2019. 2. 21 (木) 19 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
第1部
スメタナ:オペラ「売られた花嫁」より 道化師の踊り
ラロ:チェロ協奏曲 二短調 より 第2楽章 間奏曲
(チェロ二重奏:ミラン・カラノヴィチ/ベルンハルト直樹ヘーデンボルク)
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob.IIb-1より 第3楽章 アレグロ・モルト
(チェロ独奏:フローリアン・エックナー)
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 Op.11より 第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
(チェロ独奏:ジョアンナ・サハリン)
チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 イ長調 Op.33
(チェロ二重奏:セバスティアン・ブルー/ベルンハルト直樹ヘーデンボルク)
第2部 ’スペインへの旅’
E.シュトラウス I:ポルカ 「テープは切られた」 Op.45
ガーシュイン:オペラ「ポーギーとベス」より サマータイム
リムスキー=コルサコフ:オペラ「サルタン皇帝」より 熊蜂の飛行
ハーモニスツ:美しきカスティーリャ女王イザベル
ビゼー:オペラ「カルメン」より 恋は野の鳥(ハバネラ)
(チェロ独奏:ジョアンナ・サハリン)
モンティ:チャルダッシュ
(チェロ独奏:ミラン・カラノヴィチ)
ファリャ:オペラ「はかなき人生」より スペイン舞曲 第1番
(チェロ独奏:セバスティアン・ブルー)
レハール:オペレッタ「微笑みの国」より 君こそわが心のすべて
(チェロ独奏:フローリアン・エックナー)
(アンコール)
サン=サーンス:白鳥
ラヴェル:ボレロ
パッヘルベル:カノン~ハチャトリアン:剣の舞
成田為三:浜辺の歌 (チェロ独奏:ベルンハルト直樹ヘーデンボルク)
ウィーン チェロ・アンサンブル5 + 1 ; ゲルハルト・カウフマン、セバスティアン・ブルー、ミラン・カラノヴィチ、フローリアン・エックナー、ベルンハルト直樹ヘーデンボルク、ジョアンナ・サハリン
めちゃめちゃ楽しかった
このアンサンブルは、元ウィーン・フィル(1973-2008)のチェロ奏者であったゲルハルト・カウフマン氏(今年76歳!)が、ウィーン・フィルを定年で退団後の2008年に作ったもの。チェロだけのアンサンブルを作ることがカウフマンさんの長年の夢だったという。
カウフマンさんは1969年にウィーン・フィルの来日公演のメンバーとして初来日、1986年のサントリーホール落成記念のウィーン・フィルの公演の際も楽団員として演奏したそうだ。
チェロのアンサンブルといえば、「ベルリン・フィル12人のチェリストたち」が有名だと思う。私も2度ほど福岡公演で聴いたことがあるが、本当に素晴らしくて昨年来日したときも上京しようかと思ったほど(結局日程合わずかなわなかった)。このウィーンの方は存じ上げなかったが、2008年にカウフマンさんが創設して今年で10周年を迎えるという。
私は(自分では触ったこともないのに)チェロが大好き 温かい深い音色が大好きです。
オーケストラを聴いているときも、いつも特にガン見しているのがチェロとコントラバス(ちょっとヴィオラ)、オーボエ、そしてティンパニをはじめとする打楽器かな。
今回の来日ツアーは東京、京都、福岡での3公演のみ。福岡はその初日の公演だった(すでに公演はすべて終了)。
私は2階席2列目だったが3列目以降は席を開放していなかったみたいで後ろは誰もおらず、私の列はほとんど自分しかいなかったので、日ごろできない前のめりになって観た。1階席はほぼ満席に近かった。
第1部は正統派名曲ともいえる曲を演奏。
最初のスメタナの「売られた花嫁」からの道化師の踊りは6人全員での演奏だったが、圧巻の演奏でしょっぱなから惹き込まれた。2曲目からは独奏~二重奏としてソリスト交代でしながらの演奏だったが、皆さんめちゃめちゃうまい! その中でもセバスティアン・ブルーさんは特にうまい!と思った。あとでプロフィールをみたら現役のウィーン・フィルの団員だった。 同じくヘーデンボルク直樹さんもウィーン・フィルの現役団員だが、おふたりともこんなにうまいのにウィーン・フィルの中では後ろの方で弾いている。ウィーン・フィルの層の厚さってほんとにすごいんだなぁと再認識・・・
4曲目のチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番(からの第2楽章)は、私が弦楽四重奏曲の初めて買ったCDに入っていた思い出の曲
チャイコフスキー&ボロディン:弦楽四重奏曲
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出勤途中のバス停で待っているときにウォークマンで聴いて、「なんて美しい曲なんだ~!」と思わずウルウルきた瞬間を今でも覚えている。チェロだけの第2楽章も包み込むような音色でうっとりきた。
前半最後の「ロココの主題による変奏曲」はチラシの予定演目にはなかったけど、昨年タチアナ・ヴァシリエヴァさんの演奏で聴いたことがある(フェドセーエフ&N響)ので、すぐわかった。
独奏のふたりのセバスティアン・ブルーさんとヘーデンボルク直樹さんの掛け合いしながらの演奏がとても面白かった。後ろで演奏する4人の音が時々チェロじゃなくてまるで管楽器のように聴こえた(ほんとに!)のにはほんとに驚いた。
これらのプログラムのチェロへのアレンジはすべてカウフマンさんがしているそうだが、本当にすごいと思う。
休憩中に直樹さんとエックナーさんがステージに出てきて、椅子や譜面台の配置換えを自らやっていた。 そしてなぜか椅子を直列に並べていた
後半が始まるとまず直樹さんがマイクを持って登場し、簡単な挨拶と今年がアンサンブル創立10周年であること、第2部はお芝居仕立てで演奏していくということをお話された。
今回ウィーンからスペインのマドリードへの旅をテーマに、最初は列車でスペインへ向かうところ、そしてマドリードに着いたら暑いので暑さをしのぐ曲や、暑いために熊蜂が寄ってくる曲、そしてスペイン女性をみんなでくどこうとする曲を演奏します、というストーリーをお話された。
それで椅子が一列に並べてあったのか~
どうやらいちも第2部はそういうストーリーに沿ってお芝居仕立てのように進む構成になっているみたいだ。
ステージに登場してきたメンバーは皆衣装も着替えて(女性のサハリンさんは真っ赤なドレス姿)、最初は皆コートを上にはおって、「おぉ~さむ~」みたいな感じだったが、1曲目が終わると、(マドリードに着いたので)今度は上着を脱いで「暑い、暑い」のように手であおいでいた。
そして男たちが次々に女性のサハリンさんに花や扇子など贈り物をしては、一曲ずつ演奏した。
最後にネックレスをプレゼントして、独奏者として演奏したエックナーさんとサハリンさんがめでたくカップルとなって舞台を去っていく~。 皆さん、演技力もうまくって観ていてほんとにおもしろかった!
本編が終わって、カウフマンさんがマイク片手に登場して、英語でご挨拶された。
そして今度はこのアンサンブルの名物(?)の一挺のチェロを複数で弾くという演奏を。
最初は二人で弾くサン=サーンスの「白鳥」。
次に一挺のチェロをなんと4人で弾くラヴェルの「ボレロ」。この演奏の様子はyou tubeにもアップされています。ブロ友さんも記事に載せてましたが、私もマネっこしてあげておきます
ひとり加わって弾くたびに会場からは、どよめきと笑いと拍手が起こってました。
このあと再びカウフマンさんが今度はドイツ語で解説、それを直樹さんが通訳してくれた。
自分たちはいつも和気あいあいと演奏しているが、時には議論やケンカすることもあります、といってパッヘルベルのカノンでなごやかムードからの「剣の舞」でケンカムードの様相を
最後は「浜辺の歌」でしっとりとしめくくった。
第2部のお芝居仕立ての演奏もとても面白くて会場も盛り上がったが、個人的には第1部の演奏がほんとによかった。チェロってやっぱり大好きだ!とあらためて思った。