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‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その9(1972年 第九章 115条~132条)‐

 

 

関係記事

 

‐近くて遠い国 朝鮮 本編13(韓国と北朝鮮の成立)‐

 

‐近くて遠い国 朝鮮 本編17(朝鮮戦争後の北朝鮮)‐

 

 

 

『朝鮮民主主義人民共和国国旗』

 

http://freesozai.jp/itemList.php?category=nation_flag&page=ntf_128&type=sozai

 

 

 

 

時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会 169・179頁より

 

 

第一〇章 裁判所および検察所

 

第一三三条 裁判は中央裁判所、道(直轄市)裁判所、人民裁判所および特別裁判所が行う。判決は朝鮮民主主義人民共和国の名において宣告する。

 

第一三四条 中央裁判所の判事と人民参審員は最高人民会議常設会議で選挙する。道(直轄市)裁判所、人民裁判所の判事と人民参審員は、当該人民会議で選挙する。判事、人民参審員の任期は当該人民会議の任期と同じである。

 

第一三五条 特別裁判所の所長と判事は中央裁判所が任命および解任する。特別裁判所の人民参審員は当該軍務者会議、または従業員会議で選挙する。

 

第一三六条 裁判所はつぎのような任務を遂行する。

一、裁判活動をとおして朝鮮民主主義人民共和国に樹立された労働者、農民の主権と社会主義制度、国家、社会協同団体の財産と人民の憲法的権利および生命財産をあらゆる侵害から保護する。

二、すべての国家機関、企業所、社会協同団体および公民が、国家の法を正しく守り、階級の敵とすべての犯罪者に反対して積極的にたたかうようにする。

三、財産にたいする判決、判定を執行し、公証事業を行なう。

 

第一三七条 裁判は判事一人と人民参審員二人で構成された裁判所が行なう。特別な場合は判事三人で構成して行なうことができる。

 

第一三八条 裁判は公開し、被訴者の弁護権を保障する。法の定めるところによって、裁判を公開しないこともある。

 

第一三九条 裁判は朝鮮語で行なう。外国人は裁判で自国のことばを使用することができる。

 

第一四〇条 裁判所は裁判において独自的であり、裁判を法に徹底的に依拠して遂行する。

 

第一四一条 中央裁判所は朝鮮民主主義人民共和国の最高裁判機関である。中央裁判所はすべての裁判所の裁判を監督する。

 

第一四二条 中央裁判所は自己の活動にたいして最高人民会議、朝鮮民主主義人民共和国主席および中央人民委員会の前に責任を負う。道(直轄市)裁判所、人民裁判所は自己の活動にたいして当該人民会議の前に責任を負う。

 

第一四三条 検察事業は中央検察所、道(直轄市)、市(区域)郡検察所および特別検察所が行なう。

 

第一四四条 検察所はつぎのような任務を遂行する。

一、国家機関、企業所、社会協同団体および公民が法を正しく守るかを監視する。

二、国家機関の決定、指示が憲法、最高人民会議法令、朝鮮民主主義人民共和国主席命令、中央人民委員会政令、決定、指示、最高人民会議常設会議決定、政務院決定、指示に反しないか監視する。

三、犯罪者と法違反者を摘発し法的責任を追及することによって労働者、農民の主権と社会主義制度をあらゆる侵害から守り、国家社会協同団体の財産と人民の憲法的権利および生命財産を保護する。

 

第一四五条 検察事業は中央検察所が統一的に指導し、すべての検察所は上級検察所と中央検察所に服従する。検事は中央検察所が任命および解任する。

 

第一四六条 中央検察所は自己の活動にたいして最高人民会議、朝鮮民主主義人民共和国主席および中央人民委員会の前に責任を負う。

 

時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会 291~2293頁より

 

 

・中央裁判所(最高裁判所)の詳細

 

最高人民会議(立法府)朝鮮民主主義人民共和国主席(国家元首)中央人民委員会(国政の中枢)政務院(内閣)および地方行政(地方自治)に関する記述。

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その5(1972年 第五章 73条~88条)‐

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その6(1972年 第六章 89条~99条)‐

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その7(1972年 第七章 100条~106条)‐

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その8(1972年 第八章 107条~114条)‐

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その9(1972年 第九章 115条~132条)‐

 

主に「司法」「検察」業務について、北朝鮮における裁判中央裁判所(日本における最高裁判所)、道(直轄市)裁判所、人民裁判所および特別裁判所(軍事裁判所<軍法会議>など)が、その執行を担当します。

 

法文の中で、裁判の独立は保障され(憲法第一四〇条)、判決は朝鮮民主主義人民共和国の名において宣告する。中央裁判所長(日本でいう最高裁長官)最高人民会議(立法府)で選挙され、同裁判所の判事と人民参審員は、最高人民会議常設会議で選挙されます(任期4年)

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その5(1972年 第五章 73条~88条)‐

 

 

・「参審員制」とは?

 

諸外国においても,国民が刑事裁判に参加する制度を導入している国は多数あります。国民が裁判に関与する形態等はそれぞれの国によって様々ですが,おおむね陪審制と参審制に分けることができます

 

(中略)


陪審制とは,基本的に,犯罪事実の認定(有罪かどうか)は陪審員のみが行い,裁判官は法律問題(法解釈)と量刑を行う制度です。陪審員は,事件ごとに選任される点に特色があります。陪審制は,アメリカやイギリスなどで採用されています。


参審制とは,基本的に,裁判官と参審員が一つの合議体を形成して,犯罪事実の認定や量刑のほか法律問題についても判断を行う制度です。参審員は,任期制で選ばれる点に特色があります。参審制は,ドイツ,フランス,イタリアなどで採用されています。


裁判員制度は,裁判員と裁判官が合議体を形成するという点では参審制と同様です。ただし,裁判員は事実認定と量刑を行い,法律問題は裁判官のみで行う点で参審制とは異なります。他方,裁判員が事件ごとに選任される点では陪審制と同じです。


このように,裁判員制度は,参審制・陪審制のいずれとも異なる日本独自の制度だと言うことができます。

 

 

~平成21年5月21日スタート!!~ 『陪審制や参審制とは違うのですか。』記事より

 

http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c8_2.html

 

道(直轄市)裁判所の判事と人民参審員道(直轄市)人民会議で選挙(任期4年)人民裁判所の判事と参審員市(区域)、郡人民会議で選挙します(任期2年)

 

‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その9(1972年 第九章 115条~132条)‐

 

このように、上記の地方政治システムによって、裁判所関係者は選出されます。

 

中央裁判所北朝鮮における最高の裁判機関であり、すべての裁判所の裁判を監督します。

 

 

・検察機関の詳細

 

主に被告を訴追する側である検察は、中央検察所および道(直轄市)、市(区域)、郡検察所そして特別検察所からなります。

 

検察活動は、中央検察所が統一的に指導し、すべての検察所は上級検察所と中央検察所に服従する。さらに中央検察所所長は、立法府である最高人民会議が任免し、検事は中央検察所が任免します。

 

中央裁判所所長 方学世

 

中央検察所所長 鄭東喆

 

『同』 177頁より

 

 

<参考資料>

 

・時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会

 

・~平成21年5月21日スタート!!~ 『陪審制や参審制とは違うのですか。』記事

 

http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c8_2.html

 

 

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