続・功夫電影専科 -145ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


[木梁]上君子
Fast Fingers
1983

▼あまり知られていないショウブラ作品だが、董驃(トン・ピョウ)・蒋金(ジャン・ジン)・太保(タイ・ポー)などといったジャッキー作品でもお馴染みの面子が揃っており、主演の錢小豪(チン・シウホウ)・羅奔(ロー・マン)・王龍威(ワン・ロンウェイ)らショウブラ勢との共演はちょっと新鮮だ。なお、本作の監督はこれまた『酔拳』で棒使いを演じた徐蝦で、自身もこっそりカメオ出演している。
個人的には徐蝦の監督作、王龍威の出演作の1つとしても気になっていた作品だが、これがなかなかの拾い物でした。

■主人公の錢小豪と蒋金はコソ泥コンビで、今日は錢小豪の叔父である董驃(もちろん泥棒)が出所する日だ。さっそく錢小豪たちにサイフをスられた刑事の羅奔は彼らに詰め寄るが、いいように誤魔化されてフケられてしまう(ここでの董驃たちの言い訳がメチャクチャで笑える)。
3人は豆腐屋を経営している董驃の娘たち(姉は羅奔といい仲で、妹はちっちゃくてじゃじゃ馬娘)のところへとやって来た。相変わらず羅奔は董驃たちを疑っているようだが、その羅奔は上司から斧頭党が勢力を伸ばしてきている事を知らされる。組織を率いているのは王龍威と悪のマダムで、なにげに手下の中に錢嘉樂(チン・カーロッ)がいたりするのが面白い。
その後もせっせとお仕事(笑)を続けていくお三方。あるとき斧頭党の人の懐に手を出して大変な目にあったが、ハネ伸ばしに出かけたカジノが運悪く斧頭党の経営するところだったのでさぁ大変!当然乱闘騒ぎとなるが、そこで錢小豪は王龍威が邪魔な警察署長を暗殺する計画を立てていることを耳にしてしまう。
警察署が爆破され、大怪我を負った署長を守るべく、羅奔と協力して警備に当たる錢小豪たち。敵は聖歌隊に化けて刺客を放つも、錢小豪らの機転で失敗してしまう(ここで聖歌隊が歌う曲は『プロジェクトA2/史上最大の標的』で董驃が歌っていたもの…あれって即興の歌じゃなかったんですねぇ)。そこで王龍威らは自ら出向き、錢小豪たちと王龍威ら斧頭党の激突が繰り広げられる!

▲本作はキャストを見ても解るとおり、無茶なスタントやいくつものコメディ的な演出など、そこかしこにジャッキー作品っぽい雰囲気が漂っている。しかし単にジャッキーに続けと傾倒したものではなく、ミュージカルあり・歌あり・ほんのりお色気シーンあり・ギャグも満載と、まさにお祭り映画の様相を呈しているのだ。
その分ストーリーにはまとまりがないが、無駄にテンションの高い功夫アクションが見事で、加えて不必要な血は流れないようになっているのも特筆。また、ジャッキー作品では引き立て役ばかりやっていた董驃と蒋金が本作では普通に強い役になっているのもユニークだ。
ラストのオチも含め、ワハハと笑える楽しい作品。無名の作品でもそれなりの手ごたえが帰ってくるショウブラ作品、改めて恐るべし!ですね(笑


「チャック・ノリスin地獄の刑事」
黄面老虎
Yellow Faced Tiger/Slaughter in San Francisco/Karate Cop
1974

▼本作は元々羅維(ロー・ウェイ)が李小龍の主演作として用意していた作品だったが、李小龍に蹴られ、当時新人だった王道(ワン・タオ)へとお役が回ってきた曰く付きの作品である(同じような経緯を辿った作品として、ジミー先生の『冷面虎』などがある)。
国内ではポニー版の英語吹き替え版ビデオが出回っていたが、最近になってフォーチュンスターから中文オリジナル版が発売されている。向こうのバージョンには勇壮な主題歌があるとのことだが、現在はショウブラ復刻も含めて未公開作にしっちゃかめっちゃかなため、私は買うかどうか解りません(爆

■舞台はサンフランシスコの中国人街。王道は警官で、デビュー当時の張艾嘉(シルビア・チャン)が絡んだ事件で王道は人を殺してしまう。しばらくして社会に復帰した王道はレストランのウェイターとして新たな人生るが、彼の前に、マフィアのチャック・ノリスが現れた。
コーヒーを注ごうとした王道の手に火の付いた葉巻を擦り付けたが、王道はぐっと堪えてコーヒーを注ぎ終わった。その根性を気に入ったノリスは彼を仲間に引き入れようと呼び出すが、正義の心は健在だった王道はこれをはねのけるのだった。
その夜、王道と飲み明かした元相棒のジョージは強盗事件を目撃。立ち向かうジョージだが殺害され、翌日になって強盗事件の発覚と共にジョージの死も確認された。
その死体があったのは張艾嘉の家の前で、目撃者の証言から犯人グループは中国系だったということもあり、何の罪もない張艾嘉の父は警察の留置所送りになってしまう。
親友の死の真相に迫るべく独自操作を開始した王道は、ジョージが死の間際にちぎり取ったと思われる犯人のシャツの切れ端をゲットするが、そこで再び張艾嘉と出会う。張艾嘉の彼氏が迎えに来たので後をつけてみると、そこはチャック・ノリスの屋敷だった。
潜り込んで調べてみると、切れ端にぴったりの破れた服を所持する男・銭月笙(チェン・ユーサン)を確保した王道。早速警察に連れて行ったが、確証できないから釈放されてしまう…ってんなアホな!
そこで王道は再び銭月笙に詰め寄り、裏で事件の糸を引いている人物を倉庫街に呼び出すよう命じた。呼び出してみると、黒幕の正体は警察のお偉いさんだった。彼はノリスと共謀して大金をせしめようとしていたのだが、結局王道の手により地獄送りとあいなった。
敵も黙ってはいない。張艾嘉の父の弁護士が林正英(ラム・チェンイン)に消され、彼氏といた張艾嘉もノリスに襲われそうになった。王道の所へ転がり込んだ張艾嘉は、事件の真の黒幕はノリスだった事を告げ、王道はノリスの手下が大勢控える屋敷へ単身乗り込むのだった。

▲これが初主演となる王道だが、そのいかにも正統派といった感じのマスクは格好良く、またアクションも果敢にこなしている。日本で見られる彼の主演作が本作と『ニンジャ・サンダーボルト』などのニンジャ映画くらいなのが惜しいが、彼は本格的な功夫スターであり、『南拳北腿』などの正統派路線でその実力を見せている。
本作で気になるのがやはりノリスの存在だろう。いわずと知れた『ドラゴンへの道』での彼と比べると流石に劣る(もっとも、李小龍という男が相手なのでこの差は仕方がない)が、年代のわりにはなかなかのバトルを披露。個人的には殺陣のテンポが不統一だった『少林門』より、本作が好きだったりします。
ストーリーはご覧の通りの勧善懲悪。『ドラゴン危機一発』みたいに逮捕されたりとかはしないので後味も悪くないし、まだあどけない張艾嘉の姿も見モノ。なかなかどうして必見です。


截拳大蕩寇/精武門81
Big Boss 2/Dragon Lee Fights Again
Bruce Lee Fights Again/Dragon Bruce Lee 2
1979

▼バッタもん李小龍というジャンルにおいて、勝手に李小龍作品の続編を作るのは日常茶飯事である。特に弄られやすいのが『ドラゴン怒りの鉄拳』で、不思議とそれ以外の作品のでっち上げ続編は少ないのだ(『死亡遊戯』関連の作品はいくつかあるが、どれも便乗作品でしかない)。ところが本作は英題を見て驚いたのだが、『Big Boss 2』とあるではないか!
もしかすると、これって『ドラゴン危機一発』のでっち上げ続編だったりなんかしちゃったりして?…と思いながら見てみたのだが、何故かバリバリの抗日功夫片だった。実は『Big Boss』は『怒りの鉄拳』の別題でもあるので、本作が『怒りの鉄拳』チックなのはそのためなのである…って、紛らわしいなオイ!

■物語は、着流しのヤクザみたいな楊斯(ヤン・スェ)ら日本人一味に、気色悪い学生服姿(!)の巨龍(ドラゴン・リー)が追われる場面から始まる。巨龍は反乱分子のようで、どうにか仲間に助けられて脱出に成功するが、楊斯に撃たれて足を負傷してしまう。
脱出した先で行き倒れとなった巨龍。そんな彼を助けたのは高飛(コー・フェイ)とその家族だった。実は、高飛もかつて父親を日本人に殺されたという過去を持っており、巨龍を同志だと見抜いて匿ってくれたらしい。
しかし敵の追及は激しく、杜偉和や岑潛波らに巨龍が見つかってしまった。高飛一家は身を隠すために親戚のもとに駆け込むが、巨龍とは離れ離れになってしまう。アテも無くさまよう巨龍は、あるとき張力(チャン・リー)と出会う。彼もまた日本人をある理由から憎んでおり、ふとした事から巨龍は張力の彼女・柳影紅から事情を知ることになった。
その後、巨龍は高飛一家とも再会する事ができたが、日本人たちの卑怯な罠によって柳影紅は殺され、続いて高飛とその妻も殺害されてしまう(巨龍といい感じだった高飛の娘は無事だった様子)。怒りに任せて先走った張力も楊斯に返り討ちにあうが、ここで『死闘伝説TRUBO!』に登場した「楊斯が倒れた相手にパンチラッシュをかますシーン」が登場する。あれってこの作品だったのか!
さて、1人残った巨龍は同志と共に日本人の撲滅に乗り出した。巨龍は修行に明け暮れ、楊斯たちもあの手この手で迫ってくる。杜偉和らザコを一掃した巨龍は、とうとう楊斯との決戦に臨む!

▲この手の作品で登場人物が主人公を除いて全員死亡という展開はよくあるが、本作はその後のテンポも問題だった。というのも、巨龍が怒りを爆発させて敵を一網打尽!という大切な場面を、本作ではくどいことに3回に分けて披露されるのだ(爆)。別に無理をしてまでこんなに殺さなくても、高飛あたりに死んでもらい、張力と協力して敵の本陣に突入し、楊斯や杜偉和らとそれぞれ対決させた方がスッキリしたことだろう。
その一方でアクションのほうはなかなか頑張っている。武術指導が誰かはよく解らないが(杜偉和?)、全編に渡って上質のものを構築。最後の対決の最中に拳銃を持ち出す楊斯が見も蓋も無いが(苦笑)、巨龍VS楊斯というムキムキマッチョ対決は見た目の暑苦しさとも相まってか、異様な迫力に満ちていた。ただ、ちょっと最後が物足りなかったかも。
個人的に気になるポイントとしては、作中にたびたび登場する「味の素」と書かれた張り紙が気になるところだ(笑)。スポンサーが現地の味の素の会社だったのだろうか?


「伊賀忍法帖」
Ninja Wars
1982

●本作は『魔界転生』に続いてJACが挑んだ山田風太郎原作の伝奇アクションだ。しかしその内容は闇鍋状態もいいところで、気色悪い演出の数々やメチャクチャなストーリー、そして投げっぱなしで終わるオチでバカ映画扱いされている作品でもある。
主人公の忍者・真田広之は、遊女だった渡辺典子(篝火)と愛し合っていた。しかし、そこに渡辺典子(右京太夫)を我が物にせんとする中尾彬の放った成田三樹夫配下の刺客が現れ、渡辺は捕らえられてしまう。
渡辺は辱めを受けるのならと自害し果てるが、ストロング金剛らの奇怪な妖術によって首をすげ替えられ、渡辺典子(鬼火)として再生する。真田は中尾の陰謀を阻止すべく行動を開始するが、その課程で彼は渡辺(篝火)そっくりな渡辺(右京太夫)と出会うのだった…。

本作が失敗してしまった原因は二つある。
ひとつは作品の方向性だ。本作ではJAC作品にしては珍しくワイヤーアクションを主体に私用しているのだが、特にこれといった格闘アクションは無い。作品のメインとなる刺客たちも佐藤餓次郎などの地味な連中ばかりで、真田とのそれぞれの対決もすぐに決してしまったりと味気のないものばかりである。
それでは原作通りに忠実に再現したのかと言えば、これがかなり微妙なのだ。刺客の能力が違ってたり、2人ほど敵が省かれていたり、篝火と右京太夫が姉妹であるというオリジナル設定など、いくつか相違点が存在する。ストーリーは中途半端にオミットされ、格闘アクションもあまり無いというどっちつかずな内容がこの作品の悪い所だ。
しかし、原作を再現し切れていないという点では『魔界転生』も同じである。では、『魔界転生』と『伊賀忍法帖』の差異とは?実は、それが本作の失敗した二つ目の原因でもある。
『魔界転生』は沢田研二を筆頭に、若山富三郎や緒形拳らの異様な迫力に満ちた演技が特筆だった。特に沢田研二演ずる天草四郎の妖しさたるや、のちの二次創作などにも大きな影響を及ぼすほどのものだった(原作既読の人には周知の事だが、天草四郎は原作ではあまり大きな役ではない)。
ところが、この『伊賀忍法帖』にはあまり印象に残る役は無く、気持ち悪い妖術や炎上する大仏殿ぐらいしか見どころはなかった。真田らが悪いというわけではないのだが、本作には『魔界転生』には存在していた禍々しいオーラが欠如していたのだ。これこそが本作の失敗したもう一つの原因であり、その禍々しさを再び醸し出そうとあれこれやった結果が、あの気持ち悪い演出の数々だったのだ。
失敗作であることに反論の出来ない作品だが、ところでジャッキーはどこにいたっけ……?


「少林拳対五遁忍術」
五遁忍術
Five Element Ninjas/Chinese Super Ninjas/Super Ninjas
1982

▼張徹(チャン・チェ)のショウブラ時代晩年の作品で、コアな功夫映画ファンには英題の『Chinese Super Ninjas』で知られている一本である。主演は後期の張徹作品でいくつか主演作を張った程天賜。その他は五毒作品でもお馴染みの連中が顔を連ね、ラスボスには陳恵敏(チャーリー・チャン)が扮している。今回の陳恵敏は日本から来た忍者なのだが…傅聲のコメディ功夫片『小子有種』での役とかぶってて何だか笑えるような気がしないでもない(爆

■物語は二つの流派の対立から始まる(仮に赤組&白組と呼称します)。二組の攻防は一進一退だったが、白組は程天賜らの奮戦によって勝ち進んでいく。しかし赤組は最後の切り札として、日本から助っ人のサムライを呼んでいた。これには白組も苦戦したが、白組最強の男・羅莽(ロー・マン)の登場で勝負は決するのだった。敗北を喫した侍は、友人の忍者への手紙を赤組の大将へ託すと切腹して果てた…誰も、これがのちに大きな惨劇を生むとも知らずに。
赤組との戦いは終わった白組一同だが、今度は先のサムライの手紙を受け取った忍者から挑戦状が叩きつけられた。忍者は"五遁陣"という陣形で待ち受けているとの事で、まずは先遣隊がこれに挑んだ。
その名が示すとおり、"五遁陣"は金・木・水・火・土の各ゾーンに別れている。「金」は目くらましや飛び道具を用い、「木」は密林に隠れたゲリラ部隊が潜み、「水」は水中へ引きずり込もうと襲い来る。「火」は大量の煙幕で闇討ちをし、土中から敵が襲い来る「土」がラストステージとなる。先遣隊はこの陣形を突破することができず、結局は全滅してしまった。
失意に暮れる白組一行。しかし忍者は追撃の手を緩めることなく、今度は白組の本拠へくノ一を潜り込ませた。油断した羅莽はくノ一に刺された末に殺され、忍者軍団に襲撃を受けた白組はほとんど全滅してしまう。一方、なぜか殺されずに捕らえられた程天賜だが、そこで彼は忍術を知る師匠のことを思い出し、脱出してその師匠の元へと走った。
その師匠の元には他にも弟子がいたのだが…(笑)。なぜ(笑)かというと、その面子が王力(ワン・リー)や余太平ら五毒作品の常連悪役ばっかりなのである。そんな彼等と師匠の元で忍者対策の訓練をしていく程天賜。彼等は専用の特殊武器なども開発し、長き特訓の末にいよいよ忍者軍団との決戦を迎えた。
万全の対策をひっさげて"五遁陣"に挑む程天賜たちは、次々と陣を破っていく。そして最後のステージである「土」にて、ついに総大将の陳恵敏が現れた!血みどろの死闘の果てに、勝つのは程天賜か!忍者軍団か!

▲本作は裏『少林寺VS忍者』とも言える作品である。以前触れたが、『少林寺VS忍者』は不要な血は流れないし、それでいてアクションは満載な作品だった。本作は日本人との対立やアイディア満載のアクションなどで飽きさせないところは似ているが、張徹らしくドロドロとした血が流れる作品になっている。
しかし、だからといって本作が悪いというわけではない。むしろ、これがかなり面白いのである。まるでゲームのように進む"五遁陣"との戦いや、メチャクチャ強い忍者軍団をどうやって倒していくのかという攻略の課程。そして手に汗握るラストバトルまでがあっという間に進んでいくのだ。
個人的には潜入したくノ一とのやりとりを省き、"五遁陣"をどう破るかという修業をもっと見せて欲しかった所だが、最後の程天賜&五毒作品の悪役陣VS陳恵敏は、陳恵敏のベストバウトと言っても差し支えない激しさ!晩年とはいえ、妥協しない作品作りに取り組む張徹の姿勢が垣間見える秀作だった。
狄龍(ティ・ロン)や傅聲(フー・シェン)などの主演作が取り沙汰される張徹作品だが、こういったものも見逃せませんね。