オフィシャルブログになってから初の霊能者なおこシリーズ!

 
の続きです
 
 
  
 
 
 
最後の出張施術の日
 
前回、伺ったときの事を思い出して
 
気が重かった私は、ゆっくり
 
歩きながら崎山家へと向かいました
 
 
 
 
今日は、崎山さんの気分が良いといいな
 
お話が弾むといいな
 
そして、叶うなら、最後に
 
ゆうすけくんに、
 
ひつじのショーンを読んであげたい
 
 
 
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そんな事を願いながら、玄関のドアを開けると
 
前回より、さらに雑然とした様子の玄関
 
 
 
散らかったリビングで何かを探している崎山さん
 
そして、テレビの前で
 
アンパンマンを見ているゆうすけ君
 
ちらりと私を見ましたが
 
今日は何も言いませんでした
 
 
 
 
 
一瞬、前回のことを思い出し、胸がきゅっと
 
締め付けられる気持ちになったけれど
 
私には、何もできないのだからと思い直し
 
施術の準備にとりかかりました
 
 
 
 
 
崎山さんは、相変わらずお疲れの様子で
 
施術が始まると、すぐに眠ってしまわれました
 
 
 
 
私は次の引越し先なども聞きたかったのですが
 
伺えるような感じではなく、
 
でも、崎山さんの視線を気にすることなく、
 
ゆうすけくんの様子を見ていることが出来て
 
彼の元気そうな姿に、安堵しました
 
 
 
 
 
 
1時間の施術が
 
そろそろ終わりに近づいた頃
 
アンパンマンのDVDも終わり、
 
ゆうすけ君がイスを持って、
 
コップを取りに行きました
 
 
 
 
あ、ミルクがほしいんだな
 
と分かり、反射的に
 
このまま崎山さんを起こさないで、
 
ゆうすけ君を手伝ってあげたい
 
という思いが浮かびましたが
 
 
 
「ママー!ミルクちょーだい!」
 
 
 
というゆうすけ君の声に、
 
その思いはすぐ消えました
 
 
 
 
 
 
崎山さんが目を覚まし、低い声で
 
「自分でしなさい」
 
と答えると、私はドキドキしてきました
 
 
 
 
 
 
嫌な予感を打ち消すように
 
いつもより手早く
 
施術道具を片付けながらも
 
やはり、気になって、ゆうすけ君から
 
目を離すことが出来ませんでした
 
 
 
 
 
 
 
彼は自分で冷蔵庫にミルクを取りに行き
 
前回と同じ様に
 
コップに注ごうとして、
 
こぼしました
 
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まるで、こぼすのを待っていたかのように
 
崎山さんが大きな足音を立ててキッチンへ行き、
 
 
「毎日やることいっぱいあるのに、
 
    どうしてまた用事を増やすの?」
 
 
「自分のことくらい自分でやってよ」
 
 
「失敗しないでって言ってるのに!」
 

と、立て続けに言いながら
 
こぼれたミルクをゴシゴシ拭きました
 
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失敗しないでと叱られたゆうすけ君と
 
 
 
余裕がなくて、言いたくないことを
 
口走ってしまう崎山さん
 
 
 
そして、それを見つめるもう1つの視線…
 
 
 
崎山さんのお母様が、
 
 
悲しそうな顔をして立っていました
 
 
 
 
 
 
母として、祖母として
 
娘と孫を案じる想いを
 
私は聞くことは出来たのに
 
なにもしてあげることが出来ない・・・
 
 
 
 
 
 
 
鼻の奥がツンとして、
 
涙が滲んできたのを
 
隠すようにうつむいた時
 
 
 
 
 
 
電話が鳴りました
 
 
 
 
 
 
崎山さんは、電話に出ると
 
 
「あ!すみません。すぐに持っていきます!」
 
と、慌てた様子で言い
 
「先生、ちょっと管理人室に
 
回覧板持っていってきます!」
 
と言うと、リビングのローテーブルの辺りを
 
ゴソゴソと探していましたが
 
回覧板を見つけると、
 
バタバタと慌てて出ていきました
 
 
 
 
 
この時、私の動悸は再び激しくなり
 
ドクンドクンと音が聞こえる程でした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今しかない!
 
 
 
 
ゆうすけくんと2人
 
私にできること・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私は、思い切って
 
ゆうすけ君に近づき
 
彼の肩にそっと触れると
 
ありったけの想いで
 
 
 
 
 
 
「あのね、失敗してもいいよ」
 
 
「失敗してもいいから」
 
 
 
 
 
 
と言いました
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ぽろぽろと涙が溢れて
 
それだけしか言うことが出来ませんでした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゆうすけ君は
 
何も言わなかったけれど
 
じっと私を見て、それを聞いていました
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私ができたことは、たったそれだけ
 
 
 
 
 
 
 
最後まで、
 
ひつじのショーンは
 
読んであげることが出来ませんでした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
帰り道
 
肌が痛いほど、冷たく澄んだ空に
 
オリオン座が見えていました
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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