思いがけず
リチャードの息子さん
エリックからメッセージがあり

 

あのヒデイチさんを
再び訪ねることになった私。

 

そのいきさつはこちらに

ヒデイチを訪ねて
 

 

 

ヒデイチさんに会いに
アメリカから
エリックとお兄さんが
わざわざ来るということで

 

エリックがヒデイチさんと
連絡を取りたがっていました。

 

すでにかなりの
高齢になったリチャードに
頼まれてのことかもしれないけど


コロナのこともあるこんな時に
わざわざ日本に来るなんて
きっとそれなりの理由が
あるのだろうと思いました。

 

私がアメリカにいる時
リチャードは幾度となく
言いました。

 

「もし自分が
   こんな体ではなかったら
   飛行機に乗って
   ヒデイチに会いに行きたい」

 

と。

 

リチャードは股関節の手術をし
歩くのもおぼつかず

同じ体勢で何時間も
飛行機に乗っていることに
耐えられない体になっていました。

 

そのリチャードの代わりに
ヒデイチさんを訪ねて
息子たちがやってくる。

 

こんな素敵なニュースを
一刻も早く伝えたい。

 

電話がつながらず
メールもしないヒデイチさんと
連絡を取るために


あぶと一緒に

ヒデイチさんの住む
栃木へと向かったのは
ある晴れた
気持ちのよい日でした。

 

 

以前、ヒデイチさんを訪ねて
自宅に泊めてもらったけれど
真っ暗な中だったので
ヒデイチさんの自宅がわかりません。

 

最初にヒデイチさんに会って
安倍川餅を持たされた
あのお店ならわかる。

 

私たちはまず
ヒデイチさんのお店を
目指しました。
 

 

 

下道、高速、また下道、と
3時間ほど走って

そのお店にたどり着きました。

 

 

なんか閑散としてて

近くに寄ってみると…

 

 

お店はやっていなくて。

 

中に道具やら何やらが積まれ
外は草が伸び放題
長いことそのままになっている様子。

 

自宅もわからない。
お店もやっていない。

 

あぶと私は
道を挟んでお店の前にある
民家を見つけて
そのおうちに人に
ヒデイチさんのことを
聞いてみることに。

 

 

 

昭和を感じさせる
古いお宅のインターホンを鳴らすと
若い女性が出てきました。

 

「こんにちは。
   突然失礼します。

 

   お聞きしたいことが…
   前のお店の

   ヤナギサワヒデイチさん
   どちらにいらっしゃるか
   ご存知ですか?」

 

私がそう言うと
その女性は

 

「ああ…」

 

と言って少し間を置いて

 

「今年の春
   亡くなりました」

 

そう言いました。

 

私は

 

「そうですか…」

 

としか答えられませんでした。

 

ありがとうございました、と
そのお宅を後にして顔を上げると
閑散としたヒデイチさんのお店が
そこにありました。

 

 

お店の前にいたあぶに
私は首を横に振りました。

 

それを見てあぶは
すべてを察したようでした。

 

そして、あぶが私に言いました。

ヒデイチさんの写真があるよ、って。

 

え?

 

お店の前に戻って
あぶが言う場所を見てみると
そこには生前のヒデイチさんの
写真が立てかけてあったのです。

 

 

ヒデイチさんは
一風変わった人で
慕う人も、訪れる人も
多かったのでしょう

 

そうした人たちに
ヒデイチさんが旅立ったことを
伝えるために
ご家族が置いたのだろうと
私は思いました。

 

写真の中で
ヒデイチさんは

 

すっかりやせてはいたものの
あたたかそうな寝巻きの上に
これまたあたたかそうな
ベストを着て

 

イチゴがてんこ盛りの
大きなケーキの前で
笑っていました。

 

写真が入れてある額の上に
 

「令和3年2月○日誕生日」

 

と書いてありました。

 

この春亡くなったとのことで
亡くなる少し前に迎えた
最後のお誕生日の写真なのでしょう。

 

家族に大切に
されていたのだなぁと
伝わってくる写真を見て

 

きっとあたたかく
看取ってもらえたに違いないと
思ったのでした。

 

 

 

令和3年、今年じゃない…
もっと早く来れば、と
悔やまなかったと言えば
嘘になります。

 

そうしたらきっと
ヒデイチさんは

 

恵美さん
自分を責めるもんじゃないよ

 

って言うんだろうな。

 

写真に手を合わせて
エリックが会いに
来ようとしてたんだよ、って

心の中で伝えました。

 

 

 

私は、ただ、ただ、ボーッとして
無感情、無感覚のままでした。

 

7年前にここを訪れた時の
ヒデイチさんとのことを思い出すと
堰を切って何かが溢れそうで
その日はそれをかき消しました。

 

 

 

帰ってエリックに
メッセージを送りました。

 

ヒデイチは今
天使と一緒にいます。
今年の春に旅立ったそうです。

 

って。

 

ヒデイチを見つけるために

いろいろしてくれて本当にありがとう。
伝えづらいだろうに
こうして知らせてくれて本当にありがとう。
ヒデイチの写真も。

 

って、お返事が来ました。

 

お店の前に飾ってあった
ヒデイチさんの最後の写真を
iPhoneで撮って
一緒に送ったんです。

 

リチャードもさぞ
肩を落とすだろうけれど…
でも、きっと大丈夫。

 

 

 

7年前
ヒデイチさんを訪ねて
ここに来た時に
 

私、折り畳み傘の
カバーを置いてきちゃったの。

 

ヒデイチさんがその後
品川のシーズンテラスで
焼き芋を売ってた時

 

 

ヒデイチさんの
焼き芋を食べに顔を出したら

 

「傘のカバー
   とってあるからさ。
   取りに来なよ」

 

って。

 

訪ねてから
何年か経っていたのに
取っておいてくれたのが
すごくうれしかった。

 

あの寂れたお店の中に
私の傘のカバーも
まだきっとあるのだろう。

 

 

 

ヒデイチさん

ありがとう。

 

 

この人生で
ヒデイチさんとご縁いただけたこと
本当に、本当に、うれしく思ってます。

 

リチャードという
ひとりのアメリカの男性を介して
不思議なご縁で繋がった
ヒデイチさん。

 

リチャードより
ずっと若いのに
先に行っちゃったんだね。

 

ちょっと早くない?

 

私もいつか
そちらに行きますので
また一緒に笑いましょう。

 

 

 

初めて
ヒデイチさんのお店に入った時
目にしたのはこんな張り紙。

 

ヒデイチさんの名言

 

人は一生のうち逢うべき人には必ず逢える
しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に

出典:Inquiry

 

 

私とヒデイチさんは
一瞬早すぎず
一瞬遅すぎない時に
完璧なタイミングで出会って

 

そして
完璧なタイミングで
お別れしたのでしょう。
 

本当はここで
カッコいいこと
もっともらしいこと
書いてまとめたいけど
書けないや。

 

ここでおしまい。

 

 

 

リチャードと
ヒデイチさんとの
私の人生をまたぐ物語は
静かに、静かに、時を重ねていく。

 

ヒデイチさんがいなくても。

 

【「おじいちゃんと私」シリーズ】

 

そして、その続き

おじいちゃんと私・2

おじいちゃんと私・インスタントレポ
ただいまー
おじいちゃんと私・3【もう一度始まる旅】



【「ヒデイチを探して」シリーズ】

 

そして、その続き

「ヒデイチ」を探して・2
「ヒデイチ」を探して・3
「ヒデイチ」を探して・4


【ヒデイチさんとの再会】

 


【この記事の前のお話】

 

このお話を
このブログを読んで
私と一緒に体験してくれる人

本当に、本当に、ありがとうございます。

 

すごくうれしい。

 

 

 

 

 

 

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