続・功夫電影専科 -147ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


無招勝有招
Crazy Couple
1979

▼この作品は、以前「面白い広報イラストの作品がある」と聞き、ちょっと気になって入手したものである(笑
しかし実際に見てみるとスタッフやキャストの充実っぷりに驚きました。主演は劉氏兄弟の一番地味な方(爆)の劉家勇で、他に石天(ディーン・セキ)を始めとしたジャッキー映画系の面子が締めている。びっくりしたのがここからで、製作は曾志偉(エリック・ツァン)、監督が劉觀偉(リッキー・リュウ)、脚本が黄百鳴(レイモンド・ウォン)と、まるでシネマシティのような布陣が揃っているのだ。
シネマシティといえば『悪漢探偵』などの傑作を作り出し、香港映画界に新風を吹き込んだ会社だ。昔ながらのありきたりな功夫片は作らないことを旨としていた事でも知られているが、そのシネマシティの主要スタッフが作った功夫片が本作だ。功夫映画ファンとしては、かなり気になる組み合わせである。

■劉家勇は売れない猿回しで、獣医の王清(ワン・チン)の家に居候している。一方の石天は陳龍の道場で師範代をしており、2人は仲がいいのか悪いのかよくわからない間柄で、本作は彼らが主役である。
ある日、突然石天のいる道場が唐炎燦(トン・ウェンチャイ)率いる一派に襲撃された。どうにか王清と劉家勇の加勢で撃退したものの、その裏には馮克安(手下に火星がいる)の影があり、唐炎燦は馮克安によって始末される。劉家勇と石天は馮克安が黒幕と知らずに近付いたため、王清が殺されてしまった。
悪党の馮克安は陳龍をも殺し、劉家勇と石天もまた追われる身となってしまう。その後、2人はなぜか黄蝦(ウォン・ハー)に何度もちょっかいを出されたり、功夫の達人である周潤堅に弟子入りを志願したりと七転八倒を繰り広げ、最終的には何故か黄蝦のところへ弟子入りを決定した。
黄蝦のもとで修行に励む2人はそれぞれ拳法を習得していくが、ある日顔見知りの李麗麗(リリー・リー)と再会した事から、2人は再び馮克安と遭遇する事となる。猿拳の劉家勇とタコ拳の石天VS鷹爪拳の馮克安との死闘の行方は、果たして…?

▲本作は言葉で説明している箇所が多いので、細部まで理解する事は出来なかった。馮克安はどうして悪事を働くのか、劉家勇たちはどうして黄蝦に弟子入りしたのか、李麗麗はなぜ劉家勇らを襲ったのか等、表面だけの情報ではちょっと解りづらいところがある。
しかし本作はそれを差し引いても面白い要素が多い。石天は今回もギャグを炸裂させ、功夫アクションもこなすし(今回の石天は最初からある程度強い!)、しっかり笑いを取っている。これについては石天ウォッチャーも注目だろう。ギャグといえば、先にも紹介した曾志偉が王清の娘役(!)で登場しているのが特筆で、石天とのラブシーンまであったりするから困ったものだ(爆
また、王清VS劉家勇、陳龍VS唐炎燦、馮克安VS唐炎燦、劉家勇VS黄蝦などなど…挙げたらキリがないが、本作には他ではあまり見かけないような顔合わせのバトルがあったりする。そのバトルの内容も濃く(武術指導は馮克安と黄蝦)、こちらだけでも十分楽しむ事ができる。
それにしても、やはり細かいところが解っていたらもっと面白いはず…ここだけはどうしても残念だ(日本語吹替えとかあったら更に面白そう)。ジャッキーブームの頃にテレビ放送していてもおかしくなさそうなコメディ功夫片。とりあえず石天迷&功夫映画ファンは一軒の価値ありです!


「天才カンフー」
原題:天才功夫
英題:Kung Fu Genius
製作:1979年

▼本作は前々から見てみたかった作品の1つである。製作はかの協利電影で、主演は『蛇拳』の主演候補にも挙がっていた金童(クリフ・ロク)。そして何よりも、個人的に注目していたのは本作に小候が出演している事である。小候は『マッドクンフー・猿拳』などで驚異的な身の軽さを披露し、劉家良(ラウ・カーリョン)作品の軽業担当として大いに活躍した名スターだ。他にも監督兼任の唐偉成や李海生など、ショウブラ系の面子が顔を見せている。
これがショウブラ作品なら「ああ、これなら安心してみられるな…」と無難な感想しか抱かない所だが、劉家輝も汪禹もいない独立プロ作品となれば話は別。協利は『懲罰』で倉田保昭を、『巡捕房』で黄正利を呼んだが、本作では彼らが画面を引き締めているのだ。

■金童は功夫の達人で、一度見たものはすぐ覚えてしまう天賦の才を持っていた。ある時、1人しかいない弟子(『少林寺VS忍者』で劉家輝の書生をやってた人)の進言をキッカケに、金童は思い切って"天才武館"なる道場を建てた。
一方その頃、こちらは近くにある陳龍の道場。ここでは神打を用いた訓練をしており、門下生の1人が金童の道場が建ったことに腹を立てていた。彼は「大変ですよ師匠!このままじゃウチの道場が潰されるかもしれません!」と注進したが、陳龍は「新しい道場の一つや二つが何だ?」と大人な対応。反面、その門下生は小候を連れて金童の道場へと乗り込んだ。
金童VS小候という珠玉の顔合わせによるバトルが行われ、結果は金童の勝利に終わったが、件の門下生は腹の虫が治まらない。そこで金童の弟子を闇夜に紛れて襲ったところ、あまりに強くボコったせいで金童の弟子は知的障害者になってしまった(!)。
 翌日、弟子を小候に猿回しにされて(『マッドクンフー・猿拳』じゃ逆の立場だったのに…)怒りに燃える金童だが、ここは大人しく弟子を伴って引き上げた。例の門下生は娼館で女と遊んでおり、追ってきた金童と大乱闘を繰り広げる。しかし、そこに悪党の李海生が介入し、門下生をタコ殴りにしてしまう。奴は外道だが放ってはおけない…金童は李海生らを相手取って大立ち回りを展開。本当は殺してやりたかったが、金童は門下生を手厚い仕置きに処するのみに止めた。
ところが、李海生の所では乱闘に参加した息子がショックで知的障害者になっていた(またかよ!)。仕返しはしたいが金童に自分の腕では敵わない…そこで李海生は用心棒の唐偉成を呼び寄せた。手始めに李海生一味は問題の発端となった門下生のいる陳龍道場を襲撃し、続いて金童を襲った。その戦いの中で陳龍道場から唯一生き残った例の門下生も死に、弟子は李海生たちに人質として捕らえられてしまうが…?

▼本作の金童はあまりコメディ功夫片には見られない、生まれながらの天才というキャラとなっている。奥義書をペラ見しただけで拳法を暗記したりと、苦労して形を覚えていた『酔拳』のジャッキーも涙目になりそうな設定だ。しかし、これがかえって作品の広がりを狭めてしまったようにも思える。
未熟者の落ちこぼれであれば、奇抜な修業で笑いを呼べるし、人間的に成長したりと描けるドラマの幅は大きい。しかし本作のように最初からプロフェッショナルだと、逆に動かしづらいものだ(要は演出次第だが)。
 よって、本作は最初こそコメディ風味だが、途中からは陰惨な物語になっている。終盤に例の門下生が死ぬものの、金童が立ち上がる動機付けとしてはあまりにも微妙だ。この男は金童にとっては弟子をパーにした仇だし、元を辿れば李海生との確執が生まれる元になったのもこいつである。いったいどこに怒りをぶつけていいものかどうか…これには金童も戸惑っているようだった(苦笑
しかし功夫アクションについてはかなり健闘している。注目の金童VS小候は素手の対決とウェポンバトルで2回行われて満腹だし、李海生&唐偉成VS陳龍という珍バトルなど見どころは多い。それにアクロバットな動きや様々な拳法、加えて豊富な武器術などで満遍なくアクションを展開する金童が素晴らしい。ストーリーさえマトモだったら、文句なしの傑作だったんだけどなぁ…。


「キックボクサー5」
KICKBOXER 5/KICKBOXER 5: THE REDEMPTION
搏撃之王第五集
1995

●かつてヴァンダムが主演した『キックボクサー』という映画があった。この作品は後にサシャ・ミッチェルが主演を引き継ぎ、『キックボクサー2』『キックボクサー3』『キックボクサー4』まで製作された。そして本作ではマーシャルアーツ映画きってのアクションスター、マーク・ダカスコスが主演を務めている。とは言ってもシリーズ的な繋がりは薄く、ミッチェルが演じたキャラが冒頭殺され(ミッチェルは登場せずシルエットのみ)、その友人だったダカスコスが立ち上がるので、シリーズを通して見ていなくても大丈夫です(かくいう私もまだ未見…)。
ダカスコスは若くしてキックボクサーを引退した男。その友人がキックボクサーのチャンピオンとなるのだが、ジェームズ・ライアン率いる組織の要求を跳ね除けた友人は殺されてしまう。ダカスコスは敵の本拠地がある南アメリカへと向かい、組織に雇われたが反発して共に逃亡者の身となったジェフ・ミードと闘っていく。
本作の注目すべき箇所はズバリ、マーク・ダカスコスVSジェームズ・ライアンという、マーシャルアーツ映画夢の対決である。
ジェームズ・ライアンは日本でもリリースされている『サンダー・ウォリアーズ』などで主演を張ったひと昔前のアクションスター。そのアクションの基礎は空手がベースで、『サンダー・ウォリアーズ』では制作年代の割には結構いい動きをしていた。そんなライアンとダカスコスの対決!…なのだが、そのラストバトルはナイトシーンの上に途中から取っ組み合いになってしまうというお粗末なものとなっている(途中までは良かったのだが…)。
これはちょっと残念だったが、ダカスコスは全編に渡ってアクロバティックな足技を披露。タイトルがキックボクサーなのにダカスコスは棒術や中国拳法みたいなアクションを見せていて面白い。ジャケを見るとジェフ・ミードがラスボスっぽく見えるが、彼も彼でそれなりに頑張っている(なお、ジャケ裏にジェフが丸太を持ち上げたりファイティングポーズをキメているスチールがあるが、本編中にこんな場面はありません)。
マーシャルアーツ映画としては佳作ですが、なかなかの拾い物といった感じでした。


「レッド・サン・ライジング」
原題:Red Sun Rising
製作:1993年

●京都府警の刑事であるドン・ザ・ドラゴン・ウィルソンは、悪党のスーン・テック・オーと仲間の殺し屋であるジェームス・リューを追っていたが、相棒のユージ・オクモトを殺されてしまう。
その後、ロサンゼルスで捕まったスーンの身柄を預かるべく渡米したドンだが、現地ではギャング同士による抗争の真っ最中。ロス市警は身柄引き渡しなどに構っているヒマなど無く、日本人だからとドンを差別しまくる有様だった。
 ところがその矢先、リューの手によってスーンが殺されてしまう。このまま帰るわけにいかなくなったドンは、叔父のマコ岩松の元へと身を寄せ、独断で捜査を開始。よそ者に暴れて欲しくないロス市警は、お目付け役に女刑事のテリー・ファレルを押し付けた。
ところがスーンはリューの特殊な拳によって仮死状態にされたにすぎず、2人は秘かに逃亡。ドンはスーンたちがギャング相手に武器密輸を企んでいることを突き止めるも、独断専行が行き過ぎてテリーが謹慎処分を食らってしまう。
やがて警察内部や財務省にも敵が潜り込んでいた事が発覚し、ドンを毛嫌いしていた警察署長(マイケル・アイアンサイド)がスパイを調査していたというご都合的な展開へ。やがてドンは対立するギャングの一方と手を組み、リューとの決戦に挑むのだが…。

 本作はおなじみドン・ザ・ドラゴン・ウィルソン主演のポリスアクションですが、本作で彼は日本人(正確にはハーフ)の刑事を演じ、アメリカで大暴れするという風変わりなストーリーとなっています。
ヘンテコな日本描写も多く、オープニングで道頓堀が映ったと思ったら直後に「TOKYO JAPAN」と表示され、そこで京都府警のドンが暴れるというデタラメっぷりです(笑)。しかし話のほうは主人公に対して批判的なキャラクターが多く、かなりの苦境に立たされていました。
 なにしろ日本では厄介者として偏見に満ちた目で見られ、ロス市警からは疫病神扱いされ、事件の証人は次々と殺されていくのです。協力的なのはテリーとマコ岩松しかおらず、これでは息苦しくて見ていられません。
恐らく、本作は逆境に立たされるドンの姿を通して人種的偏見に訴えようと試みたようですが、残念ながら逆境過ぎてあまり面白くなかった…というのが正直な感想でした。
 ただ、アクションシーンでは絡み役も動ける連中が揃っており、特にジェームス・リューが大悪役を演じているのがポイント。彼は『リーサル・ウェポン4』で李連杰(ジェット・リー)に制裁を受け、チャイナタウンで殺される脇役などで知られています。
そのせいか香港映画ファンにはいまいち知られていませんが、格闘映画ではメインの悪役を務める事も多く、本作では堂々のラスボス役を好演。『リーサル~』では見せる暇もなかったアクロバットな動作を披露し、その実力を見せています。
惜しむらくは殺陣が大味で、ドンの動作がもっさり気味な点なんですが…(ちなみに武術指導はドン本人)。あと、作中で彼が日本語を喋る場面があるんですが、案の定カタコトで発音も滅茶苦茶。その後、テリーが「日本語って壊れた無線機みたいね」国辱級の毒を吐くシーンがあり、危うく同意しかけてしまいました(爆


Deadly Shaolin Longfist
1983

●一部で"韓国のジャッキー"と呼ばれている鄭眞化(エルトン・チョン)の主演作で、韓国製の功夫片である。
それゆえ、詳細不明&知っている顔が全くいないというツラい作品(個人的に鄭眞化の主演作を見るのは初めてなので、顔を知らないのと同様の状態)だった。作風は鄭眞化が主演というだけあってジャッキーの『酔拳』風なタッチが盛り込まれている。しかし全体的な色はシリアスなストーリーで内容が入り組んでおり、鄭眞化のパートとヒロインのパートが完全に分裂しているので、かなりややっこしい内容となっている。
師匠を白髪男が率いる四天王のリーダー格が率いる衛兵に殺された(長っ!)鄭眞化は、流れ流れて変なジジイ(『酔拳』の赤鼻じいちゃん的キャラ)に拾われる。早く敵に仇討ちしたくてたまらない鄭眞化はジジイに反発するが、のちに紆余曲折あって拳法(将棋拳?)を習う。だが、途中でジジイは死んだフリをして鄭眞化と別れてしまう(理由は不明)。
一方、別ルートで行動していたヒロイン(鄭眞化の死んだ師匠と関係アリ?)は、何度か敵に闇討ちを仕掛けたりしていた。更にどことなく陳星に似た謎の男(先のジジイと同門らしい)も登場し、なんだかんだあって3人は共通の敵に挑んでいくのだった。
分裂したストーリーと知らない人だらけの出演陣、加えて私の入手したバージョンはカットされまくりの仕様(明らかにカットされた形跡が見られる)だったので見る気がかなり削がれそうだったが、ことアクションに関しては結構頑張っていた。殺陣のテンポはまとまっておらず、アクションも見どころはクライマックスぐらいだが、力任せに繰り出される場当たり的なアクションにはやけに迫力があり、アクションを見ていただけでもそれなりに楽しむことができた。
鄭眞化との初接触としては正直微妙な作品だったが、それについてもこれからに期待か?