続・功夫電影専科 -146ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「フラミンゴ殺法 天中拳」
功夫大拍賣
Kung Fu on Sale
1979

▼本作はジャッキーが大ブームだった頃に日本でも公開されたコメディ功夫片である。今まで映画館で香港映画を一本も見た事がない(恥!)私としては、かつて大量に劇場公開された功夫片に対する興味はひとしお。個人的にも見たい作品がいっぱいある中で本作を見る事が出来たのだが、まだまだ全てを見倒すには険しい道のりが待っている…『酔馬拳』『少林寺舞扇拳』『空飛ぶ十字剣』見たいよー!

■司馬龍は父親に反発して家を飛び出したはっちゃくれである。彼は功夫を習いたい願望を持っており、道中知り合ったこじき仲間と大道芸をしたりするが、場末のチンピラに嫌がらせを受ける毎日だ。たびたび司馬龍を助ける謎のヒゲ男が気になるのだが…?
しばらくして司馬龍は、謎の老人・蘇真平(スー・ツェン・ピン)とひょんな事から知り合う。蘇真平は「司馬龍、ワシはおまえのおじいちゃんじゃよ!」と、変なことを言って付きまとう図々しい男だが、なにやらタダ者ではない様子だ。
そんなある日、いつもの如くイヤミな役柄の石天(ディーン・セキ)が司馬龍をイビリに現れたが、蘇真平のアシストもあってどうにか撃退する。その蘇真平の勧めもあって、司馬龍は穀物屋のバイトに就いた。ところが配達先の宗華(チョン・ワー)の道場にいた石天になすすべなく圧倒され、失意に暮れる司馬龍…。彼はがむしゃらに我流の修行を続けるが、蘇真平によってそれとなく形を仕込まれた。
その後、再びリベンジに訪れた司馬龍は上達した腕でついに石天を撃破!ところが、穀物屋の店主から突然の解雇を言い渡されてしまう…これは司馬龍を家に帰そうと企む親父の策略だった。司馬龍は「功夫が金になるものか!」と叱咤され、続いて謎のヒゲ男が司馬龍の前に現れた。実はヒゲ男は司馬龍の一族に恨みを持つ者で、手始めに司馬龍を痛めつけて去っていった。
強くなりたい司馬龍は蘇真平に教えを請い、タイトルのフラミンゴ殺法"?を伝授される。メキメキと上達した司馬龍は、自分を探してこじき仲間を痛めつけたヒゲ男と激突を繰り広げる!

▲本作にはジャッキー作品を連想させる演出などがあり、司馬龍はジャッキーを、ヒゲ男は黄正利を、司馬龍の父親は田豊をそれぞれ連想させるキャラクターになっている(蘇真平は言わずもがな)。しかし暑苦しい顔の司馬龍がジャッキーっぽい人物を演じるにはさすがにムリがあり(爆)、作品自体も特に際立って面白いものではない。
アクションに関してもジャッキー作品に傾倒したものであり、むやみに"それっぽく"しようとしたためにくどい殺陣になっている。とはいえ、ラストの司馬龍VSヒゲ男のバトルはそれなりにいいアクションでクオリティを保っており、それなりに評価できる。ただ、やはりここまでの展開がちょっとダルくて辛いかな?
ちなみに上記のDVD版には『猛虎下山』の陳星と染野さんのフォトが私用されていますが、2人とも出てないのでご注意を。


「ダーク・エンジェル」
Dark Angel
1991

●セガールやヴァンダムと比較するとイマイチ知名度の低いドルフ・ラングレン。彼については『リトルトウキョー・殺人課』でも少し触れたが、今回は彼の完全主演作だ。話としては刑事アクションにエイリアンをブチ込んだ意欲的な内容で、刑事のドルフがFBIのチビや検死官のヒロインと共に謎の殺人事件に首を突っ込むが、それは宇宙から来た麻薬ディーラーのマシアス・ヒューズによるものだった。マシアスは人間からエンドルフィン(脳内麻薬)を抽出してドラッグに精製しており、それを追って別のエイリアンも現れる。ドルフは次第に人であらざる存在を確信していく…というもの。
残念ながら格闘アクションはそれほど登場しない。しかし所構わず繰り広げられる爆破スタントは圧巻で、特にマシアス扮する悪のエイリアンが警官エイリアンに追われる場面がスゴい。このシーンでマシアスは車を踏み越えて逃げていくのだが、警官エイリアンが銃を発砲し、車がマシアスの背後で次々と爆発していくのだ。これ、マシアス本人が演じているかどうかを抜きにしてもかなり危ないスタントである。
感想としてはエイリアンの存在に気付くまでにもう少し描写が欲しかったのと、当初対立していた麻薬組織との決着が尻すぼみになってしまった事がちょっと不満だ。後はヤな感じだった上司が何の制裁も受けていない(FBIの悪上司はドルフに片付けられたのに)ぐらいだが、危険なスタントとテンポ良く進む話のおかげでそれなりに見られる作品となっている。ただ、やはりマーシャルアーツ映画としては最後のドルフVSマシアスのバトルをもっと派手にしてほしかったかな。
先述したセガール・ヴァンダムらは印象に残る作品や代表作を打ち立てているが、ドルフは特にこれといった作品が思い当たらない。個人的には呉宇森(ジョン・ウー)と組んでいる『ブラック・ジャック』なる作品が気になる所。果たして、彼の代表作に巡り会えるのはいつの日か…?


萬人斬
Killer Constable
Lightning Kung Fu
1980

▼ショウブラに数多ある武侠片の中でも、傑作と呼ばれる作品だ。個人的に武侠片は難解な展開も多いので敬遠しがちではあるが、本作や五毒の武侠片は常々見てみたかったところです。それにしても、つい数年前まで八方手を尽くさなければ見る事は出来なかった作品が選り取りみどりで手に入るとは…今更ながら、つくづく便利な時代になったと思います(とはいえ、当方がショウブラを知ったのは天映娯樂の再リリースがきっかけだったので、あまり大きなことは言えませんが…)。
監督の桂治洪はどちらかというとホラー映画の人らしいが、本作でもなかなか手堅い演出を見せている。出演は陳觀泰(チェン・カンタイ)、曹達華(チョウ・ダッワー)、そのほかには谷峰・狄威・江島とお馴染みの顔揃いで、鹿村泰祥が武術指導を担当している事でも知られている。

■時は西太后の時代。萬人斬と呼ばれる必殺仕事人・陳觀泰は、非情だがどんな任務も遂行するプロフェッショナルだ。ある時、陳觀泰は盗まれた金塊を上官の曹達華から奪回するよう命じられた。金塊を盗んだとされる敵の盗賊団と闘っていく陳觀泰とその部下たち(江島や狄威など)だが、足技の権永文(クァン・ユンムン)、毒矢使いの白彪(バイ・ピョウ)などの激戦で、多くの部下を失ってしまう。
陳觀泰自身も盗賊団の頭目である谷峰(クー・フェン)のもとまで迫るが、重傷を負って盲目の娘に助けられる。実はこの娘の父は谷峰(娘には頭目である事は内緒らしい)で、遅れて帰宅した谷峰は陳觀泰と一触即発の状況となる。だが、娘に危害を加えたくない谷峰の思いを酌んだ陳觀泰は、谷峰と場所を移動。豪雨が吹きすさぶ山中で、改めて雌雄を決するのだった。
仲間を大勢失い、ボロボロになりながらも生き残った陳觀泰。ところが、死に際の谷峰の口から思いもよらぬ黒幕の存在が語られる…何と、裏で糸を引いていたのは陳觀泰の上官・曹達華だというのだ!
曹達華は結託していた盗賊団の残党を始末し、金塊を独り占めしてウハウハだ。陳觀泰は死んでいった部下の無念を晴らすべく、たった一人で曹達華のもとへ切り込む!そこに曹達華の護衛が立ちはだかるのだが、これに扮しているのが若き日の元華だ!雑兵を蹴散らし、陳觀泰VS元華という貴重な顔合わせによるバトルを制した陳觀泰だが…!?

▲本作で最初に面白い感じたのは、普通の功夫・武侠片とは違う斬新なカメラワークだ。緊迫感溢れるカット割り、陳觀泰の非情さを表す場面の撮り方、残酷なシーンの演出など、ホラー映画を撮ってきた桂治洪ならではの画作りは他の作品には見られないものだ。
また、ハードボイルドなストーリーには引き込まれるものがあり、物悲しいラストとも相まってとても印象に残る。アクションについても面白く、プロフェッショナルらしく陳觀泰は足技の権永文を水際に追い込んで倒すなど、工夫に富んだ殺陣は武術指導家・鹿村泰祥の手腕が光る仕事っぷりだった。
残酷描写が苦手な人にはちょびっとキツいかもしれないが、噂に違わぬ傑作だ。でも、こうなってくるとショウブラ復刻のどれから手を出していいのかわからない…今更ながら、つくづく便利な時代になったと思います(爆


師兄師弟
Masters of Tiger Crane
1984(1982?)

▼黄正利(ウォン・チェン・リー)が出演している韓国功夫片で、主演は徐炳憲(ベニー・ツイ)という兄ちゃんだ。役柄的にジャッキーを意識したキャラクターを演じている徐炳憲だが、いかんせんいかつい顔なのでムサ苦しいというかなんというか…(爆

■物語は少林寺の寺男である徐炳憲が、黄正利とその妹(2人とも『武装煉金』みたいなパピヨン仮面装着…ハズかしいぞ!)に師匠を殺され、兄を誘拐されるところから始まる。とはいえ、仇討ち相手に関する手がかりは死に際に師匠から託された黄正利のネックレスのみ。関所で門番にからかわれたり、チンピラにボコられそうになったり、変なジジイに連れられて食い逃げの片棒を担がされ、食堂で働かされたりと七転八倒。一向に仇敵探しは進展しなかった。
更には黄正利の手下に持っていたネックレスを見られた徐炳憲。報告を受けた黄正利は「あの小僧からネックレスを取り返せ!」と手下に命じ、あっという間に徐炳憲を捕らえてしまう。今回の黄正利は誘拐された徐炳憲の兄に絵を描かせており(画家?贋作職人?)、その絵を役人に売り渡していた。絵を売って金儲けって…悪事のスケール小さいぞ黄正利!(笑
捕まった徐炳憲は兄と悲劇の再会を果たすが、その晩にあの変なジジイに助け出された。ジジイは今まで幾度か徐炳憲のピンチを助けており、先に殺された師匠の兄弟弟子でもあった。かくして、ジジイ師匠からこの手の作品ではお馴染みのヘンテコ修行を受け、腕を磨いた徐炳憲はいよいよ本格的な仇討ちへと向かった!

▼徐炳憲が仇討ちに向かったところからアクションは俄然ヒートアップ!作中ではここまでずっとやられてばかりだった徐炳憲は、その鬱憤を晴らすかのように大暴れを展開している。さすがに黄正利には苦戦するものの、ジジイ師匠の決死の加勢で遂に仇を討つなど、ほとんどその勢いは『ヤング・マスター』もビックリといった感じだ。
アクロバットな動作を交えたラストバトルはかなり面白いが、個人的に驚いたのが徐炳憲である。徐炳憲はぜんぜん知らない人だが、本作では黄正利に負けないテコンドーアクションを披露。その迫力たるや、黄正利も霞んでしまうほどだった(もっとも、本作の黄正利にあまり凄みが無かったということもあるのだが…)。
しかしこの展開を見ても解るとおり、本作はこのクライマックスから完全に別物のストーリーとなってしまっている。
前半は典型的な『酔拳』チックのコメディ功夫片だが、後半に進むに連れてどんどん陰惨な展開へと向かっていき、食堂の娘さん・徐炳憲の兄・ジジイ師匠に至るまで、徐炳憲と親しくしていた人々は全員殺されてしまうのだ。食堂の娘さんは明確に死んだ描写は無いものの、最後に登場したシーンを見るに、無事では済んでいないハズである。
コメディ部分の演出がちょっとモタついていたところを見ると、本作の監督はあまりこの手の話が好きではなく、とっととシリアスなストーリーに持っていきたかったのではないかと思われる(あくまで推測ですが…)。決して悪くは無い作品ではあるが、最後の展開がなぁ……う~ん。


翻山虎
Duel in the Tiger Den
Macho Man
1972

●全く無名の功夫片だが、これには極初期の何宗道(ホー・チョンドー)が出演している。とはいえ、制作年代から見ても解るとおり何宗道は主役ではない。当然バッタもん李小龍はやっておらず、実際の主役は演者不明の男女で、何宗道はなんと悪役として登場するのだ!出てきてすぐに主人公にやられてしまうが、悪役・何宗道というのもなかなか珍しいのでは?
ストーリーは日本軍と結託している悪党?が仕切る町に現れた男女が、悪党の謎を探っていく?というシリアスタッチの物語だ。私が入手したのは字幕なしの英語吹替版であり、セリフで語られる箇所が多々あるため、ビジュアルだけで物語を把握するのは少々難しいのが難点だ(って、これと同じ事を前にも言ったような…)。
そして出演者は主演の男女を含め、何宗道ぐらいしか知った顔は出ていない。似たような顔のオヤジたちが殴りあうだけの話は見ていて辛いものがあったが、幸いアクションについては70年代の、それも香港映画ほどのスキルがまだ無かった台湾映画であることを考えるとそれなりに頑張っている(あくまで"それなりに"です)。
移動している機関車の上で戦ったりとスタントもいくつかあり、年代の割には見られる出来になっていたのはちょっと得した感じがするが、やはりスター不在というのが一番の問題だった(この当時でも無理をすれば白鷹あたりを呼んでこられたのではないだろうか?)。
ちなみに終盤は男の主人公が次々に敵を倒していくのだが、マラソンバトルもどきがこれでもかと続く展開はむちゃくちゃダレます(爆)。全体的に見ても注目すべきポイントは何宗道の悪役演技くらいしかなく、まったくのノンスター映画なので、何宗道に釣られて見られないように!…って、そんな人いないよなぁ。
ところで、本作のどこが『Macho Man』だったんだろうか?(笑