5/23九響の定演を聴いてきました~さすがシモーノさん毎回のことながら変態チック(褒めてます)な選曲を見事な演奏で我々に披露してくれますが、今回もまさにそんなコンサートになりました
松のや中洲店でエネルギーチャージ
西中洲
アクロスの階段状のテラスには樹木
緑が濃くなりました
公園側から入館
ホール入口
2024年5月23日
アクロス福岡シンフォニーホール
九州交響楽団
第421回定期演奏会
下野竜也 迫真のドヴォルザーク
Cond:下野竜也
SQ:ウェールズ弦楽四重奏団
ConM:扇谷泰朋
【第1部】
序曲《王宮の花火の音楽》
(G.F.ヘンデル/編:C.マッケラス)
弦楽四重奏曲のための協奏曲
~ヘンデル:合奏協奏曲Op.6-7より
(A.シェーンベルク)
第1楽章 Largo - Allegro
第2楽章 Largo
第3楽章 Allegretto grazioso
第4楽章 Hornpipe:Moderato
【第2部】
交響曲第7番ニ短調Op.70
(A.L.ドヴォルザーク)
第1楽章 Allegro maestoso
第2楽章 Poco adagio
第3楽章 Scherzo:Vivace
第4楽章 Finale:Allegro
タッちゃんのプレトークは判りやすい
序曲のオケ配置
第1曲目はオーストリア継承戦争(1740年~1748年)におけるアーヘン和約を祝してヘンデルが1749年に作曲したものですが、オーストリア側に立ったイギリスのジョージ2世から見ると台頭著しいプロイセンにシュレジエン地方を割譲したものの、ハプスブルク家マリア・テレジアの相続が認められたもので、ヘンデルお得意の大規模編成で祝賀ムード一色の楽曲となりました
古楽演奏ではないものの今回マッケラス編曲版を使用して当時の雰囲気はよくでていましたが、こういうところの手腕はさすがシモーノさんまあ欲を言えばTpやHrはナチュラル(バロック)で演奏した方がもっとカッコいいけどね
マリア・テレジアとハプスブルク家
弦4協の配置(中央Pf&Harp)
そしてある意味今回の目玉であるシェーンベルク編曲の弦4協奏曲をVSQを招いての演奏~シェーンベルク編曲は室内楽への編曲を中心にいろいろな楽曲がありますが、日頃のライブできけることはほぼ皆無
そういう面でも(個人的に私の室内楽・古楽への見識はゼロ)ただレアというだけでなく、ヘンデルつながりで飽くなき音楽欲を刺激してホイホイと食いつく仕掛けにもなっています
VSQ
第1楽章ラルゴ-アレグロの荘厳な出だしから始まりますが、ヘンデルの原曲は良くも悪くも当時の時代に即した曲想であり、ロマン派交響曲を主軸とする典型的な昭和オヤジからすると特に印象は薄いわけです
そこは単なる合奏曲ではなくシェーンベルクの創作ともいえるほどの編曲内容ですが、年代的には12音技法を確立したその後、ナチス・ドイツの迫害からのがれ(彼はハンカリー系ユダヤ人家系)アメリカに移住・亡命した1934年の1年前の作品
指揮者を囲んでクァルテットが並び、中央にピアノとハープが並ぶ布陣はシモーノさんのアイディアかなあクァルテットとオケが会話することで格段と面白い曲になっていました
在京時代はほぼ3日に1回のオケコンサートに追われ室内楽は5年間に限っても2~3回のつまみ食い程度なので、知ったかぶりはせずにコメントは控えておきます
VSQさんはとても上手かったのですが、今度は小ホールでじっくり聴きたいなあ
弦4協終演
VSQアンコール
さてメインのドヴォ7も8番やましては9番ほどには演奏されない曲で、メイン曲はこうきたかあとヒネり技を出してきますね(嫌いじゃないけどね)
それにしてもいつもの楽団員のお見送りのときの意見交換のなかで、シモーノさんへの賛辞が共感を含めた感じでいっぱい聞けて、とても好感を持たれている印象でした
指揮者としてのコミュニケーション能力には定評があり、オケを率いて曲想を共有しつつ楽曲を構築する力の源泉は共感力になるのかも
ドヴォ7は1884年6月ロンドン・フィルハーモニック協会の名誉会員に推薦されるとともに、新作交響曲の依頼を受けて作曲されました
TimpのロールとVla&Vcの暗い第1主題で始まると序曲「フス教徒」のモティーフへと繋がり直ぐにグイッと聴衆をツカミにかかります、そしてFl&Clによる穏やかな第2主題が現れました
それにしてもひいき目ではなくこの前のNJPチャイ5と比べて、九響の豊潤なサウンドの美しい響きに、この前の演奏の悪い印象は私の耳が原因でなかったことにホッとしました
第1楽章第1主題
やがて徐々に楽器が加わっていき第2主題がリレーされ展開部で第1主題による頂点を1度形成されるなか、Tuutiの力強い響きの心地よさのなかやがてディミネンドされHrが静かに第1主題を吹奏しEND(NJPでちょっと欲求不満気味になっていたかなあ~スカッとしましたw)
第2楽章主題
第2楽章はCl・Ob・Fgによる対位法的な導入句で始まり、これにFl&Obが続きドヴォらしい情感豊かなメロが展開されますが、強弱を繰り返しながら上手くパート分けをすることで非常にこった曲構成になっており聴く者を飽きさせません(Hr首席ルークくんGoodJob)
第3楽章フリアント
スケルツォの第3楽章は弦部がフリアントというチェコ民族舞曲をリズミカルに刻みながら主題を展開、中間部ではゆったりと木管セクションが明るく弦部との会話を重ね、2拍子と3拍子が交錯するこの独自の4分の6拍子は非常にスラブ的土着の匂いを思わせるもので秀美の演奏
第4楽章冒頭
さすがに最終楽章は印象的な冒頭からTuttiによる怒濤の展開を交え、Hrのリズミカルな刻みや咆哮がカッコイイそしてTbの登場に痺れます
第1楽章で使われた序曲「フス教徒」のモティーフが再び現れると、対位法的な展開を繰り返しながらクライマックスを形成し壮大なフィニッシュが爆発ブラヴィッシーモ
さすがの出来上がりにやはりタッちゃんは、好きな指揮者から外すことなどできません
VSQメンバーも含めて皆さまご苦労様でした~ありがとう
次回は6月1日のサンクスコンサート(2コース以上会員への招待公演)に参上~ヨロシクw
カーテンコール
終演
お疲れ様(Xから)
太田くん&仙台フィル