下野&九響、ウェールズ カルテット:ヘンデル、シェーンベルク、ドヴォ#7 (定期演奏会) | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2024. 5. 23(木) 19 : 00 ~  福岡シンフォニーホールにて

 

<第421回 定期演奏会>

~下野竜也、迫真のドヴォルザーク~

 

ヘンデル / C.マッケラス編:王宮の花火の音楽 HWV351より 序曲

 

シェーンベルク:弦楽四重奏のための協奏曲 変ロ長調 (ヘンデル:合奏協奏曲 Op.6-7より)

(カルテットアンコール)

ヘンデル:「ソロモン」序曲より フーガ(ベートーヴェンによる弦楽四重奏のための編曲)

 

ドヴォルザーク:交響曲 第7番 ニ短調 Op.70

 

 

弦楽四重奏:ウェールズ弦楽四重奏団

(崎谷直人 (1stVn), 三原久遠 (2nd Vn), 横溝耕一 (Vla), 富岡廉太郎 (Vc) )

指揮:下野竜也

九州交響楽団

(コンサートマスター:扇谷泰朋)

 

   

 

下野さんを聴くのは久しぶり。開演10分前にプレトークでは今回の演目について詳しくお話されていた。19時1分になっても話は続いていたw

 

まず今回の公演、曲解説については毎度お世話になっているブロ友さまのチャーリーさんの記事が詳しいのでリンクさせていただきます下差し

 

 

あと当日もらった月刊誌「九響」内の西田紘子氏の曲解説からも一部引用させていただきます。

 

 

1曲目はヘンデル (1685-1759)作曲、マッケラス編曲「王宮の花火の音楽」より序曲

ヘンデルについては以前ちょこっと書いたことがあります。

 

 

そしてこの「王宮の花火の音楽」についても書いたことがあります。

 

 

メモ オーストリアの王位継承をめぐってヨーロッパ全体を巻き込んだ戦争(オーストリア継承戦争 (1740-48) )を終わらせるために1748年にアーヘンで和約が成立、英国では国王ジョージ2世のもと、戦勝終結を祝う花火ショーが企画された。本作はそのための野外音楽として1749年に書かれたもの。

祝典自体はロンドンのハイド・パークで1749年4月に催された。リハーサルに1万人以上の聴衆が集まり、祝典は盛大なものだったが、本番途中で雨が降りだしたため花火がうまく点火せず、さらにパビリオンのひとつが焼け落ちるなどの失敗に終わったそう。 ヘンデルは同年5月の捨子養育院での演奏会で再演している。

初演ではジョージ2世の意向で、勇壮な響きを出すため管楽器と打楽器のみが使用されたが (木管37人、金管18人、ティンパニ3組ハッ)、ヘンデル自身は弦楽器を使うことを強く主張したので、現在ではその版も広く演奏されているそう。

 

アーヘンの和約を祝賀する1749年の花火大会

 

この日はアンソニー・べインズ (1912-97)とチャールズ・マッケラス (1925-2010)が1960年に編曲したものが演奏された。

 

実際の演奏は厳かな雰囲気がよくでていた。序曲は後半の方の疾走する感じが好き。祝典にふさわしい華やかさがよかった。軽やかな金管や森さんのティンパニが印象に残ったな~。 ヘンデルってもっと演奏されていいと思う。

 

 

次はシェーンベルク (1874-1951)作曲の「弦楽四重奏のための協奏曲」  (ヘンデル:合奏協奏曲 Op.6-7より)

シェーンベルクについても前に少し書いたことがあります。

 

 

1曲目のヘンデルつながり、ということですが、コンツェルトの”ソリスト”がカルテット!

 

メモ 自筆譜には副題として、『アルノルト・シェーンベルクによって自由につくりかえられた』作品であると書かれており、弟子アルバン・ベルクには(原曲は)『退屈だけど、編曲によってとてもよくなると思う』と書き送っている。なので忠実に編曲するというよりは、生きた時代や自身の思想に沿って書きかえたという面が強い。とくに第3、第4楽章については、楽曲の構造もまったく新しくした、と述べている。 本作が書かれた1933年(ナチスが政権を握った年)、20代でプロテスタントに改宗していたシェーンベルクはふたたびユダヤ教に回帰し、ナチスを逃れてアメリカに移住した。

 

私は予習する暇もなかったので、まったくの初聴きで臨んだためだと思うが、なんとなくとりとめもない曲だなぁという印象だった。正直よくわからなかった・・・

 

というかですね、協奏曲って通常はオケの相手は、ピアノやヴァイオリン、管楽器などの単体楽器、あるいはヴァイオリンとヴィオラ、とかヴァイオリンとチェロ、などの2つの楽器とかせいぜいそんな形式がほとんどだと思うので、”カルテット”を起用って斬新!よくそんなアイディアを思いついたな~!と思ったんですが、実際聴いてみたら正直どうなんだろう・・?と思ってしまいました汗

 

というのも、カルテットの4人が弾いていてもオケが被ってくるとあっという間に埋もれてしまってどんな旋律を弾いているのかはっきりしなかった。そして4人のソロの場面になるとオケを聴いたあとのためになんとなくインパクトが弱く感じる。ヴァイオリンやチェロが単体の”ソリスト”のときとは明らかに違うと思った(シェーンベルクがそういう風に書いてるからかもしれないが)。

 

私は室内楽を聴くのも大好きだけど、途中で思ったのが私はカルテットを聴くときは”カルテットの耳”になってるし、オケを聴くときは”オケの耳”になってるので、ふたつがミックスすると私の耳が混乱してしまうみたいだった(あくまで個人的所感)。

たとえば、”カルテット”じゃなくてそれぞれの弦の首席が弾くのではだめなんですかねにやり

ほんとド素人がえらそーですけど、こういう形式だとカルテットのよさが活かされてないような気もしました・・

 

とまどいながら聴いたこの作品だったが、4人だけで弾いたアンコールの方が段違いハッに4人の良さが出ていて素晴らしかった。4人の美音(特にチェロの方が好きだった)がホール中に響き渡ってあらためてこのカルテットいいな!キラキラって思った。 

 

演奏の様子 カルテットのうしろには中央にピアノとハープが位置していました

 

 

 

アンコールの様子 とっても素晴らしかったですキラキラ

 

 

ウェールズカルテットの皆さんはちょうど現在サントリーホールで開催されている「チェンバー・ミュージック・ガーデン」でベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を5日間の予定で演奏されました(昨日終演したみたい)。私も次回はカルテット単体としてぜひ聴いてみたいです。

 

終演後 下野さんとコンマスの扇谷さんとウェールズ・カルテットの皆さん

(画像は九響の公式ツイッターよりお借りしました)

 

 

後半はドヴォルザーク (1841-1904) 作曲の 交響曲第7番

これ前に小泉さんで聴いたよな~と思って調べたら、4年前の2020年1月に聴いてました。

 

 

この時に第7番を初めて聴いてとても感動したんだった。

小泉さんがティンパニの森さんに、「こういう素晴らしい曲は演奏しないとね」的なことを仰ったというエピソードがとても印象に残っている。

 

メモ 西田紘子氏の解説によると、1883年10月にウィーンに訪れたドヴォルザークにブラームスが新作の「交響曲第3番」の両端楽章をピアノで弾いて聴かせたが、これに心を動かされたドヴォルザークは自分も新しい交響曲を書きたいという野心に駆られた。ただ彼のスラヴ的題材をふんだんに取り入れたその作風はヨーロッパで知名度をあげるにはあまりに民族的すぎた。批評家ハンスリックは民族的題材は採り上げないように忠告、ブラームスもウィーンへの移住を勧めたが、ドヴォルザークにとってはチェコ性を完全に捨て去ることはできなかった。

交響曲第7番は1か月足らずで第3楽章までのスケッチが書かれた。ブラームスの交響曲第3番と多くの点で重なり合いつつも、彼特有の民族性要素もふんだんに採り上げられている。

曲中にはチェコの宗教改革者ヤン・フスに敬意を表して、1年ほど前に書かれた「序曲《フス教徒》」の主題が、またフス派のコラールやチェコの古い単旋聖歌も採り上げられている。

 

第1楽章:自筆譜には、ブラペストからの特別列車がプラハ中央駅に着いた時に主要主題を思いついた、という書き込みがあるそう。

第2楽章:大成功を収めたロンドンでの初演のあと、ドヴォルザークは39小節カットし、『これで多すぎる音は一つもない』といって満足したそう。この短縮版が出版された。

第3楽章:「交響曲第6番」と同じく、2拍と3拍のまとまりが交替するチェコ民俗舞曲フリアントのリズムが用いられている。

第4楽章:両端楽章では「序曲《フス教徒》」と関連したモチーフが示される。ローマ・カトリック教会から異端とみなされた宗教改革者ヤン・フスやフス教徒の反骨心にチェコらしさを重ね合わせていたのだろう。

 

この日の演奏も4年前と同じくとてもよかった!!ゲラゲラ

弦はいつもと同じ14型と思うが、なんか今年度に入ってからコントラバスが今までの7艇から8挺になっている。1挺増えるだけでも低弦の厚みがすんごく増す!

弦全体のトゥッティなんかは雄壮で迫力がすごかった!

私はやっぱり第3楽章 スケルツォが大好き音譜 めっちゃよかった~ラブ

下野さんはオケ全体を掌握していて下野さんが右手~左手~と颯爽とふるたびにオケがうねりまくってて、まるで魔法使いみたいやったw

 

熱演中~音譜

 

 

魔法使いみたいだった下野さん音譜

 

 

今年秋に来日するウィーン・フィルも演目の中にこのドヴォルザークの7番が入っていた気がします。 こんな風にこの曲もどんどん演奏頻度が増えるといいな。

 

*本番中の画像はすべて九響の公式facebookよりお借りしました。