気まぐれ小説の館【PN@御陵衛士】

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     趣味で小説を書いております。
     当たり前ですが、出版なんぞとても出来るレベルではございません(笑)
      もしお暇でしたら、ちょっと読んでやって頂ければ幸いです。
       どうぞ、よろしくお願いします。

Amebaでブログを始めよう!

前回UPした「勝手にキャスティング!」の第2弾です。


前回の記事にも出ていた友人が、キャラクター画像を超特急で仕上げてくれました。感謝、感謝ですね 笑


また、最初の記事にUPした、登場人物一覧には載っていませんが、今回、藤咲唯夏、坂口陽菜、舘石奈那の母親も

特別に登場させました。実際、書き始めの頃は、全く考慮の中になかったので、これが初めての登場です。


では、Score of affection ~愛という名の楽譜~ 勝手にキャスティング!その2です。

今回は、「サブキャラクター」編です。前回のメインキャラクター8人の脇を固める、重要な人物です。

何とも豪華なキャスティングになっていますが、そのあたりは笑ってやってください 汗


注 年齢などは、一切考慮していません。あくまでも役柄のイメージのみで決定しています。

(各画像は、クリックすると拡大します)



①先輩編


西田隆志(にしだ たかし)               吉沢真由(よしざわ まゆ)

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②先生編


糸川伴蔵(いとかわ ばんぞう)            中山俊介(なかやま しゅんすけ)

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阿部裕美(あべ ひろみ)                川崎勇樹(かわさき ゆうき)

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大野愛美(おおの まなみ)              糸川謙蔵(いとかわ けんぞう)
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③家族編


椿木優希(つばき ゆき)                藤咲夏美(ふじさき なつみ)
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坂口陽代(さかぐち はるよ)              舘石美那子(たていし みなこ)

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また、今回も友人がキャラクター画像を作成してくれました。

忙しいのに、最速で仕上げてくれて、ありがとね 笑

第5話です。


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ワゴンが、マンションの前に停まった。

「うぉ、タイミングピッタリだ。すげぇ、優希さん。」それまでの重苦しい雰囲気を壊すように真志がおどける。

「まぁね~。あ、でもゴメンね、遅くなっちゃって。」と姉ちゃんもおどけて言う。

「いえいえ、お姉さん、ありがとうございました。」「お姉ちゃんありがと~」と奈那たちが降りていく。

「2人ともじゃあな~」

「バイバーイ」「またね~」と2人がマンションに入るのを見届けて、また出発する。さすがに、SOAの話題はもう出なかった。

「さてと、次は真志くんかな?」

「ういっす、あ、でも最後にしてもらって、優希さんと2人でドライブもいいっすね。」

「あらぁ、それって口説いてるの~?カワイイ~。お姉さん、本気にしちゃうわよ~」

「俺、優希さん大好きっす!!」いつになくアホな真志。

「おい、姉ちゃん。彼氏に言いつけんぞ!」

「えぇ!!優希さんいつの間に彼氏出来たんすかー!!」

「もぉ、バカシュウ!今言うんじゃないわよ!空気読めっての。」

「おーい、シュウなんで教えてくれなかったんだよぉ~泣」

「待て待て、真志、お前姉ちゃんのことなんか全然話題にしてなかったじゃねぇか。」

「プー、ククク。」響一が笑いをこらえている。その脇で今にも死にそうな顔をしてる真志。

真志の恋は、今、儚く散った・・・。無情にも、真志の家へワゴンが到着する。がっくりうな垂れる真志を降ろし、次いで響一も

無事に送り届け、後部座席は唯夏だけになった。

「グスッ・・・。」突然、しゃくりあげる声が後ろから聞こえてきた。

「ん?どうした唯夏?おい、姉ちゃん、ちょっと止めてくれ。」

「はいはい。」ワゴンがハザードを点滅させて路肩に止まる。俺は助手席を飛び降りて、後部座席に移った。唯夏の隣に座る。

「ちょっと、シュウ、動かすわよ?」

「おっけー」再びワゴンが動き出す。俺は無言で唯夏の頭に手を載せてやる。小さい頃、俺が唯夏を泣かした時は、いつもこうすると落ち着いてたのを思い出したからだ。ところが、今日の唯夏は、落ち着くどころか、更に激しく泣き出してしまった。動揺する俺。何も出来ず、ただただ泣き止むのを待っていた。ほどなくして、唯夏は落ち着いたようだ。か細い声で

「ごめんね、シュウちゃん。びっくりしたでしょ。」とつぶやいた。

「いや、大丈夫。」

「あのね、優希お姉ちゃんが言ってた、イトパンのパパの最期の言葉『やり残したことばかりだ。』って・・・。」

「うん。」

「それ聞いて、悲しくなっちゃった。でね、考えてみたの。やり残したことって何だったんだろうって。」

「うんうん。」

「それを、みんなで見付けられないかなぁって。それで、今年のSOAで発表できないかなぁって思ったの。そうしたら、イトパンのパパも、天国で喜んでくれるんじゃないかなって・・・。」

「唯夏・・・。」言葉にならなかった。気の利いた言葉なんて、出ないもんだな。

「とっても難しいことだし、下手したら演劇部を敵に回しちゃうかもしれない。だけど、だけど、吹奏楽部のアタシたちにも何か出来ることがあるんじゃないかな、って思うの。」

「唯夏ちゃん・・・。」姉ちゃんも泣いてるっぽい。

「よし、難しいけどやってみようぜ。唯夏の気持ち、カタチにしよう。早速明日、みんなに相談してみようぜ!」

「うん!」力強く唯夏が頷いて、フワっと笑顔になった。姉ちゃんも微笑んでいた、ように見えた。


ほどなくして、俺の家に着いた。隣にはまだ唯夏がちょこんと座っている。

「姉ちゃん?唯夏の家行くの忘れてんぞ?」と俺。

「はぁ?シュウ、アンタがちゃんと送ってきなさいよ。すぐそこなんだから。」

「へいへい、分かりましたよぉー。」

クスクスと笑う唯夏。良かった・・・、落ち着いたみたいで。

「んじゃ、参りますか、唯夏お嬢様~」

「うん」2人並んで歩き出す。唯夏の家は、ちょっと大きな公園を挟んだ向こう側にある。見慣れた並木道を歩いて行く。

「なぁ、唯夏・・・。」並木道の途中にあるベンチを見つけて腰掛ける。

「なあに?」ちょっと首を傾げながら隣に座ってこっちを見る唯夏。

「あー、その、なんだ・・・、」口ごもる俺。唯夏が無言でこっちを見つめている。余計に口ごもる俺。

「・・・、SOA、絶対に成功させような。」やっとのことで言えた一言。

「うん!」フワッと笑顔になる唯夏。俺も釣られて頬が緩む。

「・・・やっぱり変わらないね、シュウちゃん。」

「え?何だそりゃ。」思わず笑ってしまう俺。唯夏もクスクスと笑っている。

「んーと、うまく言えないんだけど、何ていうか、ひたすら一直線なところ、っていうのかな。」

「んー、そうか?」

「うん。アタシいつも、どうせ無理だから、とか思って諦めちゃうから、シュウちゃんのそういうところ、羨ましいなぁって。」

違う、そうじゃない。俺は、唯夏がいたから頑張れたんだ。全部、お前のお陰なんだ。お前の、大好きな笑顔が見たいから・・・。って、言えなかった。突然、頭の中にさっきの会話がフラッシュバックする。

(ヒソヒソ)でも、最近ちょっと気になる人がいて・・・

そうだよ。こんだけカワイイんだから。好きな人の1人や2人いてもおかしくなんかないよな。頭では分かってる。でも、認めたくなかった。唯夏がとんでもなく遠いところへ行ってしまうみたいで。そう考えると、途端にやるせない気持ちになる。小さい頃、いつもそばにいた唯夏。どこへ行っても俺の後ろからトコトコ追いかけて来た唯夏。近所のクソガキどもにいじめられて泣いてた唯夏。多勢に無勢なのは分かってたのに、無謀に向かっていってコテンパンにやられた俺を見て、更に泣く唯夏・・・。

そんな唯夏が、俺じゃない誰かと一緒に歩く姿なんか見たくない。でも、仕方ないのか?頭を抱えてしまう俺。

「どうしたの?シュウちゃん??」心配そうな顔で覗き込んでくる唯夏の顔を見た途端、雁字搦めに抑え込んでいた想いが、堰を切ったように溢れ出てしまった。何も考えられず、ボロボロと涙を零しながら唯夏にしがみついてしまう俺。

「ちょっ、シュ、シュウちゃん?!」驚いた唯夏が、焦って俺の名前を呼ぶ。

「・・・ヤ・・・ダ、・・・イヤダ。置いて行くな。ずっと、死ぬまで側にいろ。1人にするなよ、唯夏ぁ。」

情けねぇ、ダメダメじゃねぇか。俺、どんだけカッコ悪いんだよ・・・。しばらく、そのまま唯夏にしがみついていたが、

「シュウちゃん、苦しいってば。」か細い声で、唯夏が小さく抗議する。ハッとする俺。

「っ?!ゴ、ゴメン、唯夏。」ひたすら謝る。ああ、やっちまった。猛烈な後悔の念が押し寄せるが、後の祭りだ。どうしよう・・・。ふと、唯夏の方へ顔を向けると、いつもの大好きな笑顔でこっちを見つめる唯夏がいた。あれ?怒ってるんじゃないの?

「ゴメン。でもさっき『気になる人がいて・・・』って聞こえちゃって、それで唯夏がどっか遠くに行っちまうって思って、それで。」

すると唯夏が可笑しそうにクスクスと笑い出す。

「唯夏?」もう、可笑しくて可笑しくて堪らないという感じで笑い続ける唯夏。

「もう。シュウちゃん鈍すぎるよ。アタシ小学校も中学校も女子校だったんだよ?気になる人なんて、1人しかいないでしょ?」

「?」訳が分からず、ポカンとする俺。

「アタシ、男の子の友達ってほとんどいないの。シュウちゃんと、イチくんたちくらいだよ?それだけしかいないのに、シュウちゃん気付いてくれないんだもん。はぁ~あ。シュウちゃんから告白して欲しかったのに、待ちきれなくなっちゃった。」

次の瞬間、フワっと俺の体が抱きしめられた。小さくて細い腕で俺を包んだ唯夏がゆっくりと語りかけてくる。

「シュウちゃん。アタシ、どこにも行かないよ?ずっとシュウちゃんのそばにいてあげる。シュウちゃんが大好きだから。」

恥も外聞もなかった。ただただ泣くことしか出来なかった。と、ゆっくりと体を離して唯夏がつぶやく。

「2回目だね。」

「ん?2回目?」

「うん。アタシが私立に通うことになった時、シュウちゃん『ダメっ!唯夏は僕のそばにいるの!』って言ったの。覚えてる?」

「あぁ、あん時か・・・、ハハ、覚えてるよ。」苦笑い。

「ふふふ。あの時も、シュウちゃん、大泣きしてた。でも、嬉しかった。あの時にシュウちゃんのこと大好きになったんだよ。」

「ハハハ。そうだったな。相変わらず、カッコ悪いな、俺。」笑った。泣きながらだけど、笑ってしまった。

「ううん、そんなことないよ。あの時は、別々になっちゃったけど、これからはずっと一緒だよ。桜花受けて、良かった。」

「唯夏・・・。」

「でも、まさか同じクラスになるとは思ってなかったの。入学式の日、クラス掲示の中に椿木愁哉っていう名前を見つけた時、驚いちゃった。きっと、楽しい高校生活になるなって思ったの。でもシュウちゃんってば、最初アタシに気付かないんだもん。失礼しちゃうよね~。自分が『そばにいるの!』っ言ったのにさ。」プクっと頬を膨らます唯夏。そして、ベンチから立ち上がる。

「でも、これからはずっと側にいるよ。シュウちゃんが嫌だって言っても、ずっとずっとそばにいるって決めたから。だから。」

「ん?」

「シュウちゃんも、ちゃんと側にいて。死ぬまで、ね。」今までで一番の、飛びっきりの笑顔がそこにあった。

俺、苦笑いするしかなかった。クスクスといつまでもいたずらっぽく笑う唯夏と手をつないで公園を出た。


次回、唯夏のママ登場?! 第6話につづく。

読者の皆様、拙著を読んで下さいまして、まことにありがとうございます。

おかげさまで、ペースは遅いですが、本編も第4話まで更新致しました。


ここで、小ネタを1つ・・・。


先日、私と友人3人を合わせた4人で食事をしていた際、『もし、私の小説がドラマ化されたら?』という話題になりまして

「この役は、○○○○さんが演じるといいよね~」

「いやいや、××××さんでしょ。」

「◇◇◇◇さんだったら、イメージに合わない?」

なんていう会話で、友人たちがちょっと盛り上がっていました。私自身は、素人の小説なんざ、ドラマになるわけなかろ、

と、少々遠巻きな感じだったのですが、その時、友人の1人が、


「せっかくだから、ちゃんと配役決めてみたら?」


と言いまして、私もその一言で火がついて、気が付けば数時間、この話題で夢中でした。

※ちなみに、私と友人のうち1人は男性、残り2人は女性です。


せっかくなので、この時に決まったキャスティングをUPしてみました。


では、Score of affection ~愛という名の楽譜~ 勝手にキャスティング!その1です。

今回は、「メインキャラクター8人」編です。サブキャラクター編もあるので、そのうちUPします。


注 年齢などは、一切考慮していません。あくまでも役柄のイメージのみで決定しています。

(各画像は、クリックすると拡大します)



椿木愁哉(つばき しゅうや)              松本響一(まつもと きょういち)
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藤咲唯夏(ふじさき ゆいか)             木之元瑠璃(きのもと るり)
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市場純(いちば じゅん)                斉藤真志(さいとう まさし)
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坂口陽菜(さかぐち はるな)             舘石奈那(たていし なな)
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また、ブログ内のキャスティング画像はこの時の友人(男性)が、多忙な中、作成してくれました。

私のコメントや、役柄紹介も入れ、凝った作りにしてくれました。この場を借りて、御礼申し上げます。

ありがとね 笑

相変わらず、更新が遅いですが、第4話です。


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で、正門前。真志たちも合流して、迎え待ちをする6人。各々自宅に電話している。

「ママ、遅くなってごめ~ん。シュウのお姉ちゃんが送ってくれるから、これから帰るよ。うん。わかった。お礼言っとく」と陽菜。

「マミー、愛しのナナちゃんですよー。って、そんな大きい声出さないでよ~。わかってるって。今から帰るよ。え?ああ、シュウのお姉さんが送ってくれるって。ちょ、ゴハン抜きとかマジ無理だからー。ゴメンってばー。」奈那はひたすら謝っている。

「相変わらず、ナナっちの母ちゃん、激しいなぁ」と響一。

「マジ頭くるわ~、声デカいっつーの。てか、ゴハン抜きとかマジ有り得んて。育ち盛りだぞアタしゃ」ブツクサ+言う奈那。

「あれ?イチくん電話しないの~?」と陽菜。

「ああ、俺は大丈夫。母ちゃんは気にしてねぇから。メシ食うかどうかだけメールしとけばOKよん。」

「えー、いいな~。うちのママ怒らないけど、メールじゃなくて絶対電話しろってうるさいんだもーん。」と陽菜。

「まぁ、女の子だからだろ。心配なんじゃね?姉ちゃんが高校生の時、うちもすごかったしな。ほぼ毎日、オフクロvs姉ちゃんで大ゲンカしててよ。」と俺。

「あ、でもシュウの家って今、お姉ちゃんと2人だけなんでしょ?」と陽菜。

「そうそう。オフクロはあれでも一応ピアニストだからな。海外が拠点だし。んで、オヤジはオフクロのマネージャーだし。滅多に帰って来ねぇよ。姉ちゃんが社会人になるまでは休業してたんだけどな、最近またやり始めてよ。お陰で羽伸ばせるし。基本姉ちゃんはガミガミ言わねぇからさ。」

「あれ?でもシュウってピアニストになるんじゃなかったの?」と奈那。

「あー、今は吹奏楽部だしな。トロンボーンの方が性に合ってるんだよ。俺はオフクロや姉ちゃんみたいに才能ねぇし、レッスンとか結構メンドくさいんだよ、先生のところも遠いし。」

「そうなの?でも中1の時、合唱コンクールで伴奏の子が休んじゃった時、代理で弾いてたじゃん。しかも当日にさ。」と奈那。

「ありゃ、知ってる曲だったからだ。別に初見だったわけじゃねぇし。」

「あとさ、ほら、中2になってすぐの演劇部と合同でやったミュージカル舞台の時。あの時もピアノ弾いてたじゃん。」と奈那。

「そういや、シュウあれ以来ピアノ弾いてねぇよな?」と響一。

「まぁ、それはそれだ。機会がなかったってことよ。ハイ、この話終わり。お、姉ちゃんの到着だな。」

白いワゴン車のライトが俺たちを照らす。

「ヤッホー、シュウー。迎えに来たわよー。みんなも乗って~。ってか、桜花めっちゃ懐かしいわぁ。」

「おー、姉ちゃんサンキューな。そういや、高校に迎えにきてもらうの初めてだっけ。」

「そうだよ、中学の時は何回か行ったけどねぇ。マジで懐かしいわぁ、変わんないなぁここも。」

「ってか、真志、チャリ積めよ。」

「おお、すいませーん優希さん。相変わらず美人っすねー。」

「あらぁ、真志くん、お口が上手になったわねぇ~。」と姉ちゃん。

「いやいや、ホントの事っすよ~、優希さーん。」

「またまたぁ、おだてても何も出ないわよ~。あ、後ろのドア開けたよ~。」ガチャンと音がしてドアが開く。そして、姉ちゃんは唯夏を見つけるや駆け寄り、「あれれ、唯夏ちゃん?!久しぶり~!!桜花に入ったんだ~。」

「わぁ~、優希お姉ちゃんだ~。こんばんは~。」珍しく唯夏がニコニコして話している。

「唯夏ちゃんも高校生かぁ、アタシも年取るわけだ。もう、かわいくなっちゃって~。どう?モテるんじゃない?彼氏出来たぁ?」

ニヤニヤしながら俺をチラ見する姉ちゃん。バカ姉貴め。俺は、気付かないフリをしながら、耳はダンボになる。

「そんなことないですって~。彼氏なんかいないですよぉ~。」心の中でガッツポーズする俺。しかし・・・、次の瞬間、小声で話す唯夏の声が聞こえ、愕然とする俺。

「(ヒソヒソ)でも、最近ちょっと気になる人がいて・・・、今度お姉ちゃん相談に乗って下さい。」

(ボソボソ)あらら、唯夏ちゃんもお年頃ねぇ。そういうことなら、優希お姉様に任せなさい。いつでも相談乗るわよ。」

「(ヒソヒソ)わあ、お姉ちゃんありがとうございますぅ~。」

2人とも小声で話してるが俺には丸聞こえだ。頭を抱えて座り込みたい衝動をなんとか抑え、平気な顔して助手席に乗る俺。

奈那と陽菜が苦笑いしながら、俺と唯夏を見比べている。その時、バタンと音がして、後ろのドアが閉まった。準備完了だ。

「んじゃ、お願いしまーす。」と言いながらみんなで乗り込む。

「じゃ、俺帰るな~」と純。

「おお、またな、純」と俺。

「純明日―。」「バイバーイ」

颯爽と走っていく純を見送り、俺たちも出発した。助手席で揺られながら、唯夏の事が気になって仕方ない俺。そっとバックミラーで唯夏の顔を覗くと、目が合ってしまった。その瞬間、フワっと笑顔になる唯夏。慌てて目を逸らす俺。ああ、この笑顔が好きなんだよなぁ・・・、なんて思いながら、今日のことを振り返る。と、不意に姉ちゃんが話しかけてくる。

「そう言えば、SOAがまた復活するらしいわね。」

「あ、ああ、って姉ちゃんSOA知ってんのか?」

「うん、アタシが1年の時で終わっちゃったけどね。」

「そうか、ちょうど8年前の一時消滅の時か。」

「そうそう、アタシが2年になった時、SOAをやるかやらないかで学校中大論争になったのよ。んで、先生と生徒で激論になってねぇ。懐かしいわぁ。」

「姉ちゃん、詳しく教えてくれよ。その時のこと。俺たち、今年のSOAの企画やるんだ。な、みんな。」

「うんうん、教えてください、お姉さん」と奈那。

「アタシも知りたい~」と陽菜。

「う~ん、どうしよっかな~。いろいろと黒い歴史もあるからなぁ・・・。」

「そりゃ、知らなかった。でもさ、今日部長が8年前のSOAのDVD貸してくれて見たんだよ。」と俺。

「えぇ?!8年前って、最後のSOA?!それ、見たのね?!」

「え、あ、ああ見たよ。部長のお姉さんから借りて来たらしい。それが?」

「ねえ、シュウ。部長さんって何て言う人?」

「え?西田さん。西田隆志って言うんだけど。」

「やっぱり。西田さんのお姉さんって人は、アタシの先輩。演劇部の。その作品、テーマは命だったでしょ?」

「うんうん。命だった。って、姉ちゃん演劇部だったのかよ?!あれ、でも姉ちゃん出てたのか?」

「いや、アタシはまだ1年だったから、照明の係。まぁ、2年の時辞めちゃったけど。まぁ、そういうことなら教えてあげよう。ただし、みんなだけの中で留めておいてよ?いいわね?」

「わかった」「ハーイ」「了解っす」と口々にみんなが返事をする。

「わかった。じゃあ、ちょっとだけ回り道するわよ。」

「ラジャー」

「あれは、2年の6月くらいだったかな。今年のSOAをどうするか、って言う話になってね。先生たちは、とうにかして中止させようとしてたんだけど、生徒達が猛反対したの。特に演劇部がね。アタシも演劇部だったし、SOAの演目で全国狙ってたから。でも、ちょうど私が1年から2年になる時、糸川先生が定年退職して、って今居るイトパンじゃなくて、お父さんの方ね。知ってる?イトパン父。」

「詳しくは知らない。どんな人だったの?」と俺。

「うん。糸川先生、イトパン父はね、演劇部とSOAを創設した人で、ずっと顧問をしてたのよ。」

「えー、吹奏楽部じゃなかったんだぁ~。」と陽菜。

「そうそう。その頃の吹奏楽部は、中山先生だっけ?アンタの担任の。その人が顧問だったの。当時イトパンは桜花に居なかったから。」

「うへぇ、シュンスケが吹奏楽部の顧問だったのかよ。でもよ、イトパンって桜花にずっと前から居たんじゃないのか?」

「うん。正確にはアタシが桜花に入る2年前くらいに一度桜花に来たらしいんだけどね、その年一杯で、何て言うか、飛ばされちゃったのよ、桜花から。」

「えー、初耳!」と奈那。

「まぁ、イトパン父がSOAを作った人だし、イトパンも最初から危険視されてたっぽいのよ。で、その時ね、ある事件が起こったの。ちょうど今から10年前よ。」

「10年前?なんだそれ。去年のと、28年前のは知ってるけど。」

「それは私も知ってる。でも、この時の事件は表には出なかったのよ。教育委員会とかが全力で情報操作したから。」

「え~っと、その事件って、もしかしてなんですけど、桜花の若い先生と、女子生徒が付き合ってて、その生徒が妊娠してとかってヤツですか?」突然、陽菜が口を開いた。

「えぇ?!はるちゃん、どこでそれ聞いたの?!」姉ちゃんがびっくりして聞き返す。

「んと、アタシのお母さんが昔高校の先生やってて、1年だけ臨時で桜花に来てたことがあるんですよ。それで・・・。」

「えぇー、そうなの?!」奈那も驚く。

「あれ、でも坂口先生って言う先生はいなかったと思うんだけどなぁ。」と姉ちゃんが不思議がる。

「えっと、お母さんの教員免許が結婚する前のものだったとかで、旧姓の松村を名乗ってたんです。」

「えーっ?!松村先生って、数学の松村陽代先生?!」

「ハイ、そうです。」

「マジかぁ、めっちゃ習ってたわよ、アタシ。そっかぁ、陽菜ちゃんの陽の字は、先生から取ったのねぇ。」

「うわ、世間狭っ」と響一。

「んで、話し戻すけど、その事件ってのがさ、妊娠騒動だけじゃなくて続きがあるのよ。知ってる?はるちゃん。」

「いえ、アタシが知ってるのはこれだけです。」

「そっか。で、続きってのは、妊娠した子の父親が学校に乗り込んで来て、娘の彼氏を刺し殺そうとしたのよ。」

「ええーっ?!それめっちゃ大事件じゃねーか。」と俺。

「うん。でもね、その時にその若い先生を庇って刺された先生が居たの。それが、イトパンなのよ。」

「うへぇ、マジかよ。」と俺も驚きを隠せない。

「うん。幸いケガは大事には至らなくて、イトパン自身も短期の入院で済んだらしいの。でね、イトパンは絶対に警察には言わない。その代わりにその若い先生の教師生命の保証と、生徒との結婚を認めてやってくれって、お父さんに懇願したんだって。それには、校長はじめ、先生方も納得したんだけど、教育委員会が異議を唱えて、その若い先生の教員免許を剥奪する暴挙に出たのよ。で、その若い先生は、生徒と結婚したんだけど、教壇を去ったの。まぁ、本人もそれは仕方がないって納得してたらしいんだけど、イトパンとイトパン父が全く納得しなくて、イトパンは病み上がりで教育委員会に殴り込みに行くし、イトパン父は、その年のSOAで命をテーマにして演劇を上演したの。それが、ほぼ事件と同じ内容で、あまりに過激すぎてクレームが殺到したのよ。しかも、極めつけにさ『この物語は事実を基にしたフィクションです。』なんてテロップまで出しちゃったもんだから、もう大変。校長やら教育委員会やらが必死で情報操作したわけ。きっとイトパン父の精一杯の抗議だったんだろうね。」

「で、その後のイトバン親子はどうなったんすか?」響一も問いかける。

「うん。イトパンの方は、何も悪くないのに教育委員会に殴りこみかけたってことで、その年一杯で僻地の学校に飛ばされて、イトパン父は、教諭から非常勤に降格よ。ま、あと2年で定年だったから、転任は免れてそのまま桜花に残ったけど。ベテラン教師なのに、非常勤だから週に2、3日しか来なくなったわよ。」

「何だそりゃ。親父さんはともかく、イトパンは何も悪くねぇじゃん。」珍しく響一がイラついている。

「へぇ、イトパンって何か、おっとりしてるイメージだけど、そんな熱血だったとはねぇ。」奈那も意外そうに言う。

「んでね、アタシが2年の時に戻るけど、SOAをやるかやらないか、ってモメた時ね。先生vs生徒で激論を交わした時、ほら、シュウの担任、中山先生だっけ?が、こんな提案をしたのよ。『SOAを中止にする代わりに、糸川先生を桜花に戻せ』ってね。あ、もちろん、イトパン父はもう退職してるから、息子の方ね。アタシ中山先生とは面識ないから、当時は何だこの人って思ってたのよ。しかも、全国狙ってたSOAを中止にするとか、フザケんなって思っててさ。んだけど、中山先生ってさ、自分の方が教師歴長いのに、すごくイトパンを尊敬してて、『今の桜花には、父上の意志を継いだ糸川先生が必要だ』って、一歩も譲らなかった。生徒たちも、イトパンやイトバン父を知ってる世代は大賛成で、結局その年の2学期から、イトパンが戻ってきたの。異例中の異例よ。9月に戻ってくるなんて。でも、イトパンは演劇部の顧問にはしてもらえなかったの。危険すぎるって。でも、イトパン父の意志は、中山先生にも受け継がれてて、ならばってことで、中山先生が演劇部の顧問になって、代わりにイトパンが吹奏楽部の顧問になったわけよ。でも、イトパン父は定年退職した1年ちょっと後、アタシが3年の時に、病気で突然亡くなられたの。お葬式に行ったわ、アタシも。これは又聞きだけど、最期に『やり残したことばかりだ・・・。』って言って息を引き取ったそうよ。アタシ、それ聞いて涙が止まらなかった。んで、アタシはイトパンが顧問じゃなきゃ全国は狙えないし、そもそもSOAがなくなっちゃったから、結局演劇部を辞めちゃったの。」

「なるほどなぁ、SOAは桜花の黒い歴史そのものってわけか。」さすがの俺もしんみりとつぶやいた。

「まぁ、演劇部は、SOAの上演がきっかけでいろいろ賞を獲ったり、全国大会に出たりして、いい面もあったんだけどね。」話が一段落したちょうどその時、奈那と陽菜のマンションに着いた。


次回、それぞれの想いを乗せて、ワゴンは走る! 第5話へつづく。

だいぶ間が開いてしまいましたが、第3話です。

今回あたりから、細かい設定と伏線が出始めます。気長にお付き合い下さい。(*・ω・)*_ _))ペコリン


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DVDの再生が始まった―。

・・・、

・・・・・・、

・・・・・・・・・・、

・・・・・・・・・・・・・、

画面に惹きつけられる俺たち。息を飲み、誰も言葉を発することができない。そこに映し出されていたのは、とてつもなく衝撃的で、神秘的な情景だった。多くのクラスや部活の迫真の出し物がそこには映っていた。どれも手作りで、気持ちが込められていた。愛情というテーマに加え、勇気、挑戦、団結など多くのテーマがあった。中でも、命をテーマにした、演劇部の作品は心に直接語りかけてくるような鋭くて、鮮烈。それでいて、心が温まるような内容だった。

そして、30分ほどの再生が終わった。最初に口を開いたのは唯夏だった。

「すごい・・・。何だろう、心を揺さぶられるような感じがする。」

「うん。確かに。でも一体これは何のための出し物なんだろう。」俺はさっきから思っていた疑問を口にする。

「ん?SOA、通称ソアのテーマって知らないのか?お前ら」真志が言う。

Stage of affectionAffectionって愛情だろ?それがテーマじゃないのか?」と響一。

「まぁ、そうなんだけどさ。じゃあ、SOAが始まった理由と無くなった理由。んで、また復活した理由は?」

「いや、知らねぇ。」と俺。

「そか。んじゃ説明すんべ。俺も又聞きの部分もあるから、全て正しいとは思ってないけど。で、Stage of affection。通称SOA(ソア)ってのはな、今から28年前、この学校が出来た2年後から始まった文化祭の出し物だ。メインテーマは『愛情』で、その他、出し物ごとに愛情+何かのテーマを決めて発表する。もちろん構成は自由。例えば吹奏楽部だとしても、演奏とは限らないってわけだ。」

「うん、そこまでは知ってるよ~」と陽菜が暢気な声を出す。

「まあまあ、はるちゃん。本題はここからよ。んでな、このStage of affectionが始まったきっかけってのがさ、28年前ってわけなんだが、その頃の時代ってどんな状態だったか分かる?」

「んー、どんなだろ~。生まれてないからわかんな~い。」と陽菜がまたもや暢気な声で言う。

「まぁねそう答えるのが当たり前か。っつーか、みんな生まれてないけどな。」

「あ・・・。」と唯夏が小さく声に出す。

「お、ユイちゃん、閃いたかい?」と真志が問いかける。

「その、なんて言うか、学校が荒れてたとか?」

「さすがユイちゃん。ま、そんなところかな。で、SOAが始まる1年前、つまり今から29年前だが、この学校である事件が起きるんだよ。知ってるよな、みんな。」全員に向かって真志が問う。

「ああ、知ってるよ。いじめを苦にして、自殺した生徒がいたんだよな。しかも、全校生徒が登校する朝、正面玄関の前に向かって屋上から飛び降りたっつー話しか。しかも、全く関係無い生徒が、その飛び降りの巻き添え食って、2人とも即死したってやつだろ。ひでぇ話だな。」しかめっ面で純が言う。

「そそ。それ。んで、大騒ぎになって、県内はおろか全国区で悪名高くなっちまった桜花高校は、起死回生の策を打ち出した。それが、SOAってことだよ。つまり、愛情があれば、イジメは起こらない。そして、命をしっかり認識すれば、自殺も起こらない。それが、SOAの始まりだ。んで、それ以来、ずーっとSOAが文化祭の名物となり、29年前の汚名を返上する結果となった。んで、だいぶ落ち着いてきたのが最近。8年前を最後にSOAは無くなった。文化祭の代名詞とも言えるSOAをやめるってことは、名実ともに、この学校が元に戻ったって証明になると踏んだんだろうな。ところが、去年、またもや事件は起こる。」

「今度は教師が自殺したってやつだな。生徒指導の難しさから、逃避したってやつだろ。」響一が重苦しい声で言う。

「そうだ。あれだけ愛情だ、命だってのたまってた教師たちは慌てるわな、んで、SOAの復活ってわけよ。でも、SOAは学校のいわば恥の部分だ。だから、書類上の記録には残っていても、映像や録音では一切残さなかった。残っているのは、当時見ていた観客と生徒たち、教師たちの記憶の中だけってことさ。だから、この記録は貴重なんだよ。」

「なるほど。そういうわけか。だから、教師たちも多くを語らないわけか。」俺をはじめ、全員が納得した。

「ん?そう言えば、吹奏楽部の顧問って、イトパンだっけ?」と真志。

「そだよ。あとあべちゃんもね。あ、でもあべちゃんは去年来たって言ってたから、SOAの事は知らないはずだな。」と純。

「えっと、イトパンって、糸川先生だっけ?」と真志。

「そそ。糸川伴蔵。だからイトパン」と俺。

「そうか、わかったぞ。」と、手を打った真志。

「ん?何が」と言う目を向ける俺たち。

「みんな、これ見てくれ。」と資料のような物を取り出す真志。

「これは?」

「こないだ、放送室の整理してたら棚の奥から出て来たんだ。2003年だから、今からちょうど10年前のSOAの企画書だな。ここ見てみろよシュウ。」

「ん?本企画は、全校生徒に愛情と命の大切さを再認識させ、健全な教育を施すための一環として、1985年6月、本校の、糸川教諭により発案された。って、糸川ってイトパン?!」驚く俺。

「いや、年齢的にイトパンの年とは合わないよ。確か、37歳くらいだったはず。イトパンのお父さんとかじゃない?」と奈那。

「だろうな。糸川なんて珍しい名字はそうそういないだろうし。でも、大事なのはそこじゃない。最後のページ見てみ。」と真志。ペラペラと資料をめくる俺。

「1997年度Stage of affection実行委員長、中山・・・俊介だって?!嘘だろ?!シュンスケかよ!?」

「そゆこと。シュウと純とユイちゃんの担任ってわけよ。」

「なるほど、じゃあシュンスケに聞いたら何か教えてくれるかも。」と純が大声で言う。が・・・。

「いや、そりゃ難しいだろ。」と真志がすかさず反論する。

「なんで?」と首をかしげる唯夏。

「これは仮説だが、そもそもSOAってのは、学校の恥の部分だって言ったろ。だから、教師たちは表向きは積極的でも、内面では絶対にやりたくはないはずだ。だから、この企画、つまりSOAそのものを潰したいはずだ。とはいうものの、これまでの生徒たちが、手作りで積み上げてきた実績もあるし、長年の伝統みたいなものも少なからずあるだろう。だから、表立って潰すことは出来ない。結局8年前まで続いてたわけだからな。でも、それが教師たちの誤算だった。恐らく、教師たちは、数回SOAをやらせて、うやむやにする気だったんだろう。それが、当時の生徒たちが相当すごい出来栄えになったもんだから、文句を言えなくなって、恒例行事化した。演劇部なんか、SOAがきっかけで数々の賞を獲り、全国大会にも出場したらしいからな。でも、8年前には、学校も落ち着いてきた。教師たちはここぞとばかりにSOAを中止した。それが、去年の自殺騒ぎだよ。この事件がSOAをもう一度復活させた。でもこれはどう見ても不自然だろ。ほぼ全ての教師たちや、恐らく教育委員会とかも含めて、SOAには消極的なはず。それが復活した。つまり、教師たちの中にもごく少数だろうけど、SOAを復活させたいと思っている人がいるってことだよ。ここが突破口になるかもしれん。」ここまで一気にまくしたてた真志が、ふう、と一息つく。

「で、その賛成派の教師ってのは誰なんだ?」と響一。

「鈍いわねぇ、糸川先生と中山先生に決まってるじゃない。」と奈那。

「いや、イトパンはもちろんシュンスケも多くは語らないと思う。」と俺。

「お、シュウ珍しいな、お前が否定的なこと言うのは。で、どうしてそう思う?」と真志。

「恐らく、イトパンはSOAには反対の立場のはずだ。自分の親父がわざわざ学校の恥の部分をあえて外部に晒すような企画を出したんだ。今、親父さんはいないから、他の教師どもから相当バッシングされているはず。だから、それをおいそれと受け入れるとは思えない。もし、復活に賛成でもしようものなら、他の教師どもからこう言われるだろう。『親子二代で学校の恥を外部に晒す気か』ってな。同じ理由で、シュンスケも内面はともかく、積極的に関わるのは避けるはずだ。」と愁哉も一気に話す。

「なるほど、その可能性はあるかもね。」と唯夏。

「でぇ、結局これからどうするの~?」と陽菜が相変わらず暢気な声を出す。

「まぁ、とにかくだ。予選にはまだ時間がある。とにかく情報だ。出来るだけ情報を集めないと、俺たちは足元を掬われる。」

「ってか、オイ。もう20時過ぎたぞ?!」と純。

「うそー!?」と全員がハモる。ま、吹奏楽部ですからね。

「やべぇ、マジで帰らねぇと。」慌てる純。

「んと、・・・イチ、ニ、サン・・・、7人か、じゃ、久々に奥の手使うか。」と携帯を取り出して、どこかへ電話する俺。

「・・・・・・・・・、あー、もしもし姉ちゃん。今どこ?」

『今仕事場。今から帰るとこ。どした?』

「あ、悪い、部活で遅くなっちまったんだよ。クルマだったら、ガッコに寄ってくれねぇか?女子もいるから危ねぇし。」

『おっけー。15分くらいで着くと思うけど、正門でいい?』

「うん、頼むわ。・・・みんな、姉ちゃん来るけど乗るヤツいるか?とりあえず唯夏とイチは乗ってくよな?」

「おお、わりぃな、シュウ。」「ありがとシュウちゃん。」

「おっけー、あとは?」

「アタシと陽菜もいい?」と奈那。

「おう、ワゴンだからもっと乗れるぞ。他は?」

「俺と純はチャリだからいいよ。」

「いいのか?チャリも積めるぞ?」

「お、マジか。じゃ、俺頼んでいいか?」と真志。

「おっけー、純は?」

「あ、俺はいいや。すぐそこだし。」と純。

「わかった、じゃ正門まで移動すっか。」

「俺らチャリ出してから行くわ。」と真志。

「おっけ。じゃあ正門で合流な。」

俺たちは放送室を出て、それぞれに別れた。



次回、桜花高校で過去に起きた、衝撃の事件が明らかに! 第4話へつづく。




第2話です。


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「まいったなぁ、これ。どうするよ?」とつぶやく俺。

「確かにな。やれと言われたはいいけど、どこから手をつけるか」と言ったのは市場純(いちば じゅん)。オーボエを吹いている。コイツとは中学からの付き合いで、まぁ悪友。といっても、穏やかな性格だから、ヤンチャするほどではなく、ちょっとしたいたずら心がある程度。でも、けっこう頭は良い方だと思う。まぁ、俺たちのムードメーカーってところかな。ちなみに、コイツは陽菜に惚れてるとか。まぁ、当の陽菜は天然の上、鈍感なので全く気付いてないみたいだが。時々、脳内の妄想が激しく暴走して、突拍子もないことを言うが、俺たちはもう慣れたから、フルシカトね。

「とりあえず、もらったDVD見てみるのが早いんじゃない?」と言ったのは藤咲唯夏(ふじさき ゆいか)。フルートを吹いてる。みんなからはユイとかユイちゃんとか呼ばれてる。ちなみに俺は付き合いが長いから「唯夏」って呼び捨て。こいつは俺の幼馴染で、小・中学校だけは、大学まである私立の女子校へ行ったため、俺たちとはしばらく別々だったが、何故か付属の高校へは進まずに、俺達と同じ桜花(おうか)高校を受験し、再会した。その辺の理由はよく分からん。唯夏本人に聞いてくれ。

ん?、今唯夏がこっち向いて首をかしげた気がしたが気のせいか?

まぁ、おっとりしたヤツだがなかなか頭がキレる。ズバっと一言筋の通ったことを言うから、説得力があって、納得してしまう。ちなみに結構天然だが、それがけっこうカワイイ。俺は密かにコイツが好きだったりする。まだ告白には至ってないけど。しかしまぁ、コイツその辺ガード固くて誰が好きなのか全く見当つかねぇ。ま、俺じゃないとは思うけど。まぁ、その話は追々。

「んじゃ、さっそく見ようぜ」と言ったのは松本響一(まつもと きょういち)。トランペットを吹いている。みんなからはイチと呼ばれてる。俺が唯一あだ名で呼ぶのは、コイツだけだ。コイツとは小学校からの付き合いで、まぁ言ってみれば親友とか、戦友というところか。性格も価値観も何もかも俺とは違うけど、何故かウマが合う。中学の頃は2人してヤンチャしてたけど、とりあえず今は更生して(?)マジメにやっている、かな。意見がぶつかることも多いが、不思議とケンカにはならない。昔はしょっちゅうケンカしてたけど。ま、ケンカした分だけ、分かり合えた部分も少なくはない、ってとこか。

「でもさ、どこで見るの?」と言ったのは、舘石奈那(たていし なな)。パーカッション(打楽器)を担当している。周りからは、ナナっちと呼ばれている。コイツは気が強くて結構短気だが、曲がったことは大嫌いな一本気なヤツ。相手が男だろうが、大人だろうが悠然と立ち向かっていくような真っ直ぐな性格だ。小6まで空手を習ってて、女だけどなかなか腕っぷしも強い。ホント女にしとくのは惜しいね。でも、奈那は意外にも響一が好きらしい。見た目も性格もボーイッシュだけど、ちゃんと女の子な部分も持ってる、なかなかイケてるヤツだ。

「そうそう、誰かの家に行くの?」と言ったのは坂口陽菜(さかぐち はるな)。ホルンを吹いている。コイツらとも中学からの付き合いで、はるちゃんと呼ばれている。性格はドが100個付くくらい天然で不思議ちゃん。天然度合いは唯夏の比ではない。でも、笑いを誘うコイツの天然ボケはどことなく憎めない。俺たちの中では、マスコットキャラみたいなヤツ。でも、意外にも、奈那と一緒に空手を習っていて、かなり強いらしい。一度キレると、なかなか止められないというから驚きだ。普段は、天然過ぎるくらいだから、コイツは誰が好きかよくわからん。ちなみにこの2人は同じマンションに住んでいるからか、だいたいいつでも一緒にいる。

んで、俺。椿木愁哉。「つばきき」じゃないぞ、「つばき」だ。「つばきしゅうや」。トロンボーンを吹いている。みんなからはシュウと呼ばれているが、何故か唯夏だけはシュウちゃんと呼ぶ。ちゃん付けすんな、呼び捨てでいいっていつも言ってるんだけど、「だって、シュウちゃんはシュウちゃんなんだもん。」とかわけのわからん理屈を言うので、最近は放置している。女子軍団はともかくとして、俺たちは、というか俺だけだが、運動がまったくダメで、運動には全く縁も興味もない。でも、小さい頃にピアノを習っていたおかげで、音楽は好きだ。だから小・中学校とも吹奏楽部に入った。とはいうものの、今はとある理由でピアノを弾かなくなった。その理由は、内緒だ。


「って、何独り言言ってんだ?シュウ」と響一。

「あ?この世界はいろいろと説明しなきゃいけないのだよ。イチ殿」

「はぁ?わけわかんねぇ。」

脇で唯夏がクスクス笑ってる。


さてさて、戻りますかね。


俺も考え込む。

「そうだなぁ、見るとは言っても・・・、あっ!イチ!」

「ん?なんだ?」

「今日真志まだいるかな?」

「あ?マッシ?なんで?」

「鈍いなぁイチ。アイツ放送部だろ?」

「うん。でそれが?」

「あーもー、放送部の部室でDVD見れるだろが!」

「おぉ、その手があったか。OK電話してみる。」と携帯を取り出してコールする響一。ほどなくして、真志が電話に出た。

「おーマッシ。いい天気だな」ってオイ。めちゃめちゃ雨降ってんじゃねーか!!

ズッこける俺と純。笑いを噛み殺している唯夏。目が点になっている奈那と陽菜。

「オマエはジジイかっつーの。貸せ」響一から携帯を奪い取る俺。

「真志、俺だ愁哉だ。今どこ?」

『ん?まだ放送室。』

「部活は?」

『今日はないんだけど、いろいろやることあってさ。』

「悪い、今からそこでDVD見られないか?」

『えぇ?!AVかや?!マズいがや。でらマズいがや。俺たちまだ16歳だぎゃあよ・・・。もう、シュウちゃんったら。』

「ちょ、おまっ、アホか。あと、DVDは8年前のSOAのだよ。」

『え?!SOA?マジかや!?そんぎゃ貴重なもんどこで手に入れたがや?』

「細かい話はあとだ。それよりそっち行ってもいいか?あと、そのヘタクソな名古屋弁やめろっての。」

『ああ。OKOK待っとるがや。』


「よし、OK。みんな放送室にいくぞ。」

「おー」「おっけー」

「イチ、携帯サンキュー」

「俺の携帯なのに・・・。」

「オマエがアホなこと言ってるからだ。」

「ふふふ。」唯夏が小さく笑う。この笑顔が好きなんだよな、俺。

「おじいちゃんみたい。あはっ」陽菜がトドメの一言。項垂れる響一を純が引きずって放送室へ向かった。




「悪いな、真志。」

「あぁ、構わねぇよ。どうせ俺一人だし。」と答えたのは斉藤真志(さいとう まさし)。マッシと呼ばれている。コイツは小5の時に名古屋から転校してきた。そのせいか興奮すると、ヘタクソな名古屋弁でしゃべる。男のクセにおしゃべりなヤツだが、それでいて、場を和ませたり、疑問を呈したりと、たった一言で場の雰囲気を変えられるという、意外な一面を持っている。突破口が見つからない時、コイツの一言で一気に好転なんてこともよくある。そのしゃべりキャラを生かしたのか、唯一真志だけは吹奏楽部ではなく、放送部に入った。ちなみに、中学までは放送部がなかったので、吹奏楽部でチューバを吹きつつ、放送委員会にも身を置いていた。だから、音楽と音響の両方が分かるという点では頼りになる。キャラはアホだが、頭は良く、芯はなかなかしっかりしている。俺自身も結構相談したりすることもあるくらい。ま、だいたい数秒で解決されちまうんだけど。

「で、例のブツは?」と真志が聞く。

「あぁ、これこれ」俺は、カバンからDVDを取り出して真志に手渡す。

「OK。再生すんぞ。」


さてさて、DVDの中身は?! 第3話へつづく。








遠くから、声が聞こえる―。


「お前のピアノの演奏技術は申し分無い。しかし、音そのものは氷のように冷たい。まるで闇のようだ。『心』を感じない。この演奏では、ピアニストとして、人に感動を与えるのは難しいだろう。」

「『心』ですか・・・。」

「お前のお母さんはとても優秀なピアニストだ。お姉さんもそうだ。しかし、お前の技術だけは、お母さんやお姉さんを遥かに超えている。しかし、2人の演奏は、温かいんだ。お前の音にそれを感じないんだ。」

「温かい音、か。」

「ピアニストとしては致命的だ。まるで、氷の牢獄に落とされるかのような気持ちを、聴く者に与えてしまう。」

「・・・ッ!」涙が出そうになった。必死で堪えた。そして、幼い彼は、レッスン教室を飛び出した―。



・・・目が覚めた。いつも見る夢。

「またこの夢か。」ゆっくりと体を起こし、ため息をつく―。




「―よし、じゃあ今日はここまで。」顧問の糸川先生(通称、イトパン)が練習の終了を告げる。

「起立、注目、礼」
「あざーっす」

部員達が挨拶をする。と、

「あ、そうそう。文化祭の出し物のことなんだけど。」とイトパン。

「吹奏楽部では、3つの出し物をやることになった。1つはステージ。これは毎年恒例の演奏。構成は30分以内で。だいたい5曲~6曲+MCってところか。選曲は任せるが、大曲はムリだから、今までのレパートリーから数曲に新曲1、2曲ってところだな。もう1つは模擬店、喫茶店みたいなものだ。これは例年通り2年が中心でやってくれ。食品だから、保健所からの通達をよく読んでおくこと。もう1つは、新しい企画なんだが『Stage of affection』通称SOAと言う。お前達は知らないと思うが、8年ほど前まではうちの学校での目玉だった出し物なんだ。だから、新しい企画というよりは、昔の企画の復刻版ってとこか。すべての部活とクラスから、出場者を募り予選を経て本戦に出場となる。出場できるのは、5組。構成は自由だ。吹奏楽部だからって演奏をしなければならないということではないんだ。これを1年中心で考えてくれ。例年、文化祭関係は6月から本格的に動いてるが、今年はSOAという企画が増えたため、5月から動く。早め早めに準備するように。以上だ。」

「先生、アフェクションって何ですか?」部長の西田が質問する。

「愛情って意味だよ。このステージのテーマだ。これ以上は俺からは言わないから、あとはお前達で考えてくれ。はい、以上」

「なんだ?SOAって」「知らねーよ」ざわつく喧騒の中で、部長の西田が声をかける。

「おーい。1年は残ってくれ。」

「うぃーっす」数人の1年が気だるく応える。



「さて、揃ったか?ってこれだけかよ、オイ」西田が頭を抱える。この人は、吹奏楽部の部長で西田隆志先輩。

「先が思いやられるわ…。」副部長の吉沢真由がつぶやく。

部活の終わった音楽室に残った1年生は、俺(=愁哉)、響一、純に、唯夏、陽菜、奈那の6人。それに部長の西田、副部長の吉沢を入れた計8人。

「他の1年はどうしたの?」西田が誰ともなく聞く。

「さあ、帰ったんじゃないっすかねえ」と響一。全くもってやる気がなさそうだ。

「まあいいや。んじゃ、お前達を中心にSOAの企画を考えてくれ。他の部員が協力しないようなら、俺から言うから。」と西田。

「いやいや西田先輩、企画っても俺らSOAなんて全く知らないっすよ」反論する俺。

「まあまあ、それは俺達も同じだ。で、こんなモノを手に入れた。」西田がファイルから一枚のDVDを出す。

「何ですか?それ」全員の視線が集まる。

「これはな、8年前のSOAの映像だ。最後のSOAってことだな。俺の姉貴もここの卒業生でな。ちょっと借りてきたんだ。お前らのヒントになると思って。」

「まぁ、イトパンがあれだけしか言わない以上、ヒントもないしね。」と吉沢も頷きながら同意する。

「んで、お前らも演奏ステージの方には出るんだろ?」

全員が頷く。

「そこでだ。俺は今回の演奏では指揮を振らなきゃならん。だから、お前達にあまり協力してやれない。だから・・・」

全員黙って次の言葉を待つ。

「SOAは1年を中心ってことだったが、他学年も入っちゃダメってわけじゃないだろ、んで、吉沢にも協力してもらおうと思う。」

「え?でも吉沢先輩は模擬店の方もあるんじゃないんですか?」陽菜が聞く。

「大丈夫。模擬店は別の2年が中心で、もうすでに企画もほぼ出来てるの。だから、アタシはあんまり関わらなくてもOkだから。とはいっても、アタシも演奏出るし、コンミスも兼任だし、そこまでヒマってわけじゃないから、裏方でしか協力できないけどね。企画本体に関してはアタシは口出ししないから。あ、あと生徒会関係なら、副会長と仲いいから何とかなるわよ。」と吉沢。

「で。」西田は言葉を続ける。

「この企画の責任者を、椿木、お前に任せたい。」言いながら、さっきのDVDを手渡す。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???????!!!!!俺っすか?!」と言いつつ、DVDを受け取ってしまう俺。死亡フラグ立ったぞ、今。

「派手に驚くなよ。お前の他に、椿木って名字いるか?

「いや、いないっす…。」うなだれる俺。ニヤニヤしつつそれを見つめる他の1年たち。

「ま、責任者は椿木だが、全員が役割を持って協力して作り上げてくれ。あ、ちなみに予選は3週間後だぞ。」と言って西田は音楽室を出て行く。

「んじゃ、椿木くん、よろしくねぇ~」ウィンクをして吉沢が西田の後ろに続く。




第2話へつづく。










当blogをご覧の皆様、始めまして(*・ω・)*_ _))ペコリ

御陵衛士(みささぎ えいじ)でございます。


早速ですが、連載を開始いたしました。


「Score of affection ~愛という名の楽譜~」 です。


「Score」は”楽譜”、「affection」は”愛情”という意味です。


本当に公開して大丈夫なのか、色々と不安ですが、もう見切り発車ということで。゚(゚^∀^゚)゚。


まず最初に、登場人物の設定から公開します。以下の画像をご参照ください。

(クリックすると、拡大されます)


気まぐれ小説の館【PN御陵衛士】


補足として・・・。


・主人公たちが通っている高校は「桜花(おうか)高校」と言います。

・公立か私立かは、考えていませんヾ(-ε-o)ォィ

・舞台となる街は「都会からは近いけど、海のあるのどかな田舎町」ってところです。

・街のイメージは、神奈川県の横須賀市、愛知県の東海市、兵庫県の明石市を足して3で割った感じです。



それでは、どうぞご覧ください!