よもや今さら言う間でもないことだが、
我々日本人はアルファベットとは違う独自の文字を持つ民族である。
適当に書いた私の買い物メモが
"Oh!! Cool!!"
と英国人に褒めそやされるのは確かに見ていて楽しいのだが
アルファベットで無いが故に時々面倒が生じることがある。
さて、私もさして詳しい訳では無いが
大体世界で漠然と共通の国際郵便のルールとして
『差出国と受取国の名前は(基本的に)英語で記入する』
『どの国宛でもアルファベットでの住所の記入は許される』
『差出国と受取国の文字が違う場合、後者が優先される』
というのがあると思う。
要するに
日本からロシアに送る場合は
キリル文字で書いてもアルファベットで書いても構わないし、
逆にロシアから日本へ送る場合は
漢字やアルファベットは許されるが、キリル文字で書いてはいけない訳である。
考えてみれば当たり前だが
実際にその小包なりはがきなりを配達するのは現地のポストマンな訳で、
彼らが住所を読めなければ話にならない。
そしてこれが全く通用しないのがここスコットランドの片田舎。
上記のルールに則ると
英語で『JAPAN』宛だと書いておきさえすれば私には住所を日本語で記入する自由がある。
実際昔イングランドに住んでいた時は日本語で書いて普通に届いていた。
・・・・・・が、先日郵便局から手紙を出そうとした時のこと。
手紙を一瞥した窓口の女性からため息と共に
「あなたね・・・・こんな訳の分からない言語で書かれても読めないでしょ、
英語で書きなおして来て。」
と言われた。
「いやいや、ここにちゃんとJAPANって書いてありますよ、
あなたにも読める英語で。」
と言い返すも
「イギリスから送る郵便物は、全部英語で記入しなきゃ駄目よ。」
と何故か窘められる始末。
イギリス着はともかくイギリス発の郵便物も全部英語で記入しろとは、
ジャイアン並みの強気な要求である。
埒が明かない為その場でペンを借り、
日本語の住所の下にさらにローマ字の住所を付け足した私。
これで文句あるまいと思っていたのだが、
それを見ていた郵便局員、おもむろに太いサインペンを取り出し
今度は日本語の住所を全てそれで塗りつぶした。
えええええええええええええ?
「こっちのは紛らわしいから消しました。今度から気を付けて。」
と言うおばさん。
「いや、それじゃ日本側の配達員が困るじゃないですか。」
と反論すると
「アルファベットが読めないってこと?
それはあなたの国の問題であって、うちとは関係ありません。
よく分かんない文字が書いてあると紛らわしいんです。」
という。
いやいやいや、ならそもそも
"よく分かんない文字が書いてあると紛らわしい"という言い分自体
そちらの問題であって私とはなんら関係がない。
ちなみにこの時、実は一枚だけ台湾行のカードがあったのだが
その住所だけはかなり強引に中国語で押し通した。
なんせ台湾の住所なんぞとっさにローマ字で書ける訳がない。
おばさんには
「間違いなく住所不特定扱いで手元に戻って来ると思いますけどね。」
と脅されたのだが、
数日後何事もなくあっさり台湾に到着した。
やっぱ漢字で書いても届いてますがな!!!
まぁイギリスと言えば偉大なるシェイクスピア先生言うところの
お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの
を体現したような国。
彼らがたまにイラッとする謎のジャイアニズムを発揮するのは
もはや仕方がないのかもしれないが・・・・。