
「香港極楽コップス/俺たちに明日はある!?」
「ユン・ピョウinポリス・ストーリー」
原題:神勇雙響炮續集
英題:Rosa
製作:1986年
●新米警官の元彪(ユン・ピョウ)は、ひょんな事からダメ警官の盧冠廷(ローウェル・ロー)と知り合い、一緒に新しい部署へ転属されることになった。しかし新しい部署で待っていたのは、彼らと因縁のあるイヤミ部長・秦沛(ポール・チュン)だった。事あるごとに嫌がらせを受け、元彪たちは頭を抱えることに…。
当の元彪と盧冠廷も始めは仲が悪かったのだが、そんな2人の元に失踪した情報屋・曹査理を探す任務が舞いこんだ。彼は田俊(ジェームス・ティエン)の組織による犯罪現場を撮影し、そのネタで彼らをゆすろうと企んでいたが、今は報復を恐れて身を隠しているらしい。そうと知らない2人は、曹査理の愛人である陸小芬に接触を試みていった。
最初こそはツンツンしていた陸小芬も、様々な出来事を経るうちに元彪たち&盧冠廷の妹である惠英紅(ベティ・ウェイ)と打ちとけていき、いつしか事件の捜査そっちのけで徹マンするほどの仲にまで発展していく(←仕事しろよ!)。だが、曹査理が陸小芬から犯罪現場を収めたフィルムを回収しようとしたため、遂に田俊組織が動き出した。
フィルムは元彪たちの手に渡ったが、組織は陸小芬と惠英紅を誘拐。人質と引き換えにフィルムを持ってくるよう脅迫してきた。愛しの彼女たちを助けるため、元彪と盧冠廷は組織の本部で大乱闘を繰り広げるのだが…?
本作はサモハンが製作を担当したアクション活劇です。邦題に「ポリス・ストーリー」と冠されていますが、劇中ではコメディパートがふんだんに用意されているので、ジャッキーの本家『ポリス・ストーリー』みたいな殺気みなぎる作品にはなっていません。
どちらかというと作品のテイストは『福星』シリーズに近いものがあり、おなじみの役者が顔を連ねています。本筋を完全に無視したお色気ギャグ、いつもの倉庫で展開される激しいファイトなど、そのノリは『福星』シリーズそのまま。最初から最後までサモハンらしさが詰め込まれた、サモハン作品の見本といえるような作品に仕上がっていました。
裏を返せば「いつもと同じで代わり映えのしない作品」と言えなくもないですが、それだけに一定以上の面白さは保っています。前述の通り、本作はコメディパートに集中しているのでアクションは少なめでした。しかしラストバトルでは一転してハイテンションな立ち回りが繰り広げられ、ここまでアクションらしいアクションを見せなかった惠英紅も奮闘しています。
本作でユニークなのは、最後の元彪VS狄威(ディック・ウェイ)の結末です。2人は過去に何度も戦ってきたので、流石にこの顔合わせは食傷気味でした。しかし、戦っているうちに2人は冷凍室に閉じ込められ…ここからの展開は賛否が分かれるところですが、普通に決着を付けずにヒネったオチにすることで、マンネリ感を打破することに成功しています。
……しかしこの対決、寒い季節に見るものじゃありませんね(爆

「CIA」
原題:The Prophet/The Capitol Conspiracy
製作:1999年
●CIAのエージェントであるドン・ザ・ドラゴン・ウィルソンは、昔から勘のよいエスパーのような能力を持ち、相手の行動を先読みすることが得意だった。そんな彼に、爆弾テロを引き起こした5人の容疑者を逮捕し、場合によっては射殺も許可するという特命が下る。
ロスに飛んだ彼は女性捜査官と合流。容疑者たちに接触を試みるが、誰も彼もテロを引き起こすような人物には見えなかった。しかし、その過程で容疑者たちは次々と謎の死を遂げ、いつしかドン自身もCIAに命を狙われることになってしまう。真実を求めて奔走する彼は、事件の裏にCIAの恐るべき陰謀があることを知り…。
今年に入ってから触れる機会の多くなったドンの主演作ですが、本作はその中でもかなり凶悪な代物でした(爆
通常、ドン作品には格闘技の世界チャンピオンなどが頻繁に出演するんですが、本作はその手のゲストがほとんど出てきません。何人かプロレスラーがザコ役で出ているようですが、格闘家や動ける人間をメインに持ってこないのは実に珍しいことです。
ストーリーは謎を追うサスペンスタッチの話で、なおかつアクションシーンが豊富に存在しています。しかし、そのどれもが非常にヌルい出来となっています。原因は全編に渡って演出がスローであるということ。アクションにおける一挙一動から物語の展開まで、その全てが牛歩状態で進んでいくのです。
特に顕著なのがアクションのもっさり具合で、まるでドン作品の駄目なところが強調されたような出来でした。例を挙げると、銃撃戦では棒立ちで銃を撃ちまくり(もちろんドンは一切被弾せず)、敵に追われる場面では走らずにテクテクと歩き、どんなに急いでいるシーンでも小走りで済ませています。
殺陣についても動きが振るわず、終盤に列車の屋根でポール・マイケル・ロビンソンと闘うシーンに至っては、両者ともビビっていて全然動けていませんでした。とはいえ、こんな危険な場所で撮影に挑んだドンたちを責めることは出来ません。ポールもそこそこ動けそうだっただけに、このような結果になったのは実に惜しいことです。
グダグダすぎるオチや低予算丸見えのセットなど、ドン作品の中でも下位に当たる本作。もっとも、『女切り裂き狂団チェーンソー・クイーン』のフレッド・オーレン・レイが監督なので、このような結果になったのも仕方が無い………ワケないよ!(涙

「仮面ライダーW RETUNS 仮面ライダーエターナル」
製作:2011年
▼先々月、当ブログにて坂本浩一監督作『仮面ライダーアクセル』というVシネマを紹介しました。
これは特撮番組『仮面ライダーW』のスピンオフ作品で、実に見応えのある活劇でした。本作はそのスピンオフの第2弾であり、『仮面ライダーW AtoZ FOREVER 運命のガイアメモリ』(以下、劇場版と表記)に登場した大道克己=仮面ライダーエターナル(松岡充)を取り上げています。
ただし、仮面ライダーといってもエターナルは劇場版のラスボスなので、『アクセル』とは勝手が違います。かつて傭兵集団NEVERを率いて暴れ回り、最後は仮面ライダーWに倒された松岡充。本作は、彼の過去を知る超能力者・高梨臨がWたちの前に現れ、数年前に起こった出来事を回想するという形で幕を開けます。
私は『仮面ライダーW』シリーズを見たことが無いため、劇場版と密接な繋がりのある本作に乗り切れるか不安でした。『アクセル』を見た時はなんとかノリに付いていけたのですが、さてさて今回は…?
■NEVER…彼らは死人から蘇生され、超人的な力を身に付けた集団である。しかし、過去の記憶を徐々に失う、特殊な酵素を投与しないと死ぬなどの弱点を抱えていた。数年前、劇場版で猛威を振るう前の彼らは、傭兵として各地の戦場に出没。この日も松岡たちNEVERは、アジア某国でテロリスト掃討作戦を実行しようとしていた。
ところが、そこへ高梨を始めとする超能力者集団が襲いかかってきた。彼女らは狂気の科学者・春田純一に訓練を受けた兵士だったのだ。超能力兵士と仮面ライダーエターナルに変身したコン・テユに敗北したNEVERは、散り散りになったうえに大事な酵素を紛失してしまう。
この春田という男、世界各国から超能力兵士となる人間を誘拐し、自分の研究施設でモルモットのように飼うという所業を平然と行っていた。高梨の懇願もあり、松岡は春田の計画を叩き潰すことを決意する。かくして、捕まっていた候補者たちは反乱を起こし、NEVERも合流しての反抗作戦が始まった。
松岡は1人で敵地に攻め込むが、コンと春田はそれぞれ強力なドーパント(本作における怪人の名称)に変身できたため、苦戦を強いられていく。しかし彼はエターナルへと変身し、形勢は一気に逆転!早くも勝負は決したかと思われたが、思いもよらぬ結末が待ちうけていた……。
▲最初に危惧したとおり、本作は色々と固有名詞や設定などが飛び出してくるため、予備知識ゼロで見ると理解しづらい部分があります。簡単な解説は挿入されますが、個人的には『アクセル』よりも敷居が高く感じてしまいました。
では作品自体はどうなのかといいますと…やはり坂本監督、今回も最高でした!確かに敷居は高いんですが、ストーリーは子供向けとは思えないほどのハード路線。『アクセル』が刑事ドラマなら、『エターナル』は仮面ライダーの名を冠した和製コマンドアクションと言って良いかもしれません。
中でも、僅かに芽生えていた正義感を踏みにじられ、悪に覚醒する松岡の姿は強烈な印象を残しています。中盤で「記憶が消えるなら明日が欲しい」と叫んでいただけに、終盤の展開はより一層悲壮感のあるものとなっていました。悲しみに満ちたダークヒーロー誕生の物語としても、本作は高い完成度を維持していると思います。
また、NEVERのメンバーを演じる方々も実に個性的。セクシーな八代みなせ、オネェキャラを演じた須藤元気、無口な出合正幸と無骨な中村浩二などなど、個々の見せ場も充実しています。それにしても須藤元気のあのキャラは…ちょっと夢に出てきそうです(笑
アクションに関しては今回も激しく、特に前半でNEVERの5人が繰り広げるファイトは素晴らしい出来です。シチュエーション的にも、『アルティメット・ディシジョン』の乱闘シーンを思い出してしまいました。そういえば各々の役割(ナイフ使い・銃持ちの男・棒術使い・長物使い・紅一点)も似ているような気が…もしかしてこれもオマージュ?
ラストでは変身した春田純一に対し、エターナル以外の面々も参加しての激闘が展開されます。惜しむらくは春田氏の素面アクションが無かった事ですが、全体的に概ね良質な本作。『アクセル』に負けず劣らずの秀作なので、坂本監督に興味のある方は必見です!

「チャック・ノリスin地獄の銃弾」
原題:The Cutter
製作:2005年
▼ここのところ格闘映画の話題となると『The Expendables 2』に関連したネタばかり振っていますが、性懲りもなく今回も関連作の紹介です。格闘映画界の黎明期に空手ひとつで殴り込み、『The Expendables 2』への出演が確定したチャック・ノリス……本作は、そんな彼が現時点で最後に主演した作品なのです。
物語は旧約聖書に書かれた宝を巡り、ナチスドイツの地獄を生き抜いた男が陰謀に巻き込まれる姿を描いています。こう書くとスケールの大きな内容に思えますが、実際の内容はいたって普通の探偵アクションだったりします(爆
しかし本作の肝は、ずばりダニエル・バーンハードの存在にあります。『ブラッド・スポーツ2』『マトリックス・リローデット』で高い身体能力を見せた彼と、老練のノリスとの真剣勝負!この新旧マーシャルアーツファイター同士の対決こそが、本作の唯一にして最大の見どころといっても過言ではないのです。
■砂漠の遺跡発掘現場から、裁きの胸当てという装飾品と宝石の原石2つが盗み出された。考古学者を皆殺しにしてまで奪った犯人は、国際指名手配犯のダニエルだった。彼はワシントンに現れると、特殊な宝石のカッティング技術を持つ職人バーニー・コベルを誘拐し、原石のカットを強要する。どうやら彼を背後で操っている人物がいるようだが…?
同じ頃、ダニエルの訪れた町には元刑事の探偵・ノリスという男がいた。ノリスは人探しを専門としており、銃の扱いや格闘技にも長けている。彼はダニエルの指示で誘拐されそうになったジョアンナ・パクラ(バーニーの姪)を助けたため、この事件へ関わる事になった。
ジョアンナの依頼でバーニーの行方を捜索しているうちに、彼が何かしらの大きな事件に巻き込まれたこと、そしてナチスの収容所にいた暗い過去などが判明していく。市警察やインターポールが錯綜する中、ノリスは遂にダニエルと対面する。しかし戦闘で敗北を喫し、アンナも敵の手に落ちてしまった。
僅かな手がかりから敵のアジトを突き止めたノリスは、いよいよ最後の決戦へと挑む。事件の黒幕とバーニーの関係、そして時限爆弾を装着されたアンナの運命は……。
▲本作のノリスは年相応の役柄を演じつつ、今回も悪党を張り倒す空手アクションで頑張っています。さすがにキックの打点は低くなっていますが、パワフルなパンチの応酬で見事にカバー。セガールのようにスタントを使いすぎず、なるだけ生身のアクションに努めていました。
ストーリーはこれといって突出した部分はなく、ソファーで横になりながら見られる安定した内容となっています。ちなみに劇中であっさり死んでしまうインターポールの捜査官を演じているのは、ノリスの実弟であるアーロン・ノリスその人。いつもは製作側に回っていますが、本作では兄ちゃんに向かってスタンガンを打ち込んでいました(笑
そして注目のノリスVSダニエルのドリームマッチですが、こちらは2度にわたって行われています。まず最初はバスの中という足技が使いづらい限定空間で対決がスタート。ここでは若さで勝るダニエルが徐々にリードし、なんとノリスが負ける(!)という意外な結果に終わります。
雪辱に燃えるノリスは、続くラストバトルでいきなりダニエルに銃を発砲!勝負は手技足技を巧みに交え、一歩も譲らぬ接戦になります。世代の離れた格闘スター同士の対決…といえば『ザ・プロテクター』のヴァンダムVSスコット・アドキンスが有名ですが、こちらも負けず劣らずのファイトが展開されていました。
本作から既に6年の歳月が流れ、御年71歳を迎えた我らがチャック・ノリス。『The Expendables 2』で、彼がどう動くのかに注目です!

賣命小子
英題:The Magnificent Ruffians/The Destroyers
製作:1979年
▼これまで一ヶ月に渡ってお送りしてきたショウブラ特選も、いよいよこれで最後となります。そこで今日はラストに相応しく、『嵐を呼ぶドラゴン』の生みの親である大導演・張徹(チャン・ツェー)が放った功夫片を紹介いたします。
本作は郭振鋒(コク・チョイ)、江生(チャン・シャン)、鹿峯(ルー・フェン)、孫健(スン・チェン)、羅奔(ロー・マン)の5人によって結成された功夫ユニット「五毒」の主演作です。既に国内では『五毒拳』『残酷復讐拳』などの名作が発売されていますが、まだまだ日本に上陸していない五毒作品はたくさんあります。本作もその1つで、今回もハードなアクションとストーリーが展開されていました。
■とある街の顔役・鹿峯は、町の人々から敬われる名士であり、同時に金刀(金色の長刀)の達人でもあった。しかし自慢の腕を振るえる機会がほとんど無く、いつも悶々とした日々を送っている。そこで彼は拳法家たちを自宅に招き、真剣勝負の末に殺すことで心の隙間を埋めていた。
一方、こちらは功夫の達人だが貧乏な江生・孫健・王力トリオ。彼らは日々の食費にすら事欠く生活を送っており、いつか極貧生活から抜け出したいと思っているようだ。しかし人に自慢できるものが功夫しかない彼らは、どうすることもできずにいた。
ある日、貧乏トリオは鹿峯の街を訪れ、食費を捻出しようと家宝の剣を質に入れた。彼の剣は鹿峯の手に渡り、その見事さから目を付けられてしまう。そのころ貧乏トリオは、かつて自分たちを助けてくれた郭振鋒(こちらも貧乏な達人)と再会を果たしていた。彼らとコンタクトを取った鹿峯は、「衣食住を保障するからウチに来てくれ」と告げた。
郭振鋒たちを屋敷に招待し、豪華なもてなしをする鹿峯…だが、彼の目的は別にあった。この街には鹿峯と対立関係にある羅奔という暴れん坊がいる。鹿峯は郭振鋒たちを羅奔にぶつけ、厄介者を排除しようと企んでいたのである。これにより郭振鋒たちと羅奔は対立するのだが、なんと闘いを通じて友情が生まれてしまった(笑
そこで鹿峯は、郭振鋒の棍棒を爆薬入りのものと取り替えることで、遂に羅奔の抹殺に成功。いきなり武器が火を噴いた郭振鋒は貧乏トリオに見限られてしまう。続いて鹿峯は暗殺に関わった貧乏トリオを襲い、王力と孫健を殺害する。生き残った江生は郭振鋒と合流すると、鹿峯の部下である余太平から真実を聞き出し、仲間の仇討を誓うのだった。
…とはいえ、鹿峯の金刀は強力で到底勝てる相手ではない。だが、かつて鹿峯の使用人をしていた男から「鹿峯の技には規則性がある」との助言を受け、攻略の糸口を見出していく。特訓を積んだ2人は鹿峯の屋敷に乗り込み、最後の戦いに挑む!
▲本作は中盤までは実に和やかなムードで進んでいきます。食堂でトンチキなやりとりがあったり、鹿峯の邸宅に招待されて上機嫌になったり、羅奔と次第に打ち解けたり……たとえ困難な状況でも明るく元気な主人公たちの姿は、とても生き生きと描かれていました。
しかし、羅奔が暗殺された瞬間に本作は血生臭い方向へシフトし、平穏が崩壊するシークエンスはとても衝撃的でした。本作は簡単に言うと「功夫で食えなくなった男たちの物語」なのですが、のちに現実の香港映画界で現代劇が主流になり、功夫職人たちが次々と銀幕から去っていったことを考えると、なんとも皮肉なストーリーに思えてしまいます。
さて、五毒作品といえば複雑で上質なアクションが恒例ですが、本作でも激しい闘いが繰り広げられていました。今回は五毒に加えて王力が参加し(彼が善役なのは珍しい!)、個々の特性を生かし切ったアクションが構築されています。
他の五毒作品と比較するとアクロバティックな動作が控え目ですが、ラストの郭振鋒&江生VS鹿峯では飛んだり跳ねたりのアクションが復活!3人とも五毒の軽業担当なだけあって、息の合いっぷりも半端ではありません。欲を言えば鹿峯以外にも強敵が欲しかったところですが、全てにおいて高レベルを維持している秀作。功夫映画ファンは必見です!