出展:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080407/152450/?P=1


中国が本格生産開始、原油より厳しい制約資源に


持続可能なモビリティーに向けた次世代自動車として、燃料電池車とともに世界の自動車会社による各種電気自動車の開発競争が激しくなってきた。いわゆる電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、そしてプラグインハイブリッド車(PHEV)である。


 いずれの車種もバッテリーとしてリチウムイオン電池を搭載する。したがって、このリチウムイオン電池の開発が次世代自動車のカギを握っているわけだ。そのため、自動車会社各社は電池の開発をめぐり関連企業との戦略的パートナー関係を構築するなど、その動きは世界中で活発化してきている。


 現在のハイブリッド車には、ニッケル・水素電池が使われている。しかし、エネルギー密度が低く、電池による走行距離はわずか十数キロメートルであるため、エネルギー密度が高く、航続距離が長い、しかも安全性に問題がない電池の開発が急がれている。それがリチウムイオン電池である。この電池は、既にラップトップのPCや携帯電話などポータブルの電子機器には多く使われているが、各種電気自動車用には、PC用電池の100倍の大容量高性能電池が必要でありいまだ開発途上にある。


 さて、この電池に必要なリチウムの資源事情を見てみよう。

 2005年における世界のリチウムメタルの生産量は2万1400トンであった。そのうち主要生産国はチリが8000トン、オーストラリア4000トン、中国2700トン、ロシア2200トンそしてアルゼンチンが2000トンである。リチウムメタルの埋蔵量は、世界トータルで1340万トンのうち、未開発のボリビアが540万トン、生産量で最大のチリが300万トン、アルゼンチン200万トン、ブラジル91万トンで、南米4カ国で、実に84%の1131万トンを占める。


 中国は110万トンで、残りは数10万トン規模である。燃料電池車に必要な白金が南アフリカ共和国に、そして石油が中東に偏在していると同じようにリチウムも南米に極端に偏在し、地政学的な不安定性を抱えているのである。埋蔵量の1340万トンについては、米地質調査所(USGS)によると1100万トンと、より低く評価されている。


 電池に使われるリチウム資源は、塩湖に賦存しており、主として炭酸リチウムとして産する。炭酸リチウム(Li2CO3)としての埋蔵量は、USGSによると5800万トンとされている。世界のリチウム生産量のうち電池に使われる炭酸リチウムとしては約75%で、年間7万~8万トンである。


 主な産出国別にみると、チリ北部に位置するアタカマ塩原(Salar de Atakama)にある塩の鉱床は炭酸リチウム、その生産量は年間4万~5万トンである。未開発ではあるが埋蔵量ベースで世界の50%近くを保有するボリビアの資源は南端のウユニ塩原(Salar de Uyuni)にある。アタカマとウユニいずれも太古の時代には内海であった塩田(salt pan )で、現在標高3000メートル以上の高地の極めて厳しい自然条件の下にある。


 ボリビアのリチウム資源開発はこれまで何度か試みられたが実現していない。それは、最近の政治情勢すなわちモラレス大統領が2006年5月に石油・天然ガスの国有化を宣言して、資源ナショナリズムと反米をむき出しにしてきているなど、西側鉱山会社にとって開発意欲が全くわかない事情があることによる。


 いずれにしても、ボリビアの現政権ではウユニの資源開発は許可されないだろうと見られている。やはりリチウム資源保有国のアルゼンチンにおいても、国際的鉱山会社は地域住民との間の軋轢が増してきているため、ボリビアと同じような政治・社会情勢になり、鉱山会社の資産が国有化されるのではないかと恐れを抱いている。


一方、中国では、チベットと隣接の青海において5000トン能力で生産が間もなく始まる。そしてチベットの塩湖においても青蔵鉄道完成とともに小規模の生産が始まった。しかし、中国も当然ながらリチウム資源を戦略物資として温存し、輸出禁止にしてくるはずだ。中国には燃料電池に必要な白金がないから、首脳部も次世代自動車はEVでいくとはっきり言っている。


 それでは、リチウム・イオン電池による電気自動車を世界の主流とした場合に、炭酸リチウムの需給はどうなるのか。電池の容量kWh(キロワット時)当たり1.4~1.5キログラム必要であるから、世界の自動車生産量年間6000万台をPHEVにしてプリウス並みの5kWhの小さな電池を搭載したとしても、炭酸リチウムの年間需要量は現在の生産量の約6倍、45万トンになる。


 しかし電池容量は現実的には8kWhは必要と思われるので約10倍の72万トンとなる。このような需要量を賄うことは、現在のような極めて小規模な生産しかできない鉱床からは考えられない。その上、10億台にも達する勢いの世界の自動車保有台数を考えるとすべて5KWHとしても100倍にする必要がある。


 炭酸リチウムの価格は、2004年までは1キログラム当たり1ドルだったが、2005、2006年で5ドルを超えた。そして、ある日本の電池メーカーの買値は10ドル以上と言われている。
結論としては、今世界がリチウムイオン電池に魅せられている。


 しかし、世界の自動車産業が一斉にリチウム依存に向かうと、現在われわれがオイル依存で直面しているより厳しい資源制約を受けるということである。それは、資源の極端な偏在性、強まる資源ナショナリズム、資源の採掘条件、必要な生産能力、価格高騰、そして埋蔵量などの資源事情によるものである。


 要するに、ポータブルの電子機器だけならサステナブルだが電気自動車に使うとなるとサステナブルではないということである。たとえリチウムは、石油と違ってリサイクル可能としても、ピークオイルならぬピークリチウムの時期もいずれやってくるというわけである。



<私のコメント>電気自動車が地球温暖化の切り札と言われているが、希少資源が故にガソリン同様、値上がりしてしまうとあまり意味のないものになってしまいそうで心配です。

どこにでもあるような資源を使ってこそ意味があるのですが、それが難しいですね。



出展:http://diamond.jp/series/industry/10015/


2004年までは、セル生産量も導入量も世界一だった“太陽電池立国”日本。だが近年、ドイツの固定価格買い取り制度導入による市場拡大に圧倒されるかのように日本市場は停滞し、日系太陽電池メーカーも伸び悩んでいる。背景に横たわる日本特有の問題を浮き彫りにする。


 2008年2月27日、東京ビッグサイトで開幕した第1回国際太陽電池展。3日間の来場者数は2万7000人を超え、部材や装置、太陽電池セルやモジュール、システム技術など、関連メーカーの出展社数は301社を数える盛況ぶりだった。


 その初日を飾る講演に、シャープのソーラーシステム事業を率いる、濱野稔重専務が登場した。太陽電池セルの生産量で世界首位を堅持してきた同社だが、2007年累計値でついにドイツ・Qセルズに追い抜かれる見通しが濃厚だ。


 濱野専務は席上、その悪夢を振り払うかのように、「早期にグローバルで6ギガワットの生産能力体制を整えたい」とぶち上げた。

 シャープの現在の生産能力は、710メガワット。2009年に堺新工場を立ち上げても、2ギガワット弱だ。6ギガワットといえば、2006年の世界生産量の2.4倍に当たる大容量である。


 実際、世界需要の成長率は40%をも超え、成長性は大きい。牽引するのは、環境立国として主導権を握ろうとするドイツだ。累積導入量は2005年に日本を抜いて世界首位となり、2006年の市場規模は日本の約3倍に急拡大した。


 成長のドライブとなったのは、2004年に導入したフィード・イン・タリフ(FIT)と呼ばれる固定価格買い取り制度である。事業所や家庭が太陽電池で発電した電力を、電力会社が市場価格より高く買い取るよう義務づけたものだ。太陽光による発電分は、通常の電力価格の2~3倍で買い取られる。毎年5%ずつ引き下げられるが、20年間は買い取りが保証され、約10年で初期費用が回収できる計算だ。


 これによって、投資対象として太陽電池を導入する企業や個人が急増。ドイツが牽引した結果、全世界における2007年の新エネルギーへの投融資は850億ドルと前年より20%上回った。うち太陽電池向けはバイオ燃料向けと並び、公開株式市場でもベンチャーキャピタルでも注目が高い。


大量の資金流入で、製造設備も原材料も手当てできたことから、新興メーカーが雨後の筍のごとく登場した。世界首位に立ったQセルズも、1999年に設立、2005年に上場したばかりだ。


 ドイツと同様の買い取り制度を導入したスペインやイタリアなど欧州圏の成長も著しい。また潜在市場として、2007年末に包括エネルギー法案が可決されたばかりの巨大市場、米国も導入を控える。


シャープ、京セラ、三洋 いずれも世界順位下落
 こうした市場の“熱狂”ぶりを尻目に、日本の太陽電池メーカーは完全に勢いを失っている。2007年の生産量ランキングは、シャープの首位転落に加え、3位だった京セラが4位中国サンテック・パワーに抜かれ、5位三洋電機、6位三菱電機も7位台湾モーテックに抜かれる見通しだ。


 日本勢の失速の理由は、海外勢台頭だけではなく、自滅もある。

 まず、原料であるシリコンの調達失敗である。太陽電池の需要急増と半導体需要が重なり、シリコンメーカーへの前払い金支払いや長期契約が常態化した。日本メーカーはこれに躊躇しているうちに、シリコンのスポット価格は急騰し、手が出せなくなった。京セラや三洋も遅ればせながら長期契約を結んだが、出遅れたシャープを含め調達は不十分である。


 その結果、シャープの場合、2007年は生産能力の半分程度の363メガワットしか生産できなかった。部門損益は非公表だが、2007年度は営業赤字に沈んだ模様だ。

 もう一点は、足元の日本市場の停滞である。導入成長率は、経済産業省による住宅向け設置補助金が打ち切られた2005年以降、横ばいが続いている。


 もっとも、太陽電池モジュールの国内向け価格は、欧州の60~70%程度であり、儲けは薄い。結果的に、日系メーカーも輸出優先でその比率は7割を超え、国内市場をさらに収縮させている。だが、「技術革新を続けるうえでも母国市場の活性化は必須」(木山精一・三洋電機ソーラー事業部事業企画部部長)である。エネルギー自給率が4%と先進国でもとりわけ低いにもかかわらず、行政、メーカー、電力会社の思惑が交錯し、打開への光明はいまだ見えない。


 まず国の前提として「基幹電源はあくまで原子力発電」(資源エネルギー庁)であって、新エネルギー政策は二の次だ。それでも過去、2003年までは行政と電力会社の“予期せぬ”コラボレーションで、太陽電池普及が進んできた。


 夏場の電力ピーク対策のため、1992年に、電力会社が自主的取り組みとして新エネルギーの電力を購入する「余剰電力購入メニュー」を導入。これに呼応するように1994年には、前述の住宅向け設置補助金制度が導入された。この二つは産業政策を俯瞰し連携してできた制度設計ではない。いわば偶然の産物で、住宅向けを中心に需要は拡大し、販路も整備された。


 だが2003年、太陽光発電市場に停滞の予兆が訪れる。ドイツで導入されたようなFIT導入には電力会社が猛反発し、2003年にRPS法、すなわち電気事業者にその販売電力量に応じて一定の新エネルギー利用量を義務づける法律が施行された。だが新エネルギーの選択肢が広く、しかも利用超過分は翌年に繰り越せるなど制度設計上の問題も多く、結果的に太陽光発電の普及促進策としてFITに劣ったといえる。

「政策に市場形成の視点を欠いたまま、市場の自立化という神話が平然とまかり通った」(飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長)結果である。


 さらに同2003年、当時の小泉純一郎内閣で特別会計のスリム化が図られるなか、財務省は、前例のない“個人向け補助”で規模も大きかった住宅向け設置補助金の打ち切りを決めた(実施は2005年)。


 2007年には改正RPS法で、太陽光発電システムに関しては2011年から利用量を2倍換算と設定し、普及を促す手直しもされたが、遅きに失した。他方、太陽電池メーカー側にも、産業としてまとまって国内市場の活性化を訴える姿勢はなかった。


 だが今後、国産エネルギーとして太陽光発電を育てるには、電力会社に限らず広く産業界、国、自治体などとの協力体制が欠かせない。ドイツでは、電力会社の買い取りコストが転嫁され、国民の電気料金が約1割上がったが、脱原発を掲げて政治が主導した。


 日本でも、総量ではなくFITのように価格設定まで踏み込んだ制度導入はできないか。また、産業向けを中心に、発電所向けなど用途開拓も必要だろう。このままだと国内市場が縮小するばかりか、メーカーの生産拠点も大きな市場に近い東欧やアジアに流出し、産業集積も崩れかねない。


技術面では原料低減と変換率向上に尽きる
 では政策を置いて、日本メーカーに巻き返しの妙手はあるか。

 まず、太陽光発電システムのコスト構造を押さえておこう。一般的な住宅向けの3キロワット規模で、売価が約200万円。コストのうち、7割程度がモジュールで、3割がパワーコンディショナを含む工事費だ。現在、市場の8割を占める結晶系の場合、モジュールのコストのうち、6割程度をシリコンウェハが占めるといわれる。


 原材料のシリコン価格は「重量」で、製品化した太陽電池モジュール価格は「発電容量」で決まることから、メーカーが付加価値を高める方策は、大きく二つしかない。シリコンのコストを抑えるか、太陽電池の変換効率を高めるかだ。


 その両方の条件を打ち破らんと、メーカーは技術開発を進める。原材料シリコンの使用量が100分の1ですみ、高温条件下に強い薄膜系の技術開発には、シャープをはじめ各社が躍起になっている。さらにシリコンを使わない化合物系では、ホンダや昭和シェル石油など異業種が参入して量産を開始し、変換効率は結晶系に近づきつつある。


 経済産業省がまとめた技術開発のシナリオでは、発電コストを、2007年の46円/キロワット時から10年に23円まで半減、さらに30年には原発並みの7円まで下げる計画だ。当面、23円が普及ラインと見られている。住宅向けの設備が現在の半分のざっと100万円、10年で元が取れれば、需要もおのずと増え、販売コストの軽減にもつながる。


 こうした技術開発に加え、効果的な提携・出資策も必要だろう。QセルズがシリコンメーカーRECに出資したほか、シャープが薄膜製造装置の強化で東京エレクトロンや、シリコン精錬で新日本製鐵と組むなどの例はすでに見られる。


 他方、結晶系と薄膜系のハイブリッド技術を持つ三洋は、太陽電池の事業責任者が経営支援する大和証券出身者に代わったことから、逆に買収対象として動向が注目される。行政、メーカーを含め、日本勢は本当の正念場を迎えている。

出展:http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=184823&lindID=6

高度な省エネ技術で居住時のCO2排出量を削減し
太陽光発電と燃料電池の発電により残りのCO2排出分を差し引きゼロにする
「CO2オフ住宅」


 積水ハウス株式会社は、2008年4月3日より、住宅の高度な省エネ技術により生活に伴い排出されるCO2をできる限り削減したうえで、残りのCO2排出分について、太陽光発電システムと燃料電池の発電による削減効果で差し引きをほぼゼロにする「CO2オフ住宅」(※1)の販売を開始します。

(※1)「CO2オフ住宅」は、“カーボンニュートラル”を目指すために必要な設備や設計を導入するものです。CO2排出量の差し引きゼロを保証するものではありません。
 

 日本では、家庭部門におけるCO2排出量削減の取り組みが産業部門に比べ大幅に遅れており、排出量は1990年比で30%以上も増加しています。この結果、家庭部門からのCO2排出量は日本全体の約13%を占め、家庭におけるCO2排出量の削減が国を挙げた緊急の課題となっています。
 
 「CO2オフ住宅」では、省エネルギー法に基づく次世代省エネルギー基準よりも2割程度性能を向上させた高断熱・気密仕様としたうえで、LED(発光ダイオード)照明や高効率エアコンなどのエネルギー効率の高い設備機器を提案することで、住宅全体の省エネルギー性能を高めます。これにより一般的な住宅(※2)と比べ電力消費を約3割削減することが可能です。さらに、燃料電池と太陽光発電システムで生活に必要な電力を発電し、太陽光発電システムの余剰分は売電のうえ他の世帯で使用してもらうことで、発電所からの供給電力を減らす、すなわち発電所におけるCO2排出量を削減します。このように、省エネルギー努力のうえで残されたエネルギー消費に係るCO2排出分を、創エネルギー(発電)により差し引きゼロすることで、“CO2オフ”の暮らしを提案するのが「CO2オフ住宅」です。

(※2)詳細の計算条件等は(※6)を参照。

 ※参考資料を参照
 
 また、当社では従来より、「里山」をお手本に在来樹種を庭先に植える「5本の樹」計画や、通風や陽射しなどを上手くとり入れた設計を提案し、快適で環境に配慮した住まいを提供してきました。「CO2オフ住宅」は、このような親自然の設計提案を組み合わせることで居住時におけるCO2排出量削減に一層貢献します。
 
 CO2差し引きゼロ(カーボンニュートラル)を日常の暮らしで実践する「CO2オフ住宅」は、これからの環境配慮時代の住宅提案のモデルとなるものです。また、燃料電池については、各地域のエネルギー供給事業者と連携することで広域のエリアで設置が可能となることから、政府が「京都議定書目標達成計画」で掲げている燃料電池の普及についても大きく寄与します(※3) 。

(※3)燃料電池は2009年から本格販売が予定されており、2008年は財団法人新エネルギー財団の「定置用燃料電池大規模実証事業」に参画を予定しているエネルギー供給事業者が中心となって燃料電池の設置を予定しています。


出展:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20080507/151349/?P=1


 先週は仕事で米国に出張でした。日本ではガソリンの価格がまた上がってしまい騒ぎになったようですが,事情は米国も同じ。ロサンゼルスなどでは,石油価格の上昇に合わせてガソリンの店頭価格が1ガロン(約3.8リットル)当たり4米ドルの大台に乗ったことがテレビのニュースで話題になっていました。1米ドルが105円だとすると1リットル当たり約110円ですから日本での価格水準よりはまだ相当安いのですが,1ガロンが2ドル台前半だった2年以上前と比べると驚くほどの値上がりぶりです。


 私には,近い将来エネルギー問題が深刻化して,本当に生活をガラリと変えざるをえなくなるような事態になりはしないかという不安があります。思い出すのは1973年末の石油ショックの頃。私はまだ小学校入学前でしたが,大人が何か騒いでいるなということは感じていました。その後数年間は小学生向けの雑誌でも「もし石油がなくなったら」というテーマの特集が何度も組まれ,これからどうなるのだろうと漠然とした不安に駆られました。ちょうどあの不安感に近いものを,今になってまた感じ始めています。「石油ショック前夜」と言ったら言い過ぎでしょうか。


 既に,高騰する石油価格がバイオ燃料の利用拡大を生み,それが発展途上国での食料危機の要因の一つになっています。これが深刻化すれば,次は穀物を大量に食べる牛や豚などに影響が出て,食肉の価格高騰につながるかもしれません。


電気代が高騰していない理由は…

 ただちょっと不思議なこともあります。原油の価格は2002年の1バレル20米ドル台,2005年の同50米ドル台を経て,今や同120米ドル台と6年で6倍程に上がっているにもかかわらず,日本での電気代は一般家庭向けで1kWh当たり21~23円とこの数年あまり変わっていないのです。その理由の一つは,電力会社が,火力発電の燃料を,価格が高騰する石油から安い石炭にシフトさせることで電気代の高騰を抑えてきたためです。


 現在,日本国内での発電量のうち石油由来の発電量の占める割合は約9%台(2006年度,経済産業省調べ)と驚くほど少なくなっています。東京電力などのデータによると,日本の発電の約6割は火力発電由来ですが,火力発電の4割超が石炭,同4割弱が天然ガスを用いたもので,石油由来の発電は火力発電の2割に満たないようです。日本の1次供給エネルギーの約5割は依然として石油ながら,電力については石油への依存度が大きく低下しているのです(資源エネルギー庁などのデータに基づく)。一方,石炭由来の発電は石油とは逆に急激に増えています(同)。


 では今後も電気代は安泰かというとそうでもありません。石炭価格もこの3~4年,原油価格ほどではないにせよ上昇しつつあるからです。加えて,単位発電量に対するCO2排出量が多い石炭を用いることには今後,批判が集中するでしょう。実際,2006年2月には東芝などが,山口県での石炭火力発電の事業化を事実上断念しました。その理由として東芝は「電力需要の伸びの鈍化,電力価格の低下,石炭燃料価格の高騰,地球環境問題の高まり等により」採算の見通しが不透明になったことを挙げています。


 一過性に終わった1973年の石油ショックと異なり,今回の化石燃料の高騰は解決の糸口が見えません。いわゆる「ピーク・オイル(peak oil)説」,つまり「石油の産出量が頭打ちになる時期」が2007年に来たという説も出ています。これを解決するにはやはり,原子力発電か,太陽光発電や風力発電といった代替エネルギーを増やしていくしかなさそうです。


あと4年で原発約3基分の太陽電池が毎年生産へ

 このうち,太陽光発電は,発電量,コスト,そして効率の3点で一般に思われているよりも大きな役割を果たせる可能性があります。まず発電量に関しては,2007年の太陽電池モジュールの生産量は,そのモジュールで可能な最大発電量に換算して約3.7GW分でした(関連記事)。4年後の2012年には15GW/年になる見込みです(シャープ調べ,関連記事)。平均的な原発1基の最大発電量が1GWですから,その規模の大きさが分かるというものです。


 もちろん,これらはあくまで最大発電量で,平均発電量を比較するには稼働率を考慮する必要があります。仮にすべて日本で利用することを前提にすると,太陽電池の稼働率は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によれば約0.12。これはつまり,太陽電池が十分な性能を発揮できるのは24時間/日×0.12=2.88時間/日ということになります。


一方,原子力発電の稼働率は故障や地震の多い日本では0.6~0.7。これらの稼働率を考慮すると,4年後の太陽電池の年間生産量は,原発2.5~3基分の発電能力に相当する計算になります。2012年以降は生産量がさらに増えていくことを考えると,意外に多いと思うのは私だけでしょうか。実際には太陽電池の実質的な発電量はさらに多い可能性があります。太陽電池を砂漠などに置けば稼働率は0.12よりずっと高まるためです。また,電力の需要が本当に高いのは夏の日中であることを考慮すると,最大発電量の値がむしろ重要である可能性もあります。


コストはあと3年で家庭の電気代と並ぶ

 太陽電池の従来からの課題であるコストの問題も,近い将来解決する可能性があります。太陽電池には「累積生産量が2倍になれば,発電コストが8割になる」という過去30年近く続いている経験則があります。2006年当時の太陽電池の世界の累計生産量が約5.7GW,発電コストが約46円/kWh(太陽光発電協会調べ)という実績と,現在の太陽電池の増産の勢いを考慮してこの経験則に当てはめれば,2011年には発電コストが現在の家庭向け電気代の水準に並ぶ計算です。これはNEDOの「2030 年に向けた太陽光発電ロードマップ(PV 2030)」で,2010年度に太陽電池の発電コスト目標を23円/kWhとしていることにほぼ一致します。


 上述のように,電力会社の電気代は今後上がりこそすれ,下がる可能性は低いでしょう。このため,行政組織が太陽光発電による電力を高値で買い取る「Feed-in Tariffs」制度を導入せずとも,あと数年で太陽光発電事業が自律的に動きだす可能性があるわけです。


 最後は効率です。ここでは変換効率より,太陽電池の製造や維持管理などに投入するエネルギーの,太陽光発電による「返済期間」を示す指標「エネルギー・ペイバック・タイム(EPT)」について触れます。このEPTは太陽光発電にとって非常に重要です。仮にEPTが太陽電池システムの製品寿命より長ければ,太陽電池を作れば作るほどエネルギーを無駄遣いしていることになり,エネルギー問題を解決する手段としては全く意味を成さないことになってしまいます。


 ところが,EPTについては太陽電池の関係者でさえ意見が大きくバラついています。「EPTは結晶Si系太陽電池でさえ2年を切っている」という人もいれば,「EPTはモジュールだけで8年,周辺装置も入れれば20年」と主張する人もいます。「材料の運送にかかるエネルギーが入っていない」「工場建設にかかるエネルギーが考慮されておらず,それを考慮したら20年」という人もいます。


EPTは1.5年以下

 こうした,EPTの値についての認識の差は主に参照しているデータの時期がまちまちであることに拠っているようです(関連記事)。言い換えれば,EPTが8年や20年というデータは古い,のです。ちなみにNEDOが公表しているデータによると,多結晶Si系太陽電池のEPTは100MW/年規模の生産で1.5年(資料)。アモルファスSi系太陽電池では100MW/年規模で1.1年以下(同)です。このNEDOのデータ自体,2000年ころのデータで新しいとは言えません。最近ではフレキシブルなCIGS型太陽電池でEPTが1~2カ月と主張するメーカーも出てきています。量産が始まったばかりの色素増感型太陽電池でもEPTはかなり短い模様です(日経エレクトロニクス5月5日号の「量産始まる有機太陽電池,効率,耐久性でも躍進」)。


 太陽電池の開発の歴史は40年以上と長いですが,特にこの数年の技術の変化は非常に早く,10年前の知識では追いつかなくなっています。例えば,結晶Si系太陽電池で製造にかかるエネルギーの7~8割を占めるSiウエハーは,2004年ころは平均で300μm厚でしたが2007年には150~200μm厚と3年ほどで2/3以下になっています。近い将来50μm厚のSiウエハーも登場する可能性があります。Siウエハーがこれだけ薄くなれば太陽電池のEPTは大きく短縮されます。量産規模も大きく変わっているデータで,2000年時点では1製造ライン5MW/年だったものが,最近は同100MW/年に近づいています。量産規模が大きくなれば,工場などの初期コストは単位モジュール当たりでどんどん小さくなります。


 太陽光発電はしばしば環境問題,つまりCO2排出量削減の文脈で語られることが多いのですが,さらに差し迫ったエネルギー問題を解決する手段としてもかなり有効なのではと思っています。


出展:http://jafmate.jp/eco/20080417_418.php


神奈川県が電気自動車(EV)の普及を目指して、大胆な施策を発表した。「EVイニシアティブかながわ」と名付けられたこの施策、三菱のiMiEVやスバルR1eなど、2009年~2010年の市場投入を予定している軽自動車クラスのEVを念頭に、補助金の支給や税の軽減といった優遇策によって普及を後押ししようというもの。


施策の目玉となるのは、EVを購入するときに支給が受けられる補助金。現在、国では申請に基づき、同格のガソリン車との差額に対して最高で半額程度を補助する事業を行っている。神奈川県の施策では、この国の補助金の半額を、県が独自に上乗せする。例えば、車両価格でガソリン車とEVとの差額が200万円あるとすると、国の補助金が100万円、神奈川県の補助金が50万円の計150万円の購入補助が受けられることになる。残りの差額は50万円となるが、神奈川県の試算では、年間一万キロを走行した場合に、EVは燃費の良さからおよそ5年間で差額分を回収できる可能性があるという。


車両の購入補助の他にも優遇策が予定されている。自動車取得税や自動車税の90%減額、県所管有料駐車場の料金50%割引、県内区間の高速道路ETC利用料金の50%キャッシュバックなどだ。これらの優遇策を利用すると、クルマの使い方によっては、ガソリン車より有利になるかもしれないほどで、とても大胆な施策と言える。このほかにも施策では、急速充電器やコンセントなどの充電インフラを、10km四方に一基の割合で整備することも盛り込んでいる。


神奈川県では、2009年度からこの施策を開始し、5年後の2014年には、県内で3000台のEVを普及させたいとしている。ただ、補助金の支給対象を個人もしくは法人に限定するのか、国の助成事業が中止もしくは停止した場合の扱いをどうするのかなど、細部についてはまだ未定で、現在、具体案の検討を行っている段階だ。ただ、“イニシアティブ”と名付けているように、神奈川県は首都圏の各自治体などにも働きかけをしていくとしており、足並みが揃った場合には、EV普及への起爆剤になる可能性が高い。


<コメント>東京都もぜひ神奈川県に見習って欲しいところだ。例のなんとか銀行に使うお金があれば、EV普及に投資した方が良かったのではないか?




出展:http://jafmate.jp/eco/20071219_333.php


ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車といった次世代自動車。その鍵と言われるのが自動車用の二次バッテリー、特にリチウムイオンバッテリーだ。


二次バッテリーの市場で世界トップのシェアを誇るのが三洋電機。本格的な電気自動車時代の到来を見越して、三洋ではリチウムイオンバッテリーの生産能力の拡大とハイブリッド車事業の本格立ち上げに向けて、今後三年間で累計約1,000億円規模の投資を行うことを発表している。


三洋は現在、フォードやホンダにニッケル水素バッテリーを供給しているが、特定の自動車メーカーとの連携強化は打ち出していない。全方位にバッテリーを供給する姿勢は、トップシェアの強みと言えるかもしれない。しかし、バッテリーを大量に消費する自動車メーカーと、そのバッテリーを提供するサプライヤーとの間では、資本移動や合弁会社の設立など、動きが盛んになっている。


この分野で注目される自動車メーカーは、やはりハイブリッド車で一人勝ちと言って良いトヨタ。それに2009年に電気自動車の市販を予定している三菱とスバル(富士重工業)の三社だろう。このうち、トヨタとスバルについては、二年前の2005年10月にトヨタがスバルを事実上の傘下に入れたサプライズが記憶に新しい。この自動車業界にとっての地殻変動は、リチウムイオンバッテリーを巡る動きにも大きな影響を与えた。


実はトヨタの傘下に入る前のスバルは、注目される技術を持っていた。NECと共同で開発した「ラミリオン・バッテリー」だ。マンガン系のリチウムイオンバッテリーでは先進的と言えるこの技術を元にNECと合弁で2002年に設立したのが「NECラミリオンエナジー株式会社」だった。


一方、トヨタが手を組んでいるサプライヤーは松下電器。1996年と早い段階で設立された「パナソニックEVエナジー株式会社」では、トヨタのハイブリッド車向けにニッケル水素バッテリーが生産されているほか、リチウムイオンバッテリーの開発も行われている。


スバルを傘下に入れると同時に、トヨタは「パナソニックEVエナジー株式会社」に対する出資比率を半数以上に高めて子会社化している。結果として、傘下のスバルはNECとの提携を昨年2006年3月に解消、「NECラミリオンエナジー株式会社」はNECグループが100%の株式を有する、自動車メーカーとは結びつきのない“独立”したサプライヤーとなった。ところが話はこれで終わらない。今年2007年4月、NECは日産との合弁で、リチウムイオンバッテリーの開発と生産を行う「オートモーティブ・エナジー・サプライ株式会社(AESC)」を設立した。


これまで日産のサプライヤーと言えば、日立と新神戸電機が合弁で設立した「日立ビークルエナジー株式会社」だが、AESCでは日産自らが出資している。そしてこのAESC、所在地は「NECラミリオンエナジー株式会社」と同じNEC相模原事業所の敷地内にあり、将来、両社は合併する予定だという。そして、このAESCで生産を予定しているのは、マンガン系のラミネート型リチウムイオンバッテリーというから、すなわち、「ラミリオン・バッテリー」なのである。だから、将来的にAESCがスバルにもバッテリーを供給する予定というのもおかしな話ではないわけだ。


2009年の電気自動車市販で準備を進めている三菱もサプライヤーを決めた。今年12月、三菱は鉛バッテリーメーカー最大手のGSユアサに三菱商事を加えた三社の合弁で「株式会社リチウムエナジージャパン」を設立した。同社の生産目標は2009年度20万個、うち10万個は三菱製電気自動車向けで、残り10万個は外販を予定しているという。この三菱の発表で、リチウムイオンバッテリーをめぐる自動車メーカーとサプライヤーとの関係はだいたい出そろった。電気自動車時代に向けて、各社ともスタートを切ったと言ってよさそうだ。


<コメント>2008年はまさにリチウムイオンバッテリー元年になるであろう。各社が競争するのは良いが、できれば最低限の規格を統一してお互いに互換性を持たせる事はできないであろうか?



出展:http://car.nikkei.co.jp/release/index.cfm?i=183662



 株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、ゼネラル・モーターズ(会長兼CEO:G・リチャード・ワゴナーJr./以下、GM)から、リチウムイオン電池システムを受注しました。日立のリチウムイオン電池システムは、GMが2010年に北米において年間10万台以上の規模で市場投入する予定となっているハイブリッド電気自動車に搭載されます。

 今回の受注は、日立のリチウムイオン電池の高い品質をはじめ、バッテリー性能、コスト、安全性、耐久性、持続性など日立の広範囲におよぶリチウムイオン電池に関する技術力や、2000年から現在に至るまで20万セル以上の市場納入実績がGMの評価を得たことによるものです。なお、リチウムイオン電池は、日立の子会社である日立ビークルエナジー株式会社(取締役社長:川本秀隆/以下、日立ビークルエナジー)が製造します。

 現在、ハイブリッド電気自動車の市場規模は、世界的な環境規制の強化や燃費意識の高まりから、ワールドワイドで2006年度の41万台から、2010年度には150万台にまで伸長するとみられています*。さらに、2015年には、ハイブリッド電気自動車用のリチウムイオン電池の需要が、現在主流であるニッケル水素電池の需要を上回ると日立は予測しています。

 このような市場動向を視野に入れ、日立は、本年1月に新神戸電機と日立マクセルとの合弁会社である日立ビークルエナジーに対して、増産と開発力の強化を目的とした増資を実施しました。日立は、自動車部品メーカーのなかでも、ハイブリッド電気自動車用のキーコンポーネントであるモーター、インバーター、電池システムすべてを開発・製造し、最適なシステムとして提案できる強みを有しているほか、日立グループで電子部品、材料など、様々な技術・製品を有しており、高品質のハイブリッド電気自動車システムを提供することが可能です。今回のGMからの受注を受けて、リチウムイオン電池事業の拡大とハイブリッド電気自動車用のモーター・インバーターの拡販に努めていきます。

 2010年以降、各カーメーカーがハイブリッド自動車事業を本格化するとみられていますが、日立は、リチウムイオン電池事業をはじめとしたハイブリッド電気自動車部品事業を通じ、地球環境の保全に貢献していきます。

*2007年日立調べ 

出展:http://news.kakaku.com/prdnews/cd=kuruma/ctcd=7010/id=1779/


ダイムラーAGは、2009年に発売予定のメルセデス・ベンツSクラスのハイブリッド・バージョン、S400ブルーハイブリッドにおいて、量産乗用車として世界で初めてリチウムイオン電池を搭載すると発表した。


S400ブルーハイブリッドに採用される新開発リチウムイオン電池は、温度調節システムと一体となっている点が最大の特長。この結果、リチウムイオン電池を常に摂氏15~35度の間で作動させることが可能になり、極低温においても従来のニッケル水素電池をはるかに凌ぐ優れたパフォーマンスを発揮させることに成功。同時に長寿命化も達成している。


また、これまでリチウムイオン電池の自動車への搭載は、コンパクト化やコスト削減と同時に破裂や発火の危険性が課題となっていたが、新開発リチウムイオン電池は現在の自動車用バッテリーと同レベルの高い安全性を実現したという。ちなみに、新開発リチウムイオン電池には、ダイムラーAG特許が所有している25もの独自技術が用いられた。


2009年に登場するS400ブルーハイブリッドは、ガソリン・エンジンを搭載したハイブリッド車で、ハイブリッド・システムは最高出力299hp、最大トルク38.2kg-mを発揮。S350と同じ0~100km/h加速7.3秒という加速性能と、最高速度250km/hを実現している。


燃費性能は新欧州走行モードにおいて12.6km/リッターを実現。CO2排出量は、このクラスのラグジュアリー・セダンとしては画期的に少ない190g/kmを達成した。出力性能が大きく異なるので単純に比較はできないが、この数値は同様にハイブリッド・システムを搭載したレクサスLS600h(10.5km/リッター、220g/km)を大きく上回る。


なお、ダイムラーAGは、新開発リチウムイオン電池をS400ブルーハイブリッドのほかに、ブルーテック・ディーゼル・エンジンを搭載したS300ブルーテックハイブリッドにも採用する予定。同時に電気自動車や燃料電池車への応用も調査中だ。





出展:http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20368634,00.htm



「持ち歩ける太陽光発電」として日本でもジワジワ人気が上昇しているのが、米国生まれの「ジュースバッグ」=写真。



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 バッグの背面部分にシート状のソーラーパネルが備え付けられており、携帯電話や携帯音楽プレーヤーと接続することで、野外でも電源を確保できる仕組みだ。バッグの素材には丈夫なナイロンが使われ、防水仕様にもなっている。


 日本でも通信販売を通じて入手することができる。リュック型のタイプで2万7090円から。4月下旬には手にもつビジネスバッグ型も登場する予定。



<コメント>この手のアイテムは面白いかもしれません。私も一つ欲しいです。


出展:http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/89033c08583c56181b21006931376a22/


●「環境はもうかる」がビジネスの共通認識に

 「私は『環境保護主義者』ではありません。でも、環境をキーワードにビジネスを進めます。なぜなら、そこに利益が見込めるからです」。ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルト会長は、こう発言をしています。


 GEは原子力発電から家電まで、さまざまな領域に手を広げる巨大なアメリカ企業。そのトップが「環境にビジネスチャンスあり」と考え始めたのです。彼がその中心に据えるのは、地球温暖化対策に役立つ省エネ製品、環境配慮型商品といった製品群です。アメリカは国として京都議定書から離脱をしましたが、先を見る企業はもう変り始めているのです。


 地球社会が温暖化防止に動く中で、新しいビジネスチャンスがさまざまな産業で生まれています。何よりも大切にしなければならない「お客さま」が急速に変わり、取引企業に温暖化防止に取り組むことを望むところが増えています。一方、消費者も急速に変り始めました。こうなると、「先んじて温暖化防止に役立つ商品を市場に投入すれば、売り上げが伸び会社に利益をもたらし、株主に還元できる」。いまではこう考えるのが世界の経営者の共通の認識だといっていいでしょう。


 欧米企業の経営層や管理職の人々と話すと「カーボン・マネジメント」(炭素管理)という言葉を頻繁に聞きます。温室効果ガスを代表する二酸化炭素(CO2)の管理を経営の中心に据えなければ、これからはビジネス界の中で生き残れないと感じているからです。カーボン・マネジメントができない人は企業のCEO(最高経営責任者)失格だとさえ言われています。


●経営リスクとしてのCO2

 それはチャンスであると同時に、リスクももたらします。
 自社の持つ温室効果ガスの排出枠に余裕がなかったら、新しいチャンスがめぐってきても何も始められない――。ヨーロッパの産業界では、そんな状況が始まりました。現在、EU(ヨーロッパ連合)では域内の約1万1000の事業所に、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出の上限が課せられています。この上限枠はただで配られています。しかし、ポスト京都と呼ばれる2013年以降は、制限を受ける企業は自社が必要とする排出枠はお金を出して買わなければなりません。しかも競合する他社と一緒に入札制の下で国から排出枠を買う必要がでてくるのです。いまEUでは2009年初めの法律化が検討されています。


EUでは排出枠が余った企業と、不足した企業の間で、その権利を売買する「排出権取引」が急拡大しています。CO2には「カーボンプライス」と呼ばれる価格がつき、EUの企業はその動向をにらみながら「空気」の取引や企業活動を管理するようになりました。カーボンプライスは今後、重要な経営指標となるはずです。自社の株価を毎日チェックするように、CO2の価格を見ながら、企業経営を行うことになるでしょう。


 世界では温暖化防止に社会も消費者も動きだしました。社会も消費者も企業に求めるものが変ります。その要求に応じるためには企業は変わらなければなりません。換言すれば、企業は従来型のビジネスモデルを見直し、新しいモデルを再構築する課題に直面しているのです。自社が排出できる枠内で如何に利益を最大化することができるかの競争が始まったのです。


 日本ではまだ法律に基づくキャップはありません。日本経団連が取りまとめる「自主行動計画」に基づき、自主的にCO2を削減することになっています。法的規制に向き合うEUの企業と、自主規制で動く日本の企業と比べて、果たしてどちらが生き残るのか。答えは明らかでしょう。


自分の働く会社が生き残り、自分も地球環境を守りたいのであれば「自分の会社の温暖化がもたらすチャンスとリスクへの対応がどうなっているのか、至急点検してほしい」。このことを私はビジネスパーソンに訴えたいのです。

●企業を取り巻く環境が変わる

 私はこれまで銀行と証券の世界でビジネスを経験してきました。振り返ってみると、企業を取り巻く経営環境、それに基づく企業戦略は、ビジネスの現場で一瞬に変わってしまうものです。特に経営者は必要と思えば豹変します。企業の生き残りが経営者の双肩にかかる以上、当然の事です。とすれば、その下で働く多くのビジネスパーソンも絶えず経営環境の変化に注意を払うのは当然ことです。


 日本でも温暖化対策で潮目が変り始めました。やがて法的規制によるCO2排出の枠も出て来るでしょう。それよりも先に「お客さま」から、突然、温暖化への一段の対応を要求されるかもしれません。消費者の要求がドンと出てこないとも限りません。また、先進的なCO2の排出規制をするEU諸国から「輸出したいなら、同程度の規制をかけるべきだ」と求められる場合もあるでしょう。世界の流れはハッキリしてきました。日本の企業もビジネスパーソンもこうした動きに早く対応すべきです。できればライバル企業に先んじて。


 今のうちから、それを見越した行動を取っているビジネスパーソンにとっては、大きなチャンスです。挑戦しがいのある、おもしろい時代が始まりました。ビジネスが引き起こした温暖化に対して、ビジネスが歯止めをかけ、地球の未来を救う。まさにビジネスパーソンにとってこんな生きがいのある仕事はないのではないでしょうか。


<コメント>

電気自動車を後押しする動きにCO2本位制、カーボンオフセットの概念があります。

未来はCO2が基軸通貨になるかもしれません。経済性や環境問題という観念だけでは済まされない現実があるのです。電気自動車はその中の道具の一つにしかすぎません。