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ロシアの軍事侵攻を機に執筆したのかと思いきや、元々企画があり、書いている途中に戦争が始まったようです。
ロシアの人々、住まい、街並み、食生活といった外国を紹介するエッセイのような内容から、ロシアと国際関係、プーチンの権力など、軍事評論家としての専門分野まで、今のロシアについてコンパクトにまとまった楽しい本です。
「こんなひどい戦争を始めたロシアのことなど理解したくない、という意見もあるでしよう。しかし、理解することと賛同することは違いますし、政府と社会も(完全に切り分けることは難しいものの)やはりイコールではありません。」
「ロシアがどんな国であるのかを理解することなくしては、この戦争を止め、二度と繰り返させないようにすることはできないのではないでしょうか。」
人口は日本と同程度、GDPの国別ランキングは11位、軍事力も世界第5位のロシアが、あたかもアメリカと対峙する大国のように振る舞えるのはなぜか。
「ロシアを「大国」たらしめているのは意志の力、つまり自国を「大国」であると強く信じ、周囲にもそれを認めさせようとするところにある」という分析はなかなか面白いです。
今まさに読むべき本だと思います。
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著者の執筆動機は「最新のマルクス研究の成果を踏まえて、気候危機と資本主義の関係を分析していくなかで、晩年のマルクスの到達点が脱成長コミュニズムであり、それこそが人新世(人類が地球を破壊しつくす時代)の危機を乗り越えるための最善の道だと確信したから」である。
希少性を生み出しながら利潤獲得を行う資本主義こそが、気候変動の根本原因であり、私たちの生活に欠乏をもたらしており、資本主義によって解体されてしまった〈コモン〉を再建する脱成長コミュニズムの方が、より人間的で、潤沢な暮らしを可能にしてくれるはずだと説く。
結びには、ハーバード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究を引いて、「3.5%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるとして、まず3.5%が、今この瞬間から動き出し、その動きが大きなうねりとなれば、資本の力は制限され、民主主義は刷新され、脱炭素社会も実現されるに違いないとする。
資本主義の限界を克明にあぶり出すとともに、当たり前と思って生きているこの資本主義システムの変革に向けて、われわれの背中を強く押してくれる。









