十字架のカルテ | 読書雑記

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☆☆☆☆☆


これはおもしろい。


容疑者が犯罪行為に及んだ『心の闇』に精神鑑定医である影山司とその助手の弓削凛が迫っていく過程が読みどころ。

殺人のような重大犯罪を犯すことは『異常』であるが、精神障害者による犯罪であっても、精神疾患に起因する部分とそうでない部分があったりする(また時には詐病もあったりもする)。

影山司は、容疑者の面接はもちろん、事件の状況・背景の調査など、妥協のない徹底した精神鑑定を行なっていく。


また、影山の助手として鑑定医を目指す弓削凛の成長や自身が背負う十字架、葛藤をどう克服していくのかも大きなテーマ。


第1話から第5話まで、独立した短編になっていながら、第5話では、弓削凛がなぜ精神鑑定医を志したかという物語の根幹にかかわる事件の真相が明らかになる。


現代に巣食う心の病の問題や犯罪の責任能力など考えさせられることも多く、物語の結末や謎解きも予測不能でミステリーとしても極上だと思う。