Score of affection ~愛という名の楽譜~ 第3話 | 気まぐれ小説の館【PN@御陵衛士】

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     趣味で小説を書いております。
     当たり前ですが、出版なんぞとても出来るレベルではございません(笑)
      もしお暇でしたら、ちょっと読んでやって頂ければ幸いです。
       どうぞ、よろしくお願いします。

だいぶ間が開いてしまいましたが、第3話です。

今回あたりから、細かい設定と伏線が出始めます。気長にお付き合い下さい。(*・ω・)*_ _))ペコリン


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DVDの再生が始まった―。

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画面に惹きつけられる俺たち。息を飲み、誰も言葉を発することができない。そこに映し出されていたのは、とてつもなく衝撃的で、神秘的な情景だった。多くのクラスや部活の迫真の出し物がそこには映っていた。どれも手作りで、気持ちが込められていた。愛情というテーマに加え、勇気、挑戦、団結など多くのテーマがあった。中でも、命をテーマにした、演劇部の作品は心に直接語りかけてくるような鋭くて、鮮烈。それでいて、心が温まるような内容だった。

そして、30分ほどの再生が終わった。最初に口を開いたのは唯夏だった。

「すごい・・・。何だろう、心を揺さぶられるような感じがする。」

「うん。確かに。でも一体これは何のための出し物なんだろう。」俺はさっきから思っていた疑問を口にする。

「ん?SOA、通称ソアのテーマって知らないのか?お前ら」真志が言う。

Stage of affectionAffectionって愛情だろ?それがテーマじゃないのか?」と響一。

「まぁ、そうなんだけどさ。じゃあ、SOAが始まった理由と無くなった理由。んで、また復活した理由は?」

「いや、知らねぇ。」と俺。

「そか。んじゃ説明すんべ。俺も又聞きの部分もあるから、全て正しいとは思ってないけど。で、Stage of affection。通称SOA(ソア)ってのはな、今から28年前、この学校が出来た2年後から始まった文化祭の出し物だ。メインテーマは『愛情』で、その他、出し物ごとに愛情+何かのテーマを決めて発表する。もちろん構成は自由。例えば吹奏楽部だとしても、演奏とは限らないってわけだ。」

「うん、そこまでは知ってるよ~」と陽菜が暢気な声を出す。

「まあまあ、はるちゃん。本題はここからよ。んでな、このStage of affectionが始まったきっかけってのがさ、28年前ってわけなんだが、その頃の時代ってどんな状態だったか分かる?」

「んー、どんなだろ~。生まれてないからわかんな~い。」と陽菜がまたもや暢気な声で言う。

「まぁねそう答えるのが当たり前か。っつーか、みんな生まれてないけどな。」

「あ・・・。」と唯夏が小さく声に出す。

「お、ユイちゃん、閃いたかい?」と真志が問いかける。

「その、なんて言うか、学校が荒れてたとか?」

「さすがユイちゃん。ま、そんなところかな。で、SOAが始まる1年前、つまり今から29年前だが、この学校である事件が起きるんだよ。知ってるよな、みんな。」全員に向かって真志が問う。

「ああ、知ってるよ。いじめを苦にして、自殺した生徒がいたんだよな。しかも、全校生徒が登校する朝、正面玄関の前に向かって屋上から飛び降りたっつー話しか。しかも、全く関係無い生徒が、その飛び降りの巻き添え食って、2人とも即死したってやつだろ。ひでぇ話だな。」しかめっ面で純が言う。

「そそ。それ。んで、大騒ぎになって、県内はおろか全国区で悪名高くなっちまった桜花高校は、起死回生の策を打ち出した。それが、SOAってことだよ。つまり、愛情があれば、イジメは起こらない。そして、命をしっかり認識すれば、自殺も起こらない。それが、SOAの始まりだ。んで、それ以来、ずーっとSOAが文化祭の名物となり、29年前の汚名を返上する結果となった。んで、だいぶ落ち着いてきたのが最近。8年前を最後にSOAは無くなった。文化祭の代名詞とも言えるSOAをやめるってことは、名実ともに、この学校が元に戻ったって証明になると踏んだんだろうな。ところが、去年、またもや事件は起こる。」

「今度は教師が自殺したってやつだな。生徒指導の難しさから、逃避したってやつだろ。」響一が重苦しい声で言う。

「そうだ。あれだけ愛情だ、命だってのたまってた教師たちは慌てるわな、んで、SOAの復活ってわけよ。でも、SOAは学校のいわば恥の部分だ。だから、書類上の記録には残っていても、映像や録音では一切残さなかった。残っているのは、当時見ていた観客と生徒たち、教師たちの記憶の中だけってことさ。だから、この記録は貴重なんだよ。」

「なるほど。そういうわけか。だから、教師たちも多くを語らないわけか。」俺をはじめ、全員が納得した。

「ん?そう言えば、吹奏楽部の顧問って、イトパンだっけ?」と真志。

「そだよ。あとあべちゃんもね。あ、でもあべちゃんは去年来たって言ってたから、SOAの事は知らないはずだな。」と純。

「えっと、イトパンって、糸川先生だっけ?」と真志。

「そそ。糸川伴蔵。だからイトパン」と俺。

「そうか、わかったぞ。」と、手を打った真志。

「ん?何が」と言う目を向ける俺たち。

「みんな、これ見てくれ。」と資料のような物を取り出す真志。

「これは?」

「こないだ、放送室の整理してたら棚の奥から出て来たんだ。2003年だから、今からちょうど10年前のSOAの企画書だな。ここ見てみろよシュウ。」

「ん?本企画は、全校生徒に愛情と命の大切さを再認識させ、健全な教育を施すための一環として、1985年6月、本校の、糸川教諭により発案された。って、糸川ってイトパン?!」驚く俺。

「いや、年齢的にイトパンの年とは合わないよ。確か、37歳くらいだったはず。イトパンのお父さんとかじゃない?」と奈那。

「だろうな。糸川なんて珍しい名字はそうそういないだろうし。でも、大事なのはそこじゃない。最後のページ見てみ。」と真志。ペラペラと資料をめくる俺。

「1997年度Stage of affection実行委員長、中山・・・俊介だって?!嘘だろ?!シュンスケかよ!?」

「そゆこと。シュウと純とユイちゃんの担任ってわけよ。」

「なるほど、じゃあシュンスケに聞いたら何か教えてくれるかも。」と純が大声で言う。が・・・。

「いや、そりゃ難しいだろ。」と真志がすかさず反論する。

「なんで?」と首をかしげる唯夏。

「これは仮説だが、そもそもSOAってのは、学校の恥の部分だって言ったろ。だから、教師たちは表向きは積極的でも、内面では絶対にやりたくはないはずだ。だから、この企画、つまりSOAそのものを潰したいはずだ。とはいうものの、これまでの生徒たちが、手作りで積み上げてきた実績もあるし、長年の伝統みたいなものも少なからずあるだろう。だから、表立って潰すことは出来ない。結局8年前まで続いてたわけだからな。でも、それが教師たちの誤算だった。恐らく、教師たちは、数回SOAをやらせて、うやむやにする気だったんだろう。それが、当時の生徒たちが相当すごい出来栄えになったもんだから、文句を言えなくなって、恒例行事化した。演劇部なんか、SOAがきっかけで数々の賞を獲り、全国大会にも出場したらしいからな。でも、8年前には、学校も落ち着いてきた。教師たちはここぞとばかりにSOAを中止した。それが、去年の自殺騒ぎだよ。この事件がSOAをもう一度復活させた。でもこれはどう見ても不自然だろ。ほぼ全ての教師たちや、恐らく教育委員会とかも含めて、SOAには消極的なはず。それが復活した。つまり、教師たちの中にもごく少数だろうけど、SOAを復活させたいと思っている人がいるってことだよ。ここが突破口になるかもしれん。」ここまで一気にまくしたてた真志が、ふう、と一息つく。

「で、その賛成派の教師ってのは誰なんだ?」と響一。

「鈍いわねぇ、糸川先生と中山先生に決まってるじゃない。」と奈那。

「いや、イトパンはもちろんシュンスケも多くは語らないと思う。」と俺。

「お、シュウ珍しいな、お前が否定的なこと言うのは。で、どうしてそう思う?」と真志。

「恐らく、イトパンはSOAには反対の立場のはずだ。自分の親父がわざわざ学校の恥の部分をあえて外部に晒すような企画を出したんだ。今、親父さんはいないから、他の教師どもから相当バッシングされているはず。だから、それをおいそれと受け入れるとは思えない。もし、復活に賛成でもしようものなら、他の教師どもからこう言われるだろう。『親子二代で学校の恥を外部に晒す気か』ってな。同じ理由で、シュンスケも内面はともかく、積極的に関わるのは避けるはずだ。」と愁哉も一気に話す。

「なるほど、その可能性はあるかもね。」と唯夏。

「でぇ、結局これからどうするの~?」と陽菜が相変わらず暢気な声を出す。

「まぁ、とにかくだ。予選にはまだ時間がある。とにかく情報だ。出来るだけ情報を集めないと、俺たちは足元を掬われる。」

「ってか、オイ。もう20時過ぎたぞ?!」と純。

「うそー!?」と全員がハモる。ま、吹奏楽部ですからね。

「やべぇ、マジで帰らねぇと。」慌てる純。

「んと、・・・イチ、ニ、サン・・・、7人か、じゃ、久々に奥の手使うか。」と携帯を取り出して、どこかへ電話する俺。

「・・・・・・・・・、あー、もしもし姉ちゃん。今どこ?」

『今仕事場。今から帰るとこ。どした?』

「あ、悪い、部活で遅くなっちまったんだよ。クルマだったら、ガッコに寄ってくれねぇか?女子もいるから危ねぇし。」

『おっけー。15分くらいで着くと思うけど、正門でいい?』

「うん、頼むわ。・・・みんな、姉ちゃん来るけど乗るヤツいるか?とりあえず唯夏とイチは乗ってくよな?」

「おお、わりぃな、シュウ。」「ありがとシュウちゃん。」

「おっけー、あとは?」

「アタシと陽菜もいい?」と奈那。

「おう、ワゴンだからもっと乗れるぞ。他は?」

「俺と純はチャリだからいいよ。」

「いいのか?チャリも積めるぞ?」

「お、マジか。じゃ、俺頼んでいいか?」と真志。

「おっけー、純は?」

「あ、俺はいいや。すぐそこだし。」と純。

「わかった、じゃ正門まで移動すっか。」

「俺らチャリ出してから行くわ。」と真志。

「おっけ。じゃあ正門で合流な。」

俺たちは放送室を出て、それぞれに別れた。



次回、桜花高校で過去に起きた、衝撃の事件が明らかに! 第4話へつづく。