前回の記事

 

‐東アジアの今とこれから その1‐

 

 

以前にも、明治時代の朝鮮観シリーズで、日本の社会主義者たちの思想について触れましたが、今回は具体的な活動について、お話していきたいと思います。

 

‐明治時代の朝鮮観その5(社会主義者・人道主義者の朝鮮観①)‐

 

‐明治時代の朝鮮観その5(社会主義者・人道主義者の朝鮮観②)‐

 

‐明治時代の朝鮮観その5(社会主義者・人道主義者の朝鮮観③)‐

 

 

ほんの半世紀前まで、第十回原水爆禁止世界大会は「国際共同行動アピール」の中で、日韓会談の即時破棄と、日中国交回復実現(当時)などの活動強化を訴え、その中で「各国民の団結」を強く提示した上で、韓国におけるアメリカの植民地的干渉政策に反対し、同地からの米軍撤退、および朝鮮の平和的、自主的統一を目指す朝鮮民衆の戦いを支持、さらには自国領台湾の解放を求める中国民衆の戦いや、欧米に著しく偏重した国連における、中華人民共和国の合法的な権利回復要求を求める、一種の均衡主義を提唱しました。

 

つまるところ、これは我が国日本の民衆や、南北朝鮮、中国が連帯して「共同の敵」と戦おうとする決意の表れであり、同時にそれに対する国際的な支持です。

 

このような広範な規模で発展していた『日朝中』民衆の連帯のはじまりは、幸徳秋水堺利彦片山潜明治期社会主義者の戦いにあります。

 

幸徳秋水(光文社古典新訳文庫より)

http://www.kotensinyaku.jp/archives/2015/12/006557.html

 

幸徳ら明治の社会主義者のもっとも輝かしい活動は、露国社会主義者と連携して日露戦争に反対した国際連帯の戦いにあります。

 

幸徳秋水はすでに1900年、日本が中国の義和団鎮圧の帝国主義連合軍の主力として出兵したとき、これを非難して反帝反戦の旗を掲げましたが(『非戦争主義』『万朝報』一九〇〇・八・七)、日露開戦の前に「非戦論」を唱え、戦争防止のための徹底した言論戦を展開しました。

 

義和団事件における帝国主義連合国の詳細(Wikiより)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A9%E5%92%8C%E5%9B%A3%E3%81%AE%E4%B9%B1

 

 

彼らは、日露戦争の火ぶたが切られた後も、その立場を貫き、1904年3月13日付け『週刊平民新聞』「与露国社会党書」を掲載して、ロシア民衆に帝国主義戦争反対の共同闘争を呼びかけました。

 

ロシア社会民主党は、これを社会主義万国連合のための、不屈の功業の一つとして共同闘争を誓いましたが、この一カ月後の8月14~20日、オランダアムステルダムで開かれた万国社会党大会で、日本代表の片山潜と、交戦中のロシア代表ブレハノフ演壇上で堅い握手をかわし、ともに帝国主義戦争に反対し、両国の専制政府を打倒するために戦い合うことを誓いました。

 

1904年8月14日、オランダ・アムステルダムで開催された第2インターナショナル第6回大会の様子(『憲法とたたかいのblog』より)

http://blog.livedoor.jp/kouichi31717/archives/9674063.html

 

 

「十四日は晴天にして(中略)当日の会長(議長)はバンコール、副会長(副議長)は露国代表者プレカノフ(プレハーノフ)氏及び小生の二人、大会の幹事ツルールストラ氏報告の演説を為し、(中略)殊に現時敵国なる日露人プレカノフ及片山両氏が此の会の副会長と成り、共に人類の為めに万国平和の為めに一室に会するは此の上なき快事にあらずやとの言下に小生とプレカノフ氏と会長の前にて握手し、露国人と日本人は友人なることを公表せしに、満堂の拍手喝采数分に及び、一旦我等は席に復したれども会衆は尚も拍手喝采を続けたるを以て、我々は再び立って握手し、以て満堂の激賛に報ゆ」

 

万国社会党大会報告を週刊「平民新聞」(明治37年10月9日付 第48号)より

 

http://blog.livedoor.jp/kouichi31717/archives/9674063.html

 

 

こうした「モデルケース」を前に、私たちは一体何を学ばなくてはならないでのでしょうか。

 

社会主義であれ、民主主義であれ、それよりも遥かに強力な『文化の力』だったり、戦争は絶対に嫌だと強く訴え、そのために、なにより最も必要なことは「強く一つにまとまる」ことです。

 

幸徳氏ら、日本の社会主義者の人たちは、『反戦』『平和』をひとつの目標に、当時東アジアで行われる帝国主義戦争に「終止符」を打つために、文字通り命がけで活動していました。

 

支配する国にとって、「最も怖いこと」は、被支配民族やそれに反対する人々の『団結』です。

 

それをさせないために、あれこれ情報工作をして、人々の関心を逸らせたり、もしくは「さまざまな対立」を持ち込んで、異なる民族同士、はたまた同族で争わせ、今私たちの目の前で繰り広げられている、「リベラル」と「ネトウヨ」の不毛な争いも、そのひとつに挙げられます。

 

過去の歴史に何度も向き合い、そこから得られる教訓や、見落としていた事実を拾い上げ、新たな「一般性」として確立し、現在起こっている国や社会問題について、もう一度考え直さなくてはいけない時期だと思います。

 

 

<参考資料>

 

・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房

 

・光文社古典新訳文庫 『〈あとがきのあとがき〉古いイメージを捨てて「新たな幸徳秋水」。彼は、武力をもって海外に出ていこうとする国家に対して、何をどう主張したのか? 『二十世紀の怪物 帝国主義』の訳者・山田博雄さんに聞く』

 

http://www.kotensinyaku.jp/archives/2015/12/006557.html

 

・憲法とたたかいのblog 『片山潜たちと明治の労働運動・社会主義』記事

http://blog.livedoor.jp/kouichi31717/archives/9674063.html

 

 

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