
「少林羅漢拳」
三闖少林
Shaolin Intruders/Battle for Shaolin
1983
▼張徹作品を見ていると、よく劉家良と並んで唐佳(タン・チァ)という名前を目にする。本作はその唐佳が監督を務めた作品だ。唐佳はかの袁小田から手ほどきを受け、袁和平ら袁家班が唐佳を経て一本立ちしている。彼の構築するアクションは肉弾戦は元より、ウェポンバトルやギミックカンフーなどでその真価を発揮する。『冷血十三鷹』『少林傳人』などを見ると、『妖怪道士』『ミラクル・ファイター』といった袁家班系の作品がいかに影響を受けているかがよく解る(とはいえ、これらはまだ未見なので偉そうな事は言えないんですが…)。
主演はショウブラの武侠片スターである爾冬陞(イー・トンシン)で、彼もまた唐佳の他の監督作にも顔を出している。また、その他にも功夫映画ファンには知った顔が出てくるので、未公開作とはいえ馴染みやすい作品でもあるのだ。
■ある日、偉いさんの艾飛が部下ともども殺された。現場に居合わせた剣士の爾冬陞と遊び人の白彪(バイ・ピョウ)は、そこで4人の刺客と遭遇し、刺客が少林寺の技を使っているところを目撃する。が、艾飛に致命傷を与えた矢は爾冬陞と面識のある劉玉璞の物のようで、捜査官の谷峰(クー・フェン)は劉玉璞が怪しいと睨む。だが死体には少林寺の技によるアザも…これは一体?
劉玉璞も突然谷峰のもとへ現れたりと怪しい行動を見せるが、白彪の「そんなに気になるなら少林寺に行ってみたら?」という提案に基づき、爾冬陞は少林寺を尋ねた。しかし少林寺は身に覚えがないとの一点張りで、戒律院の李海生(リー・ホイサン)もプンプンだ。では誰が?その疑問は谷峰の屋敷が刺客に襲われることで氷解した。刺客の正体は少林僧だったのだ!
爾冬陞と白彪は死に際の谷峰の言葉から、やはり犯人は少林僧だったことを知る。再び少林寺にとんぼ返りした爾冬陞たちは僧たちに詰め寄り、白黒ハッキリさせるために爾冬陞と白彪は少林寺の武術陣と闘う事となった。お偉いさんの關鋒が立ち会う中で各ゾーンを突破し、谷峰のもとから盗み出された金が少林寺から見つかった。目撃者である劉玉璞によって「刺客だ」と名指しされた4人の僧は李海生によって殺され、李海生自身も自害。事件は決着したかに見えたのだが…。
少林寺から犯罪者を出してしまった事に悲しむ館長。そこに兄弟弟子の高飛(コー・フェイ)が慰めに現れたが、館長もまた責任を取って自ら死を選んだ。これで全てが終わったとは思えない爾冬陞と白彪は關鋒のもとに向かうが、彼らが到着した時には關鋒は誘拐されていた。実は、真犯人こそあの高飛だったのだ!
高飛はかつて悪党だったが、谷峰や關鋒らによって部下を殺され、自身も大怪我を負って姿を消していた…が、高飛は生きていたのだ。復讐の為に姿を隠し、少林寺の僧となっていた高飛は、關鋒を殺して念願の復讐を果たした。ところで劉玉璞の証言は何だったのかと言うと、実は劉玉璞は高飛の娘でグルだったのである。なんだかヤな感じのヒロインだなぁと思っていたが、張徹作品みたいな展開だ(笑
本性を現した劉玉璞は刺客と共に目障りな爾冬陞と白彪を襲った。2人は返り討ちにするが、白彪が劉玉璞の最後の一撃に倒れた。少林寺では高飛が新しい館長に就任しつつあった(これも計画の内?)。悪党の高飛を討つべく、爾冬陞はひとり少林寺の門をくぐるが…。
▲本作での一番目新しい点は、少林寺が敵として立ちはだかるというところにある。実際は高飛が隠れ蓑にしているというだけで、少林寺そのものと敵対するわけではないのだが、悪役が少林寺に潜んでいるのはなかなか斬新な設定だ。そういえば、功夫片の主人公はよく復讐の為に少林寺の門を叩く事が多い。『少林寺三十六房』『少林寺列伝』『少林寺武者房』…挙げていけばキリがないが、なるこうさんも仰っていたとおり、これでは少林寺はまるで殺し屋養成機関のようなものだ。
そこで本作はそのあたりの矛盾を逆手に取り、悪党が少林寺へ行くという逆転の発想へ着目している。また、爾冬陞と白彪というキャラクターの対比も上手く、決して暗いだけの物語になっていないのも良い感じ。ちょっとしたどんでん返しもあったりして、なかなか魅せてくれます。
そしてアクションについてだが、こちらでは充実したバトルが見られる。特に圧巻なのが爾冬陞と白彪が挑戦する少林寺の武術陣で、爾冬陞の挑む棍→三節棍グループや、床机で作られた塔の接戦は「ここまでくると何でもありなんだなぁ…」と口あんぐりの超展開(笑)。これで最後の爾冬陞VS高飛のバトルがショボくならないか気になったが、こちらでもムチャな羅漢陣を配置してテンションをキープしている。
個人的には唐佳監督作の初接触としては十分すぎる好感触。こうなると、前年に撮られた似たようなキャストの『少林傳人』も気になるなぁ…。