょう?


大学卒業後に厚生労働省の地方機関である婦人少年室(元労働局雇用環境・均等室)に入局して以来、ずっと女性の活躍や仕事と家庭の両立の推進などに取り組んできました。

だけど自分を含めた職員は適性や情熱などを考慮されることなく、全国どこでも異動しなければなりません。

「これからも、このままでいいのか?」と自問したときに、「もっと自分の能力や強みを活かして生きていきたい。

そんな社会の実現に向けて働きたい」と強く思ったのが、そもそもの動機です。

 

 

 


―自分の人生をしっかり見つめ直して、決断された。そんな印象を受けますね。
そうですね。モヤモヤとした思いをずっと抱えていたので。

 


―そのモヤモヤについて、もう少し聞いてもいいですか?
ええ。職員は、まるですごろくの駒のように異動させられるんですね。

私の場合、26年間と半年の間に高知、兵庫、鳥取、大阪など8府県を渡り歩きました。

本人のキャリア形成などについてのヒアリングもなく、「行け」「やれ」と言われたらそうせざるを得ません。

適性のない仕事を任されて、メンタルを病む人もいました。

そうなると、本人も苦しいし、他の職員や家族だって不幸です。
私を含めて、人生の中心に自分ではなくて「仕事」が座っている。

人生の舵取りを仕事にさせている。

そんな生き方を続けていたことがモヤモヤの正体なのだと思います。

 


―新しい生き方にコーチングを選ばれたのはどうしてですか?
嫌な仕事をモヤモヤしながら続ければ、生産性も上がりません。

これからの人口減社会の日本において、そのような仕事の在り方を許容する余裕はないでしょう。
反対に、それぞれが能力や強みを活かせるような仕事に就いたら、働く人も元気になり、生産性も上がります。

当然、企業や組織にとっても良い結果を生み出すはずです。

人の適性や特質を見いだし、個人も組織全体も幸せになれるようなアプローチは、コーチングが非常に有効だと実感しています。

 


―実際に、そのようなアプローチをされた経験がおありですか?
独立後はまだですが、職員時代にはコーチングでの学びを活かしていました。
例えば部署内の担当でも、「この人はどんな人なんだろう?」「なにが得意なんだろう?」と、能力だけでなく、人そのものに関心を向けて仕事を任せるようになりました。
人と接するのが好きなのに内勤の事務を志望している人には、外回りを。

趣味の家具作りやらっきょう漬けも細部にこだわってするという人には、細かな部分まできっちり仕上げる必要がある事務仕事を、という風に。

すると、本人たちも目に見えて生き生きとしはじめ、効率もぐんと上がりました。

退職時に「自由にやれて、とても働きやすかった」とメッセージをくれた職員もいましたね。

 


―なるほど、分かりやすいですね。ところで伊藤さんご自身は、コーチングに出会ってどのような変化がありましたか?
まず、「答えはその人の中にある」という考え方がとても新鮮でした。

それまでは「分からない、知らないから、教える必要がある」としか考えていなかったので。

それがコーチングで視点を変えて現状を見つめるだけで、本人が自然と解決していく姿を目の当たりにしたんです。

衝撃でしたね。

私自身も人への接し方が大きく変わりました。
もうひとつ。

10年ほど前に仕事を抱えすぎて鬱状態になって、不眠に苦しみました。

治療する傍ら、コーチも付けていたのですが、その方が本当に寄り添って話を聴いてくれたんですね。

そのおかげで本当に救われましたね。

 


―単純に目標達成ということではなく、コーチングで人間への理解そのものを深められたのですね。

ところで、行政での長い経験を活かして、これから企業などには具体的にどのようなメニューを提供されるのでしょう?
ひとつは、やはり女性が活躍できる社会づくりですね。

ただ、それは男性も人生を楽しめるようにならないと実現しないんです。

 


―それは、どうしてですか?
女性も才能を生かして働ける社会を実現するためには、家事や育児がどうしてもネックとなります。

そうした負担を軽くするには、家庭での男性のサポートが不可欠です。

そこで課題となるのが、長時間労働なんです。

遅くまで残業する、会社のためにプライベートを犠牲にするといったことを良しとするような風潮を変えて、男性も人生を楽しめるようにならないと、女性が本当に活躍できる社会は現実的に難しいんです。

 


―では、男性も含めてアプローチする必要があるということですね?
そうですね。

でも、男性は女性に比べて頭が固い方が多いので(笑)、変化への抵抗も強いんですね。

なので、まずは柔軟性のある女性に対して、満たされた人生を歩むためのワークショップなどを開催することを検討しています。
女性が変われば、男性も必ず影響を受け、やがて企業全体に波及していきます。
そんな企業が増えるなら、社会全体も変わっていきますよね。

道のりは遠く途方にくれることもありますが、人生の舵を取り戻す人を少しでも増やしていくために、一歩ずつ進んでいきます。

 


(インタビュアー 大村たかし)