落下の王国のすべてThe Fallmania -20ページ目

落下の王国のすべてThe Fallmania

ターセムが紡ぐ現代人のための癒しの千夜一夜物語
2008年日本公開された「落下の王国」について語るブログです
ミュージックビデオを撮るようなシックな監督ですが…
やっぱりインド人
歌って踊るシーン・・・1か所あります

パラジャーノフ「ザクロの色」↑

 

売れないままに「落下の王国」は映画祭に出て行く。

第40回(2007年10月)スペイン、カタルニアでの
シッチェス・カタロニア映画祭で、
この作品はグランプリを取る。

いままで受賞した監督は以下のとおり。
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クエンティン・タランティーノ
ジャン=ピエール・ジュネ
セルゲイ・パラジャーノフ
デビッド・クローネンバーグ
デビッド・リンチ
ピーター・グリーナウェイ
ポール・バーホーベン
マルク・キャロ
ラース・フォン・トリアー
リュック・ベッソン
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どれもこれも一癖ある監督ばかり。

特にこのセルゲイ・パラジャーノフ はターセムが影響を受けたと言われる監督。

「ザクロの色」が有名だけれども、まるで紙芝居みたいで、動きが少ないへんな映画。


このほかに影響があるとして
タルコフスキーとパゾリーニの名前があがることがある。

 

 

シッチェス・カタロニア映画祭の前に
「落下の王国」は
ベルリン映画祭青少年映画部門(Kinderfilmfest) でグランプリを取る。

この賞は2部門あって、
1)Generation Kplus   
4歳以上対象で、11人の子供の審査員によって最優秀賞が選ばれる。
2)Generation 14plus  
14歳以上が対象で、7人の子供の審査員によって最優秀賞が選ばれる。

この映画が取ったのは 
第57回(2007年2月)ベルリン国際映画祭
クリスタルベアー特別賞(青少年部門
[Generation 14plus]最優秀長編映画賞)

つまり、14歳以上の7人の子供審査員によってグランプリに推された。

ドイツでの「落下の王国」の本上映は2009年3月5日から。

日本より遅い。

ドイツではまだDVDすら発売されておらず(予定2009年10月)
amazon deでのDVD UK importの論評ももの凄く良い。


この映画はドイツ人受けする内容だと思う。

 

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と期待していたんだが、やっぱりドイツ人は全吹き替えでドイツ語にして公開。

 

落下の王国はインフォメーションギャップを楽しむものなので、

ドイツ語吹き替えは許せない。

 

 

パンズ・ラビリンスと「落下の王国」は同じ時期に
トロント国際映画祭で上映されている。

パンズ・ラビリンスは2006年9月10日、
「落下の王国」は2006年9月9日、一日違い。

パンズ・ラビリンスもアメリカでは黙殺されたといってもいいほど冷淡な扱いをされる。
フィルムフェスティバルに出されてそのあとは限定公開だけ。

落下の王国のプロデューサーであるデビッド・フィンチャーは言う。


「バイヤーたちは、誰が観るかを念頭において買い付ける。
しかし、パンズ・ラビリンスの観客はこういう人たちだ、
って誰がそんなことが言える?いまの観客たちはよく判っている」

つまり・・・
パンズ・ラビリンスはファンタジーの形式をとった反戦映画だが、
ちょっと見は子供向け映画のようにも見える。

 

しかし、ファンタジーでもターゲットは子供だけが観るというわけでもない。

だいたい「パンズ・ラビリンス」見せたら、普通の子供は泣くでしょ。
むしろ見せちゃダメ。


「落下の王国」のターゲットも子供ではない。

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「落下の王国」の”王国”という邦題は・・・
パンズ・ラビリンスを意識してつけられたのではないだろうか・・・

落下の”王国”は
パンズ・ラビリンスでオフェリアがたどり着いた”王国”の
もうひとつの形態の表現ではないだろうか?

 

The FALLという原題に「王国」を入れ込んだ日本の配給会社ムービーアイの素晴らしいセンス。

トロント国際映画祭で、この2作を立て続けに観たバイヤーたちは、シンクロする2作にさぞや驚いたに違いない。

オフェリアの意識的なサクリファイスは「落下の王国」では、
アレキサンドリアの"無意識のサクリファイス"として昇華され、
ロイの心を動かし現実的な解決がなされる。

生と死、悲観と楽観、ドメスティックとグローバル、社会と個人、重厚さと軽快さ、現実社会と空想世界・・・

この二つの作品はまるで姉妹のようだ。


月のように静かで楚々とした可憐な姉オフェリア、
太陽のように明るく、くったくのない生命力に溢れた妹アレキサンドリア。


おそらく・・・
バイヤーたちは、姉の成功を見て、妹もいけるかもしれない、
と考えたのではないだろうか。


だから、映画祭公開から2年もたってようやく上映できることになったのだろう(2008年 日本公開)

買い付けや公開もまたオフェリアのサクリファイスかもしれない。

 

 

↑  ジョードプルでのターセム

 

ターセムはヒマラヤの寄宿学校”Bishop Cotton School”で学んだ。
1859年設立、日本で言えば江戸時代。
由緒あるキリスト教系寄宿学校。
ターセムはこの学校に弟とともに入っていた。


父親がエアインディアのエンジニアでテヘランに行っていたため、ここに入れられた。
(ターセム自身もテヘランにいたことがある。ペルシャ語がわからないままテレビを見て楽しんだという。)

イラン革命で父親が帰国したため、ターセムもデリーに戻った。
子供のころからずっと映画が好きで、映画の勉強をしたいと思っていたが、あるとき、アメリカの映画学校のパンフレットを見て、アメリカに行こうと決意する。

父親にはハーバードビジネススクールに入ると嘘をつき、24歳(だから強いインド訛りの英語〜)で渡米。
アメリカから父親に電話したところ、

「OK そんな奴はいないと思うことにする」

と絶縁される。

偽IDで、LAのCity Collegeに入り、中古車のセールスなどしながら苦学して勉強。
ショートフィルムで認められ奨学金を得てパサデナのアートカレッジに入学する。
クラスメートには”トランスフォーマー”のマイケル・ベイがいた。

 

カレッジを卒業し、その後R.E.Mのミュージックビデオ”Losing My Religion”を撮り、シックなアートディレクターとして有名になる。

 

ターセムの弟も渡米してターセムを助けるため、掃除の仕事をしてターセムを養っていた。

 

ターセムが成功してのち、弟も学業を全うし、ターセムの仕事を助けることになる。

 

弟は「落下の王国」の製作費用を工面し、最後は車や自宅を売る話も出ていたが、ようやく映画が完成したため、売らずにすんだ。

 

 

 

映像の魔術師ターセム・シンの過去・現在・未来

 2016年9月23日付シネマトゥデイ記事より

 

パサデナアートカレッジ時代から組んできたプロデューサーのニコ・ソウルタナキスが女史のパートナーとなったことも、ターセムの仕事を特別なものにすることになったのだという。

 

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瑛子と仕事をするといつでもたくさんの違う意見が出てきた。

そして、それが好きだった。

 

だから決して『この映画みたいに』『あの映画みたいに』と細かく指示したりせずに、僕が作りたい世界観だけを説明した。

 

彼女は自分自身を作品に持ち込んでくれ、それが彼女を特別な存在にしていた。

ほかのみんなはもっと細かい指示を必要とするんだけど、彼女は違った。

 

僕と、僕の親友のニコはカレッジの頃からずっと彼女に夢中だった。

最初のプロジェクトで彼女に会ったとき、彼女は日本ですでにビッグなスターだったからね(笑)。

 

そして、そのプロジェクトで瑛子とニコは恋に落ちた

 

ニコはだいぶ年下だったけど、最終的には一緒になった。

 

だから僕は彼女の頭の中に入っていける裏口を持っていたんだ。

 

だって彼女はいつだって僕の親友と一緒に住んでいて、そして僕の親友は僕の仕事のやり方を熟知していたからね。

 

*************

彼女の死で選ぶ題材が変わったと思う。

 

完璧に独創的なデザインが求められる題材は、今は探していないんだ。

 

(ニコと女史は2011年に病院で結婚し、2012年1月21日

女史は亡くなった)

 

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とターセムは語っている。

 

ターセムは1961年生まれ

女史はニコより30歳上だと言っている。

 

ニコの生まれ年の記述はどこにも無いのでこれは不明。

 

 

ターセム監督作品「落下の王国」について語るブログです。

 

2008年にこの作品が公開されてから「落下の王国<The FALL>」マニアさんのためのブログをやってきましたが、ヤプログのサービス終了とともにhatenaへ引っ越し、今回hatenaブログ(有料)からamebaブログ(無料)に移行し、記録としてまとめて書き直します。

 

ただいま石岡瑛子女史の大規模回顧展が行われております。

 

サブタイトルは

 

血が、汗が、涙がデザインできるか  

 

王国マニアさんはぜひ東京都現代美術館にお出かけくださいませ。

 

「落下の王国」はワーナーブラザーズがDVD版権を持っているようですが、もともとの配給先は倒産、ターセムの自己資金で作られた映画ですので、テレビ放映はムービープラスで一度だけ。

 

特典付きDVD自体もたいへん高価になっていますので、トリビア部分解説に焦点を当てて書いています。

 

公開から12年もたってロケ地に関しては皆さんすでにご存知と思います。

 

ロケ地に関してはこちらのサイトさんをご覧ください。