続・功夫電影専科 -143ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「真説・モンキーカンフー」
醉歩迷猴
Monkey fist, Floating Snake/Monkey Kung Fu/Drunken Monkey
1979

▼日本でもリリースされている作品だが、日本語吹替え無し字幕無しという代物だったらしく、そもそもビデオ自体が今ではレアということで、私は海外版DVDでの視聴となりました。主演は陳木川という人で、一説にはショウブラスターの陳觀泰(チェン・カンタイ)と兄弟であるとされていましたが、実際には「兄弟弟子」が誤解されて広まった事だと最近知られてきています。
ちなみに陳觀泰も本作と同様の猿拳映画『鐵馬[馬留]』を製作していますが、そもそも彼らの師匠である陳秀中も『猴拳寇四』なる猿拳映画に出ていたこともありますので、陳木川が猿拳映画を撮るのもまた必然であったと思われます。

■物語はカンフーを習いたい出前持ちの陳木川(ちょっと頭が弱い役?)が、ふとした事から出会った猿拳の達人・孫榮志に弟子入りするという、コテコテのコメディ功夫片である。最初は弟子入りを断っていた孫榮志だが、結局はその熱意に負けて陳木川を迎え入れる事となった。一方、巷では陳星(チン・セイ)らの経営する功夫道場が張翼(チャン・イー)率いる一味に次々と潰される事件が起きていた(一味の中には高雄などがいる)。
勢力を拡大し、一味は街でやりたい放題暴れている。どうやら張翼は孫榮志を探しているらしく、遂に事態は孫榮志との対決にもつれ込んだ。結果は何とか相打ちになり、街では人々が立ち上がって一味は駆逐されるに至った。だが、これで張翼は引き下がったのだろうか…?
とりあえず張翼の件は片付いたので、ようやく本格的に陳木川と孫榮志は功夫の修行を再開。徐々に力をつけてきた陳木川は、ついに醉猴拳ともいえる奥義を伝授された。ところが平穏は長くは続かない…先の戦いで孫榮志と引き分けた張翼が新たに修行を積み、パワーアップして帰ってきたのだ!
相手が強くなっている事を悟った孫榮志は、陳木川に新たな修行を施していく。その後、張翼によって孫榮志の同門だった女主人が乱暴されて気狂いとなってしまった。張翼と戦った時の傷はまだ癒えていない孫榮志は、無理を押して張翼との雪辱戦に向かった(私の持っているDVDではここらへんの展開がやけに速く、恐らくはカットされているものと思われる)。怪我の上に相手は強くなっているという事で押される孫榮志…そこへ陳木川が駆けつけ、最後の闘いが始まる!

▲ストーリー・アクション共にかなり中途半端な作りだ。武術指導は陳木川自身が担当しているが、場面ごとによってそのクオリティはまちまち。特にスタートを飾るはずのオープニング演舞に迫力が無いというのはイタかった。悪くは無いけど良くも無くもなく、かなり微妙な仕上がりになっている。
キャラクターに関しては当時のコメディ功夫片によくある設定だが、陳星・岳華・高雄なんかはかなり勿体無い扱いを受けている。高雄はまだ全編に渡って出番があるだけマシだったが、陳星は恐らくゲスト出演だったのか、ほんの2シーンに出て終り。岳華に至っては思わせぶりに登場しておいてアクションシーンすら見せていない。
そしてラスボスの張翼だが、本作での彼はちょっとインパクトに欠けており、しかも髪が後退してて現在の元華っぽい風貌になっている(苦笑)。彼は前半で『酔拳』の黄正利っぽい服装で、中盤からは『蛇拳』の黄正利っぽい服装で登場するが、これはただ単にコメディ功夫に便乗しただけのようで、あまり本作独特といえるようなものには見えない。製作側もそれがわかっていたのか、本作では後半から張翼が修行を積むという新たなポイントを盛り込んでいる。
本作に関してはここだけ「おおっ!」と思ったけど、あとはいつものコメディ功夫片の常套句ばかり。女主人が悲惨な目に遭っているのに、無理矢理笑いに持っていってオチをつけたりするのは「どうかなぁ…」と思ったりしました。
ところで…いくらコメディ功夫片だからって、『帰ってきたヨッパライ』の曲で演舞されても……ねぇ?(爆


「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」
原題:龍虎門/龍虎三皇
英題:Dragon Tiger Gate
製作:2006年

●正月明けて一週間…やっと帰ってきました、龍争こ門です。現在も私用で忙しい身ですが、とりあえず皆様、あけましておめでとうございます(遅)。今年もより一層濃いレビューや間奏などをお贈りしていければと思っていますが、今年一発目は甄子丹(ドニー・イェン)のこの作品からひとつ…。

 本作は同名の香港の人気漫画の映画化で、過去にも当ブログで紹介した孟元文主演の映画版が存在します。物語は武術一門である龍虎門を主軸に、甄子丹・謝霆鋒(ニコラス・ツェー)余文樂(ショーン・ユー)ら3人の主人公による視点で描かれていきます。
しかし、陳觀泰(チェン・カンタイ)のもとに身を寄せる甄子丹、別離した兄に龍虎門に戻って欲しいと願う謝霆鋒、真の強さを求める余文樂…これら3つのエピソードは特に絡むことも無く、一度に別々の物語が進行しているだけに見えてしまい、あまり面白いものではありませんでした。
最後の敵である火雲邪神もあんまり怖くないし(仮面を被っているので表情が解らない)、陳觀泰の娘であるヒロインに無理矢理作ったような見せ場が宛がわれていたりと、所々ギクシャクしたものを感じられずにはいられません。アクションシーンに力を入れている反面、その反動からストーリーの稚拙さが余計に浮き彫りになってしまっているのです。

 また、アクション自体に関しても疑問符は少なからずあります。甄子丹が動作設計なので全体的に殺陣がハイテンポで、ワイヤーやCGの仕様はそれほど目ざといものではなかったのですが、最後の甄子丹VS火雲邪神ではやけに暗い場所でのバトルだったので、ちゃんと明るい開けた立地条件で対戦をして欲しかったのが正直なところ。
そして先述したとおり、本作はラスボスであるはずの火雲邪神がやけにショボいのです。特に前半ではドラマ優先の話作りにしたせいで火雲邪神がまったく目立たず、後半の元華(ユン・ワー)を殺すシーンでようやく存在意義を見出します。ラスボスとしてのオーラに欠け、単なるポッと出のキャラクターにしか見えない火雲邪神…これなら孟元文版の黄正利(ウォン・チェン・リー)の方がよっぽどインパクトがあります。

 そして、謝霆鋒と余文樂が変な塔で修行を積んでいく場面の演出も頂けませんでした。最近ではこういった修行シーンのある功夫映画もめっきり無くなってしまいましたが、本作ではまるでミュージッククリップのような映像に乗せて、サラリと流すだけで終わってしまうのです。昔ながらの功夫片に親しんできた身としては、ここでかなり白けてしまいました…。
これは原作に基準した描写だったのかもしれませんが、『マッハ!』で生の迫力に触発されて『SPL/狼よ静かに死ね』で素晴らしい肉弾戦を見せてくれた甄子丹らしからぬ演出には、少々残念に思ってしまいました(しかもその甄子丹はただ寝てるだけで強くなってるし…)。
陳觀泰や元華がアクションの見せ場が無いまま退場したり、敵のアジトに手下が全然見当たらないなど、全編に渡って肩透かしを食らってしまった一本。もう少しストーリーとアクションのテンポが良ければ大化けしたのではないかと思うんですが…。


洪文定與胡亞彪/採陽女[封帛]主
The Guy with the Secret Kung fu
1981(1978?)

▼今年も早いもので、もう正月を目前に控えています。今年の「功夫電影専科」最後のレビューは、あまり年内に触れる事の少なかった孟飛(メン・フェイ)の主演作にスポットを当ててみたいと思います。
私が孟飛と初接触したのは『武道大連合・復讐のドラゴン』だったんですが、まだデビュー間もない頃だった孟飛の動きはあまり良いものではなく、修正前のレビューではかなり孟飛の事をボロクソにケナしていたこともありました。そして、今回取り上げるこの作品は孟飛が全盛を誇っていた時代に製作されたもので、立派な功夫スターとして成長した孟飛の動きは『武道大連合~』の頃とは比べるまでもありませんでした。
さて、その内容といいますと…。

■孟飛と李中堅が釣りをしていたところ、襲われている親子を目撃する。すぐさま助けに入った彼らは悪漢どもを撃破する(この時、敵の船頭の中に馮克安らしき顔を確認)。やられた悪漢たちはボスの陳莎莉に報告するが、陳莎莉の影にはもう1人の大きな悪の影…?
街中を歩いていた李中堅は悪漢たちの襲撃を受けていた。抵抗する李中堅だが、敵の苗天にヒロインを人質にとられ、捕まってしまう。話を聞いた孟飛はさっそく町へと繰り出すと、そこに朝廷の将軍(王侠?)が姿を現した。
さっそく一芝居打って人の目を逸らした孟飛は李中堅を助け出したが、既に孟飛の動向に気付いていた将軍が先回りしており、捕まってしまう。しかし孟飛たちは無罪放免で開放された(理由は不明)。
翌日、いつかの悪漢がまたヒロイン親子を襲っていた。しかし再び孟飛と李中堅に倒され、悪漢どもは陳莎莉に制裁を受けそうになる。そこに彼女の主人?が帰還し、「若造の1人や2人なぞ、ワシが叩きのめしてやる!」と意気込んだ。
その頃、孟飛と李中堅はすすり泣くおばさんを見かけた。曰く、「うちから誰か男を陳莎莉に差し出さないといけないんです…もし反対したら何をされるか…」と。
陳莎莉は悪漢どもを仕切る親玉でもある。そこで孟飛は人身御供に扮して潜り込んだ。だが陳莎莉は毒針の使い手で、これまでに何人も男たちが犠牲になっていた。孟飛も毒針を喰らうものの、なんとか脱出して李中堅の治療で一命を取り留めた。
更に、悪漢たちはヒロイン親子のところに彼らがいることを突き止め、陳莎莉とその主人は呪術でゾンビ(!)の鄭富雄を復活させた。そして2人の不在を狙い、主人が鄭富雄と共に襲撃に現れてヒロインの父を殺害し、ヒロインを誘拐してしまった。
後を追った孟飛と李中堅は鄭富雄に足止めを喰らい、墓守を父に持つ燕南希(ナンシー・イェン)の協力でゾンビ倒しの秘薬を作ってもらった。再び敵陣へと飛び込んだ2人だが、秘薬が通用せずに再び虜の身と相成った。そんな2人のところへ、先の将軍が現れた。そう、すべては将軍の策の内だったのだ!
その時、秘薬が不十分だったことに気付いた燕南希が救援に現れた。薬の完成版を持ってきた燕南希は鄭富雄を倒し、脱出した孟飛と李中堅は三度目の対決で主人を撃破する。一方、燕南希の手引きによってヒロインも脱出に成功し、異変を感じた悪漢たちが2人に襲い掛かってきた。これを退けた孟飛たちの前に、いよいよ最後の敵である陳莎莉と将軍が現れる!

▲本作はいたって平凡な台湾功夫映画だが、オードソックスな作りながら功夫アクションには見栄えがある。スターとして大成した後の孟飛アクションは初めて見たが、文頭で挙げた作品よりも格段に進歩した功夫の腕は目を見張るものがあり、これから孟飛の主演作を見るのが非常に楽しみである。
ところで、孟飛といえば方世玉スターとして有名だが、今回彼が扮しているのは"洪文定"である。この"洪文定"は『少林虎鶴拳』で汪禹(ワン・ユー)も演じていたキャラクターで、"洪熙官"の息子である。"洪文定"はこの作品以外にも『続・少林虎鶴拳/邪教逆襲』で劉家輝が演じている。タイトルにもう1人連なっている"胡亞彪"という人物も『続・少林虎鶴拳~』にも登場しており、こちらは"胡惠乾"(『続・嵐を呼ぶドラゴン』で戚冠軍が演じた役)の息子だとか。
はてさて、来年はどんな功夫映画に巡り会えるのでしょうか?当ブログは2、3日の中休みを挟んでから復帰致しますので、それまではしばしのお別れです。それでは皆さん、良いお年を!(強引に〆)


「少林羅漢拳」
三闖少林
Shaolin Intruders/Battle for Shaolin
1983

▼張徹作品を見ていると、よく劉家良と並んで唐佳(タン・チァ)という名前を目にする。本作はその唐佳が監督を務めた作品だ。唐佳はかの袁小田から手ほどきを受け、袁和平ら袁家班が唐佳を経て一本立ちしている。彼の構築するアクションは肉弾戦は元より、ウェポンバトルやギミックカンフーなどでその真価を発揮する。『冷血十三鷹』『少林傳人』などを見ると、『妖怪道士』『ミラクル・ファイター』といった袁家班系の作品がいかに影響を受けているかがよく解る(とはいえ、これらはまだ未見なので偉そうな事は言えないんですが…)。
主演はショウブラの武侠片スターである爾冬陞(イー・トンシン)で、彼もまた唐佳の他の監督作にも顔を出している。また、その他にも功夫映画ファンには知った顔が出てくるので、未公開作とはいえ馴染みやすい作品でもあるのだ。

■ある日、偉いさんの艾飛が部下ともども殺された。現場に居合わせた剣士の爾冬陞と遊び人の白彪(バイ・ピョウ)は、そこで4人の刺客と遭遇し、刺客が少林寺の技を使っているところを目撃する。が、艾飛に致命傷を与えた矢は爾冬陞と面識のある劉玉璞の物のようで、捜査官の谷峰(クー・フェン)は劉玉璞が怪しいと睨む。だが死体には少林寺の技によるアザも…これは一体?
劉玉璞も突然谷峰のもとへ現れたりと怪しい行動を見せるが、白彪の「そんなに気になるなら少林寺に行ってみたら?」という提案に基づき、爾冬陞は少林寺を尋ねた。しかし少林寺は身に覚えがないとの一点張りで、戒律院の李海生(リー・ホイサン)もプンプンだ。では誰が?その疑問は谷峰の屋敷が刺客に襲われることで氷解した。刺客の正体は少林僧だったのだ!
爾冬陞と白彪は死に際の谷峰の言葉から、やはり犯人は少林僧だったことを知る。再び少林寺にとんぼ返りした爾冬陞たちは僧たちに詰め寄り、白黒ハッキリさせるために爾冬陞と白彪は少林寺の武術陣と闘う事となった。お偉いさんの關鋒が立ち会う中で各ゾーンを突破し、谷峰のもとから盗み出された金が少林寺から見つかった。目撃者である劉玉璞によって「刺客だ」と名指しされた4人の僧は李海生によって殺され、李海生自身も自害。事件は決着したかに見えたのだが…。
少林寺から犯罪者を出してしまった事に悲しむ館長。そこに兄弟弟子の高飛(コー・フェイ)が慰めに現れたが、館長もまた責任を取って自ら死を選んだ。これで全てが終わったとは思えない爾冬陞と白彪は關鋒のもとに向かうが、彼らが到着した時には關鋒は誘拐されていた。実は、真犯人こそあの高飛だったのだ!
高飛はかつて悪党だったが、谷峰や關鋒らによって部下を殺され、自身も大怪我を負って姿を消していた…が、高飛は生きていたのだ。復讐の為に姿を隠し、少林寺の僧となっていた高飛は、關鋒を殺して念願の復讐を果たした。ところで劉玉璞の証言は何だったのかと言うと、実は劉玉璞は高飛の娘でグルだったのである。なんだかヤな感じのヒロインだなぁと思っていたが、張徹作品みたいな展開だ(笑
本性を現した劉玉璞は刺客と共に目障りな爾冬陞と白彪を襲った。2人は返り討ちにするが、白彪が劉玉璞の最後の一撃に倒れた。少林寺では高飛が新しい館長に就任しつつあった(これも計画の内?)。悪党の高飛を討つべく、爾冬陞はひとり少林寺の門をくぐるが…。

▲本作での一番目新しい点は、少林寺が敵として立ちはだかるというところにある。実際は高飛が隠れ蓑にしているというだけで、少林寺そのものと敵対するわけではないのだが、悪役が少林寺に潜んでいるのはなかなか斬新な設定だ。そういえば、功夫片の主人公はよく復讐の為に少林寺の門を叩く事が多い。『少林寺三十六房』『少林寺列伝』『少林寺武者房』…挙げていけばキリがないが、なるこうさんも仰っていたとおり、これでは少林寺はまるで殺し屋養成機関のようなものだ。
そこで本作はそのあたりの矛盾を逆手に取り、悪党が少林寺へ行くという逆転の発想へ着目している。また、爾冬陞と白彪というキャラクターの対比も上手く、決して暗いだけの物語になっていないのも良い感じ。ちょっとしたどんでん返しもあったりして、なかなか魅せてくれます。
そしてアクションについてだが、こちらでは充実したバトルが見られる。特に圧巻なのが爾冬陞と白彪が挑戦する少林寺の武術陣で、爾冬陞の挑む棍→三節棍グループや、床机で作られた塔の接戦は「ここまでくると何でもありなんだなぁ…」と口あんぐりの超展開(笑)。これで最後の爾冬陞VS高飛のバトルがショボくならないか気になったが、こちらでもムチャな羅漢陣を配置してテンションをキープしている。
個人的には唐佳監督作の初接触としては十分すぎる好感触。こうなると、前年に撮られた似たようなキャストの『少林傳人』も気になるなぁ…。


「少林拳対武当拳」
少林與武當
Two Champions of Shaolin
Two Champions of Death
1980

▼前回のレビューでちらりと触れた本作。せっかくなので、この機会にこちらも取り上げてみる事にしましょう。というわけで、またも張徹&五毒作品の登場です。
本作のタイトルとなっている少林與武當とは、数々の功夫映画でも題材になっている少林拳と武當拳を指しており、題材になった映画ではこの2つの流派はことごとく犬猿の仲として描かれている。
今回張徹が取り組んだこの作品は、かつて張徹が扱った少林英雄(胡惠乾や方世玉など)が総出演しており、更にそこへ張徹お得意の裏切りと愛憎劇が織りなされ、非常に濃い味付けの一作となっている。

■とにかくこの映画、人物関係が入り組みまくっており、敵と味方がややこしく錯綜している。少林派は羅奔(ロー・マン)・江生(ジャン・チェン)・孫建(スン・ジェン)・楊菁菁など。武當派は師匠の曹達華(チョウ・ダーワ)を筆頭に、余太平・王力(ワン・リー)・徐盛鎮・そして錢小豪(チン・シウホウ)らが揃い、彼らを中心にストーリーは進んでいく。ちなみに武當派は打倒少林派を目論んで清朝と手を組んでいるので、本作において武當派は思いっきり悪役だ。
少林寺から兄弟子の江生を追って、主人公の羅奔が下山してきた。さっそく武當派は動き出して彼を待ち構え、ブーメランナイフの名手である余太平が向かった。文字通りの飛び道具に苦戦を強いられた羅奔はある民家へ飛び込んだが、そこには孫建と楊菁菁がいた。
孫建と楊菁菁は余太平に父を殺され、復讐の為に武を身に付けていた。余太平の対策を孫健から教わった羅奔は、合流した江生や孫健らと協力して余太平を倒す。もちろん武當派は黙っているはずもなく、羅奔と江生に挑戦状が叩きつけられた。
2人の前に王力と楊熊が立ちはだかったが、少林派には及ばず大敗を喫した(ここで楊熊は死亡)。一方の羅奔はいい感じになっていた楊菁菁と結婚式を挙げていた。ところがその祝いの席に紛れ込んだ文雪兒が楊菁菁を殺害し、自分は余太平の娘だと告げた。
追い討ちをかけるが如く王力らが襲撃に現れ、羅奔が捕まり孫健は死んでしまう。羅奔は処刑執行となりかけるが、錢小豪が異論を唱えて王力を止める。いつも皆から浮いてた錢小豪だが、果たして彼の真意は…?
そのころ、江生は羅奔の救出を仲間たちと相談していた。ところが事態は急転直下、なんと少林寺が焼き討ちされたというのだ!襲撃したのは謎の猿拳軍団で、少林派に手引きした者がいるという。その晩、今度は錢小豪が突然江生らのもとに現れた。錢小豪は江生に手を貸すと言い(詳しくは不明)、その見返りに羅奔を助け出す事を約束した。
その後約束どおり羅奔は助け出されたが、楊菁菁を失った悲しみは晴れない。この日も羅奔は楊菁菁の墓参りに来ていたが、そこへ鹿峰(ルー・フェン)が姿を見せた。鹿峰はみんなと一緒に墓を拝んでくれたが…つーか鹿峰あんたが裏切り者だろ!思いっきり従者の仲に猿拳っぽい仕草の奴がいたじゃんか!
不穏な動きは武當派でも起こっていた。錢小豪と恋仲だった文雪兒は、錢小豪が羅奔の逃走を幇助したと薄々勘付き始めていた。粋な計らいの数々で羅奔たちに取り入った鹿峰もやはり武當派で、彼は少林派を一網打尽にする計画を立案した。
錢小豪は急いで江生らのもとへ向かったが、既に羅奔が鹿峰と発った後だった!すぐ追いかけた江生たちだが、羅奔は鹿峰に不意打ちを喰らってフラフラだ(この場面は戚冠軍の『胡惠乾血戰西禅寺』にも同じやりとりが出てくる)。
針を刺されて重傷の羅奔は錢小豪と江生らとの連携で反撃に転じる。そこに追いついてきた王力とその部下達も加わり、血みどろの戦いが始まった…。

▲本作は少林派と武當派の血しぶき舞い散る真っ向勝負が主題となっているだけに、裏切り・確執・陰謀が乱れ飛び、非常に濃厚な張徹的世界が展開されている。あまりに濃厚さでどうしたものかと思う節もあるほどの濃さであり、孫建と楊菁菁のストーリーだけでも一本映画が作れそうなほどだ。張徹作品は今まで見てきた中でも男気溢れるものを構築していたが、今回のコレは溢れすぎといったところだろう(良い意味でも悪い意味でも)。
作品全体を見渡すと可も無く不可も無くといった感触だったが、やはり功夫場面に関してはズバ抜けたものを見せている。当時期待の新鋭だった錢小豪も頑張っており、途中からの登場だった鹿峰もラストで素晴らしいウェポンバトルを披露している。
そして、本作を踏まえた上で前回の『街市英雄』を見ると更に楽しめる事はうけあい。見ごたえ十分だが、見た後はどっと疲れが出る作品といったところです。う~ん、濃いっす。