出展:http://jafmate.jp/eco/20071219_333.php


ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車といった次世代自動車。その鍵と言われるのが自動車用の二次バッテリー、特にリチウムイオンバッテリーだ。


二次バッテリーの市場で世界トップのシェアを誇るのが三洋電機。本格的な電気自動車時代の到来を見越して、三洋ではリチウムイオンバッテリーの生産能力の拡大とハイブリッド車事業の本格立ち上げに向けて、今後三年間で累計約1,000億円規模の投資を行うことを発表している。


三洋は現在、フォードやホンダにニッケル水素バッテリーを供給しているが、特定の自動車メーカーとの連携強化は打ち出していない。全方位にバッテリーを供給する姿勢は、トップシェアの強みと言えるかもしれない。しかし、バッテリーを大量に消費する自動車メーカーと、そのバッテリーを提供するサプライヤーとの間では、資本移動や合弁会社の設立など、動きが盛んになっている。


この分野で注目される自動車メーカーは、やはりハイブリッド車で一人勝ちと言って良いトヨタ。それに2009年に電気自動車の市販を予定している三菱とスバル(富士重工業)の三社だろう。このうち、トヨタとスバルについては、二年前の2005年10月にトヨタがスバルを事実上の傘下に入れたサプライズが記憶に新しい。この自動車業界にとっての地殻変動は、リチウムイオンバッテリーを巡る動きにも大きな影響を与えた。


実はトヨタの傘下に入る前のスバルは、注目される技術を持っていた。NECと共同で開発した「ラミリオン・バッテリー」だ。マンガン系のリチウムイオンバッテリーでは先進的と言えるこの技術を元にNECと合弁で2002年に設立したのが「NECラミリオンエナジー株式会社」だった。


一方、トヨタが手を組んでいるサプライヤーは松下電器。1996年と早い段階で設立された「パナソニックEVエナジー株式会社」では、トヨタのハイブリッド車向けにニッケル水素バッテリーが生産されているほか、リチウムイオンバッテリーの開発も行われている。


スバルを傘下に入れると同時に、トヨタは「パナソニックEVエナジー株式会社」に対する出資比率を半数以上に高めて子会社化している。結果として、傘下のスバルはNECとの提携を昨年2006年3月に解消、「NECラミリオンエナジー株式会社」はNECグループが100%の株式を有する、自動車メーカーとは結びつきのない“独立”したサプライヤーとなった。ところが話はこれで終わらない。今年2007年4月、NECは日産との合弁で、リチウムイオンバッテリーの開発と生産を行う「オートモーティブ・エナジー・サプライ株式会社(AESC)」を設立した。


これまで日産のサプライヤーと言えば、日立と新神戸電機が合弁で設立した「日立ビークルエナジー株式会社」だが、AESCでは日産自らが出資している。そしてこのAESC、所在地は「NECラミリオンエナジー株式会社」と同じNEC相模原事業所の敷地内にあり、将来、両社は合併する予定だという。そして、このAESCで生産を予定しているのは、マンガン系のラミネート型リチウムイオンバッテリーというから、すなわち、「ラミリオン・バッテリー」なのである。だから、将来的にAESCがスバルにもバッテリーを供給する予定というのもおかしな話ではないわけだ。


2009年の電気自動車市販で準備を進めている三菱もサプライヤーを決めた。今年12月、三菱は鉛バッテリーメーカー最大手のGSユアサに三菱商事を加えた三社の合弁で「株式会社リチウムエナジージャパン」を設立した。同社の生産目標は2009年度20万個、うち10万個は三菱製電気自動車向けで、残り10万個は外販を予定しているという。この三菱の発表で、リチウムイオンバッテリーをめぐる自動車メーカーとサプライヤーとの関係はだいたい出そろった。電気自動車時代に向けて、各社ともスタートを切ったと言ってよさそうだ。


<コメント>2008年はまさにリチウムイオンバッテリー元年になるであろう。各社が競争するのは良いが、できれば最低限の規格を統一してお互いに互換性を持たせる事はできないであろうか?