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著者の執筆動機は「最新のマルクス研究の成果を踏まえて、気候危機と資本主義の関係を分析していくなかで、晩年のマルクスの到達点が脱成長コミュニズムであり、それこそが人新世(人類が地球を破壊しつくす時代)の危機を乗り越えるための最善の道だと確信したから」である。
希少性を生み出しながら利潤獲得を行う資本主義こそが、気候変動の根本原因であり、私たちの生活に欠乏をもたらしており、資本主義によって解体されてしまった〈コモン〉を再建する脱成長コミュニズムの方が、より人間的で、潤沢な暮らしを可能にしてくれるはずだと説く。
結びには、ハーバード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究を引いて、「3.5%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるとして、まず3.5%が、今この瞬間から動き出し、その動きが大きなうねりとなれば、資本の力は制限され、民主主義は刷新され、脱炭素社会も実現されるに違いないとする。
資本主義の限界を克明にあぶり出すとともに、当たり前と思って生きているこの資本主義システムの変革に向けて、われわれの背中を強く押してくれる。
