2024. 2. 24(土) 14 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
<第36回 名曲・午後のオーケストラ >
~小泉と旅する音の風景~
ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 「田園」Op.68
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」P.106
1.夜明けのジューリアの谷の噴水
2.朝のトリトーネの噴水
3.真昼のトレヴィの噴水
4.黄昏のメディチ荘の噴水
レスピーギ:交響詩「ローマの松」P.141
1.ボルケーゼ庭園の松
2.カタコンベの傍らの松
3.ジャニコロの丘の松
4.アッピア街道の松
指揮:小泉和裕
九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)
私にとっては今年初の九響~
久々の九響でしたが、めちゃめちゃ素晴らしい公演でした
前半はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。(曲解説は千葉フィルの金子健志氏のコチラをどうぞ)
演奏が始まった途端、弦のなんともいえない心地よさにうっとり 九響ってこんなによかったか?と思ったくらいでした
この日はダブルコンマス(扇谷さんと西本さん)で(たぶんいつもの)14型だったと思うが、弦全体がとてもよくまとまっていた。ふかふかの羽毛布団に包まれるような幸福感
さらに低弦、特にコントラバスがめちゃめちゃ響いてきた。第2楽章では木管群の鳥のさえずりにまたうっとり 大村さんのフルートやっぱり絶品。第3楽章で唯一ちょい残念だったのが、私が好きな箇所のリピートがなかったこと。ヴァイオリンなどがエンヤートット、エンヤートットみたいに弾く直前にコントラバスがタタタタタと乱れ打ちのようになるとこ(ちょっと表現が難しいw)。ここ個人的にめっちゃ好きなんですが(嵐でもコントラバスが乱れ打ちするとこあるけど、ここもいいんですけどね~)、1回しかなかった! 楽譜に忠実、という小泉さんなんだけどなぜリピートしてくれなかったの~泣
とはいえ、そんなことは些細なことで、嵐の場面のティンパニは驚くほどの迫力だったし、第5楽章のあの癒しの旋律が聴こえてきたときは思わずウルウルと・・
久々に聴いた田園だったが、やっぱり名曲だなぁとあらためて思った。ベートーヴェンってほんと天才!
後半はレスピーギの交響詩「ローマの噴水」と「ローマの松」。
この作品は昨年5月に高関さんの指揮でも聴きました。
作曲者のオットリーノ・レスピーギ (1879-1936)については彼の生誕日の7月9日に書いたことがあります。
そしてこの2作品についても結構力入れて書いています
この日の演奏もとてもよかった
「ローマの噴水」では、夜明け、朝、真昼、黄昏とそれぞれの情景を思い浮かべながら聴いていた。前回聴いたときもそうだったが、終曲の「メディチ荘の噴水」がやっぱりもっとも印象に残った。郷愁を誘う夕暮れの様子がなんともいえず幻想的で別世界にいるよう。最後まで微かに鳴らされる鐘の音が本当によかった(前回も今回も伊藤さんうまい!)
それにしてもレスピーギってすごいな。楽器の音がその楽器の音ではないみたいに聴こえることが多々ある。たとえば、フルートの2重奏なのにオルガンのように聴こえたりとか、あれ?これなんの楽器が吹いてる(弾いてる)?と思ってオケを凝視することが多々あった。
さすが”音の魔術師”!!
「ローマの松」、こちらも素晴らしいの一言!
第2曲の冒頭の低弦がこれまた人の合唱のように聴こえるんですよね~(前回も同じような感想だったようだ)。さすがレスピーギ。 バンダのトランペット🎺ソロは前回は松居首席だったが、今回は違ってた。でもこのソロもとてもよかった!
第3曲のピアノの奏でる「そよ風」からの宇根さんのクラリネットの長いソロ、これもめちゃめちゃ素晴らしかった 前回聴いたときより(席の違いもあるかもだが)さらに素晴らしいと思った。 ナイチンゲールの鳴き声は高関さんのときは水笛を上から流してたと思う(たぶん)。 小泉さんはどうかなと思っていたら、(たぶん)本物のナイチンゲールの鳴き声の録音を流していた(やっぱり小泉さん。そうだと思った。)天井から降り注ぐように聴こえる澄んだ鳴き声に思わず涙が・・
終曲の「アッピア街道の松」、これはもう盛り上がらないはずがないw
ティンパニやコントラバス、銅鑼などによるズン、ズン、ズンと不気味なリズムが始まるともう高揚しちゃうw バンダの金管は高関さんのときは舞台上(下手側はしっこ)にいたが、今回は2階右サイド席(上手側)に。どんなタイミングで入ってくるのかなと興味津々で見ていたが、終曲が始まってもまだスタンバイしてない。 バンダが吹く直前の絶妙のタイミングで6人のバンダが入ってきた。 2階からのバンダ、視覚的にも壮観でめっちゃよかった
だんだんとオケ全体が強奏し、全体が火の玉みたいに最高の爆発力 森さんのティンパニがこれまたすごい。席によっては全体の音がダマになって各々の楽器の鮮明さが劣ってしまう、とか音量が大きすぎる、とか感想を述べている方もおられたが、そういう方は2階や3階席(一番いいのはサイドより中央でしょうか)で聴いてみられてはいかがでしょうか。全体の音がきれいにブレンドされて本当に鮮明に響いてくるし、金管などは直接音が自分のところに飛んでくるような感覚になります。
とにかく私の席にはちょーどよかった!!
本番の様子:2階サイド席にバンダの金管
(画像は九響公式ツイッターよりお借りしました)
小泉&九響は数多く聴いてきたが、以前は正直いまひとつと思ったときも多々ある。だけど今回、小泉さんが育ててきた九響もここまできたか~と感慨深かった。小泉&九響の”究極の形”といってもいいくらい。小泉さんもとても満足気だった(配信で舞台裏の様子をみてても終始笑顔だった)。アクロスでは次回の定期演奏会が小泉さんの音楽監督として最後の九響との演奏会となる。とても楽しみ、とともに寂しさも。泣いちゃいそうだな~