続・功夫電影専科 -128ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「地獄のニンジャ軍団・クノイチ部隊」
原題:亡命忍者/隠身忍者
英題:A Life of Ninja/Secret Life of the Ninja/Ninja Grand Masters of Death/Ninja Grand/Invisible Endurer
製作:1982年

●フィルマーク系ニンジャ映画のひとつだが、本作はいつものニコイチ映画ではなく、しっかり一本の映画となっている(当たり前の話だが、フィルマークでは異例の事)。話やアクションの方もそこそこまとまっており、フィルマーク産のニンジャ映画では傑作の部類に入るのではなかろうか。
ストーリーは、かつて恩師をニンジャの倉田保昭に殺された陳觀泰(チェン・カンタイ)が、ニンジャに狙われた楊惠珊(ヤン・フェイサン)や陳鴻烈(チェン・ホンリェ)らを救うため、刑事の王折生たちと共にニンジャと闘っていく物語である。
監督は台湾の名匠、李作楠(リー・ツォー・ナン)なのだが、彼の作品にしては物語が薄く、ニンジャのインパクトに依存した構成になっている。『忍者大戦』のようにハジケまくるか、あるいはリアルスティックに忍者を描くかして方向性をハッキリさせていればよかったが、本作は荒唐無稽でもリアル志向でもない、どっちつかずの非常にヘンテコな作品と化している。とはいえ、ニンジャとの攻防戦や最後のどんでん返しなど、それなりに李作楠らしい匂いを残しているところは流石だ。
カンフー映画ファンとしては、やはり本作での陳觀泰VS倉田保昭が要注目だろう。
本作のアクションは全体的にあまり見栄えのするものではないが、この両者がぶつかるラストバトルだけは頑張っている。この『四騎士』以来のリターンマッチとなる彼らのバトルは見応えがあり、これだけでも本作は見る価値があるといえるかもしれない(けど、この2人が闘っている最中、アジトの明かりが落ちて完全に真っ暗になってしまう場面は頂けないですが…)。
総評すると、フィルマークのニンジャ映画としてはバッチリ。李作楠作品としては及第点より一個下といったところでしょうか。個人的には、同スタッフで製作された『レディ・ニンジャ/セクシー武芸帳』と、倉田が出演したもうひとつのニンジャ映画である『レディ・ニンジャ2/夜霧の忍び凧』も見てみたいところであります。あっ、『ニンジャサンダーボルト』もあったっけ………どうしょうかな?(苦笑


「アベンジャー」
原題:RECOIL
製作:1997年

●何というか、色々とくどいんだよなぁ…この映画。
ロスのど真ん中で凶悪な銀行襲撃事件が発生し、犯人たちは派手に撃ちまくりながら警官たちと銃撃戦を繰り広げた(客を人質に取ればそんな事をしなくてもいい気がするのだが)。その際、犯人の1人がバイクで逃走を図り、激しい逃走劇の末に射殺された。この死んだ犯人は大物マフィア一家の末っ子で、ドンのリチャード・フォロンジーは、息子を殺したゲイリー・ダニエルズら警官たちに報復を開始した。
次々と仲間が殺され、ついにはゲイリーの友人や自分の妻と子供までもが犠牲となった。1人生き残ったゲイリーは、リチャードらマフィア一家と裏切り者の署長にリベンジすべく、銃を手に取り死出の旅路に出立するのだった…。
例によってまたPMエンターテイメント作品なのだが、本作はアクションの80%をカーアクションで締めている。冒頭から激しいカースタントが炸裂するが、同じ映像を使い回していたりと怪しいところがチラホラ(映像の使いまわしはこの後もちょくちょく登場)。最初の1時間は主なアクションシーンがカーアクションだけなので、見ていてかなり退屈しました。これでは格闘シーン目当ての人もかなり辛いかと思います。
で、その格闘アクションだが、中盤に最初の息子を仕留める場面とクライマックスぐらいしか披露されないので、ボリューム的には期待外れでした。しかし、本作でゲイリーが見せるファイトはスピーディーで見ごたえ十分。マーシャルアーツ映画では、香港映画のような丁々発止のバトルはなかなか見られないのだが、本作に限っては頑張っていたと言えるだろう(だからこそ、本作の格闘シーンがこれだけしか無いというのがすごく残念なのだが)。
ストーリーは復讐されて復讐するだけという薄い内容で、ラストもブツ切りで終幕してしまっている。結局生き残ったのはゲイリーだけという陰惨な物語なので、そっちに関しては特に注目するべきものはないだろう。標的となるマフィア一家の息子たちがそれぞれ格闘技の使い手で、ゲイリーが連中を次々と破っていく…みたいな話だとなお良かったんだけどなぁ。


「仁義なき闘いインL.A./エンジェル・タウン」
原題:ANGEL TOWN
製作:1989年(91年?)

●本作は異境の地に来た異邦人が逆境にもめげず巨悪を倒すという、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』『レッド・サン・ライジング』等と同じ感じの映画だ。
主人公のオリビエ・グルナーはフランスから来た留学生。しかし留学先の大学院ではお偉いさんに色眼鏡で見られ、同級生にも偏見に満ちた目で見られるわと散々。大学の近くで下宿先を探したが、こちらも門前払いにされるなどいいとこなしで、仕方なく危ない地区のある家へ暫定的に下宿させてもらえることになった。
ところがこの地区、ギャング共が横行していて治安は下の下な上に、警察もあまり役に立たない最悪の場所だったのだ。下宿先のおばさんの息子はギャングから「仲間になれ」と脅され、それに従おうとするが、オリビエは「立ち向かうべきだ!」と力強く主張し、彼自身もギャングたちと幾度と無く戦いを繰り広げた。
懲りずにちょっかいを出しに現れるギャングどもと何度も激突するオリビエ。しかし下宿先のおばあちゃんが発作で死に、おばさんも重傷を負った。怒りに燃えるオリビエだったが、相手は下宿している家へ火を点けようと群がり始めていた…。
主演のオリビエさんは本ブログ初登場だが、ビデオのジャケ裏にある解説によると、キックボクシングのチャンピオンだという。
確かに劇中で披露する技は近距離での回し蹴りなど、それなりにキレはいい。ただ、本作で彼が一番いい動きをするのは中盤のカンフー道場でのスパーリングくらいで、その他はぼちぼちのレベルに落ち着いてしまっている。できたらこのテンションを全編に渡って保ってもらいたかったのだが…(武術指導はジェフ・イマダ)。
ストーリーは凡庸なもので、やられたやりかえしたの繰り返しで、正直言って面白いものではない。が、終盤でオリビエを筆頭に、自ら行動を起こす下宿先の息子、それまで見ているだけで何も出来なかった車椅子の男、オリビエの友人で当初は事なかれ主義に徹していたカンフー道場の師範といった面々が立ち上がって、結集しギャングたちと決戦を向かえるくだりはちょっと燃えました。
ちなみにこの作品にはマーク・ダカスコスが脇に出演しているそうなんですが、私の見る限りではちょっとよくわかりませんでした…って、ダカスコスいたならもうちょい大きな役でもよかったのでは?(涙


「くノ一五人衆VS女ドラゴン軍団」
製作:2005年

●蒼井そら主演のVシネアクションですが、かの谷垣健治導演(本場香港で活躍する日本人武術指導家)によって、思いっきり功夫映画カラーに染められている作品です。本作の前に谷垣導演が関わったVシネがあの『闇武者』だったこともあってか、この作品ではまさに谷垣導演のやりたい放題と化していました。やっぱり『闇武者』で鬱憤が溜まっていたのかなぁ…。
物語はジャッキーの『神拳・ヤングボディガード』そのまんまです。単に似ているという話ではなく、主人公たちが正体不明の人物の従者となって悪党が住む山を越え、大きな敵に立ち向かう…といった具合に、完全にそっくりそのままのストーリーとなっています(ほぼリメイク状態)。蒼井そらの修行シーンもまんま『蛇拳』だったりと、完膚なきまでにパロディに徹している様子が窺い知れます。
 さらに本作は全編に渡って声が吹替えられていて、昔放送されていたカンフー映画っぽく演出されています。アイドル映画的なものを望んでいた本来のファン層を完全に置いてけぼりにし、『神拳・ヤングボディガード』というジャッキー作品の中でもマイナーなタイトルを選んでパロディしてしまうとは…。功夫映画ファンとしては嬉しいけど、谷垣導演やりすぎだってば!(爆
そして本作のアクションは、功夫映画らしく手技に重点を置いた殺陣になっています。これに対して、蒼井そらや『マスター・オブ・サンダー』で圧巻のファイトを演じた中村浩二など、みんな頑張って難易度の高いアクションにチャレンジしていました。しかし、ビデオ撮りのためか動作が軽く見えてしまうため、ここだけは非常に勿体無い気がします。せめてフィルム撮影にも拘ってくれれば…。
タイトルの通りエロっちい場面が多いので、あまり声高にオススメできる作品ではありません。が、『闇武者』で程小東的なアクションへ、本作でジャッキー的なアクションへと挑んだ谷垣導演の熱意は十分伝わってくる作品。今時こういうコテコテな作品も珍しいので、一度視聴してみてはいかが?


「フォース・オブ・ワン」
原題:A FORCE OF ONE
製作:1979年

●そういえば久しくチャック・ノリス作品を見ていなかったので、このたびちょいと見てみました。
麻薬が氾濫する街で、ある日2人の麻薬捜査官が殺された。死因は素手で殺傷した事を示しており、麻薬捜査班は防衛の為に格闘技チャンピオンのノリスを招き、空手の指導を依頼した。ノリスは試合があるので警察の申し出に渋っていたが、麻薬組織に怒りを覚えて協力を承諾する。彼が次に挑む試合はタイトルの防衛戦で、やり手のファイターとの対決が待っているのだが…。
その一方で捜査班は麻薬組織の足取りを掴もうとするのだが、麻薬組織に近付いた者は次々と消されていく。更に2人の捜査官が、そして空手の試合に出ようとしていたノリスの養子までもが…怒りに震えるノリスだが、彼自身も刺客に襲われてしまう。実はこの一連の事件には警察内部にも協力者がおり、次から次へと真実に迫った者たちを消していたのは、ノリスと大戦を控えていたファイターだった。
ノリスとファイターの試合当日、女性捜査官が警察内部の敵に迫り、ノリスもまたリングでまみえたファイターの眼光に先ごろ自分を襲った刺客の影を見た。警察が試合会場に突入し、逃走を図るファイター。ノリスは女性捜査官と共にファイターを追跡する!
当時のマーシャルアーツ映画としては面白いほうではないだろうか。
リングで闘うノリスの動きは素早くて華麗であり、かつて李小龍とコロセウムで闘った時の姿を彷彿とさせなくもない。ストーリーは凡庸な感じではあるが、格闘アクションはなかなかキマっており、最も注目すべきはノリスが対決する仇役である。このファイターを演じているのが、なんと『プロテクター』でジャッキーと闘ったビル・ウォレスなのだ。
李小龍と闘った男VSジャッキーと闘った男という構図は面白いものがあり、マーシャルアーツ映画における夢の対決といえるだろう。この2人の戦いはクライマックスで2度行われるが、やはりどちらもいい動きをしている。華麗な回し蹴りで迫るノリスと変幻自在の蹴りを放つビルの対決は、『テキサスSWAT』のVSデビッド・キャラダイン戦と並ぶ豪華な顔合わせ。ここは一見の価値ありですね。