失墜の占い師 -5ページ目

消える

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羽地の若夫婦、働き者だが子供がいない。
妻はニライ神に祈り続けていた。
ある日、夫は山奥でみすぼらしい身なりの痩せこけた女から子供を譲り受ける。
若夫婦は喜んだが、夜になり、妻が明かりを灯すと夫が赤ちゃんではなく、位牌を抱いている。
妻は恐ろしくなり、しかしどうすることも出来ず、泣く位牌とそれをあやす夫を呆然と見ていた。

すると暗闇から大きな赤い目をした牛が家に入り込んできた。
牛が角を振りかざして位牌の赤子に襲いかかってくる。
夫は必死に牛の角を左右の手でつかみ、格闘を続けていたが、ついに牛が赤子を食べた…ように見えた。
すると、牛だと思っていたのはガン(葬式で棺桶を入れて運ぶ御輿)だった。

妻は夫に一部始終を話し、あの赤子がマヨイムンであった事に再び震え上がった。

シラクチの唄

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シラクチ(白骨)を供養せず、ほったらかしにしていると身内にシラシ(異常)がかけられる。


大宜味の喜如嘉で娘が行方不明になった。
部落総出で付近を捜索したが発見されずに一年が過ぎた。
家族の者は「せめて誘拐されたとしても、生きてさえいればいい」と、願っていた。
だが行方不明になってから四、五年を過ぎた頃に家族が手足の痛みに悩まされる。原因は不明。

仕方なくユタに行くとフンシンサラシ(骨身晒し)と判断された。
「やはり娘は命を落とし、野ざらしになって助けを求めているのか」
と、言っても捜索の手だてはない。
ユタも遺体の有る場所までは判断できなかった。

家族が痛みに悩まされながらも、娘を哀れに思い、地道に捜索していると樵が山の中で女の歌声を聞いた、という噂があった。

『くちかじぬふちば
みじふさやあしが
きぬいだにかかてぃ
ユーハリ♪
ぬみぬならん』

僅かながらも望みをかけて、家族は樵と共に、その場所に向かうと、確かに風に乗って女の唄がする。
そしてついに家族は娘と対面した。
地面から生えた木に人のシラクチがあちらこちらに引っかかっている。
家族は丁寧に、一つ残らず骨を拾い、唄われたように小川の側に埋葬した。

葬儀の夜、娘は母親の夢枕に立ち
「薪を拾いについつい山奥に迷い込み、ハブに噛まれて動けなくなって、あの様な不幸になってしまった。フンシンウシクミクヨー(骨身押し込め苦揺)が解けたので、これからは弟をはじめ、家族を見守ります」
…と。
一家の骨の病も完治したので、唄を最初に聞いた樵にも充分な御礼をしたそうな。

ヲンナ栄えの家

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沖縄はチャクシ家系の系統である。
男子を産めない女性は肩身が狭いどころか忌み嫌われた。

「ちゅーや、イナググヮンスぬやーんかい、いかいー」
祖父の言葉に幼いワタシは「シタイヒャー」と思った。
ちやほやされるし、御馳走、御菓子にありつけるからだ。

その家はヲンナタチクチと言って、女性の創設者が位牌の最初に立てられている。
しかし女性だけでまつられている霊は、夫婦一緒でないために苦悩させる。

この家も一つ問題を抱えていた。
男子が生まれないのである。

せっかく嫁いでも男子が生まれないため離縁される。
その時に慰謝料や養育費をもらい出戻ってくるので実家は栄える。
なまじ美しい容姿と女系家族の華やかさで結婚には困らないが、男子が家を継げない。
どんどん女性と財産だけが増えていき、更には財産に目が眩んだ男達が求婚し、更に女性が増える。
「あまぬやーぬ、いなぐんぐわ、とぅじなし、くゎ、なさんめーに離縁しぇーからー、財産いーらりーん」

等と陰口を叩かれつつも、人に羨ましがられていた。

遺伝には間違いないのだが、不思議ではあった。