私の在日コリアンの友人が描いた読み切り作品(シリーズ記事)

 

‐友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その1‐

 

‐友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その2‐

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その3-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その4-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その5-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その6-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その7①-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その7②-

 

-友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その8①-

 

‐友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その8②-

 

‐友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その8 最終回-

 

 

過去に一度、ジャンプとマガジンに持ち込んだ彼は、愛のある編集者に、良い意味でボロボロにされ、特に「絵がヘタ」だと指摘されたこと、そうしたウィークポイントを踏まえ、新たに作品を作ったのが『ヘタレ男物語』です。

 

※当時の編集者の貴重な友人への金言集

 

‐漫画編集者が言ったこと(友人へのアドバイス)‐

 

 

この漫画について、とりあえず、友人は親戚の人に見せたのですが、その中の漫画好きのおじさんから「日本人を悪者に描いてはならない」とお叱りを受けました。

 

これ自体、友人はとても反省していて、彼は朝鮮学校の生徒たちという「特殊な題材」を物語で活躍させるには、簡単に日本学校のヤンキーを登場させて、そこで物語の盛り上がりをかける手法を取りました。もちろん、巷で言う日本人に対する「敵意」によって描かれたものではないと、純粋に朝鮮学校とヤンキー漫画をかけ合わせたらどうなるのかと、ある種実験的な意味で作った漫画でもあります。

 

その中で、自分自身の学生時代の経験を活かし、学校内部の描写も描きましたが、結果的に彼としては満足のいくものではなく、たしかに読んでいて、まだまだ「伸びしろ」があると私も思いました。

 

 

そして内容は、バトルシーンへ移行します。

 

これについても、漫画に詳しい人なら「あのカットを意識しているな」とか、もしくは「モロに酷似している」カットもあって、友人も多くの反省点があると述べています。

 

たとえば演出の仕方だったり、構図やカットをそのまま流用してしまったものも、少なからずあり、特に『特攻の拓』『カメレオン』の影響は濃厚です。

 

これらは、いずれも友人が大好きな講談社のヤンキー漫画の代表作で、下記にある左のコマ(ヤンがリョーにパッチギをするシーン)については、以下のような制作手順から成り立っています。

 

‐友人の没漫画(読み切り)を紹介してみる その8 最終回-

 

『疾風伝説 特攻の拓』(原作/佐木飛郎斗・漫画/所十三 週刊少年マガジン 講談社)より 9ページ目

 

友人が2015年に制作した「作画ネーム」(シャーペン&鉛筆/フィキサチーフ/ホワイトインク)

 

『特攻の拓』の主要キャラクターである鳴神秀人の頭突きを参考に、それを反転し、ある種の応用的な「模写」練習を兼ねて、漫画的なスピード感を出したり、それを構築する集中線の向きや流れ、さらには迫力のある表情を出すにはどのようにすべきか、俗に「血ドバ」という、Gペンにインクを浸して、それを息で勢いよく吹きかける技術も使っていますが、如何せんこれは安定しなく、失敗したら辺り一面がインクだらけになるリスキーな技です(もしやるときは「吹きかける場所」以外にティッシュを敷き詰めます)。

 

 

上の2016年に作画したカットでは、市販の血ドバ専用のトーンを貼り付けています。

 

 

こちらについては、友人は「絶対にやってはいけないこと」をしてしまいました。

 

その詳細は、後ほど述べます。

 

『週刊少年ジャンプ・月刊少年ジャンプ めざせ漫画家! 手塚・赤塚賞受賞作品集4』(JCデラックス 集英社)

 

こちらは、友人が『ヘタレ男物語』を制作する上で参考にした、とある作品を収録している漫画本(読み切り作品集)です。

 

 

かなり年期が入っていますね。

 

 

なんと第一刷発行が1989年!

 

友人や私が生まれる前に出版されたものです。

 

 

これは友人が、漫画制作の励みになるようにと、親戚のおじさんからもらったものであり、彼自身の愛読書として、日夜漫画研究の教科書として使っているそうです。

 

『週刊少年ジャンプ・月刊少年ジャンプ めざせ漫画家! 手塚・赤塚賞受賞作品集4』(JCデラックス 集英社)より 166~167ページ目

 

参考にした当該作品です。

 

『同』(同)より 189ページ目

 

『同』(同)より 191ページ目

 

当作品は、さわやかな学園青春漫画なのですが、バトルシーンの完成度はとても高く、展開やカットの構図含め、友人が一番に好きな読み切り作品です。

 

さらに現在から、およそ30年近く前に描かれたもので、インターネット情報や画像検索もない、「今より圧倒的に資料の少ない時代」に、これほどまでの表現力で描けるのは、作家の鈴木まさかつ先生の画力や演出がすごさがうかがえます。

 

『同』(同)より 195ページ目

 

そして問題のシーン。

 

皆さまお気づきでしょうか。

 

 

完全に一致(もしくは極めて類似性が高い)。

 

いくら期日が迫っていたとはいえ、明らかに「参考の域」を明らかに超えており、これは完全にアウトとしか言わざる得ません。

 

もはや弁明の余地なしの、パクリカットです。

 

 

友人自身も、これはダメだと、たしかに世にある作品に「完璧なオリジナル」はないと言えど、あからさまな模倣は、作り手にとってマイナスですし、先ほどのヤンのパッチギは、既存の作品からリビルド(再構築)して、「オリジナル化」したものだと言えますが、これについては、もう少しどうにかならなかったものか、今後における重大な反省点として、乗り越えていかねばならない問題でしょう。

 

以下のように、数々のマイナス要素から、友人も気が引けて、これでは到底人様の目に晒す「価値がない」ものだと、出版社にも持ち込まずに『永遠のお蔵入り』にしようとしていたのですが、それでは、さすがに今までの労力をすべて無為にするものであり、私が「引用出典」を載せる形で、自身のブログへの掲載を持ちかけて、友人の合意の元、その条件として彼は、「自分自身の反省点の記事も書いてくれ」と、今回の記事と合わせ、一連のシリーズとして書かせていただきました。

 

このことを通じて、多くの漫画家を志す方々が「ぶち当たる壁」のひとつとして、それが参考になれば、友人や私としても、極めて幸いであります。

 

 

最後に、今回の「模倣」カットで、大きな反省点がありましたが、結果的に、彼は『ひとつの技術』を確立しました。

 

 

これは友人の最新漫画の捨てカットの一部ですが、集中線における「ベタ部分」「トーン部分」は、確実に己の技術として体得しています。

 

そうした諸々の結果において、自らが行うことが「すべて悪い」とは言えず、それでお金をもらうのはいかがなものですが、己自身の鍛錬によって、やむなく発生してしまったものならば、今後の成長における糧として、しっかり次回へ生かせればと思います。

 

 

・漫画イラスト倉庫 https://strongpaperline.tumblr.com/

 

 

<参考資料>

 

・『疾風伝説 特攻の拓』(原作/佐木飛郎斗・漫画/所十三 週刊少年マガジン 講談社)

 

・『週刊少年ジャンプ・月刊少年ジャンプ めざせ漫画家! 手塚・赤塚賞受賞作品集4』(JCデラックス 集英社)

 

・友人の写真資料より

 

 

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