落下の王国のすべてThe Fallmania -19ページ目

落下の王国のすべてThe Fallmania

ターセムが紡ぐ現代人のための癒しの千夜一夜物語
2008年日本公開された「落下の王国」について語るブログです
ミュージックビデオを撮るようなシックな監督ですが…
やっぱりインド人
歌って踊るシーン・・・1か所あります


上段 左

アメリカ版DVD
上段 右
日本版ブルーレイ

 

下段

右左ともに日本版DVD


アメリカ版DVDの特典映像紹介

1)削除シーン
2)メイキング
(ニコ・ソウルタナキス製作のWanderlust & Nostalgia)
3)リー・ペイス☆ニコ・ソウルタナキス☆ダン・ギルロイによるコメンタリー
4)ターセム監督によるコメンタリー
となっている。

日本版DVD特典は

a)メイキング
b)未公開シーン
c)インタビュー(衣装デザイナー、監督)
d)ロケ地、世界遺産チャプター
e)監督ターセムによる音声解説

日本版の 

c)&d) はアメリカ版には無い


アメリカ版の

3は日本版には無い。

 

アメリカ版を見るにはリージョンフリーDVDプレイヤーが必要。

 

Blue-rayの場合、DVDを見る場合にあった1&2のリージョン区分けは、日米は”A”で、同じ。

つまり、日本製ブルーレイプレーヤーで
アメリカアマゾンで買ったアメリカ版ブルーレイは見られるということになる。

が、しかし〜
2008年後半に販売されたブルーレイには
プレーヤーとのバージョンの合致が必要となる
(この映画に関しては問題ないが)

買った最新ソフトが日本製プレーヤーで再生できない場合は、
プレーヤーが古いなどのバージョン違いだから、
日本メーカーにバージョンのグレードアップをお願いせんといかん。

 

無難に観るならDVDで。

 

レンタル版にはディスク2は無いのでセル版をゲットしてください。

 

反対にブルーレイには1枚で特典映像も入っているのでレンタル版アップでも全部観られる。

 

ただ、ブルーレイ信仰は要らない。

 

ハイビジョンで観るならブルーレイが良いけれども

30インチぐらいの安価なテレビではDVDでも変わりない←ビックカメラの店員さんから聞いた。

 

DVDにするか、ブルーレイにするかはアウトプットするテレビの性能次第ということ。

 

************

この映画ではないが、DVD売り出しにあたって、

ワーナーさんが試写会やってくれて

ワーナー試写室でさる映画のDVD上映を見た際、

コマ落ちしていた。

 

そしてときどき止まる。

 

試写室の画面は映画館の小さいスクリーンほどの大きさだから

DVD上映はムリがあった。

 

こういうときはブルーレイでなくちゃダメってこと。

 

でも自宅なら、コマ落ちなんかしないからDVDで問題ない。

 

落下の王国音楽担当はクリシュナ・レビ(Krishna・Levy・フランス在住 インド生まれ)

ベートーベンの曲の演奏はブルガリアシンフォニーオーケストラ、
指揮はDeian Pavlov。
(この映画でのこのオケの演奏は若干、音がずれているという噂・・・)


●ブルガリア男性コーラス

アヤソフィアのシャンデリアホールでオウディアスを称える

結婚式のとき

ジョードプルのメランガーフォートでのコーラスなど


●ボーイソプラノ

エヴリン姫と黒山賊のロマンス


●メゾソプラノ

Marie Kobayashi オタ・ベンガの死
などが聞こえてくる。

オペラを想定して曲をつけたので、登場人物はテーマ旋律を持っている。
 

結婚式から反転するシーンで聞こえてくる音色、

楽器はOUD ウード

演奏しているのはウード演奏の第一人者Titi Robin

 

TitiのHPで演奏が聴ける

 

 

この場面では11歳の少年の美しいボーイソプラノが聴こえる。

You think you took me captive〜

私を捕らえたと思っているでしょう〜
でも、実は私は自由になったの〜
私は黄金の籠に囚われた鳥だったの〜

エヴリン姫の台詞を繰り返して歌っている。

 

みんなに歌声を褒められたので

 

お母さん(オケのメンバー)はこのコをプロの歌手にするとかのたまい

 

オケのみんなでそれはやめとけーと止めた

 

 

ダーウィンがその生態を探す蝶、アメリカーナ・エキゾティカ



ナショナル・ジオグラフィック
2008年12月号では「ダーウィンになれなかった男」
としてアルフレッド・ラッセル・ウォレスの特集が組まれ、
ウォレスが採集した蝶が紹介されている。

同じ種なのに大きさや色が微妙に違うヒイロトリバネアゲハ

 

 

サンゴ礁のブルーの蝶から終盤、茶色に変わっていくのは
不遇なウォレスへのリスペクトからだろう。

豪華な衣装や煌くロケ地に紛れて見えにくいが、


キリスト教系の慈善病院に集まる貧しい人々、
ウォレス、

ピグミーのオタ・ベンガ、

孤独なルイジに、
スタターの霊者、

インド人

移民など

 

差別や迫害を受け、社会的に不遇な者たちを登場させることによって、この人たちへの温かな関心をこの映画は見せている。

 

インド、ラジャスタン州、アーバーネリーの階段池
ジャイプールから車で約2時間

9世紀以降に作られた貯水池。


水税を徴収するため、貯水量がわかりやすいように階段ラインがはっきりしている。

一辺が35メートルで三方に階段が作られている。
残りの一方(ダーウィンのいるところ)には何層にも部屋が作られている。

階段は地下七層で、深さは20メートル以上ある。
イスラム建築のようだが、様式はヒンドゥ。

  インド建築案内より by .神谷武夫先生

 

ターセムは”stepwell=井戸”とはゆうてはおるが・・・

ターセムの言によれば、このアーバーネリーの階段井戸というものは

 

水税の徴収の計算のためにある

 

とのことなので、
日本人が考えるような”井戸”というものとは本来別物であるようだ。

生活用水としてでなく、どれだけ雨が降って水が貯まったかを計測するために作られたものは
”井戸”ではなく”池”と呼ぶべきかもしれない。

通常の”階段井戸”は多層構造になっていて涼むこともできたり、
水を汲みに下まで降りたりするようだが、これは降った雨水を貯めることが主目的なので、とにかく間口が広く逆ピラミッド型になっている。

降った雨は1滴も漏らさずに貯めて、水面と階段位置でもって税額を決める役割を担っている。
 

ジャパンタイムズでのターセムインタビューによると


<階段井戸について>
エッシャーのコピーと思われるかもしれないが、
これはエッシャーより300年前に作られている。

この井戸は、水の面がどのぐらい高いかを見て水税を徴収するときの計算に使われた。

通常、階段は水の下に沈んでいる。
(階段を撮りたかったターセムはロケハンしたスタッフに)

「旱魃があったら階段はどうなる?」
と聞くと
「階段はどこまでも続いていますよ」
と答えたので、


「じゃ旱魃になったら呼んでくれ!」


と言いつけた、ってターセムは鬼…

 

ダーウィンの代わりにスタントマンを落とした。
 

***********

 

●ノーラン監督バットマン「ダークナイトライジング」にアーバーネリーの階段池を模したセットが出てくる。ロケハンには来たようだが、撮影は階段池っぽいセットで撮っている。

 

●「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」はインド、ジャイプールで撮影された。ホテルを経営する若者はスラムドックミリオネアのあの男の子です。
彼は自由恋愛で結婚したいと思っているものの、母親はデリーでお見合いさせようとしている。
彼の愛する女の子とのデート場所は<アーバーネリーの階段池>だ。もちろん現地で撮影。


 

 

この場面で6人はオウディアスへの復讐を誓うわけだが、なぜか突然フランス語になってしまう。


5人は不明瞭に叫ぶ!


「はい!隊長! (ウィ、モア、キャピタ〜ン〜!)」

ここはフランス語とは聞かずに、

”We want more capita〜l〜!(もっと資金が欲し〜い〜!)”

つまり、それがターセム流ユーモア。

日本語字幕で読んでしまうからこの場面で笑う日本人は皆無。


ここはダークな笑いが欲しい。

 

ターセムってそういうヒト。

ターセムはこの映画製作のために全財産をはたいた


ターセムの弟が金策したわけだが、資金が欲しいというのは本音だっただろう。

落下の王国には誰一人として有名俳優は出演していない。


ターセムがこの映画を自分で作る、と決めてから、

 

撮影が長くなるとわかっていたから、

 

ギャラが高くて拘束もできない有名俳優は使えなかった。

スタッフも俳優もファーストクラスに乗ることなく、

 

平等主義のコミュニスト大集団があちこちへと撮影に飛ぶ。

スペインのシーンを撮るときは、

 

ターセムはベッカムの出るCMを撮るついでに落下の王国も撮ろうとして、

 

リー・ペイスをスペインに呼んだ。

出資して貰うチャンスはあった。

大手スタジオに「年齢制限のつかない子供向け作品なら買う」と持ちかけられたとき、

 

ターセムはこのままインディーズで作り続けると腹をくくった。

 

 

ターセムは、脚本ヴァレリ・ペトロフ、監督ザコ・ヘスキジャ

のブルガリア映画『Yo Ho Ho』(1981年)から想を得て「落下の王国」を製作した。

 

ブルガリア映画YoHoHo ↑

海賊の掛け声を表現するYoHoHo


ターセムはこの映画が気に入って、

 

お金が貯まったら権利を買おうと思っていて、そして買った。

「落下の王国」はYoHoHoのストーリーが元になっている。

美しい船を作るために製作予算の大半を注ぎ込んでしまった(だから映画は、船以外はショボイ)

海賊・・・?海賊版・・・?


I don't like Pirate

でもって山賊の話に・・・

 

「落下の王国」に出てくるキャラクターはだいたい二つの意味を持つ。

 

猿は

①ダーウィンの友人ウォレス

②YOHOHOに出てくるこの猿

 

 

 

 

グラディエーター風のコスチュームをつけたデビッド・ベッカム。

2003年7月、ターセムは、マドリッドから北東に行った古い町Medinaceli で、ペプシのCMを撮る。


出演は他に、ロベルト・カルロス、ラウル・ゴンザレス、フランチェスコ・トッティ、ロナウジーニョなど。

「落下の王国」のラストシーン、スペインの村のロケ地は長らく謎だったが、「ベッカムのCMを撮るついでに、スペインまでリーを呼び寄せて撮った」とターセムが言っているのでたぶんここがロケ地だろう、


スペインMedinaceli メディナセリ

 

 

 

本当のOta Benga(1881−1916)の物語
動物園で見世物にされたピグミー
二つの世界に引き裂かれた魂

ピグミーのオタ・ベンガはベトワ族としてベルギー領コンゴのカサイ川近くに住んでいたが、

 

ベルギー軍に妻と子供を殺され、奴隷となる。

ワールドフェアでピグミーを展示したいと思ったアメリカ人のフィリップ・ベルマーが奴隷商人からオタ・ベンガを買い取り、

 

他の8人のピグミーとともにNYに連れて行きブロンクス動物園に置いた。

差別論者や優性論者、教会や、自然科学者たちからの擁護や反論が起こり、

 

結局オタ・ベンガは動物園から出され、

 

みよりのない者の施設に預けられ、

 

学校にも行かされるが、

 

決してアメリカ社会になじむことはできなかった。

1916年3月20日、32歳のオタ・ベンガは、

 

火を焚こし、ギザギザの歯を隠していた入れ歯を取り去り、

 

部族の踊りを踊って、盗んだピストルで自らを撃ち死んだ。

アメリカ自然史博物館にあるオタ・ベンガから取った鋳型にはただ”ピグミー”とのみ記されている。

***********
 

ということで、ここでもロイとアレキサンドリアのインフォメーションギャップが起きている。

アレキサンドリアはヨーロッパからの移民であるのでネイティブのアフリカ人を見たことがない。

ロイのオタ・ベンガのイメージは、小柄で華奢で繊細な身長150センチのアフリカ人で、

 

一方アレキサンドリアは病院に来る仲良しの氷売りのブラックアメリカンをイメージしている。

オタ・ベンガのこの事件は当時センセーショナルに報じられたもの。


だからこの映画の時代設定はベンガの自殺した1916年以降だと考えられる。

 

 

 

ロサンゼルスで2000年8月17日に行われた”セル”のプレミアでの
ターセムと元彼女。


映画の完成&こんなに綺麗な人といっしょでターセムは誇らしげ。

ターセムはこの彼女のために、わざわざロンドンに居を構えていた。

二人は家族(つまり子供)を持とうと真剣に考えていた(はずだった・・・)。だが、

 

彼女はターセムを捨て、他の男性の赤ちゃん(babies)を生んだ。

それでターセムは家庭を持つ代わりに、この映画を作った。

ターセムは”失恋した”という言い方をしているが、実際はターセムは彼女に捨てられたようだ。

おかげで「落下の王国」にそのエピソードが投影されることになる。

 

Movie Walkerのインタビューでターセムは語る。

 

「元彼女に膨大な慰謝料を払うぐらいなら、

 

(お金は)自分の愛するベイビー(この映画のこと)に全部注ぎ込もうと思い、走り出したわけです」


つまり、金を持っていると元彼女に持っていかれてしまうから、


全部使ってしまえ、ということ。

去って行った女に金はやらん!って、ターセム…

 

この映画を4年間撮り続けて、

 

ターセムも癒され、

 

昇華したと思う

 

元カノに感謝