彼女がつけたブラックマーク 【セリカ編】 その14 | FlyingVのブログ 『 so far so good 』

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男女、家族、そして友人達との様々な人間模様を書き記した記事が中心です。
みんカラから移転したものや創作したものを掲載しています。

シビックのキーを預かり、ナオちゃんをナビシートに押し込んで、家まで向かうことにした。
ここから、街道を真っ直ぐ南下すれば15分ぐらいで着く。
V-TECと言えども、1600ccのATでは信号待ちからの加速がもどかしい。
ナオちゃんは酔いも手伝ってか、スカートの裾が捲れ上がっているのも構わず、気だるそうにしてる。
運転に集中つつ、ちら見を繰り返しているうちに、ナオちゃんの家まで、約200mとなったところで、
「そこの信号左でいいんだよね?」と確認してみると、
「ねえ、V君、お腹空かない?」
全く人の話を聞いていないナオちゃん。
「ご飯食べたいのは山々だけどさ、遅くなると電車が厳しいから、また今度ね。そこ左でしょ?」
「うん?ご飯食べたら、教えてあげる。」
「いやいや、ほら、通り過ぎちゃうって。左だよね?」
「そうだったかしら~」
とやっている内に、曲がり損ねてしまった。

人が困るのを楽しむかのように話をはぐらかすところなど、彼女とウマが合うのがよく分かった。
「ガソリンもあまりないから入れてった方がいいよ。あそこのスタンド寄るけど。」
とにかく、ナオちゃんの家から離れるのは良くない。
「え~やだ。」
「帰ろうよ。」
押し問答の末、ナオちゃんは、またしても突拍子のないことを口走った。
「じゃあさ、教えて。ちーちゃんと私、どっちがいい?」
「ええ?それはちょっと。」
「ねえ、どっち?」
なんという絡み酒だ。どっちを答えたとしても、地雷を踏みに行くようなものじゃないか。
「二人とも会社の先輩だから、選ぶのなんか無理ですって。」
「私分かるもん。今のV君、ちーちゃんを見るような目で、私を見てない。」
上体を起こし、少し乱れた髪を手で掻き上げた後、切れ長の瞳をぐっと近づけた。
「近いよ、顔。」
「なに、近くて悪い?」
パーツは派手ながら控えめにまとまった顔立ちは、改めて良く見ると、とんでもない美人だ。
ナオちゃんは、とにかく彼女に対しての対抗意識が強い上に、何度も煮え湯を飲まされたことで、彼女に対して何か復讐めいた気持ちを抱いていたのだろう。
そんな折、ハワイに行った留守中に、彼女に好意を抱いている僕を見抜き、誘い出したまでは良かったのだが、アルコールが入ったことで、溜め込んでいたものが全部出たと言ったところだろうか。

曲がり損ねたのと動揺させられたせいで、僕は行き先を見失い、適当にシビックを走らせていた。
と、突然、ナオちゃんが、僕の腿の上に頭を乗せてきたのだ。
「あ、危ないって。」
「甘えるぐらいいいでしょ。」
「そうじゃなくて、一体、今日の主旨ってさ。」
「そんなに拒否らなくてもいいじゃん。傷つくなぁ。」
体を起こしたナオちゃんは、ナビシートに座りなおした。
だが、これが、彼女と果たせなかった『来週。』の約束に、くすぶり続けていた僕の劣情を焚き付てしまったのだった。

通り沿いにあるファミレスのだだっ広い駐車場にシビックを滑り込ませ、一番隅のスペースに止めた。
オーディオからは、地元FMのDJが早口でリクエスト紹介をしている。
さっきまでは、押されっぱなしだったけど、ここからは、僕のターンだ。
FMのボリュームを絞り、ナオちゃんを真っ直ぐ見つめながら、ゆっくり伝えた。
「じゃあさ、僕のことは拒否しないの?」
「え?何、どういうこと?」少し身を硬くするナオちゃん。
「例えば、、、」
ナオちゃんの右手に左手を絡めてみた。
「それで?」余裕で様子を伺うナオちゃん。
「それでって?」だが、掌は、じっとりと汗ばんでいる。
そのまま握った手をスカートから張り出した太ももに乗せ、シートから身を捩ってナオちゃんの上に体を預けながら、もう片方の腕を腰に回して少し強めに抱き寄せてから、耳の裏側に唇を這わせた。
「それなら、こうは?」
首筋から立ち上るナオちゃんの匂いが、僕自身をたちまち狂おしくさせる。
「ん・・・」と言ったきり、力が抜けたようになるナオちゃん。
ファブリックの薄いシートとナオちゃんと間に差し入れた左手で体を固定し、首筋に顔をうずめながら、カットソーの上から張り出した片方に右手を添え、強く、時に弱く、リズミカルに円運動を繰り返している内に、押し殺したような吐息が漏れてきた。
しばらくそうした後、華奢なウェストを確かめるように裾から右手を入れ、あばらを辿ってパッドの下に指をもぐりこませると、分厚いパッドの下には、見た目よりも随分と控えめで、発達途中の果実のような、薄い膨らみに行き当たった。
弾力はあるものの片手に余るそれを、硬くなった突起ごと手のひら全体を使って転がしてみた。
体が反応するのと合わせて眉間に皺を寄せるナオちゃんの、途切れ途切れの吐息が徐々に切なくなっていく。

僕は右手を抜くと、今度は、捲れ上がったスカートから覗く、長い脚の稜線の内側を撫で上げながら奥を目指したが、そこは堅く閉じられたままだった。
しかし、どんなに脚に力を入れたとしても、細い内腿の付け根には、三角形の隙間ができる。
そこに中指をねじ込み、ストッキングの上から強めに押してみると、湿り気が指先に伝わってきた。
「やだ、、、」と体をくねらせながら腰を浮かして、僕の右手を追い出すナオちゃん。
「なんだ、やっぱり拒否るじゃん。」
体を一旦離して、ナオちゃんと向き合う僕に、
「違う、、、、ここじゃやだってこと。もう、言わせないでよ。」
恥らいつつも、うつむき加減に本音を伝えてきた。
「そうだよね。」
再び、街道へとシビックを出し、ナオちゃんを乗せ、彼女と行くはずだったスポットへと向かった。
据え膳喰わぬは男の恥を通り越して、節操がないにも程がある自分を、僕はただ、誰に対してでもない建前で恥じるのと同時に、極めて原始的な高揚感が沸いてくるのを感じていた。

(続く)