『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」
原題:龍虎門/龍虎三皇
英題:Dragon Tiger Gate
製作:2006年

●正月明けて一週間…やっと帰ってきました、龍争こ門です。現在も私用で忙しい身ですが、とりあえず皆様、あけましておめでとうございます(遅)。今年もより一層濃いレビューや間奏などをお贈りしていければと思っていますが、今年一発目は甄子丹(ドニー・イェン)のこの作品からひとつ…。

 本作は同名の香港の人気漫画の映画化で、過去にも当ブログで紹介した孟元文主演の映画版が存在します。物語は武術一門である龍虎門を主軸に、甄子丹・謝霆鋒(ニコラス・ツェー)余文樂(ショーン・ユー)ら3人の主人公による視点で描かれていきます。
しかし、陳觀泰(チェン・カンタイ)のもとに身を寄せる甄子丹、別離した兄に龍虎門に戻って欲しいと願う謝霆鋒、真の強さを求める余文樂…これら3つのエピソードは特に絡むことも無く、一度に別々の物語が進行しているだけに見えてしまい、あまり面白いものではありませんでした。
最後の敵である火雲邪神もあんまり怖くないし(仮面を被っているので表情が解らない)、陳觀泰の娘であるヒロインに無理矢理作ったような見せ場が宛がわれていたりと、所々ギクシャクしたものを感じられずにはいられません。アクションシーンに力を入れている反面、その反動からストーリーの稚拙さが余計に浮き彫りになってしまっているのです。

 また、アクション自体に関しても疑問符は少なからずあります。甄子丹が動作設計なので全体的に殺陣がハイテンポで、ワイヤーやCGの仕様はそれほど目ざといものではなかったのですが、最後の甄子丹VS火雲邪神ではやけに暗い場所でのバトルだったので、ちゃんと明るい開けた立地条件で対戦をして欲しかったのが正直なところ。
そして先述したとおり、本作はラスボスであるはずの火雲邪神がやけにショボいのです。特に前半ではドラマ優先の話作りにしたせいで火雲邪神がまったく目立たず、後半の元華(ユン・ワー)を殺すシーンでようやく存在意義を見出します。ラスボスとしてのオーラに欠け、単なるポッと出のキャラクターにしか見えない火雲邪神…これなら孟元文版の黄正利(ウォン・チェン・リー)の方がよっぽどインパクトがあります。

 そして、謝霆鋒と余文樂が変な塔で修行を積んでいく場面の演出も頂けませんでした。最近ではこういった修行シーンのある功夫映画もめっきり無くなってしまいましたが、本作ではまるでミュージッククリップのような映像に乗せて、サラリと流すだけで終わってしまうのです。昔ながらの功夫片に親しんできた身としては、ここでかなり白けてしまいました…。
これは原作に基準した描写だったのかもしれませんが、『マッハ!』で生の迫力に触発されて『SPL/狼よ静かに死ね』で素晴らしい肉弾戦を見せてくれた甄子丹らしからぬ演出には、少々残念に思ってしまいました(しかもその甄子丹はただ寝てるだけで強くなってるし…)。
陳觀泰や元華がアクションの見せ場が無いまま退場したり、敵のアジトに手下が全然見当たらないなど、全編に渡って肩透かしを食らってしまった一本。もう少しストーリーとアクションのテンポが良ければ大化けしたのではないかと思うんですが…。