こころのネタ帳 -77ページ目

アワビとプライバシー

地井ばりにぶらりと散歩して戻るとおじさんが私の席に座っていた。
仕事中ではあったのだが猛烈に眠くなったので、少し前に貨物用エレベーターホールへ体を伸ばしに行っていた。
猛烈に眠くなったのにはお昼の鯛の煮つけとしらすご飯が一役買っているに違いないが、それはそうと、その短い間に私の席が占拠されていたわけである。
アワビのおじさんはパソコンをいじっており、覗き込むとメールを見ていたようですぐさま画面を替えた。
ここで、アワビのおじさんとは、大学が同窓の年齢的にはずいぶん上のおじさんで、学校が同じというだけで先輩面してくるいやなおじさんのことである。
以前ベロベロに酔っ払ったときに4次会くらいでアワビのステーキを奢らされた経験があることから、憎しみを込めて今回はアワビのおじさんと呼ぶことにする。
そいつが、私のパソコンでメールを見ていたわけである。
性善説で生きてきた私にとっては、ログインし直して自分のメールを見ているだろうと考えるのが常套であるが、アワビのおじさんに関してはそのアワビの件があるのでお一人様限定で性悪説を適用している。
アワビのおじさんは私の疑いに気づいたのか、私に向かって貝柱をむき出しにして、人のメールを覗き見るほど下世話ではない、自分のメールを見ているのだと主張してきた。
なんやかんや言いながら奴が席から離れたので自分のパソコンを確認してみた。
会社のイントラネットもyahooのログイン状態も私のIDのままであり、案の定、アワビ(おじさん略)が私のメールを覗いていたことが立証された。
立ち上がり文句を言おうと思ったがすでに奴はどこかへ消えてしまっていた。
泣き寝入りである。
貝さながらに口を閉じ、クレジットカードでものすごく大きなアワビを奢らされたあの日と同様に泣き寝入りである。


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笛ガム

飲み屋で会計後、笛ガムを貰った。
かわいいリスちゃんが描かれたあれである。
口に入れてホーホーやりたいが自分の中の「大人」が邪魔をする。
貰った途端に噛み砕くやつがいるとするならそいつはものすごく大人な奴だ。
あるいは、ものすごくロックな奴なのかもしれない。
しかし、一般的にロック=大人は成り立ちにくい。
私は口に入れる勇気もなく、家に持ち帰ってしまった。
何日か経ったがいまだにテーブルの隅に笛ガムは置いてある。

事の始末に困っている。




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ふんだりけったり


通勤電車で目の前のおばさんがしりもちをついた。
それは座っていた女子高生が立ち上がったからのようだ。
立ち上がる時に荷物を介して押され倒された体だ。
おばさんは女子高生をものすごい形相でにらみつけていたが、女子高生もおばさんをものすごい形相でにらみつけていた。
女子高生が電車から降りたためおばさんは席に座れることになった。
網棚から自分の荷物をおろそうとしたところ隣のおじさんのはげ頭に荷物が当たった。
おばさんははげおじさんに一生懸命謝っていた。
はげおじさんが電車から降りるとおばさんは一生懸命ファイルに綴じられた書類を読み始めた。
おばさんはどことなく「勝間さん」を感じさせる雰囲気を持っていた。







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