前回の記事

 

‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その29(関東大震災と朝鮮人虐殺)‐

 

 

・錯綜する独立論 浮上した「現実的」自治論

 

1926年4月25日朝鮮最後の君主であった純宗が亡くなったが、これを機会に朝鮮では再び“独立万歳”の示威運動(六・一〇万歳運動)が展開された。

 

 

『朝鮮の歴史 朝鮮史研究会編 編集代表 旗田巍』 三省堂 234頁より

 

‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その23(今年で100周年『三・一独立運動』を考える)‐

 

‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その24(『三・一運動』弾圧と帝国主義の揺らぎ)‐

 

三・一独立運動のあと、従来のブルジョア民族主義者のあいだでは、あくまでも非妥協的に抗日独立運動を進めようとする者と、当面は日本帝国主義のもとで「朝鮮の自治」を実現しようとする者があらわれ、独立の方策をめぐり、意見が分かれ、次第に混迷を深めていきました。

 

1919年上海で組織された『大韓民国臨時政府』も、1924年ごろには左右の対立・紛糾四部五裂の状態となる。さらに、三・一運動の直前1919年2月東京『二・八独立宣言』を書いたとされる李光洙<イグァンス>の、朝鮮近代文学の始点とも呼ばれるべき作家が、早くも1922年『民族改造論』を発表して、3年前の独立の気概を完全に失っていった。

 

‐シリーズ 日韓会談と在日朝鮮人 その6(支配と同化が残したもの)‐

 

 

『李光洙/香山光郎(日本名)』 (Wikiより)

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%85%89%E6%B4%99

 

さらに、当時の朝鮮資本としては「最大」である、『湖南財閥<ホナㇺチェボㇽ>』が経営する『東亜日報』も、大日本帝国下による「自治論」を主張する社説を展開する。

 

日本帝国主義の厳しい監視下におかれ、公然と独立を主張できなかった事情はあるにせよ、日本の植民地政策による「生活の破壊」が、ますます耐え難く進むなかで、究極においては「独立」を実現するとしても、当面は経済・文化などあらゆる部門で、許される範囲で「実力を養成する」というこれらの主張は、非妥協的に独立を希求する朝鮮民衆の感情に沿うものではありませんでした。

 

これに対して、『朝鮮共産党』などは、結成のはじめから完全に「非合法下」におかれ、その思想・組織において、さまざまな分派主義的傾向を、なかなか克服できていなかったにも関わらず、1920年代を通じて、朝鮮の民族運動における彼ら共産主義者社会主義者「影響力」は、次第に強まり、非妥協的なブルジョア民族主義者と一緒に、独立運動の指導者的地位を確保していった。

 

 

・純宗の死と 『六・一〇万歳運動』

 

先の六・一〇万歳運動は、権五卨<クォンオソㇽ>朝鮮の共産主義者の指導により、周到に準備された。あらかじめ、5万枚以上のビラが事前に主要都市に送られ純宗の葬儀当日である1926年6月10日に、大示威運動を決行すること予定した。

 

三・一独立運動を経験していた日本の官憲は、直ちに警戒を厳重にする一方、社会的に重要な人物を前もって検挙し、葬礼のために上京することさえ禁じた。

 

 

『순종 융희제의 장례식<純宗隆煕帝の葬儀>』 (韓国語Wiki百科より)

 

https://ko.wikipedia.org/wiki/%EB%8C%80%ED%95%9C%EC%A0%9C%EA%B5%AD_%EC%88%9C%EC%A2%85

 

しかし、葬儀&デモ当日6月10日葬礼の列が、京城(現ソウル)の諸王宮の一つである昌徳宮<チャンドックン>を出るや、各所で純宗の死を悼む哭声(なきごえ)がおこり、合わせて“独立万歳”の声が上がりました。

 

そのなかで、━われわれの教育は、われわれ自身の手にまかせよ、日本帝国主義を打倒せよ、土地を農民に返せ、8時間労働制を採択せよ━とビラがまかれました。

 

こうして展開された『六・一〇万歳運動』は、かつての皇帝の死と、その葬儀を機会にしておこった点で、三・一独立運動(こちらは父である高宗の死)とは似ていますが、計画準備から共産主義者の指導が明らかであった点と、━日本官憲の厳戒態勢により、三・一運動のような規模にはならなかったものの━、先の闘争(三・一独立運動)から7年間朝鮮の「民族解放闘争の発展」の後で、先々における朝鮮独立運動の新たな「方向」を示すものでした。

 

 

<参考資料>

 

・『朝鮮の歴史 朝鮮史研究会編 編集代表 旗田巍』 三省堂

 

<ツイッター>

 

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https://twitter.com/XMfD0NhYN3uf6As

 

 

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