シラクチの唄
シラクチ(白骨)を供養せず、ほったらかしにしていると身内にシラシ(異常)がかけられる。
大宜味の喜如嘉で娘が行方不明になった。
部落総出で付近を捜索したが発見されずに一年が過ぎた。
家族の者は「せめて誘拐されたとしても、生きてさえいればいい」と、願っていた。
だが行方不明になってから四、五年を過ぎた頃に家族が手足の痛みに悩まされる。原因は不明。
仕方なくユタに行くとフンシンサラシ(骨身晒し)と判断された。
「やはり娘は命を落とし、野ざらしになって助けを求めているのか」
と、言っても捜索の手だてはない。
ユタも遺体の有る場所までは判断できなかった。
家族が痛みに悩まされながらも、娘を哀れに思い、地道に捜索していると樵が山の中で女の歌声を聞いた、という噂があった。
『くちかじぬふちば
みじふさやあしが
きぬいだにかかてぃ
ユーハリ♪
ぬみぬならん』
僅かながらも望みをかけて、家族は樵と共に、その場所に向かうと、確かに風に乗って女の唄がする。
そしてついに家族は娘と対面した。
地面から生えた木に人のシラクチがあちらこちらに引っかかっている。
家族は丁寧に、一つ残らず骨を拾い、唄われたように小川の側に埋葬した。
葬儀の夜、娘は母親の夢枕に立ち
「薪を拾いについつい山奥に迷い込み、ハブに噛まれて動けなくなって、あの様な不幸になってしまった。フンシンウシクミクヨー(骨身押し込め苦揺)が解けたので、これからは弟をはじめ、家族を見守ります」
…と。
一家の骨の病も完治したので、唄を最初に聞いた樵にも充分な御礼をしたそうな。
