拙著「四季の華~和歌が織りなす平安時代、雅(みやび)の世界~」幻冬舎様より刊行発売中!💕💖
★10月14日(土)~11月13日(月)まで特設コーナー開催中。
★こちら↑の1枚目のみ,写真ご提供は,名古屋本店様です。
この場をお借りしまして,心より厚くお礼申し上げます。
★以下は,私が撮影しました。
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ついに,できました。
この秋,幻冬舎様より,
2023年09月29日(金)に初版刊行発売!
そして,先週,
2023年10月25日(水)に改訂重版の第2刷刊行発売!
Amazon,楽天ブックス,Yahoo!ショッピングなどで発売中!
是非ともお手にとってご覧下さいませ。
2023年10月28日(土)
長久三年(1042年)五月さつき十三日とおかあまりみっか,わたしは三十四になっていました。
このようにして宮仕えを立ち始めてしまったので,そうして,宮仕えの生活にも慣れて,世間や家のことに気を奪われても,心がねじ曲がっているという評判が無い限りは,もしも続けていたら,ひょっとしたらわたしを一人前のようにお思いなさって,取り立てて下さったのでしょうね。
両親はわたしのことを全く理解しないで,やがてまもなくわたしを結婚させて家に閉じ込めてしまいました。
でも,そうかと言って宮仕えを続けていても,わたしの様子は急に光り輝くような勢いが付くなどあるようなはずも無くって,宮仕え憧れはとてもつまらなかったなと言う,そわそわとした落ち着かない心でいても,それでも続けていれば良いこともあったかも知れないなどと逆に後悔もして,いずれにしても思ってもみず予想外だった様子なのです。。
「一体何千回と田んぼの芹せりを摘むことを繰り返すと言う諺のように,甲斐の無いことをしたのでしょう,思っていたことの少しも叶わなかったことですね。」とだけ独り言をついてそれきりになってしまいました。。
(「田に芹摘みし心」 口語要約文と段付け,「」タイトルはfiorimvsicali。)
かう立ちいでぬとならば,さても,宮づかへのかたにも立ち慣れ,世に紛れたるも,ねぢけがましき覚えもなきほどは,おのづから人のやうにもおぼしもてなさせたまふやうもあらまし。
親たちもいと心得ず,ほどもなく籠(こ)めすゑつ。さりとてそのありさまの,たちまちにきらきらしき勢ひなどあんべいやうもなく,いと由なかりけるすずろ心にても,ことのほかにたがひぬるありさまなりかし。
「いく千ちたび 水の田芹を 摘みしかば 思ひしことの つゆもかなはぬ」,
とばかりひとりごたれてやみぬ。
【更級日記,菅原孝標女すがわらのたかすえのむすめ 原作】
2021年02月01日(月)
こちらのページはご存じですか?。
お住まいの地区はいかがでしょうか。
報道は成されていても,なかなか見えてこない医療機関の様子。
各都道府県のおおよそ,あらましがこれを読むと一目瞭然です。
都道府県の四角□の色が濃くなるほど深刻,黒は最も重くなります。
緊急事態宣言は延長が必要ということは,やはり納得ができると感じます。
2021年02月01日(月)
長久二年(1041年)十二月しわす二十五日はつかあまりいつか,自分の前世が示されてから一年,わたしは三十三になっていました。
この日に,祐子内親王(ゆうしないしんのう)家で御仏名がありまして,わたしもお召しがありましたので,この夜だけだからと思って参上しました。白い衣を重ね着して,濃い紅の掻練かいねりをどの女房達も身にまといまして,四十余人ほどが出仕していました。
わたしが知る人で,わたしをここに出しなさいました人の陰に隠れて,大勢の中でかすかに居るような感じで,明け方まだ暗い時分からもう退出してしまいました。
師走の雪がしきりにちらついて,とてもしばれるまでに凍り付く明け方のお月様が,ほのかな様子でわたしの涙で濡れた掻練の袖に映っているのも,古今集の歌にあるように,本当にお月様が涙に濡れているようです。
その道すがらに詠んだ歌は,「年の瀬になり,夜は明けていく涙顔の月影がわたしの涙で濡れた袖に映っているのは,お月様もすぐ沈んでしまうので儚くも短いひとときなのですね…。」
(「袖に映れりし月影の暁」 口語要約文と段付け,「」タイトルはfiorimvsicali。)
「十二月廿五日,宮の御仏名に召しあれば,その夜ばかりと思ひて参りぬ。
白き衣どもに,濃き掻練を皆着て,四十余人ばかり出でゐたり。
しるべしいでし人のかげに隱れて,あるが中にうちほのめいて,暁にはまかづ。
雪うち散りつつ,いみじく激しくさえ凍る暁がたの月の,ほのかに濃き掻練の袖に映れるも,げにぬるる顏なり。
道すがら,年は暮れ夜は明け方の月影の袖に映れるほどぞはかなき」
【更級日記,菅原孝標女すがわらのたかすえのむすめ 原作】
2021年01月31日(日)
とほつ山々どもはるばると眺むるをりなど,
いかなる心地やせむと詠みはべりしは,
うち眺め 程経(ふ)るままに 数ふれば 来し方さながら 夢になしつる ~fiorimvsicali
★とほつ~遠くの,はるかな。★はるばると~遥かに遠く,広々と。
★眺むる~下二段「ながむ」の連体形。意味は,眺望して見渡す。
和歌の第一句の「眺め」とは,同じ下二段動詞でも意味が異なります。
★をり~形式名詞。その時,時分,場合。
★せむ~サ変動詞「す」の未然形+推量意志の助動詞「む」の連体形。
「いかなる」の疑問語を受けるので,係り結びで連体形になります。
★はべりし~丁寧の補助動詞「はべり」(…でございます。)+過去の助動詞「き」の連体形。
「は」は,係助詞で連体形や準体言を受けるので,「き」の連体形が来ます。
★うち~強調や語調の接頭語。★眺む~ぼんやりと物思いにふける。
★程経るままに~時が経つにつれて。
★ば~已然形「数ふれ」で,順接の恒常条件「~するといつも」の意味。
★来し方~こしかた,またはきしかた。過ぎ去った過去。
★さながら~そのまま,全部。★成す~別の物に変える。
★つる~完了の助動詞「つ」の連体形,詠嘆用法「~だったことですね」。
現代語訳はこちら💕💖。
遥か遠くの山々を広々と見渡す時分などに,一体どんな気持ちがするのでしょうと和歌に詠んだことには,
「少し長いお時間,ぼんやりと物思いに耽り辺りの景色を眺めながら,時が経つにつれてこれまであった日数を思うときはいつでも,過ぎ去ったいろいろな出来事をまるで夢のように感じてしまうことですねよぇ。。」
2021年01月31日(日)
反実仮想(今ある事実に反することを仮に想像する修辞法)の助動詞「まし」を使いました。
「~ませば…まし」=もしも~だったら,…でしょうに,実際はそうならなかったのです。の慣用形です。
「頼みつつ なほ待たませば 北(来た)の花 地に散りぬるは 更に染まらまし ~fiorimvsicali」
【現代語訳はこちら💕💖】
「あなたからお便りを頂けるものと,宛て頼みにしてとても心待ちにしていましたけれど,もしもまだ待つとしましたならば,待ち続けるままにさざんかの花がすっかりと散ってしまって,地面が更に濃く染まっていきましたでしょうに…。
あなたからのお便りが来た(北)ので,こちらお家の北側にある場所故,わたしが待ち焦がれるままに,山茶花が更に染まらなかったのは幸いなことでした。」
2021年01月30日(土)
(今回,また二年ぶりの投稿です。)
長久元年(1040年)三月やよい二十五日はつかあまりいつか,わたしは三十二になっていました。
「それで前世のあなたは箔を押し張りかけのままで,お亡くなりになったのですよ。」とおっしゃるのです。
それで,わたしはこう言いました。
「あら,まぁ,それは大変!そうでしたら,わたしがその仏様に箔をお張り申し上げます。」と。
すると別当のお方が,「あなたの前世の僧のお方がお亡くなりになったので,別の僧が引き継いで箔を押し張り申して,その僧のお方が仏像開眼の供養もしたのですよ。」と聞いたのを夢に見てからわたしが思ったことは次のことです。
もしもこれまで何回もの機会の折に清水寺に熱心にお参りお仕え申し上げたのならば,前世にその清水様で仏像をお祈り申し上げたと言う功徳によって,自然とわたしの人生の行く末も良くもなったのだろうと思うのです。
これは本当に言ふ甲斐も無いことで,お参りお仕え申し上げることも無くて,この時までそのままになってしまいました…。
(「おのが前世を知りて,二」 口語要約文と段付け,「」タイトルはfiorimvsicali。)
🌸💐🌸✨💝💫🌟🎵🌏
あないみじ。さは,あれに箔おし奉らむ」と言へば,
「なくなりにしかば,異人ことひと箔おし奉りて,異人供養もしてし」
と見てのち,清水にねむごろに参りつかうまつらましかば,
前の世にその御寺に仏念じ申しけむ力に,おのづからようもやあらまし。
いといふかひなく,詣でつかうまつることもなくてやみにき。
【更級日記,菅原孝標女すがわらのたかすえのむすめ 原作】
2021年01月30日(土)
★清少納言が仕えていた中宮定子(ちゅうぐうていし)が齢24で亡くなり,清少納言はどんな心境だったのでしょう?。
★彼女の定子への敬愛の念を表わす,「せさせたまふ」,すの未然形+させ+たまふ(二重敬語で最高敬語の待遇)。
★枕草子で定子を「宮の御前」と言っています。
★最後の跋(ばつ)文,枕草子の切っ掛けとなった二人だけの象徴的なやりとりを題材にして創作しました。
宮の御前,長保二年(1001年)十二月十六日御崩御(おんほうぎょ)せらるるをり,
清少納言せむ方なく思ひ嘆きて詠みし。
賜(たま)ひしに せさせたまふを 綴りしは こひしうかぎり さば得てよとて ~fiorimvsicali
★せむかたなし~仕方が無い,どうしようもない。せむかたなく,は連用形。
★十二月十六日~しわすとおかあまりむいか。
(現代語訳はこちら 中宮定子様より賜りましたお帳面に,定子様がなさったことを綴りましたのは,
今は恋しいばかりのー「それではそなたに差し上げます」と啓しなさいました-,その中宮様のために,ただひとへにそうしたのです。)
さば得てよとて,の後には「啓したまひけり」(おっしゃったのです。)という気持ちを含んでいます。
2021年01月29日(金)