2024. 6. 5 (水) 19 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
<オール ラヴェル プログラム>
グロテスクなセレナード
古風なメヌエット
ソナチネ
鏡:
1.蛾
2.悲しい鳥たち
3.洋上の小舟
4.道化師の朝の歌
5.鏡の谷
夜のガスパール:
1.オンディーヌ(水の精)
2.絞首台
3.スカルボ
高雅で感傷的なワルツ
クープランの墓:
1.プレリュード
2.フーガ
3.フォルラーヌ
4.リゴドン
5.メヌエット
6.トッカータ
(アンコール)
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ピアノ:チョ・ソンジン
またまた時間が経っちゃいましたが、6月5日のコンサートの話です。
チョ・ソンジンさんがついに福岡へやってキタ━━d(。>∀<。)b━━!!!
福岡でのソロ・リサイタルは2回目だと思う。前回が2017年1月。ショパン国際コンクールで優勝した翌々年で、私も同じアクロスで聴いた
その後2度北九州国際音楽祭でコンツェルトのソリストとして演奏した際に聴いている。
私は彼のピアノが超大好きで福岡で聴く機会があれば必ず行っているが、悲しいかなこっちでの演奏機会がとても少ない(ってか売れっ子すぎて仕方ないのだけれど)。
そんな中待ちに待ったソロ・リサイタル もう夢のようだった・・・
今回はオールラヴェルのプログラム。
ラヴェルの作品を単発でプログラムに入れることはあってもオールラヴェルってなかなかないですよね~。 私にとっても実演を聴くのが初めての作品が多かった。
作曲者のラヴェルについては以前書いたことがあります。
前回彼のリサイタルを聴いたのが23歳のとき。そして今回7年経って30歳になった彼の演奏を聴いた感想は・・・
超絶素晴らしかったーヾ(≧∇≦*)/ ヾ(≧∇≦*)/
すごすぎる (・`д´・;)ス、スゴスギ・・・。
もう表現の仕様がないほどでした。
私の期待のはるか上をいく演奏だった。7年前よりさらにさらに進化しておられる。
あっという間の2時間半だった。
彼の演奏を私のようなド素人が「文字」で表すこと自体が不要、というか失礼ではないかと思うほどなのですが、印象に残っていることなどを書きます。
ステージに登場して椅子に座るとまず手に持ったハンカチで鍵盤を左から右へさ~っと吹いておられたのは7年前と一緒
前半は「グロテスクなセレナード」「古風なメヌエット」、「ソナチネ」までを続けて演奏、そこで一旦拍手を受け舞台に下がってから「鏡」を演奏された。
「鏡」の終曲の「鐘の谷」なんてもうほんっとに幻想的で・・・泣
後半は「夜のガスパール」と「高雅で感傷的なワルツ」はそのまま演奏、そして舞台には下がらずに拍手を受けたあとはそのまま座って最後の「クープランの墓」を。
曲を聴き慣れているせいか、個人的には後半の方が非常に印象に残った。
「夜のガスパール」は私にとってはアルゲリッチの演奏がバイブルのようになっているが、ソンジンさんのも彼女とはまた違ってめちゃめちゃよかった!
「クープランの墓」は昨年九響でオケ版を聴いていたのもあって、オケ版との比較もできてとても面白かった! 第1曲の「プレリュード」なんかもうほんと感動 オケ版だとオーボエ大活躍のあの軽快な旋律、ピアノで聴いても全く遜色なく高揚する~
彼の素晴らしさはあげてもきりがないのですが、特に印象に残ったことを書いちゃうと・・・(まあ私が言うまでもないのですが・・)
チョ・ソンジンさんのココがスゴい!のコーナー
_φ(′ω`;A)ス・・・スヶ〃ェ
音の鮮明度、多彩さがスゴい・・ラヴェルなんて興味ない方にとってはどれも似たような曲調に聴こえるかもしれないが、ソンジンさんのラヴェルはどの作品を聴いてもそれぞれにストーリーがあり、それぞれに違う。よくどの曲弾いてもも同じに聴こえるな~って思うピアニストもおられますが、ソンジンさんにはそれがない。私は彼のリリースされているCDもすべて持っていますが、どのアルバムもそれぞれ違うんですよね~。
音の粒立ち、タッチがスゴい・・これは私がいつもどの人の演奏でもまず注目してしまう部分なのですが、彼はもうすごいの一言。それをなんでもないかのようにさら~っと弾いてるのがスゴい。ペダリングも言わずもがな。
構成力がスゴい・・前述したように同じ作曲家のどの作品でも弾き分けている、ということにも通じることだろうが、私がソンジンさんで昔からすごい!と思っているのがまずこれ。彼がまだ10代のころアンコールで弾いたラ・カンパネラの映像を観て、彼の構成力に超衝撃を受けました。
どんなに聴き慣れた作品でも彼が弾くと新風が吹き込まれたかのように聴こえるのはきっとこれが大きいのではないかと勝手に思っている。しかもこれみよがし、というかわざとらしさがない。あくまで作品に忠実に寄り添っていらっしゃる。
弱音の美しさがスゴい・・強い打鍵は言わずもがなだが、弱音がこれまた美しいことこの上なかった
私は2階席だったのですが、こんなにピアニッシッシッシモ~wな、まるで鍵盤に触れるだけのような音なのに、きちんと芯をもった輪郭で自席までクリアに響いてくるのが不思議でたまらなかった。
目を閉じて聴くと天上の音色が耳に入って来る・・そして目を開けるとそこにソンジンさんが。
ザ・奇跡 (大げさなようですが、ほんとそんな感じだったんだも~ん)
アクロス所有のスタインウェイ、コンディションはそんなによくないと思う(もうかなり古いのでは? これは北九州のソレイユホールのスタインウェイも同じ そろそろ買い換えたらどうなんかと勝手に思っている)。ただ、だからこそ(?) 弾き手によってずいぶん音が違って聴こえる。そんなスタインウェイをソンジンさんが弾くとまるで宝石のように音がキラキラしていて本当にびっくりした。あのスタインウェイを完全に掌握して自由自在に操ってるんですわ。
ド素人目からしたら、こんなに大曲ぞろい、音符の嵐ぞろいの作品をよくもすべて暗譜で弾けるな(途中で頭真っ白とかなんないのかなw)、しかももう完璧な技術がベースにあるのでほとんどノーミスなのもすごいし、顔芸もなくw淡々と弾いているようで機械的でもなく情感たっぷりの音楽だった。
きっとラヴェルもこんな風に弾いてもらえて大喜びしてるんじゃなかろうかw
「余は満足じゃ by ラヴェル」(って言ってそうw)
今回のツアーはすでに終了していますが、東京でも大入り満員、スタンディングオベーションの嵐だったみたい。
世界には大勢の素晴らしいピアニストがいっぱいおられますが、彼のピアニズム、テクニック、構成能力、表現力は別格、次元が違うと私は思います。
私は作曲家や演奏家の人となりを好きになれないと聴きに行きたい、とまではならないのですが(やっぱり血の通った人間を通じての音楽なので、その人が好きになれない限りは聴きたくない)、彼はその人間性も含めて大好きです。
以下の長いインタビューに彼の誠実な人となりがよく表れていると思います 読んだことない方ぜひ読んでいただきたいです。なんでこんないい子に育ったんだ
ベルリンでは「ラヴェルのピアノ作品全曲演奏」を予定しているらしい
行かれる方、う、うらやましすぎる。垂涎ものの公演ですね~。
超ひっぱりだこのソンジンさんなので、とにかくご健康第一!今後もご活躍されることを願ってやみません
『有名ではなく、卓越した演奏家でありたい。』(ショパンコンクール優勝直後のインタビューにて)
『コンクールで勝つことや有名オーケストラと共演することは本当に素晴らしいことです。(中略)でも私の本当の目標は、音楽的深みに関係することでなければなりません。』(前述のインタビューにて)
福岡公演のときの様子
(画像はジャパンアーツの公式ツイッターよりお借りしました)