高い成果を求められて一人頑張っている女性リーダーのための相談家 伊藤史子です
第8章 悪癖その4「人間関係を築くだけで活用しない」です。
(本の概要をまとめて掲載しています)
(「コーチングの神様が教える『できる女』の法則
〜女性特有のキャリアアップを邪魔する12の悪癖〜」)
サリー・ヘルゲセン&マーシャル・ゴールドスミス
日本経済新聞出版社
大半の女性は、強い人間関係を築く能力が高いと言う。
2つの国際的な研究でも、シニアリーダーは部下の女性の
・人をやる気にさせ、しっかり仕事をさせる能力
・強いチーム構築力
・双方のメリットのあるウィンウィンの交渉
・共感しながら人の話を聞く能力
・士気を高める能力
を高く買っている と言う。
なぜ、人間関係構築能力に優れた多くの女性が、
組織の上の方に上がることができないのか?
その答えは、「人間関係の活用はどうも気が進まない」と言う人が多い。
有能で良く働く女性が、特定の目的、あるいは自分の長期的キャリアのために
人脈を利用するとなると、考えることすら反発するのをよく見かける。
なぜ、利用するのをためらい、後ずさりするのかを女性に尋ねると
「利用しているように人から思われたくない」
「利己的な人は嫌い。私はそうなりたくない」
これらの発言を見ると、人間関係を活用するのは、
あまり良い人がすることではないという解釈をしていることが明確だ。
これは問題だ。
人間関係を活用することは、仕事で成功を遂げるのに不可欠だからだ。
優れたキャリアはたんに才能や勤勉によって築かれるものではない。
相互に役立とうと助け合うことによる。
これは男性の方が得意とするところだ。
男性は、今回力になってくれたら君のために何でもするよ、と言うことに抵抗がない。
誰かと親しい関係を持つことよりも、必要な時にその人の助けを頼れるかどうかの方が大切だ。
人間関係を築くには
男性は
・仕事で人間関係を築く時には、通常焦点を絞り込んでいる
・自分の目標達成に役立つと思う人を求める
女性は
・成功している仲間を尊敬し、友達になろうとする
・仕事のことを話せる誰かが欲しい
・一緒に働く誰かが困っていると助けてあげようとする
親しい人間関係を持つことは重要なことだが、
築いた人間関係を自分の目標達成のために活用することを頑なに拒めば、
自分の可能性を最大限発揮してすることができなくなる
影響を与える範囲を制限し、品の悪い政治ゲームとして片付けてしまうことで、
世界に役立とうとするあなたの能力が蝕まれてしまう。
正直、人間関係の活用で男女でこんなに違うとは思っていませんでした。
男性はこんな風に人間関係を活用しているのね!と言う感じです
(ある意味ビジネスライクです)
女性は仕事の面においても、人間関係を友人関係のように
大切に思っているのかもしれません。
また、女性が人間関係を活用することが、
「利用している」「利己的だ」と感じるのは、
以前にも出てきた「自分の実績を言わない」と同じように、
「品が無い」「自己中心的」だと捉えてしまっているのだ!と気づかされます。
男性は、「人を利用する」のではなく、
お互いのメリットになるように活かそうと言う感覚なんですね。
認識を変えると、人脈を活かすことがプラスになりそうですね。
また、余談ですが、食事をした際、
男性は「今回は自分が払います(次回は相手が支払う)」と言うらしいですが、
女性は「割り勘」ですよね。
なんか、そんなところにも影響がありそうですね。
「レバレッジの基本」
レバレッジ(人間関係の活用)は、キャリア・スキルの中でも重要なもので、
大きな見返りをもたらしてくれる戦略的なやり方だ。
成功したリーダーは、それをどう使うかをわきまえている。
レバレッジはどうも嫌だ、疑わしいものだと思っていたとしても、
それがどう機能するか基本的なところを理解しておくと得るところが多い。
基本1 「レバレッジは見返りを前提とし、必ずお互い様となる」
基本となる前提は、私を助けてくれれば、私もあなたを助けますよということだ。
レバレッジの関係はつねに相互にとってためになるように働く。
何かを頼んだら、見返りに何かを提供する。
そしてあなたも相手も、引き続き互いのためになろうとする。
基本2 レバレッジは戦術的・戦略的な目標達成に使われる
相手に依頼することからレバレッジが始まる。
「この顧客を動かすにはどうしたら良いか教えてくれる?」
これはすぐさま目的を達成する手伝いをしてもらうための戦術的な依頼で、
今週、今月、今年役立つことだ。
だが、将来役に立つかもしれない人を知るという
大きな戦略的目標にもレバレッジは役にたつ。
これが最大の効果かもしれない。
戦略的な依頼をすることでギブアンドテイクの関係のドアが開かれる。
すぐさま見返りがなくても、将来、長期的目標実現の助けにあるかもしれない。
このような互恵関係は、あなたの目的と頼む相手の目的がうまく調和し、
補完し合う場合にもっともうまく機能する。
基本3 レバレッジは意図的なものだ
特定の目的を念頭にレバレッジを築くから、
友人関係を築くのとは異なる基準を使うことになる。
・関係を築こうとしている人は現在、あるいは将来あなたの役に立つだろうか?
・彼女はそのうちにパワーを持つようになる人だろうか?
・将来あなたのために役立つ存在になろうと彼が一生懸命になってくれるような何かを、
今あなたは提供できるか?
相手を好きかどうかは、主要なポイントではないが、
好きになれない人と互恵関係を持とうとするのは決して良いアイデアとは言えない。
相手をどう感じるかよりも重要なのは、
時とともに2人が互いに役立つような適切なポジションにあるかどうかだ。
これが、
友人関係とレバレッジの違う点だ。
基本4 レバレッジは、はっきりとした見返りをもたらす
前章で、熟達と認知の関係で、内因的な見返りと外因的な見返りの2つの違いについて述べた。
このコンセプトは、レバレッジにも適用できる。
友人関係や単なる同僚としての関係では、
見返りは内因的だ。
レバレッジでの関係では、見返りは外因的だ。
計測可能で具体的だ。
・新しい見込み顧客や投資家へのアクセスを得る
・自分の評判や注目度を高めるチャンス
・新たなスキルを学ぶチャンスを得る
レバレッジを築く時、あなたの目的がつねに前面に出てくる。
かといって、その人との時間を大切にしないとか、
楽しまないということではない。
だが、内因的な見返りはボーナスのようなもので、
それがポイントではない。
これを読んだ時の第一印象は、「7つの習慣」に出てくる
Win-Winの関係を思い出しました。
どちらかが買って、どちらかが負ける のではなく、
両者にメリットがある そんな関係を築くことが
成功につながる。
決して、相手を利用する ということでなく、
自分を助けてもらったら、その分自分も相手に貢献する
そういうことがレバレッジかと思いました。
一方的に利用する関係だと、当然利用された側は
不愉快ですし、そのような関係は破綻します。
(私も公私で利用されたと感じた経験はしましたし、
嫌になってその人たちとの友人関係も解消しました)
「相互にメリットになる」ということを意識して関わるのであれば、
多くの女性が嫌がる「相手を利用しているのでは?」と感じるアレルギーも
緩和されると思います。
それと共に、「相手が自分にとって役立つ人物か?」という視点で見るという
ある意味ドライな部分もあるんですね。
仕事だから、こういう視点も必要なのかもしれません。
そして、「相手に依頼することからレバレッジが始まる」も、
大事なポイントですね。
なんとなく「先に頼まれごとを引き受けたから、こちらが依頼できる」と
私なんかは思ってしまいがちですが、
「先に依頼すること」も今後はやってみたいと思わさせられました。
「正当な理由」
高い価値観を持つ女性は、関係を築き将来利用できるポイントを集めるよりも、
内因的な見返りを与えてくれる個人的な友情関係を強く求める。
抜け目のない駆け引きは、何か企んでいる、自分のことしか考えていないことだと思う。
この種の考え方には2つの問題がある。
第一に、「あなたの側にパワーがないことを想定」
している。
「あなたが私を助けてくれたら、私もあなたを助けてあげる」
という精神には、あなたには相手の役にたつ能力があることが
暗黙の了解になっている。
あなたは助けを求める哀れな人ではない。
レバレッジにかかわるということは、あなたが成功し、
出世していくことをやんわりと示すこと。
他の人を「使う」のは好まないと言う理由で拒むのは、
このようなパワーを自分は持っていないと考えていることを示す。
そして、相手があなたと関係を持つことに利点を見出すとは
想像できないと思っていることを示す。
第二は、「白か黒かの二者択一的考え方」だ。
利害関係のない友情を持ちたいと言う思いで動くか、
あるいは、自分のためだけにやっているのか。
この種の枠組みは中道の立場を許さない。
喜んで手助けをする良い人でありつつ、
自分自身のために何かを達成しようとすることを許さない。
この白か黒かの考え方は、女性が、自分のキャリアのために
レバレッジを使うことは見下すのに、
何か正当な理由のためにはまったく気にしないことで
はっきりと見て取れる。
かつて病院で総務として働いてたアマンダも、
知人の医療機器の営業ケビンから、
「商品を紹介したいから、役職にある人を紹介して欲しい」
と電話を受けた。
アマンダは、
・自分の個人的な友人に押し売りされたと思ってほしくなかった
・自分がその病院で働いていたことを知るまで、ケビンは何の関心も示していなかった
・ケビンが私を1人の人間として大切に思っているようには思えなかった。
と言う理由で、ケビンを避けようとした。
だからと言って、会社のスターで出世コースを駆け上がっている人に
ちょっとした手助けをするチャンスを撥ねつける理由にはならない。
友人を守ろうと思ったなら、紹介しても良いかどうかを
友人に尋ねることができたはずだ。
会社の製品が優れていることを知っているのだから、
つながりができたら、昔の友人にとってもためになることだったかも知れない。
アマンダが守ろうとしていたのは、実は、
「自分のためにレバレッジを使うのは受け入れられない利己的なやり方だ」
という自分の信念だけだった。
ケビンにはもったいぶっていたが、
アマンダは地元にオープンした家庭内暴力被害者シェルターのためには
人間関係を使って無理強いしている。
近所の人に基金集めのチケットを買うよう電話したり、
同僚にボランティアになるよう働きかけたりしている。
避難所を求める女性のためにと言う正当な理由のためには、
アマンダは友人に圧力をかけることも、
彼らを利用することも
押し付けがましくなることも全く気にしていない。
その目的は価値あることだと見ているから、
ケビンの「恥知らず」な戦術を同じことをするのを何とも思っていない。
彼女が反対をしていたのは、彼の戦術ではなく、
その戦術を彼自身の利益のために使っている点だった。
この考え方も、なるほど!と納得させられます。
レバレッジの関係は、自分が何もできない人ではなく
私もあなたの役に立てますよ!
だからお互い役立て合いましょう!だと、ずいぶん印象が変わります。
そして、「白か黒かつけたがる」のも、この本ではよく取り上げられていて
女性の傾向としてありそうです。
〇〇は良い・××は悪い
の考え方は、何だか物事に対して、
主観的に(感情的に)判断している印象を受けます。
「この人は○○するのね、ふ〜ん」くらいに
フラットに物事が見て、
「良い・悪い」をくっつけない。
そうすると変わりそうな気もします。
アマンダも、ケビンの行為が失礼だ!と怒っていても、
ケビンと同じことをしているんですね。
「自分自身の利益ならダメ、自分以外の人にするのは良い」
こういう白黒なんでしょうね。
この行為そのものではなく、アマンダの価値観に基づく判断だったのですね。
私も、つい白黒つけたがり(基本的にはっきりさせないと気持ちが悪い、
清濁併せ呑むのは苦手だったりしますが)
主観で判断したくなりますが、
物事に善悪をくっつけず、「そのことだけ」見るよう意識的にしているところです。
(客観視というのでしょうか)
それができると、かなり楽になりそうです。
「自分の強みに基づいて行動する」
上を目指す女性は、レバレッジをキャリアのスキルとして
もっと上手に使うべきだと、私たちは経験から思う。
だが、多くの女性が使うのを阻むものは、
深く根ざした女性固有の強みにあることも経験から認識している。
何十年とリサーチした結果、女性は一時的に手を結ぶことよりも
強い個人的な絆を結ぶことを好み、
それが不屈の精神、長期的に立ち直る力、そして日々の喜びをもたらすと考える。
だから、もっとレバレッジを利かせるために、
親しい関係を築く天賦の才能を過小評価したり、
人間としての温かみや人への心配りを抑えたりするようにと
言っているとは思わないでほしい。
そうではなく、深いつながりを作るスキルを使い、
将来あなたの役に立つように意図的に関係構築するにはどうすれば良いかも考えてほしい。
また、道徳的な判断から関係に見返りを求めることを
切り捨てるのはどうなのかじっくり考えてほしい。
レバレッジは双方向で、自分が恩恵を被っているとき、
誰かほかの人も恩恵を被っているということを覚えておくと良いだろう。
うまくいくレバレッジは、ウインウインそのものだ。
著者は、女性の強みである親しい関係を作ることができることを否定するのではなく、
レバレッジはお互いにメリットになるんだよ!と伝えてくれているようです。
行間から、女性へのエールのような思いを感じます。
次回は、第9章 悪癖その5「初日から協力者を得ようとしない」です。
※写真は全て散歩中に見かけた花です
※かつて、私が痛い痛い経験から得た気づきを書いたところ
引用元の表示もなく、リブログもされず、
ご自身のブログに取り入れて書かれていたことがございました。
引用・活用されたい場合は、リブログが、私のブログから得た内容である旨
表示ください。(これは喜びます!)
ブログで取り上げているこの本の読書会、5月もオンライン開催しました。
ちょうどこの内容の章だったのですが、
皆さんの体験もシェアしてくださり、
やはり一人で読むよりも沢山の気づきや
「ヘぇ〜!」と感心することがあり、楽しい時間となりました。
また、その時の内容はこちらでシェアしますね。
6月の読書会は、コロナが大丈夫であれば久しぶりにリアル開催できればと考えています。
(無理ならオンラインでの開催です)
興味のある方はいらしてください。
このブログが、何かの役に立てれば幸いです。
長文ご覧いただきありがとうございます。
コーチングや、働く上での悩み・困り事のご相談もお問い合わせください。
(前職では労働行政で、ダイバーシティや女性活躍推進、仕事と家庭の両立、
働き方改革、ハラスメント対策の推進を担当し、
企業や労働者の方からのご相談にも応じていました)
















