FlyingVのブログ 『 so far so good 』 -2ページ目

FlyingVのブログ 『 so far so good 』

男女、家族、そして友人達との様々な人間模様を書き記した記事が中心です。
みんカラから移転したものや創作したものを掲載しています。

血液の大部分を局所へと送り込んだまま風呂に入った僕は、のぼせ上がった頭を冷やそうと、コーラを額に当てながらソファに座り込んでしまった。

彼女はベッドサイドにある照明のスイッチをいじっている。

ほどなくして、お互いの表情や体の起伏が視認できる照度にまで、ダウンライトを調整し終えてから上体を起こし、

「ねえ、しないの?」と少し上気した顔を向けると、

「うん。」と言ってベッドに上がった僕の首に、腕を絡めてきたのだった。

彼女の体からタオルを取り去り、両肩を真新しいベッドカバーの上に押し付け、目が慣れたところで仰向けになった彼女の一糸纏わぬ姿をしばらく観察してから、再び露になった首筋から胸の膨らみへと舌を這わせ、その先を指先で弄び、つまみ上げ、手の平で転がす度に、彼女の唇が開き、吐息が僕の髪をなでた。


右手を腰から太ももへと滑らかな肌の上を這わせ、小さな膝に辿り着くと、そこを左右に押し開き、今度は逆に、内腿からゆっくりと、時折、迷ったフリをしながら、彼女の奥へと向かわせた。

短く縮れた体毛に囲まれた、小さな唇のような柔らかい襞に指先が触れた途端、唇が合わさる割れ目からは、彼女の堪えていたものが零れ落ちてきた。

暖かい湿り気を絡めながら、指の腹を使ってリズミカルにその内側をかき回している内に、水面を軽く叩くような猥雑な音が上がり、淫らな芯が硬く膨らみながら顔を出していた。

包皮をめくり上げて、直接触れると、いよいよ体を密着させ、眉間に皺を寄せながら、僕の指の動きに合わせて腰を動かす彼女。

僕は体を一旦離すと、彼女の脚の間に顔を入れて、両もも持ち上げ、ぐっしょりと濡れそぼつ様子を視認した後、その唇に似た部分に舌を割り入れ、上下に動かし、指で広げつつ更に奥へと押し込んだりしながら、とめどなく溢れてくるものを受け止めていた。

「だめ、、、あ、恥ずかしい。」切れ切れの声で抗おうとするも、その言葉とは裏腹に、硬く充血しむきだしになった芯を舌先が捉え、唇で挟み、強く速く往復しているうちに、

「あ、ああ、、大きい声がでちゃう、、、いや、、イク、、」

体を大きくビクッと振るわせて、彼女は果てたのだった。


放心する彼女に冷蔵庫から、アイスティーを手渡し、僕は再びソファに腰を降ろして、まだ冷たいコーラをコップに注ぎ、喉に流し込んだ。

しばらく体を横たえていた彼女は、

「なんか、私ばっかり。」

そう言って、僕の下腹部に顔をうずめると、浴室での続きをし始めたのだった。

彼女の舌使いは、忽ち僕の我慢を限界まで追いやろうとしていた。

「ねえ、ねえってば。」

「は、ふぁに?」口が塞がったまま答える彼女。

「ベッド行こ。」

強引に彼女の顔を持ち上げ、そのままベッドへと連れて行くと、彼女は、すかさず僕のを口に運び、今度は、僕が彼女の下になり、彼女は僕の顔の上に腰を落としてきた。

肉欲の虜となった2つのシルエットが間接照明に照らされ、壁に浮かび上がる。

僕は、ただひたすら、左右に開いた小ぶりな彼女自身を下から吸い上げ、その内側に舌を這わせた。

声にならない喘ぎを漏らしていた彼女は、口を離して体を反転させると、僕の顔の上に跨り、それを押しつけて来たのだ。

硬くなった芯がさらに充血し、飛び出さんばかりになって目の前にある。

体をのけぞらせる彼女のそこを、しばらく集中的に攻めると僕の顎から下はベッタリと濡れ、体を反らし尚も貪欲に腰をくねらす彼女。

僕は上半身を起こしてコントロールパネル付近にある備え置きのオカモトに手を伸ばした。

すると、「いらない。あれ終わった後だから。」と、彼女は跨ったまま、僕を導き腰を沈めたのだ。

薄いヒップが、最初は一定のリズムで、次に、速く、時にゆっくりと、肉を打つ音を響かせる。

しばらくそうした後、今度は僕が上になった。それに飽きると、彼女を後ろ向きに立たせたり、手足をつかせたりしながら、とめどなく溢れ、絡みつく暖かい粘膜の中を何度も出入りしたのだった。

彼女の押し殺したような声は、途中から箍が外れ、時折、淫らな言葉を挟みながら、艶やかな嬌声となって部屋中にこだましていた。

だが、オカモトのたった0.03mmの隔たりがないだけで、僕の限界は予想以上に早くやってきてしまっていた。

「ねえ、も、もうダメかもしれない。」

生え際から噴出した汗が、シーツに落ち、シミを作っている。

腰を浮かせようとした僕を、うっすら薄目を開けて見上げた彼女は、ギュッと体を密着させ、僕の腰を両脚で固めてしまったのだ。

「出して良いよ。」

その一言が耳に届いた瞬間、水際で保っていた我慢が決壊した。

「中って、それはさすがに、、、あ、あああああああ」

そう、意に反し、僕は彼女の中で果ててしまったのだった。


「あーもう力が入らない。」

とようやく僕を解放した彼女は、タオルを巻いて立ち上がると、冷蔵庫からジンジャーエールを取り出し、口に含んだ。

「中でしちゃったけど、本当に大丈夫なの??」

「大丈夫だって、なに心配してるの?なにかあったら、責任取ればいいだけでしょ。」

まるで人事のように言い放つ彼女。

「だから、それが心配だってこと。」

「ふーん、難しく考えてるのね。」

「いやいや、食べられたのは、こっちだし。無過失だよ、こんなの。」

「分かってて食べたんでしょ~。こういうの何ていうんだっけ、未必の故意じゃなかった?」

「ちょっと違うような気がするけど、そもそも、未必の、、」と言い掛けた僕を、彼女は

「あ、やだ、シャワーしてくる。」とさえぎり、太ももの辺りを気にしながらタオルを巻いて、そそくさと浴室へと入っていった。


僕はトランクスを履き、ベッドに横たわり、頭の中を整理し始めていた。

彼女には婚約者がいる。間違いなく来年結婚し、仕事を辞める可能性が高い。

一方、僕にも恋人はいる。長く付き合った分、僕にはなんらかの責任があるのは否めない。

お互いの事情は、僕も彼女も了解済みだった。

とすれば、今日のことは、割り切った極めて有期的な関係でしかない。

という、えらく都合の良い演算結果が出た頃、

「お待たせ。」とシャワーを終えた彼女が出てきた。

「あ、もう着替えてる。」

「うん、少しクーラー寒いし。」どうせ外に出たら、また汗かくんだろうけど、シャワーでも浴びてこよっかな。」

「そうね。」彼女は携帯をカバンから取り出し、触り始めた。

シャワーで軽く体を流した後、部屋に出ると彼女はタオル姿のまま、ベッドに寝転んでいた。

その横に腰掛け、飲みかけのコーラを喉に流し込む、温く炭酸が抜けたコーラのえぐい甘味が口中に広がった

「そう言えば、ナオちゃん、V君のこと、面接の時から、いいって言ってたんだよ。」

「マジで?」ということは、この前のナオちゃんの態度は、やっぱりナオちゃんなりのアプローチだったのだ。

良かった、最後までしなくてと一瞬安堵したが、そういう問題じゃない。

そして彼女は、次にとんでもないぶっちゃけを投下したのだ。

「ナオちゃんさ、、、、あのコね、整形しているの。」

「はい?」コーラが本当に鼻から出そうになる。

「最初、会社に入ってきた時、髪をギュッと縛り上げて、眉毛はボーボー、ほっぺたもパンパンで、すっごいイモ臭くて、私がメイクとか教えてあげたんだよ。で、顔のラインをどうしかしたいって聞いてきたから、美容整形でもしたらって冗談で答えたのに、本当にしちゃってた。

ほっぺたの肉をピンセットで摘むんだって、ああ、もう痛い痛い。

会社も休んで、都合2回、ほっぺを削って今のナオちゃんの出来上がり。

あとエステとかも行き出して、すごい痩せたんだよ。

そうそう、3年前かな、あのコ、社内じゃないけど不倫もしたんだよね。その相手とランクルで河下りをしていたら、水没しちゃって、それで奥さんにバレたんだって。なんかさ、ナオちゃんて、少しズレてるって言うか、残念なんだよね。そう思わない?」

ナオちゃんのもっとも触れて欲しくないであろう過去を、一気に捲くし立てた彼女は、僕の同意を待った。

「う、うん。僕の知る限りは、無邪気というか、悪いコじゃないと思うけど。」

「悪いコじゃないけど、天然なのよ。」

ナオちゃんとツーカーなのは分かってはいたが、仲良しかどうかは、かなり微妙だ。

彼女がナオちゃんに対抗意識を持っていることは明らかだった。

僕も、どちらかの前で、うっかりなにか言ってしまうことだけは気をつけようと思った。


彼女は、ベッドから起き上がり、クローゼット近くに置いたハンティングワールドの大きなバッグを手に持って戻ってきた。

バックから取り出した紙袋を彼女は、「はい、お土産。」と僕に手渡してきた。

紙袋を開けてみると、中にはエンポリの黒いT-Shirtが入っていたのだ。

「すごい、もしかして特別扱い?」

僕はそのT-Shirtを自分の体の前で広げてみた。

「そうよ。」とシャツの袖をもって僕の体に合わせる彼女。

と、その時、彼女の左手首に、数本の切り傷の跡があるのが目に入った。

そう言えば、彼女が時計を外しているのを見たのは、今日が初めてだ。

明らかに、不慮の事故とかで付いた傷ではなく、静脈を切断するかのように、腱の方向に対して横に何本も入れられていたものだった。



『ちーちゃんには気をつけたほうがいい。』

ナオちゃんの言葉が、冷静さを取り戻した僕の頭の中で、彼女の幾本ものリスカ痕がついた左手首と重なりながら、再びリフレインを始めていた。


(続く)

期せずして、セリカのハンドルを握れたことはラッキーだが、目的地がさっぱり分からない。

一旦、路肩に寄せてハザードを点け、

「で、どこ行けばいいの?」

V君の行きたいところならどこでも。」とつっけんどんな彼女。

「なにそれ?それなら、このまま、あそこの駅まで運転して、地下鉄乗って家に帰ってもいいってことなんだよね。」

「どうぞご自由に。」

「今からディズニーランドとか行っちゃっていいの?」

「別にいいよ。明日の朝までに帰ればね。」

う~んと言って考え込む僕を見る彼女は、相変わらずツンツンしている。

「じゃあ、カラオケかな。」一番無難な提案をした僕を

「やだ。」彼女は一蹴した。

「さっき、どこでもいいって。」半ば呆れる僕に、

「ナオちゃんと一緒は嫌なの。」と膨れる彼女。

「え~、、、、、そうすると、、、、、」

本当に困った僕は、いっそのこと、このまま帰ろうかと思ったその時、彼女の一言に、僕の視床下部は激しく動揺した。

V君さ、約束忘れたの?」

「約束って、ハワイに行く前にした?」

「そう。」

「え、だって、あれって、無くなったんじゃ。」

「ううん、私は、覚えてるよ。」

「いやいや、ほら、ハワイに彼氏と仲良く行ったすぐ後でしょ。」

「私、ハワイでもアレだったし、全然しなかったんだから。」

嘘か本当か確かめようもないが、約束がまだ生きていることだけは確かだった。

僕は全てを了解した。キーを渡された意味も。

「女の子の運転で、そんなところ入るのって、なんかね。」

彼女は、そう言って、セリカのハンドルを握る僕の肩にもたれかかって来たのだった。


3度目の正直で、やっとそこに着くことができた。

1回目は、彼女が無常にもアレになって行けずじまい、2回目は、その気になったナオちゃんと向かうも会社の急用でアウト、そして3回目の今日、スロープに沿って、セリカを地下駐車場へと進めた。

最近出来たそこは、アーバンホテルのような概観と、お洒落な室内で人気が高く、平日だと言うのに駐車場は車で埋まり、パネルはほぼ満室に近い状態だ。

スイートとはいかないまでも、そこそこいい部屋を選び、エレベーターに乗り込んだ。

エレベーターの中での、なぜか気まずい数十秒が経過し、真新しい廊下を真っ直ぐ言ったところに部屋はあった。

ドアを押し開いて中に入ると、清潔そうな香りとともに、木を基調とした空間が広がった。

ベッドもツインにしては、望外な大きさだ。でっかい鏡が化粧台の上に備え付けられている以外に、それらしい飾りもなく、いかがわしさの微塵も感じさせないシックな室内に、彼女は痛く気に入った様子だった。

ベッドに腰掛け、TVをつける彼女。

「何気に慣れてない?」すぐ横に腰掛ける僕。

「ここ来たのは初めてよ。って、私、一体どんなイメージ?」

少しムッとした顔を向ける彼女を、体ごとベッドに押し倒した。

「キャッ」と十代の女の子みたいな声が上がり、シーツの上で広がる栗色の髪、少し開き加減のグロスが効いた唇、シースルーのアウターをなだらかに押し上げる張りのある胸、スカートの裾から露になったスレンダーな太もも、その全てが僕を受け入れる準備が整ったことを意味していた。

潤んだ瞳が閉ざされたのを合図に、無防備な肢体にのしかかり、首筋に顔をうずめて唇を這わせながら、アウターの上から両手でゆっくりと彼女の体のラインを確つつかめ、一方の手を太ももに回してスカートを捲り上げると、小さな黒い薄地で彼女自身を隔てる下着が、網目のストッキングの下から現れた。

そのストッキングに手を掛け、力を加えようとする僕を、

「ねえ、そんなに慌てないでよ。シワになっちゃうし。」と言って、体を起こし、ツーパンツスーツがあと半ダース買えるぐらいのお高いスーツを自分でどんどん丁寧に脱いでは、ハンガーに掛けていった。

たちまちレースが付いた黒の下着姿になる彼女。

初めて目の当たりにする実物のシルエットは、さっき画像で見たときよりも、ずっと美しい曲線に縁取られ、メリハリが利いていた。

そして、臨戦態勢のままベッドで待機する僕を横目に、

「うん、これでよし。私、お風呂入るね。」と、いつの間にかお湯が張られたバスルームへと消えていったのだった。


少しの間、ぼんやりとTVを観ていた僕は、何も考えずにバスルームのガラス戸を開ると、脱衣籠にある彼女の下着の上に自分のトランクスを重ねて、そのまま浴室へと足を踏み入れた。

「え、なんで、入ってくるの?」

慌ててタオルで前を隠す彼女。

頭には、髪を濡らさないよう備え付けのビニールカバーを被っていた。

「背中でも流そうと思って。」

「とてもそんな風には見えないけど。」

彼女は、いきり立った僕のそれをちらりと見やった

「汗かいちゃったから、さ。」

嘘だ。本当は、我慢できなかったのだ。

水着の跡がくっきりと残る全裸の彼女を前にして、ますます反りあがろうとする僕のものをタオルで抑え、シャワーのノズルを取ろうとする僕の前に、彼女は膝をつくと、おもむろに硬くなった僕のものを口に含んだ。

「だ、ダメだよ、まだ洗ってないし。」

言葉とは裏腹に、唇が段差を往復し、舌が先にねっとりと絡むたびに、甘い痺れが突き抜けていく。

顎を動かしながら、薄く開いた目で時々僕の顔を伺う彼女に、職場の姿が重なり、切なさは更に加速していった。

その動作を何度も繰り返してから、一旦口を離し、右手を添えたまま

「やだ、なにか出てるよ。」と僕を見上げる彼女。

「・・・え?」

そう言われても、頭は麻痺しっぱなしだった。

「続きは後でね、私もまだ洗ってないし。」

彼女は、透明ななにかが滲む僕の先を指でトンと軽く叩き、

「恥ずかしいっ。」と笑いながら、スポンジにボディソープを染み込ませた。

僕は、そのスポンジを奪い取ると、彼女を立たせ、くっきりと残る水着の跡をなぞるようにして、首から足に掛けて満遍なくスポンジで泡だらけにした。

途中、ツンと上を向いた膨らみの、薄桃色の突起を口に含んだり、空いた手でもう一方に愛撫を加え、一番敏感部分は、片足を持ち上げてスポンジを軽く当てて流した後、指と舌で特に念入りに洗い上げたのだった。

身をよじってそれに応える彼女。

理性のほとんどが粉砕した僕は、立ち上る湯気の中、何度も彼女を求めようとして拒まれながらも、僅かに残った人としてのパターン行動によってのみ、かろうじて自分の体を洗うという行為を終えた。

泡まみれになった体をお互い流して、一旦、湯船につかり、タオルで軽く水気を取ってから、濡れた髪を乾かし、ベッドルームへと移動した。


(続く)

月曜、とてもハワイに行ったとは思えないほど、色白の彼女は、出社早々、社長から始まってお偉いさん方に順番にお土産を渡して回っていた。
マカダミアンナッツチョコレートを受け取ったバーコード部長は、
「おお、ありがと。婚前旅行なら、これ食べながら、お土産話が聞きたいなぁ。できれば、こう、しっぽりとしたやつ。なあ、V。でも、そんなことしたら、お前、鼻血止まんなくなるか、ガハハハハ。」と週末考えてきたであろう朝一セクハラをぶちかまし、僕までも巻き添いにした。
「そのようなお話をお望みでしたら、東スポでもどうぞ。」
と、そっけなくいなした彼女は、PCに向かい、溜まったメールを片っ端から処理していった。

「ね、私が居ない間、何してた?」
彼女が戻ったことで慌しく時間は過ぎ、間も無く昼休みにとなった頃、無人の自販機コーナーで一息ついていた僕に、彼女は話しかけてきた。
「もしかして、寂しくて泣いちゃったとか。」
「泣きましたね。お気楽すぎて。」
「なによそれ。V君のお土産も用意してきたんだけど、もうあげるのやめよっかな。」
「すいません、ください。で、ハワイはどうでした?」
「楽しかったよ。後で、あっちで撮って来た画像、見せてあげる。」
「ありがとうございます。」
と答えたものの、勿論、ウルトラ社交辞令だ。
誰が好き好んで、彼女と婚約者が仲むつまじくハワイを満喫しているところを見たがるのかと言いたくもなったが、水着もあると聞いて、男の悲しい性が反応した。

定時が過ぎ、おばちゃんたちが帰り、部長連中もさっさと居なくなったのを見計らって、彼女は、USBをノートPCに繋いで、マウスを何度か動かした後、ディスプレイを僕に向けた。
そこには、真っ青な空、白く泡立つ海、そして黒いビキニを纏った彼女が映し出されていた。
青い空も広い海のどれも僕の興味を引くことはない。だが、彼女は文句なしのスタイルだった。
彼女は僕のコメントを今か今かと待ち構えている。
「へえ、すごい綺麗ですね。」
「でしょ。」と楽しげに、次の画像をクリックすると背中を向けて砂浜を駆け出そうとする彼女がいた。
次々に画像が送られ、スキューバをするシーン、オーシャンビューが広がるホテルのベランダ、夕焼けが差し込むラウンジ、クルーザーでのカクテルパーティだったりと、ハワイ観光の絵葉書かと思うぐらい、絵になっていたのだ。
「あ、これはね、アメリカの、有名投資会社の社長の船で、この人、フォーブスの常連なんだって。」
彼女のツボをついたナレーションも意外と楽しい。
「これで最後ね。」と空港での画像が閉じられ、ハワイのスライドショーは終わった。
だが、婚約者の写っている画像が一枚もないのに気がついた。
「あれ、彼氏は?これじゃあ、めぞん一刻の惣一郎さんみたいじゃない?」
「ふふ、見せてもいいけど、V君、いいの?」
どうやら僕に気を遣ってくれたようだったが、何よりもファインダーの向こう側の、僕の知らない表情を浮かべて笑い掛ける彼女の視線が、一体誰に向けられているものなのか、その事実は残酷過ぎるほど、僕の胸に突き刺さってくるのだった。

「ほら、行くよ。そんなの明日でいいから。」
PCを畳んで帰り支度をした彼女は、問答無用に喫茶バチカンへと僕を連れ出した。
「毎週一回はここに来ないと落ち着かないのよね。」と言ってソファに腰掛け、適当に雑誌をめくる彼女。
「いらっしゃい。」僕達が席に着くタイミングを見計らって、お冷を持ってきたマスターは、
「あれ、久しぶりじゃない?」しげしげと彼女を眺めながら、伝票を取り出した。
「先週、ハワイに行ってきたんです。」と彼女。
「いいなぁ。オジサン、てっきり会社辞めちゃったんじゃないかって心配してたんだよ。もう一人のナオちゃんだっけ?こっちのおニイちゃんと先週来てくれた時、思わず、聞いちゃうところだったよ。」
「働いてますからご心配なく。あ、アイスカプチーノお願いします。」
「僕も同じのを。」と言うや否や、彼女は、身を乗り出してきた。
「ふ~ん、ナオちゃんとお茶したんだ。」
その途端、胸がトクンと鳴った。
唇を尖らせての上目遣いは、僕を非難しているようでもあり、軽蔑しているようにも見える。
「別に内緒にしていくつもりはなかったんだけどさ。」
とは言いつつも、あのことだけは、絶対に内緒にしておなくてはならない。
「へえ、続けて。」
膝を組み、冷ややかな視線を向けながら、尋問モードへと突入していく彼女。
「お茶した後、カラオケに行った。」
どんなに問い詰められようと、答えられるのは、そこまでだ。
「カラオケね、ふ~ん。V君、あまり得意じゃないって言ってたよね。」
「そうだけどさ、折角誘ってくれたんだし、悪いと思って。」
問い詰められる僕を、マスターがカウンターの向こう側から、目を輝かせて見ている。
くそっ、まんまとしてやられた。
「楽しかった?」
「まあ、それなりに。シビックも運転させてもらったし。」
「良かったね。」とどこまでもぶっきらぼうな彼女。
「一体、何が言いたいの?」
はっきりしない彼女の態度に、僕は少しイライラし始めていた。
「ナオちゃんから何か聞いた?」
「特にないけど。」
「ふ~ん、そう。」
どうやら、僕とナオちゃんがどうかなっていることよりも、何か自分について言われていることのほうを気にしているようだった。

ニコチンと焙煎が染み付いた店内の空気が、僕の彼女の間に重く沈底していく。
会話も弾まない上に、地下鉄もそろそろ混みあう時間帯だ。
伝票を手に取ろうとした時、
「ここ出よっか。」と切り出したのは彼女のほうだった。
僕は、そそくさと席を立つ彼女の後を追った。

その駐車場で、「乗って。」とセリカを指差す彼女。
「今から?一体どこに??」
強引なところはいつもどおりながら、ナオちゃんのことを口にしてからというもの、雰囲気がおかしい。
「まず乗って。それから決めよ。」
そう言って首を傾けながら、ニコリと口角を上げた。
壮絶に可愛いが、明らかにいつもの様子ではない。
まるで、僕を完全に支配下におき、主人が誰なのかはっきりさせておくために振舞っているふうに思えた。古代ペルシアのクセルクセスと無産階級の関係がそうだったように。

言われるがまま、セリカのナビシートに体を入れようとする僕に、
「違う、そっちじゃない。」と言って、彼女はセリカのキーを投げた。
セルを回すと、一瞬のクランキングの後、3S-Gの雑味がかった高めのアイドリングが響く車内。
小径ハンドルを回して、スーパーストラットの重い切り替えしに成功し、僕は駐車場からセリカを出した。

(続く)
空いた直線路でキックダウンをすると、カムのリフトが高速側へと切り替わり、キャビンに響き渡る、B16Aの乾いたサウンド。
2段ロケットのような加速が背中を押し、それとシンクロしながら自我が理性をちぎり捨てていく。

僕の視床下部は、ナオちゃんの発するエストロゲンの虜にさせられてしまっていた。
その証拠に、下腹部に集まった血流は、一向に落ち着く様子がない。

当のナオちゃんは、僕の空いた左手に、時々手を置いたり、指を絡めたりしながら、目的に着くまでの火照った体を持て余しているようだった。

何個か信号を通過したところで、ナオちゃんのカバンの中の携帯がブルブルと震え出した。
それを手にとったナオちゃんは、
「うわ、会社からだ。どうしよう。」ディスプレイをじっと見つめたまま、
「出るの?」とFMのボリュームを絞る僕に、
「う、、、うん、やっぱり気になる。」と言って、通話ボタンを押したのだった。
「はい、あ、お疲れ様です。いえ、大丈夫です。ええ?本当ですか??分かりました。はい。」
短いやり取りの後、携帯をカバンに仕舞い込んだナオちゃんは、メイク道具を取り出し、慌しくファンデーションを重ね出した。
そもそも、こんな時間に個人の携帯に掛けてくるなんて、ロクな用事であるはずがない。
「あのね、アキヒコが、LCの手続き間違ったんだって。全然別のINVOICEとBILLつけて出しちゃったみたいで。」
ナオちゃんにアタックして玉砕した同期のチャラ男だ。
(おいおい、もしかして、ワザとかよ。)と僕は心の中で、してやったりのニヤケ面のアキヒコに正拳突きを見舞ってやった。
だが、望みはまだある。
「もしかして、会社戻るの?」
「銀行終わっているから、明日でもいいんだけど、今日中に処理しておけば朝一で間に合うから、戻ったほうが確実かも。でもさ、経理も通った後だなんて、誰も見てないってことでしょ。総合商社なのに信じられない。あー、また着替えなくちゃ。といことで、悪いけど会社に向かって。」
と、すっかり営業事務の顔に戻ったナオちゃんは、信号待ちで後部座席に移動すると、スーパージョッキーの熱湯コマーシャルかと思うほど、あっという間に制服に着替え終わっていた。

望みを打ち砕かれた僕の役割は、ただハンドルを握り、ナオちゃんを会社に送り届けることだけだった。
普段のナチュラルメイクへと準備が終わったナオちゃんは、会社に着く前に、
「ねえ、ちょっとそこに止めて。」と路肩を指差し、言われたとおりにシビックを入れ、サイドブレーキを掛けた僕に、
「ごめんね。」とふいに唇を重ねてきたのだ。
ナオちゃんのふわりとした香りともに薄くて柔らかい感覚が、僕の一点に集まってくる。
だが、その感覚は数秒も経たない内に離れていってしまった。
「行かなくちゃ。」と顔を上げ、はにかむナオちゃん。
再びシビックを走らせる僕は、
「知っている?ちーちゃん、キス嫌いなんだよ。」
と告げてきたナオちゃんの顔を、直視できないでいた。
結局、僕は会社近くの地下鉄で帰宅することになり、不完全燃焼状態はまたしても持ち越されることになった。
ちなみに、ナオちゃんは会社の計らいで、タクシーで帰宅し、翌朝タクシーで出社してきた。
それ以降、ナオちゃんの仕事も月末のシメに入り、そして僕も彼女がたんまりと残していった申請書の処理に追われ、彼女がハワイに行っていた1週間は慌しく過ぎていった。



『ハワイから戻ったよ~&絵文字 迷惑かけてごめんね。何か問題あった?』
彼女からメールが入ったのは、日曜の夕方だった。
『お帰りなさい。特になにもないよ。』
と返したはいいものの、僕の心にはあることが引っ掛かっていた。
ナオちゃんとどうかなりそうだったこともそうだが、それよりも、あの日の夜、ナオちゃんからもらったメールの中に、
『ちーちゃんには気をつけてね。』と書かれた一言だ。
ナオちゃんとは、あれ以来、ほとんど話をしていない。
メールも2回程度やり取りしただけで止まっている。
向こうもそれほど僕を意識している風でもなく、帰国した彼女とややこしいことになることは、ナオちゃん自身が望んでいないように思えた。
深入りすれば僕が傷つくことへのナオちゃんなりの警告だろうと、この時は、高をくくっていたのだった。

(続く)
シビックのキーを預かり、ナオちゃんをナビシートに押し込んで、家まで向かうことにした。
ここから、街道を真っ直ぐ南下すれば15分ぐらいで着く。
V-TECと言えども、1600ccのATでは信号待ちからの加速がもどかしい。
ナオちゃんは酔いも手伝ってか、スカートの裾が捲れ上がっているのも構わず、気だるそうにしてる。
運転に集中つつ、ちら見を繰り返しているうちに、ナオちゃんの家まで、約200mとなったところで、
「そこの信号左でいいんだよね?」と確認してみると、
「ねえ、V君、お腹空かない?」
全く人の話を聞いていないナオちゃん。
「ご飯食べたいのは山々だけどさ、遅くなると電車が厳しいから、また今度ね。そこ左でしょ?」
「うん?ご飯食べたら、教えてあげる。」
「いやいや、ほら、通り過ぎちゃうって。左だよね?」
「そうだったかしら~」
とやっている内に、曲がり損ねてしまった。

人が困るのを楽しむかのように話をはぐらかすところなど、彼女とウマが合うのがよく分かった。
「ガソリンもあまりないから入れてった方がいいよ。あそこのスタンド寄るけど。」
とにかく、ナオちゃんの家から離れるのは良くない。
「え~やだ。」
「帰ろうよ。」
押し問答の末、ナオちゃんは、またしても突拍子のないことを口走った。
「じゃあさ、教えて。ちーちゃんと私、どっちがいい?」
「ええ?それはちょっと。」
「ねえ、どっち?」
なんという絡み酒だ。どっちを答えたとしても、地雷を踏みに行くようなものじゃないか。
「二人とも会社の先輩だから、選ぶのなんか無理ですって。」
「私分かるもん。今のV君、ちーちゃんを見るような目で、私を見てない。」
上体を起こし、少し乱れた髪を手で掻き上げた後、切れ長の瞳をぐっと近づけた。
「近いよ、顔。」
「なに、近くて悪い?」
パーツは派手ながら控えめにまとまった顔立ちは、改めて良く見ると、とんでもない美人だ。
ナオちゃんは、とにかく彼女に対しての対抗意識が強い上に、何度も煮え湯を飲まされたことで、彼女に対して何か復讐めいた気持ちを抱いていたのだろう。
そんな折、ハワイに行った留守中に、彼女に好意を抱いている僕を見抜き、誘い出したまでは良かったのだが、アルコールが入ったことで、溜め込んでいたものが全部出たと言ったところだろうか。

曲がり損ねたのと動揺させられたせいで、僕は行き先を見失い、適当にシビックを走らせていた。
と、突然、ナオちゃんが、僕の腿の上に頭を乗せてきたのだ。
「あ、危ないって。」
「甘えるぐらいいいでしょ。」
「そうじゃなくて、一体、今日の主旨ってさ。」
「そんなに拒否らなくてもいいじゃん。傷つくなぁ。」
体を起こしたナオちゃんは、ナビシートに座りなおした。
だが、これが、彼女と果たせなかった『来週。』の約束に、くすぶり続けていた僕の劣情を焚き付てしまったのだった。

通り沿いにあるファミレスのだだっ広い駐車場にシビックを滑り込ませ、一番隅のスペースに止めた。
オーディオからは、地元FMのDJが早口でリクエスト紹介をしている。
さっきまでは、押されっぱなしだったけど、ここからは、僕のターンだ。
FMのボリュームを絞り、ナオちゃんを真っ直ぐ見つめながら、ゆっくり伝えた。
「じゃあさ、僕のことは拒否しないの?」
「え?何、どういうこと?」少し身を硬くするナオちゃん。
「例えば、、、」
ナオちゃんの右手に左手を絡めてみた。
「それで?」余裕で様子を伺うナオちゃん。
「それでって?」だが、掌は、じっとりと汗ばんでいる。
そのまま握った手をスカートから張り出した太ももに乗せ、シートから身を捩ってナオちゃんの上に体を預けながら、もう片方の腕を腰に回して少し強めに抱き寄せてから、耳の裏側に唇を這わせた。
「それなら、こうは?」
首筋から立ち上るナオちゃんの匂いが、僕自身をたちまち狂おしくさせる。
「ん・・・」と言ったきり、力が抜けたようになるナオちゃん。
ファブリックの薄いシートとナオちゃんと間に差し入れた左手で体を固定し、首筋に顔をうずめながら、カットソーの上から張り出した片方に右手を添え、強く、時に弱く、リズミカルに円運動を繰り返している内に、押し殺したような吐息が漏れてきた。
しばらくそうした後、華奢なウェストを確かめるように裾から右手を入れ、あばらを辿ってパッドの下に指をもぐりこませると、分厚いパッドの下には、見た目よりも随分と控えめで、発達途中の果実のような、薄い膨らみに行き当たった。
弾力はあるものの片手に余るそれを、硬くなった突起ごと手のひら全体を使って転がしてみた。
体が反応するのと合わせて眉間に皺を寄せるナオちゃんの、途切れ途切れの吐息が徐々に切なくなっていく。

僕は右手を抜くと、今度は、捲れ上がったスカートから覗く、長い脚の稜線の内側を撫で上げながら奥を目指したが、そこは堅く閉じられたままだった。
しかし、どんなに脚に力を入れたとしても、細い内腿の付け根には、三角形の隙間ができる。
そこに中指をねじ込み、ストッキングの上から強めに押してみると、湿り気が指先に伝わってきた。
「やだ、、、」と体をくねらせながら腰を浮かして、僕の右手を追い出すナオちゃん。
「なんだ、やっぱり拒否るじゃん。」
体を一旦離して、ナオちゃんと向き合う僕に、
「違う、、、、ここじゃやだってこと。もう、言わせないでよ。」
恥らいつつも、うつむき加減に本音を伝えてきた。
「そうだよね。」
再び、街道へとシビックを出し、ナオちゃんを乗せ、彼女と行くはずだったスポットへと向かった。
据え膳喰わぬは男の恥を通り越して、節操がないにも程がある自分を、僕はただ、誰に対してでもない建前で恥じるのと同時に、極めて原始的な高揚感が沸いてくるのを感じていた。

(続く)

なんでも、1年前、取引先金融機関の若手行員と3対3のコンパをすることになり、ナオちゃんと彼女、そして購買課のマキちゃんの3人で参加した時のこと。
ナオちゃんには、随分前から気になっていた爽やか銀行マンがいて、彼女はそれを応援する名目で、マキちゃんは純粋に出会いを求めて臨んだ当日。
コンパのアレンジはナオちゃん自らが動き、彼がフリーだという情報も入手していたナオちゃんの気合は尋常ではなかった。
だが、いざ始まってみると、その彼といい雰囲気になっていのたは彼女で、しかも、コンパの後、彼女に猛烈にアプローチしていたのだと言う。
その後も、ナオちゃん経由で、彼女と連絡を取りたいだのなんだので、えらく傷ついたとのこと。
話を聞く限りでは、彼女に悪意があったわけでもなく、よくある恋愛の横滑り的な一幕なのだが、こういうことが3回ほど続いた時、彼女が、敢えて、誰かが狙っている男性のところへ絶妙なアプローチをしているのではと思い始め、やがて、それが確信へと変わったとナオちゃんは語った。
確かに、あの彼女に言い寄られたら、悪い気はしないどころか、下手をしたら、その場で心を射抜かれかねない。
その後、哀れな男どもを、シカトに近い形で袖にするのもいつもの手だそうだ。
にわかには信じがたかったが、彼女ならさもありなんといったところだろうか。

意外なエピソードを知った僕は、顔を上気させるナオちゃんをなだめようと、
「上司だし、確かに、魅力的だけど、特別な感情は持たないようにしているかな。」
事実、ハワイから帰ってきたら、そうするつもりだ。
「ああ、もうやだ、こんなこと言うつもりじゃなかったのに、私なんかすっごい嫌な女みたい。」
と言って両手を頬に当て、首を横に2度3度振るナオちゃん。
「でもさ、そいつらの見る目がなかったんじゃないの。」
氷が溶け出したカフェオレを口に含んだ途端、ナオちゃんの一言に、また噴き出しそうになった。
「V君も見る目がないよね。」
「ゲホッ、、フ、、ゲ、、、ど、どういうこと?」
「独り言。」
シレっと答えるナオちゃんは、
「ねえ、マスターがすごいこっち見てるんだけど、そろそろカラオケ行かない?」
幾分トーンを絞った声で目配せした後、カバンを持って席をたった。
僕は二人分の会計を済ますと、ナオちゃんのシビックに乗せてもらうことになった。

ナオちゃんのシビックはSiRのATだ。
彼女のセリカとは違って、ヌイグルミや可愛らしい小物が沢山置いてあり、いかにも女の子が乗ってます的な雰囲気をかもし出していた。
いくつもの芳香剤が織り成す複雑で甘たっるい香りも、それほど不快ではない。
走り出したシビックの車内で、
「こういう車だと、煽られたりしない?」と興味本位で聞いてみると、
「されるよ~。でも、女の子が運転していると分かると、ナンパになるのよ。この間なんか窓から免許証、投げてきたヤツがいて、スルーしたら、自分で拾ってたけど。」
「ふ~ん。そう言えば、ナオちゃんって彼氏、、、」
「いないいない。」
「モテそうだけど。」
「よく言われる、なーんて。」と、ハスキーな笑い声を立てるナオちゃんは、
「いいなぁって思ったら、全部ちーちゃんが持ってっちゃうんだもん。」
黒髪の間から覗く、切れ長な瞳と鼻筋が通った横顔を、真っ直ぐフロントガラスへと向けていた。

カラオケ店では、1時間みっちり二人で歌いまくった後、ゲームフロアでプリクラを撮ったりしていた。
しかし、そのナオちゃんのテンションが、来たときよりも明らかにおかしくなっている。
腕や手をやたらとベタベタ触って来ては、しなだれてくるのだ。
「ちょ、ちょっと、大丈夫?」
「全然。楽しいと、私こうなっちゃうから気にしないで。」
と言われても、メリハリの利いたボディを密着させられたら、五欲を断ち切った禅僧ですら、その気になる。
そんなナオちゃんの様子に、僕は、極めて重大なことに気がついたのだった。
「もしかして、飲んでるの?」
ドリンクバーにはソフトドリンクだけでなく、カクテルも用意されていた。
「ダメなの?」
据わりかかった目を向けるナオちゃん。
「ダメも何も、車じゃん。」
「じゃあ、V君、運転代行お願い。」
「マジかよ、もう、しょうがないな。」
シビックのキーを預かり、ナオちゃんをナビシートに押し込んで、家まで向かうことにした。

(続く)

木曜が過ぎ、迎えた金曜。
下着もボクサータイプのお気に入りを履き、シャツの替えも持参するなど、僕の準備は万端だった。
だが、好事、魔多しの通り、悲劇は間も無く訪れたのだ。
昼休みが終わった頃から、時々、お腹を押さえて調子を悪そうにしている彼女。
小さなポーチを持参してトイレに向かう姿を見たとき、嫌な予感が過ぎった。

夕方、待ち合わせた喫茶バチカンで、果たして、その予感は的中してしまった。
「ごめん、私、アレになったみたい。」
申し訳なさそうに両手を顔の前で合わせる彼女。
「いいですよ、別に。」
と言ったものの、一旦火がついた気持ちがそうそうすぐに収まるわけでもない。
「ごめんね。予定では、もう少し先のはずなのに。」
アイスカプチーノを口に運び、頭が冷えるのを待ってから、一呼吸置いて、
「ハワイ楽しんできてくださいね。」
これが僕の言える限界だった。

「私が留守の間、ナオちゃんと遊ぶんでしょ?」
「別に、そのつもりもないし。」
「そんなことしたら、私、冷え冷えになっちゃうから。」
そういう自分は、一体誰とハワイに行くんだと、喉まで出かかったが、僕にも言う資格なんかなかった。
30分ぐらい、彼女の話を適当に聞いていたが、替えのシャツやらボクサーパンツを履いて来た自分の滑稽さに心が折れそうになったので、僕の方から切り上げて店を出ると、彼女は送っていくと言って、セリカに乗せてくれた。

ナビシートに腰を降ろした途端、婚約者、ハワイ、そして、彼女が居ない1週間が現実として降りかかり、忽ちいたたまれなくなる。
どうせ、ハワイでは僕のことなど思い出しもしないのだから、いっそのこと嫌われてしまってもいいと自暴自棄になった僕は、喫茶店の駐車場で、彼女に覆いかぶさると、「あの日でも構わない。」と半ばやけくそにブラウスの上をまさぐった。
「ちょ、ちょっと、止めてよ。マスターに見られちゃうって。V君がよくても、私は絶対にヤダ。そんなことしたら、事件現場みたいになっちゃうでしょ。」
「でも、約束したし。」
尚もスカートの下から手を入れようとすると、
「催涙スプレー出すよ、もう。」本気で怒り出す彼女。
「じゃあ、せめて。」と言って、顔を寄せる僕を
「キスはダメって前も言ったじゃん。」彼女は完璧に拒絶した。

そして、日曜、彼女はハワイに飛び立っていった。
2人分のファーストクラスの搭乗券、大きなキャリーバッグ、大胆な水着と一緒に。
今、彼女の見つめる先には、彼女の全てを独り占めする婚約者がいる
結局、僕には、プレリュードの車内で彼女が「来週ね。」と振り出した、空手形だけが残った。


週明け早々、彼女のいない職場は、まさにおばちゃん天国と化していた。
エンドレステープのようにしゃべりまくるおばちゃんに挟まれての仕事は、飢えたトラに身を差し出す聖職者のような尊い苦痛を伴うものであり、彼女がいないだけで、会社は、モノトーンフィルムに映し出されたディズニーランドのように味気ないものに成り果てていた。
バーコード部長も銀行OBの次長も、週明けから、彼女から割り振られた仕事にてんやわんやしている。
お陰で「お前が戦力になっていればな。」と、僕のところにも、とんだとばっちりが飛んで来る上に、おばちゃん達のゴシップ満載マシンガントークが追い討ちを掛けてきた。
これが、金曜まで続くのだから、どこかで新型鬱を発症したら間違いなく労災扱いになるだろう。
この過酷な労働環境に、初日にして僕のHPは、メタルスライムにすら倒されるほど激減していた。

火曜の昼休み、自分のデスクで、買ってきたコンビに弁当を広げ、誰もいない総務部で電話番をしながら唐揚げをパクついていると、
「黄昏れてないで、ちゃんと仕事してるかい?」
少しハスキーな声と共に、顔を出したのはナオちゃんだった。
「もしかして、頼まれて様子を見に来たとかですか?」
「そう。寂しがってないかどうかって。」
「残念ですが、うるさい人がいなくなって、生き生きしていたって伝えといてください。」
「そんなことちーちゃんに言ったら、私、会社に来れなくなっちゃう。」
とおどけた後、空いている彼女の椅子に腰掛けると、
「ね、ところでさ、明日、お茶しない?カラオケも行きたいんだけど、V君空いている?」
「え、ええ、いいですけど。」
「やったぁ。じゃあ、仕事終わったら、いつものところね。着いたらメールする。」
そう言って、ナオちゃんは立ち上がり、長い黒髪を揺らしながら、出て行った。

仕事の合間に、考えまいとしても、彼女がハワイで羽を伸ばしている姿が頭をよぎり、おまけに僕が勝手に脳内構築したイケメンが仲良く寄り添っているところまで、浮かんでしまう。
少しでも気を紛らわせたかった僕にとって、ナオちゃんのお誘いは、本当にありがたかった。

なんとか仕事を無事切り抜けた次の日の夕方。
彼女含めて、3人でバチカンに行くことは時々あっても、ナオちゃんと二人きりは、彼女をキレさせたあの日以来だ。
今度は、僕の方が先に着いてナオちゃんを待った。
しかし、いつ来ても、広い店内に他の客が居たためしがない。
お冷を1個運んできたマスターに、後から連れが来るので、それから注文したいと伝えると、
「承知しました。」と、うやうやしく腰を折るも、なにか言いたげな雰囲気がヒシヒシと伝わって来た。
数分後、ガラス戸に掛けられたカウベルがカラカラと鳴り、階段を踏み鳴らすヒールの音が近づき、僕の前で止まった。

「お待たせ。20日締めの請求書の処理が終わんなくて。でも今年の新人君達、伊達にガツガツしてないというか、もう注文取って来てるのよ。見直したわ。」
そう言って、ナオちゃんは、目にやり場に困るほど短い、レース地のチュチュスカートから覗く長い脚を折りたたんでソファに腰掛けたのだった。
ナオちゃんは会社の行き帰りはいつも制服だ。
言い方は良くないけど、彼女と比べてしまうと、どうしても控えめで地味なイメージを持っていた僕は、はじめて見るナオちゃんの私服姿に、正直、言葉を失った。
肩口の辺りにレースをあしらったカットソーはボリューミーなバストラインと華奢なウェストを強調している。
良く見れば、艶やかで長い黒髪にもダークブランのカラーマネキュアが施されていた。
やや勝気な大きな二重と小さな顎は、ほんの少し強めのメイクをするだけで、際立って見映えがし、ピンクゴールドの唇は店内のライトを艶やかに湛えていた。
ヒールを履くと僕と並ぶぐらいの身長もあって、どこからどう見ても、そこら辺のファッション誌から抜け出してきた読者モデルみたいだった。

恭しくお冷を運んで来るなり、ナオちゃんを見て、
「いらっしゃい。あれ?あれれれ?」と露骨に驚くマスターに、
「まさか常連忘れたの?何年通ったと思ってるのよ。」
ナオちゃんは不貞腐して見せた
「いやいや、いつも会社の制服だったしさ。」
苦し紛れの言い訳をしながら、灰皿を差し出すマスター。
「今日は、使わないから下げて。」
と、ナオちゃんが灰皿を戻すと、
「どういうこと??」首をかしげながら、注文を聞いて、カウンターの奥へと消えて行った。

「この後、なにか用事でもあるんですか?」
「V君までそういうこと言うんだ。あーあ、やっぱりちーちゃんみたいに総合職になろうかな。」
会社の規則では、一般職の女子社員には制服が義務付けられている。
「でも、雰囲気変わりますよね、本当。」
「う~ん、そうだな、どっちもいいけどオジサンは、今の方がいいな。」と飲み物を運んでくるついでに話に割り込むマスターを、一旦やり過ごしたナオチャンは、アイスティーを手に取り、
「ほら、ちーちゃんハワイ行っているし、V君色々と大変みたいだから、私からの応援みたいな。それに少し話もしたくてさ。」
「あ、前、メールに書いてあったことですね。」
「そう。あの後、ドタバタしてて、で、ちーちゃんいない今が、チャンスかなって。」
「ふ~ん。」とストローを口に運ぶも、今ひとつ、ナオちゃんの意図が分からない。
それに、この後、カラオケも連れて行ってくれるのだ。

僕と会うだけのために、わざわざ着替えてきてくれたのだとしたら、それはそれで嬉しいけど、そこまで気を遣ってくれる理由が全く思い当たらなかった。
あれこれ考え込む僕に、ナオちゃんは、いきなり突拍子のない質問をぶつけてきたのだ。
「ぶっちゃけ、聞くけど、V君、ちーちゃんのことどう思っているの?」
危うく、それほど美味しくもないアイスオレを噴き出しそうになった僕は、
「なに、突然?」と無理やり平静を装うも、
「V君さ、ここに来てお茶している時とか、ちーちゃんを見る目が違うんだよね。」
ナオちゃんは、何もかも知ってると言わんばかりの顔をしている。
「気をつけないとおばちゃんたち鋭いから、噂にでもなったら大変だよ。」
顔に出るタイプではないものの、そういう風に見られているとは、脇が甘いとしか言いようがない。
「そんなことないって。だって、あっちは婚約してるし、こっちは彼女がいるからさ。」
慌てて否定してみるも、上っ面を取り繕うだけだった。
「いいなぁ、ちーちゃんばっかり。」と口を尖らせ、
「私さ、ちーちゃんに、好きな人取られちゃったことがあるんだよね。」
脚を組み替えてから、アイスティーを一口含み、ナオちゃんは語り出した。

(続く)
月曜だというのに、朝から僕は、自分をコントロールするのに必死だった。
昨日、されるがままに僕の指を迎え入れ、身を任せた彼女と、今週、その続きが再開されることを思うと、満員電車だろうが所構わず、途端に自身が切なくなるのだ。
「来週ね。」と交わした約束手形。
その履行期限は、次の週、彼女が婚約者とハワイに行くまでの1週間。
婚約者のイケメン君がハワイで彼女の隙間を埋めてしまえば、ただの空手形に成り下がってしまうのだった。

玄関口を掃除する僕の横を、通勤してくる社員の車が絶え間なく通り過ぎて駐車場へと消えていった。
やがて、黒のセリカが現れ、定位置に停止すると、彼女が出てくるのが目に入り、僕は、努めて普段どおりを装い、彼女が僕の方へとやって来るのを待った。
コツコツとヒールを鳴らす音が近づく度に、タイトスカートが左右に波打ち、形のいい太ももが交互に浮かび上がった。
あの奥を、僕の指は知っている。
思い出さないようにしていても、蘇る発情した艶かしい体臭と指先の記憶。
それを打ち消そうとしている内に、彼女が目の前を通りかかった。
「おはようございます。」
僕の口から出たのは、いつも通りの挨拶だった。
ここ数ヶ月の間、社畜として訓練を受けた賜物だ。
「おはよう。」
珍しくストレートにした髪をなびかせ、強めのアイラインから涼しげな目線を僕に向けると、何事もなかったように、そっけなく素通りする彼女。
彼女もまた、会社という舞台で自分の役割を徹底できる演者だった。

「ちーちゃん、今日は、肌が艶々してないか。さては、昨日、デートだったな?」
定例の部署会議の前に、バーコード部長のお決まりのセクハラ発言が飛び出し、
「ええ、充実していました。部長も、たまには奥様といかがですか。」
と、さりげなくカウンターを返す彼女とは裏腹に、いつも以上に僕を不快にさせた。
その後も、彼女は事務的な指示をするだけで、徹底したクールさときたら、昨日、僕に跨ったあの艶かしい姿は、まるで別人だったかのような錯覚を覚えてしまうほどだ。

ためしに、昼休憩にスマホからメールを飛ばしてみても、何のレスポンスもなかった。
まさか、昨日のことはなかったことにされているのではとの不安が過ぎり、給湯室に一人で入るのを見計らい、思わず追いかけてしまった。
「随分、そっけない感じがするけど、なんか気に障ることした?」
「う~ん、そんなんじゃなくて。ハワイに行く前に、仕事を割り振っておかないといけないから、V君だけの相手してらんないの。ゴメンね。」
コップを洗いながら、こっちを振り向きもしない彼女。
「そうだね。来週だもんね。」
ハワイと聞いただけで、気持ちが重く沈んでいく。
「あ、ちょっと、ここ会社だからさ、私も一応上司なんだし、いきなり馴れ馴れしくするのは、止めない?」
「あ、はい、すいません。」
「そう、それで宜しい。ちゃんとお土産買ってくるから心配しないで。」
そう言って、ニッコリ笑うと僕の肩をポンと叩いた。
「いや、お土産を心配しているんじゃ・・・」
「私、もう仕事に戻らなくちゃ。また後で。」
そう言って、コップを片手に、そそくさと立ち去る彼女の後姿に、僕の不安は膨らみ、焦りが募った。
この日は、休暇中の仕事の割り振りが中心と、結局、僕には事務連絡程度の申し送りしか口を利くことはなく終わった。
その次の火曜も同じような調子で、彼女は来週分の仕事を前倒しするのと並行して、他部署との調整や不在時の対処について、忙しく動き回り、またしても僕のことは捨て置かれてしまったかのようだった。
水曜は、早朝から僕が県外の倉庫でのISO研修に借り出され、夕方、帰社した時にはとっくに彼女は帰宅した後で、顔もあわせることもなく時間は過ぎた。
疲れた体を引き摺り、帰宅した僕は、ベッドに体を横たえ、恋人からのメールに当たり障りのない返信をしつつ、ぼんやりとスマホをいじりながら、ぐちゃぐちゃになった頭の中を繋ぎ合わせていた。
だが、どこをどう巡ったとしても行き着くところは一つだった。
ハワイに行くことは間違いない。そして僕は「気をつけて行ってらっしゃい。」以外に、何か言える立場ではないということだ。

メールもあれから返ってくる事もなく、やっぱり、あの時のことは、彼女の一時の気の迷いがそうさせたのだろうと諦め始めた時、スマホがブルブルと震え出した。
ディスプレイを見るなり、
「もしもし。」
飛び上がりたい気持ちをぐっと堪えて、敢えて押し殺したかのような声で取ると、
「やっと、電話できた。」
その屈託のない声に、あの時の車内で、『やだ、もう。』と恥らう彼女の姿が重なった。
「今日、話が出来るかなと思ったら、新倉庫に直行だったんだね。私すっかり忘れてて。」
「いやいや、指示出したの誰でしたっけ。」
「ごめんね~」
「ハワイ楽しみなんでしょ。お忙しいんでしたら、もう切りますけど。」
男の嫉妬がみっともないと分かっていても、口をついて出てしてしまう。
「なんで、そんな意地悪するのよ。こっちだって、わざわざ電話してあげたのに。」
「どこまで上目線なんですか。僕はすごく楽しみにしてたんですから、あの約束。」
とは言いつつも、『あの約束』は、僕の中では半ば不良債権として処理が進み、もはや、忘れていようが分かっていてスルーしていようが、どちらに対しても耐性ができつつあったのだ。
僕は身構えた。もう一度、『ごめん。』と言われるのを。

しかし、彼女の答えは意外なものだった。
「私も楽しみにしてたんだよ。」
「え?楽しみって?嘘でしょ??」
「本当。」
「でも日曜フライトだから、今週って土曜まで、あと3日しかないし。」
「それなら、金曜、バチカンに集合ね。私は残業しないし、V君もそのつもりで。」
「うん、分かった。」
その後、たわいのない話を少しして、携帯を切った。
諦めかけていたあの約束が、金曜の夕方、ついに、果たされることになったのだ。
どん底だったテンションが、その反動で一気にレブまで振り切れた僕は、ベッドで横になったまま飛び跳ねていると、隣の部屋の姉が「うるさい。」と思い切り壁をどついてきた。


(続く)

気象庁から梅雨入りが発表され、ジメジメとした天気が続いていた、ある日。
神戸の並行輸入店で、エルメスのバーキン本国限定モデルが入荷したと、彼女がノートPCを抱えて、食堂で遅めのランチを一人で食べていた僕のところに駆け込んできた。
「ほら、これ、V君、どうしよう、私。」とディスプレイを指差し、興奮する彼女。
「いや、どうって。うわ、高っ!!」プライスタグにはプレリュードを2台買ってもお釣りが来る値段が表示されている。
「やだ、すぐ売れちゃう。予約だけしとこっかな。」
「はいはい、そうしてください。」
仕事中に許可されたサイト以外を見るのはルールでもシステム的にもできないはずなのだが、どうやら彼女はシステム課に取り入って、そのロックを外しているらしい。
「予約しちゃった。あ、なんか返信が来た。え~と、全額支払後に送るか、頭金払って、残金と引替えにお店で受け取るかだって。他にも見たいのがあるから、取りに行くことにするわ。V君、今度の日曜ね。」
「は?神戸??新幹線ですよ。」
「大丈夫。それも予約しておくから。」と言い残して、足取り軽く仕事へと戻っていった。

その週末、僕は朝早く彼女を自宅前で拾ってから、新幹線に乗り込み、わざわざカバンを取りに行くだけの用事に付き合わされた。
お目当ての品が入った、でっかいオレンジ色の紙バッグを下げ、ご満悦の彼女。
お店の人に聞いたお勧めの洋食店で昼食を取り、少し観光した後、帰りの新幹線で、
「もう、こっちだって、予定あったんですからね。」とちょっと怒ったフリをしてみると、彼女は、
「ありがと。ほんと、V君には感謝してる。」と肩に首を預けながら、僕の左手の上に白い右手を重ねてきた。そのまま握り返すと、彼女は駅に着くまでそうしてくれていた。

再びプレリュードで彼女を家に送っていく頃には、日は傾き、夜の帳が下りようとしていた。
少し開けた窓から、湿った空気が入りこんでくる。
散財したけどいい日曜だったと、反芻する僕を、
彼女のさりげない一言が、容赦のない現実へと引き戻したのだ。
「あのさ、私、再来週、ハワイに行くんだ。」
「ハワイ?」
「うん。」
「それって、もしかして、、、、」
「そう、彼氏とね。」
「・・・・・・・」
「自分へのご褒美かな、このカバンも、うふふ。」
やっぱり僕は都合のいいだけの相手なんだ。
段階的に奈落の底へと落ちることは分かっていても、なかなかキツい。

思い余った僕は、彼女の自宅近くの公園駐車場に車をつけた。
街灯が点灯し始め、日が翳りだしたそこには、車が数台止まっているだけだ。
「あれ、どうしたの?トイレ?」
「いえ。」と不機嫌そうに答えると、
「なんか、怒ってる?」
「別に。ハワイ楽しみなんでしょ、せいぜい彼氏と末永く爆発してください。」と皮肉たっぷりな僕に、
「なにそれ変なの。じゃあ、私ここから歩いて帰るね。」
ノブに手を掛け、車から降りようとする彼女を
「一体、僕のことをどう思っているんですか。」とついに核心を口にして引き止めてしまった。
「は?そんなこと聞くの?」呆れたと言わんばかりの彼女。
「はい。」
ハワイに行くと聞いて、気にしないようにしていた婚約者の存在が、現実となって目の前に現れた僕は、どうにもならないぐらい、自制が効かなくなってしまっていた。
「だって、婚約しているのに僕とこうして会ったり、今日だってそうでしょ。」
「自分はどうなの?」売り文句に買い言葉の彼女。
「彼女は居ますけど、婚約してないですもん。法的にはまだ自由恋愛の範囲です。」
「何それ!?」
「以前、僕のこと、同級生の友達っていいましたよね。」
「言ったわ。あ、また『ですます』調になってる。」
「でも、それって、結局、結婚するまでの間、ほんの少しだけ楽しく過ごす為の、安全で便利な相手って意味じゃないんですか。忙しい彼氏の隙間を埋めてくれる・・・」

言ったら終わりだと思いつつも、溜め込んでいた言葉が次々に出てくる。
「ひどい。V君、本気でそう思ってるんだ。」
彼女の顔から表情が消え、大きな瞳が見る見る潤み始めた。
「あ、いや、そうじゃなくて、、、、」
取り繕う間もなく、ポロポロと大粒の涙が彼女の頬を伝い落ちている。
「もう、なんて言ったらいいのか、そう、ハワイに行って欲しくない。」
ハンカチを差し出しながら、うっかり本音がこぼれてしまった。
「何それ。キャンセルとか、もう無理だよ。」
「いや、あの、どう説明していいのか、、、、」
「ハワイに行っちゃヤダって、もしかすると、彼氏とってこと?」
瞼に当てられたハンカチがずらされ、その下から現れた大きな瞳が僕を真っ直ぐに見つめていた。
「さあね。」とっさに誤魔化す僕。
「なんで、イヤだって思うの?」
いかん、これじゃあ彼女のペースだ。
「そんなこと言えるわけないよ。」
言ったのも同然だった。
「ふ~ん、言ってくれないんだったら、私も言わない。」
「なにを?」
「さっきV君が聞いてきたことの返事。」
「いや、それはダメでしょ。」
「あ、そう。別にいいんだ。でもきっと、V君も嬉しいと思うんだけどな。」
「そうなの?」
彼女のでかい釣り針に、悲しいかな食いついてしまう。
「うん。」と満面の笑みを浮かべる彼女。
「じゃあ、言う。」
「言って。」
「好き、、、です。」
「敬語だから、やり直し。」
「ひどい。」
「はい、もう一回。」目の前にいるのは、可愛い顔をした鬼だ。
「好き。」
「誰が?」なおも意地悪く引っ張る彼女。
「言わなくたって分かるじゃん、それぐらい。」
「ダメ。彼女さん思い浮かべているかもしれないし。私も答えませ~ん。今日は楽しかった。じゃあ、明日会社でね。」
「待ってよ。」

僕は、彼女の腕を引き寄せ、体を抱きしめながら、ナビシートへと体を預けた。
ヘッドレストの上の彼女の顔が10cm先にある。交わった視線を辿り、唇を寄せると、すっと顔を背ける彼女。
「キスは、ダメ。」
「そうだよね、こんなのダメだよね。」
そう体を離そうとすると、彼女は小声で、
「『キスは』って言ったの。」
「じゃあ、キス以外は・・・・」
僕は全てを了解した。
彼女の額に唇を当てると、その後、生え際から左の耳へと小刻みに唇を這わせ、首筋へと顔をうずめるのと同時に、彼女の口からは、押し殺したような息が漏れた。
最終モデルのプレリュードであるこれには、残念ながら、伝統だった運転席から助手席を倒せる、エロリクライニング機構がついていない。
右手を伸ばして、シートの付け根のレバーを引くと、後部座席へと倒れこむようにして、僕と彼女の体は折り重なった。

ブラウスの上から、膨らみを確かめるように、彼女の心臓の上にある盛り上がった丘を右手でゆっくりとまさぐりながら、左手はブラウスの下から背中のホックへと向かう。
左手がそれを外すことに成功すると、薄布の上からでも分かるほどの 張りのある2つの紡錘形が弾けるようにして現れ、僕はブラウスの下から両手を入れて、直に触れ、思うがままにもみしだき、指で挟み、掌で転がした。
その度に、僕の首元に掛かる彼女の熱っぽい吐息。
理性の軛がぶっ飛んだ僕は、それ以上を求めるべくボタンを外しにかかると、
「ねえ、ねえ、、、」と僕を呼ぶ彼女。
「どうした?」
「V君、重い。」
「ごめん。」一旦、上半身を上げようとする僕に
「ううん、違うの。あのね、、、」
と彼女は言うと、体を入れ替え、僕がナビシートに寝転び、その上に、彼女がかぶさる格好になった。
彼女の両足は僕の体を挟むように開かれ、火照った瞳は僕を見下ろし、栗色の毛先が頬に掛かる。
「うん、これでいいよね。」
愛くるしい笑顔とは別に、はだけたブラウスがコントラストになって、肥大化する劣情へと注がれ、
自由になった両手でブラウスの裾をゆっくりたくし上げると、出来立てのババロアのように柔らかに揺れる、形のいい2つの果実が目の前に現れた。
「ダメ、出しちゃ。恥ずかしい。」
言葉とは裏腹に、うつむき加減のまま、なすがままの彼女。
下から両手ですくう様に持ち上げ、ゆっくりと動かすことで、僕は、程よいその質量と感触を、目でも楽しんだ。
そして、つんと上を向いた薄茶色の先端に口を寄せ、唇で挟み、舌の先で押し、軽く引っ張っり、転がし、甘く噛むを繰り返すと、硬く敏感になっていった。
僕の顔が移動すると、空いた片方は、左手と右手が代わる代わるフォローをした。
掌から少し余るぐらいの大きさは、僕の両手を十分に満足させる。
一旦、顔を離すと、紅潮した彼女の顔がすごそこにあった。
目は潤み、吐息が僕の顔をなでる。
「やだ、、、私の、、、すごい立ってる。」
彼女は、自分の部分的な変化に、恥ずかしがっている様子を見せたが、まるで、それは僕を煽っているようにも聞こえた。
次に、僕の右手は、腰の上に跨ったタイトスカートの中心へと伸びていた。
彼女の太ももの内側から、両足の付け根の中心へと徐々に指を這わせ、ストッキングの上から形を確認するように掌を当ててから、中指の先で押してみた。
温かい湿り気が指先に伝わるのと同時に、少し腰を浮かせる彼女。
「ダ、ダメ、そこは。」
彼女の荒い息遣いが、僕の耳へと直に伝わる。
華奢な背中から腰へと回した左手はそのままに、今度は、ストッキングのウェスト部分から右手を入れ、申し訳程度の布地の下を通って、一気に彼女の下腹部へともぐりこませると、
柔らかに生い茂るそこへ辿りついた右手は、どうしようもなく淫らな粘り気を指先に絡ませながら、熱い奥へと割って入り、とうとう彼女の一番敏感な突起を見つけ出したのだった。
指先が触れれば触れるだけ膨らみ、その身を硬くし、皮を押しのけて顔を出し、際限なく溢れ出す彼女の滴が指先を伝って落ちる。
耳元でリズミカルに漏れる吐息が、より深く、強くと望んでいた。
更に奥へと指を入れ、掌全体を使っているうちに、彼女の体は指の動きにあわせて波打ち、やがて、
「ほんと、ダメ、もう、それ以上したら。あ、あ、あああ、、、」
短い痙攣を小刻みに繰り返した後、彼女は僕の右手から逃れるように体をくねらせ、ぐったりと僕の上に倒れこんだ。
そこから抜こうとした右手の甲には、じっとりと濡れた布地の内側が張り付いていた。

しばらく、その姿勢のまま背中でゆっくり息をしていた彼女は、赤みが残る顔を上げると、
「もう、なんてことするのよ。」
「え、だって、ほら、そういう流れに、、、もしかしてダメでしたか?」
「ダメに決まってるじゃない。」
「でも、なんか、魂、飛んで行きませんでしたか。」
「魂飛ばしたの一体誰よ。ダメって言ったのは、こんなことしたら、最後までしたくなっちゃうってこと。」
「え~、なら最初からそう言ってくれないと。」
「それ、どうすんの?」
「は?」
「その行き場のなくなったV君の、、、、」
と彼女の見つめる先にあるのは、デニムを目一杯押し上げ、張り裂けんばかりに切なくなった僕の分身だった。
「なんでしたら、今から、ちゃんとしにいっても構いませんけど。」
「私も、そうしたいのは山々だけどさ、今日の晩御飯、私が作らなくちゃいけないのよ。だから、今度ね。」
「総菜買って帰れば済みそうだけど、、、、で、今度っていつ?」
「う~ん、じゃあ、来週。」
「約束ですよ。」
「それよりも、明日、私どんな顔して会社行けばいいのよ。。。もう有給取ろうかしら。」
「ちゃんと来て、普通に振舞ってください。それに僕は有給まだありませんから。」
「絶対に変な目で見ないでよ。ところで、何で、あんなことしたのに、また敬語使ってんのよ。」と、なぜかプリプリしながら手早く着衣を整える彼女。
話しているうちに、職場の面子を思い出し、僕の分身はすっかり平常値に戻っていた。
そこで、僕は、さっきから気になっていたことを聞いてみることにした。
「ところで、どうしてキスしたらダメなの?」
「だって、キスしたら、ううん、今度教えてあげる。さ、早く車出して。」
急かされるまま、彼女を家まで送り届け、僕は帰路に着いた。
指先に付着した、彼女の淫らな証。
車内には彼女の艶かしい体臭がそこかしこに残っている。
僕は窓を全開にして走り、途中、パチンコ屋に立ち寄って、タバコの匂いをつけ、それほどうまくない豚骨ラーメンを食べてから、洗車場へと向かい、掃除機を念入りに掛けて、消臭剤を振りまいた。
その夜、なかなか寝付けなかった僕は、彼女のことを思い出し、その右手を使って自涜の害を甘んじて受け入れたのだった。

そして、月曜の朝が来た。

(続く)

「はい、どうぞ。」
「お邪魔します。」
セリカのナビシートに腰を下ろすと、キャビンに漂う彼女独特の甘い香りとは裏腹に、女の子らしい小物やアクセサリーはなく、お兄ちゃんの車と言われれば、そうだと思ってしまうぐらい、こざっぱりとしていた。
強いて言えば、ナビシートの下に、ヒールとミュールが2セット置いてあるぐらいだ。
エンジンを掛けると、クラブミュージックが流れ出し、少し経って、エアコンから、すえた甘酸っぱい空気が盛大に噴出してきた。
「やだ、エアコン臭い。」
顔を赤らめ、慌ててエアコンを切って窓を開ける彼女。
臭いどころか、様々な香料の中に、彼女の体臭や汗が入り混じり、鼻腔から視床下部をくすぐる。
本気で恥らう彼女の姿を初めて見た僕は、微かな高揚を覚えた。
「ハンドル、重いのよ、この車。」
小径ハンドルを細い腕で目一杯回して駐車場を出ると、国道への合流だ。
車の流れが切れたところを見計らって、彼女は深めにスロットルを踏んだ。
レブカンターが跳ね上がり、後期型の3S-GEは思ったより控えめなサウンドとともに、セリカを加速させる。
轍や段差をモロに拾って振動をボディに伝える、スーパーストラットの異様な硬さに僕は、思わず、
「これ、女の子の乗る車じゃないよね。」と伝えると、
「そうなの。かっこいいし、お兄ちゃんが、就職祝いにくれるって言うから、もらったんだけど、結構ハードで、、、もう慣れたけどね。で、V君は何乗っているの?」
「プレリュード。もうすぐ納車されるんだ。セリカも候補だったけど、同じ車にするのもなんだし、彼女が気に入ったのもあってプレリュードにした。」
「そうなの?なんだ、言ってくれれば、譲ったのに。でも、それだと彼女さんが嫌がるか。あそこの駅でいいんだよね。」
こうして、彼女との初めてのセリカ同乗体験は、わずか10分足らずで終わった。

だが、この日から、彼女からほぼ毎日のようにメールが届き、一日に何通も来る事もあった。
メールの彼女は、会社で見せる顔とは全く真逆の、ところどころ絵文字を使った普通の女の子が書くような軽い内容ばかりで、たまにハートマークが付いていたりすると、僕はその意味を勝手に想像し、即座に否定しては、また想像するのループにはまり込むのだった。
GWに入り、プレリュードの納車が決まると、僕は真っ先に彼女をドライブに誘った。

婚約者と会うのは、GWの最終日と聞いていたので、連休の中日に、彼女の自宅近くまで迎えに行くことになった。
約束の時間になっても自宅からちっとも出てこない彼女に、『着いたよ。』とメールを打っていると、
「ごめーん、着ていく服が分からなくなっちゃって。」
いつものスーツ姿の彼女とは似ても似つかない、ナチュラルメイクの彼女が、開けっ放しのサイドウインドウから僕を覗き込んでいた。
カールしたての栗色の髪が、初夏の薫風とともに、さらさらとなびき、彼女の香りが入り込んで来る。
思わぬ不意打ちに、スマホを落としそうになった僕は、
「今、メールしようとしてたところ。乗って。」
体を伸ばして、助手席のドアを内側から少し開けると、
レースのフレアスカートから露になった細めで形のいい太もも、小さな膝からすっきりと伸びるふくらはぎ、引締まった足首に結び付けられたヒールサンダルが、僕の目に飛び込んできた。
「やだ、見えちゃう。」
シートのサイドサポートでフレアスカートの端がめくれ上がり、ベージュのストッキングの奥が、かすかに映った。
「大丈夫。」
「本当に?」ドアを閉めながら、疑いの眼を向ける彼女。
「ほんと、ほんと。」
「なんか、会社と雰囲気違うよね。」と話題を変える僕。
「え、そう?オフはこんな感じよ。家の中とか、大体、部屋着ですっぴんだから、多分、外で会っても分からないかも、ふふふ。」
そう目を細める彼女は、会社で見るよりも、ずっと幼く見えた。
その後、水族館へ行き、小洒落た洋食屋で食事をして、彼女を送り届け、普通に楽しく健全に終了した。
彼女が婚約者と会うと言っていた同じ日に、僕は、プレリュードで恋人を迎えに行ったのだった。

連休が明け、仕事が始まると、彼女は上司として厳しく接する一方、定時になると、お茶、カラオケ、プリクラ、買い物と、ことあるごとにセリカで僕を連れ出した。
職場でおばちゃん連中や部長たちがいなくなると、「あー凝った。」と肩もみまでやらされた。
週末、時間が合えば、スイーツが食べたいと言う彼女の為に、僕が車を出したりもした。

ナオちゃんとも時々3人でお茶をしたり、カラオケに行ったりしたが、どことなくぎこちないと言うか無理をしているような感じで、少し、気になったのでメールでそれとなく聞いてみたら、どこか時間を作って二人で話がしたいと返って来た。
同期は僕が年上だと知ると、呼び捨てだったのが「さん付け」に代わり、敬語になるなど、距離を置くようになっていた。ま、こちらとしては、その方が気が楽でありがたいのだが。

ある日、仕事帰りに、セリカの洗車に駆り出された僕は、彼女と一緒に会社近くのコイン洗車場でセリカを洗っていると、968を泡だらけにしている兄ちゃんから、バケツの水を汲みに行ったところで、声を掛けられた。
「もしかして洗車場デート?あんな可愛い彼女、どこで見つけてきたん?」
「あ、え~と、職場です。」敢えて否定しない彼女の部分。
「いいなぁ。」と、彼女の方を向く968オーナー。
「あの、ポルシェ乗ってたら、モテるんですよね。」
随分前のトレンド誌を受け売りした僕は、何気に失礼なことを聞いてしまった。
「そんなことあったら、ここ来て洗車なんかせんわ。君たちは、はよ、ホテル行かんと、ほら。」
「いえ、それは、、まあ、はい。」
適当にごまかしつつ、水が一杯になったバケツを下げ、ホイールを磨く彼女の元に戻ると、
「ねえ、何話してたの?あそこにいる人と。」と、今のやり取りについて聞かれた。
「あの可愛い娘、彼女かって聞かれた。」ホテルのことはとても言い出せない。
「ふ~ん。で、なんて言ったの?」
「違いますって。」僕は正直な嘘つきだ。
「そうって言っても良かったのに。」
と、見せ付けるように僕の左腕に腕を絡ませる彼女。
だが、僕は、忙しい彼氏の代わりになんでも言うことを聞く、便利な部下でもあり、都合のいい男友達なのだ。
手も繋いだこともなければ、気持ちを伝えたことすらない。
きっと、結婚までの期間限定アクセサリーで、ケリーバッグと同等の扱いでしかないだろう。
968の兄ちゃんに、『彼女じゃない。』と言えなかった自分。
彼女と楽しく過ごせば過ごすほど、ひび割れ、ささくれ立つ心。
何かを尽くしたところで、所詮、婚約者の下へと去っていく遠からぬ未来。
戻るなら今だと、僕は胸の中で、これまでのことを恋人に詫びた。

だが、更なる深みは、この先に待ち受けていたのだった。

(続く)