読書雑記 -12ページ目

読書雑記

読書日記。

ほとんど自分のためのものです。


☆☆☆☆☆


これはおもしろい。


容疑者が犯罪行為に及んだ『心の闇』に精神鑑定医である影山司とその助手の弓削凛が迫っていく過程が読みどころ。

殺人のような重大犯罪を犯すことは『異常』であるが、精神障害者による犯罪であっても、精神疾患に起因する部分とそうでない部分があったりする(また時には詐病もあったりもする)。

影山司は、容疑者の面接はもちろん、事件の状況・背景の調査など、妥協のない徹底した精神鑑定を行なっていく。


また、影山の助手として鑑定医を目指す弓削凛の成長や自身が背負う十字架、葛藤をどう克服していくのかも大きなテーマ。


第1話から第5話まで、独立した短編になっていながら、第5話では、弓削凛がなぜ精神鑑定医を志したかという物語の根幹にかかわる事件の真相が明らかになる。


現代に巣食う心の病の問題や犯罪の責任能力など考えさせられることも多く、物語の結末や謎解きも予測不能でミステリーとしても極上だと思う。



☆☆☆☆★


為替相場の様々な変動要因のうち、本書では、①成長率、②金利、③需給、特に、③の需給環境の変化を重要な論点として、現在の円安を中長期的な視点から読み解く。


円安がコロナ禍やウクライナ戦争等による一過性のものではなく、この10年間における「円(ひいては日本経済)の構造変化」、具体的には経常収支の悪化によるものであり、「かつての円高は戻らないかもしれない」というリスクを認識した方が良いようである。



☆☆☆☆★


「基本的な暮らしは、食べることと寝ることだけだ。・・・最初は単調すぎて退屈してしまうのではないかと恐れていたけど、杞憂だった。単調なリズムの中に彩りがあり、驚きがあり、少しも飽きない。」

主人公の言葉のように、まさに小川糸さんの描き方そのものが、日常に彩りを与え、読者を飽きさせない。


「生まれるのも、死ぬのも、自分では決められないもの。だから、死ぬまでは生きるしかないんだよ。」

「死を受け入れるということは、生きたい、もっともっと長生きしたいという気持ちを正直に認めることなんだ」

「面白いことに、生きたい、まだ死にたくない、という気持ちを素直に認めてあげたら、心が軽くなった。」

逆説的だか、死を受け入れるということは、今生きていることを大切にすることなんだなと思った。



☆☆☆☆★

自分や家族が認知症になった場合に限らず、超高齢社会において、多くの人が認知症のことを理解しておく必要があります。
「85歳を過ぎれば、誰もが“フツーに”認知症になり得ます」
「できなくなったことに関しては現実を受け入れ、まだできることについてはそれを活かしていかに前向きに生きていくか。」なってしまっても認知症に対する姿勢が大切です。
本書を読んで初めて知ったのは、素人が考える以上に「医師は認知症の診断を早めに下す」ということ。それは、早めに治療を始めた方が、認知症の進行を遅くできる可能性が高くなり、認知症と診断すれば、介護保険を利用できるようになるからです。
また、認知症の症状には、記憶障害や見当識障害といった「中核症状」と、中核症状と環境要因などが相互に作用して生じる二次的な症状の「周辺症状」(BPSD)の2種類があり、暴言や暴力、妄想、徘徊等の「周辺症状」は認知症になっても必ず生じるものではなく、家族関係を含めた周囲の環境、本人の心理的な状態あるいは身体的な要因、薬物の副作用などによって現れるそうです。
「症状が重くなっても、ほとんどの場合、幸せな気持ちになることが基本的なパターン」とのこと。
認知症についての誤解を解き、認知症を少しでもポジティブにとらえることができるようになる良書です。


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気分が重くなり、いろいろと考えさせられ、でも読むと止まらない面白い本でした。