Score of affection ~愛という名の楽譜~ 第4話 | 気まぐれ小説の館【PN@御陵衛士】

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     趣味で小説を書いております。
     当たり前ですが、出版なんぞとても出来るレベルではございません(笑)
      もしお暇でしたら、ちょっと読んでやって頂ければ幸いです。
       どうぞ、よろしくお願いします。

相変わらず、更新が遅いですが、第4話です。


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で、正門前。真志たちも合流して、迎え待ちをする6人。各々自宅に電話している。

「ママ、遅くなってごめ~ん。シュウのお姉ちゃんが送ってくれるから、これから帰るよ。うん。わかった。お礼言っとく」と陽菜。

「マミー、愛しのナナちゃんですよー。って、そんな大きい声出さないでよ~。わかってるって。今から帰るよ。え?ああ、シュウのお姉さんが送ってくれるって。ちょ、ゴハン抜きとかマジ無理だからー。ゴメンってばー。」奈那はひたすら謝っている。

「相変わらず、ナナっちの母ちゃん、激しいなぁ」と響一。

「マジ頭くるわ~、声デカいっつーの。てか、ゴハン抜きとかマジ有り得んて。育ち盛りだぞアタしゃ」ブツクサ+言う奈那。

「あれ?イチくん電話しないの~?」と陽菜。

「ああ、俺は大丈夫。母ちゃんは気にしてねぇから。メシ食うかどうかだけメールしとけばOKよん。」

「えー、いいな~。うちのママ怒らないけど、メールじゃなくて絶対電話しろってうるさいんだもーん。」と陽菜。

「まぁ、女の子だからだろ。心配なんじゃね?姉ちゃんが高校生の時、うちもすごかったしな。ほぼ毎日、オフクロvs姉ちゃんで大ゲンカしててよ。」と俺。

「あ、でもシュウの家って今、お姉ちゃんと2人だけなんでしょ?」と陽菜。

「そうそう。オフクロはあれでも一応ピアニストだからな。海外が拠点だし。んで、オヤジはオフクロのマネージャーだし。滅多に帰って来ねぇよ。姉ちゃんが社会人になるまでは休業してたんだけどな、最近またやり始めてよ。お陰で羽伸ばせるし。基本姉ちゃんはガミガミ言わねぇからさ。」

「あれ?でもシュウってピアニストになるんじゃなかったの?」と奈那。

「あー、今は吹奏楽部だしな。トロンボーンの方が性に合ってるんだよ。俺はオフクロや姉ちゃんみたいに才能ねぇし、レッスンとか結構メンドくさいんだよ、先生のところも遠いし。」

「そうなの?でも中1の時、合唱コンクールで伴奏の子が休んじゃった時、代理で弾いてたじゃん。しかも当日にさ。」と奈那。

「ありゃ、知ってる曲だったからだ。別に初見だったわけじゃねぇし。」

「あとさ、ほら、中2になってすぐの演劇部と合同でやったミュージカル舞台の時。あの時もピアノ弾いてたじゃん。」と奈那。

「そういや、シュウあれ以来ピアノ弾いてねぇよな?」と響一。

「まぁ、それはそれだ。機会がなかったってことよ。ハイ、この話終わり。お、姉ちゃんの到着だな。」

白いワゴン車のライトが俺たちを照らす。

「ヤッホー、シュウー。迎えに来たわよー。みんなも乗って~。ってか、桜花めっちゃ懐かしいわぁ。」

「おー、姉ちゃんサンキューな。そういや、高校に迎えにきてもらうの初めてだっけ。」

「そうだよ、中学の時は何回か行ったけどねぇ。マジで懐かしいわぁ、変わんないなぁここも。」

「ってか、真志、チャリ積めよ。」

「おお、すいませーん優希さん。相変わらず美人っすねー。」

「あらぁ、真志くん、お口が上手になったわねぇ~。」と姉ちゃん。

「いやいや、ホントの事っすよ~、優希さーん。」

「またまたぁ、おだてても何も出ないわよ~。あ、後ろのドア開けたよ~。」ガチャンと音がしてドアが開く。そして、姉ちゃんは唯夏を見つけるや駆け寄り、「あれれ、唯夏ちゃん?!久しぶり~!!桜花に入ったんだ~。」

「わぁ~、優希お姉ちゃんだ~。こんばんは~。」珍しく唯夏がニコニコして話している。

「唯夏ちゃんも高校生かぁ、アタシも年取るわけだ。もう、かわいくなっちゃって~。どう?モテるんじゃない?彼氏出来たぁ?」

ニヤニヤしながら俺をチラ見する姉ちゃん。バカ姉貴め。俺は、気付かないフリをしながら、耳はダンボになる。

「そんなことないですって~。彼氏なんかいないですよぉ~。」心の中でガッツポーズする俺。しかし・・・、次の瞬間、小声で話す唯夏の声が聞こえ、愕然とする俺。

「(ヒソヒソ)でも、最近ちょっと気になる人がいて・・・、今度お姉ちゃん相談に乗って下さい。」

(ボソボソ)あらら、唯夏ちゃんもお年頃ねぇ。そういうことなら、優希お姉様に任せなさい。いつでも相談乗るわよ。」

「(ヒソヒソ)わあ、お姉ちゃんありがとうございますぅ~。」

2人とも小声で話してるが俺には丸聞こえだ。頭を抱えて座り込みたい衝動をなんとか抑え、平気な顔して助手席に乗る俺。

奈那と陽菜が苦笑いしながら、俺と唯夏を見比べている。その時、バタンと音がして、後ろのドアが閉まった。準備完了だ。

「んじゃ、お願いしまーす。」と言いながらみんなで乗り込む。

「じゃ、俺帰るな~」と純。

「おお、またな、純」と俺。

「純明日―。」「バイバーイ」

颯爽と走っていく純を見送り、俺たちも出発した。助手席で揺られながら、唯夏の事が気になって仕方ない俺。そっとバックミラーで唯夏の顔を覗くと、目が合ってしまった。その瞬間、フワっと笑顔になる唯夏。慌てて目を逸らす俺。ああ、この笑顔が好きなんだよなぁ・・・、なんて思いながら、今日のことを振り返る。と、不意に姉ちゃんが話しかけてくる。

「そう言えば、SOAがまた復活するらしいわね。」

「あ、ああ、って姉ちゃんSOA知ってんのか?」

「うん、アタシが1年の時で終わっちゃったけどね。」

「そうか、ちょうど8年前の一時消滅の時か。」

「そうそう、アタシが2年になった時、SOAをやるかやらないかで学校中大論争になったのよ。んで、先生と生徒で激論になってねぇ。懐かしいわぁ。」

「姉ちゃん、詳しく教えてくれよ。その時のこと。俺たち、今年のSOAの企画やるんだ。な、みんな。」

「うんうん、教えてください、お姉さん」と奈那。

「アタシも知りたい~」と陽菜。

「う~ん、どうしよっかな~。いろいろと黒い歴史もあるからなぁ・・・。」

「そりゃ、知らなかった。でもさ、今日部長が8年前のSOAのDVD貸してくれて見たんだよ。」と俺。

「えぇ?!8年前って、最後のSOA?!それ、見たのね?!」

「え、あ、ああ見たよ。部長のお姉さんから借りて来たらしい。それが?」

「ねえ、シュウ。部長さんって何て言う人?」

「え?西田さん。西田隆志って言うんだけど。」

「やっぱり。西田さんのお姉さんって人は、アタシの先輩。演劇部の。その作品、テーマは命だったでしょ?」

「うんうん。命だった。って、姉ちゃん演劇部だったのかよ?!あれ、でも姉ちゃん出てたのか?」

「いや、アタシはまだ1年だったから、照明の係。まぁ、2年の時辞めちゃったけど。まぁ、そういうことなら教えてあげよう。ただし、みんなだけの中で留めておいてよ?いいわね?」

「わかった」「ハーイ」「了解っす」と口々にみんなが返事をする。

「わかった。じゃあ、ちょっとだけ回り道するわよ。」

「ラジャー」

「あれは、2年の6月くらいだったかな。今年のSOAをどうするか、って言う話になってね。先生たちは、とうにかして中止させようとしてたんだけど、生徒達が猛反対したの。特に演劇部がね。アタシも演劇部だったし、SOAの演目で全国狙ってたから。でも、ちょうど私が1年から2年になる時、糸川先生が定年退職して、って今居るイトパンじゃなくて、お父さんの方ね。知ってる?イトパン父。」

「詳しくは知らない。どんな人だったの?」と俺。

「うん。糸川先生、イトパン父はね、演劇部とSOAを創設した人で、ずっと顧問をしてたのよ。」

「えー、吹奏楽部じゃなかったんだぁ~。」と陽菜。

「そうそう。その頃の吹奏楽部は、中山先生だっけ?アンタの担任の。その人が顧問だったの。当時イトパンは桜花に居なかったから。」

「うへぇ、シュンスケが吹奏楽部の顧問だったのかよ。でもよ、イトパンって桜花にずっと前から居たんじゃないのか?」

「うん。正確にはアタシが桜花に入る2年前くらいに一度桜花に来たらしいんだけどね、その年一杯で、何て言うか、飛ばされちゃったのよ、桜花から。」

「えー、初耳!」と奈那。

「まぁ、イトパン父がSOAを作った人だし、イトパンも最初から危険視されてたっぽいのよ。で、その時ね、ある事件が起こったの。ちょうど今から10年前よ。」

「10年前?なんだそれ。去年のと、28年前のは知ってるけど。」

「それは私も知ってる。でも、この時の事件は表には出なかったのよ。教育委員会とかが全力で情報操作したから。」

「え~っと、その事件って、もしかしてなんですけど、桜花の若い先生と、女子生徒が付き合ってて、その生徒が妊娠してとかってヤツですか?」突然、陽菜が口を開いた。

「えぇ?!はるちゃん、どこでそれ聞いたの?!」姉ちゃんがびっくりして聞き返す。

「んと、アタシのお母さんが昔高校の先生やってて、1年だけ臨時で桜花に来てたことがあるんですよ。それで・・・。」

「えぇー、そうなの?!」奈那も驚く。

「あれ、でも坂口先生って言う先生はいなかったと思うんだけどなぁ。」と姉ちゃんが不思議がる。

「えっと、お母さんの教員免許が結婚する前のものだったとかで、旧姓の松村を名乗ってたんです。」

「えーっ?!松村先生って、数学の松村陽代先生?!」

「ハイ、そうです。」

「マジかぁ、めっちゃ習ってたわよ、アタシ。そっかぁ、陽菜ちゃんの陽の字は、先生から取ったのねぇ。」

「うわ、世間狭っ」と響一。

「んで、話し戻すけど、その事件ってのがさ、妊娠騒動だけじゃなくて続きがあるのよ。知ってる?はるちゃん。」

「いえ、アタシが知ってるのはこれだけです。」

「そっか。で、続きってのは、妊娠した子の父親が学校に乗り込んで来て、娘の彼氏を刺し殺そうとしたのよ。」

「ええーっ?!それめっちゃ大事件じゃねーか。」と俺。

「うん。でもね、その時にその若い先生を庇って刺された先生が居たの。それが、イトパンなのよ。」

「うへぇ、マジかよ。」と俺も驚きを隠せない。

「うん。幸いケガは大事には至らなくて、イトパン自身も短期の入院で済んだらしいの。でね、イトパンは絶対に警察には言わない。その代わりにその若い先生の教師生命の保証と、生徒との結婚を認めてやってくれって、お父さんに懇願したんだって。それには、校長はじめ、先生方も納得したんだけど、教育委員会が異議を唱えて、その若い先生の教員免許を剥奪する暴挙に出たのよ。で、その若い先生は、生徒と結婚したんだけど、教壇を去ったの。まぁ、本人もそれは仕方がないって納得してたらしいんだけど、イトパンとイトパン父が全く納得しなくて、イトパンは病み上がりで教育委員会に殴り込みに行くし、イトパン父は、その年のSOAで命をテーマにして演劇を上演したの。それが、ほぼ事件と同じ内容で、あまりに過激すぎてクレームが殺到したのよ。しかも、極めつけにさ『この物語は事実を基にしたフィクションです。』なんてテロップまで出しちゃったもんだから、もう大変。校長やら教育委員会やらが必死で情報操作したわけ。きっとイトパン父の精一杯の抗議だったんだろうね。」

「で、その後のイトバン親子はどうなったんすか?」響一も問いかける。

「うん。イトパンの方は、何も悪くないのに教育委員会に殴りこみかけたってことで、その年一杯で僻地の学校に飛ばされて、イトパン父は、教諭から非常勤に降格よ。ま、あと2年で定年だったから、転任は免れてそのまま桜花に残ったけど。ベテラン教師なのに、非常勤だから週に2、3日しか来なくなったわよ。」

「何だそりゃ。親父さんはともかく、イトパンは何も悪くねぇじゃん。」珍しく響一がイラついている。

「へぇ、イトパンって何か、おっとりしてるイメージだけど、そんな熱血だったとはねぇ。」奈那も意外そうに言う。

「んでね、アタシが2年の時に戻るけど、SOAをやるかやらないか、ってモメた時ね。先生vs生徒で激論を交わした時、ほら、シュウの担任、中山先生だっけ?が、こんな提案をしたのよ。『SOAを中止にする代わりに、糸川先生を桜花に戻せ』ってね。あ、もちろん、イトパン父はもう退職してるから、息子の方ね。アタシ中山先生とは面識ないから、当時は何だこの人って思ってたのよ。しかも、全国狙ってたSOAを中止にするとか、フザケんなって思っててさ。んだけど、中山先生ってさ、自分の方が教師歴長いのに、すごくイトパンを尊敬してて、『今の桜花には、父上の意志を継いだ糸川先生が必要だ』って、一歩も譲らなかった。生徒たちも、イトパンやイトバン父を知ってる世代は大賛成で、結局その年の2学期から、イトパンが戻ってきたの。異例中の異例よ。9月に戻ってくるなんて。でも、イトパンは演劇部の顧問にはしてもらえなかったの。危険すぎるって。でも、イトパン父の意志は、中山先生にも受け継がれてて、ならばってことで、中山先生が演劇部の顧問になって、代わりにイトパンが吹奏楽部の顧問になったわけよ。でも、イトパン父は定年退職した1年ちょっと後、アタシが3年の時に、病気で突然亡くなられたの。お葬式に行ったわ、アタシも。これは又聞きだけど、最期に『やり残したことばかりだ・・・。』って言って息を引き取ったそうよ。アタシ、それ聞いて涙が止まらなかった。んで、アタシはイトパンが顧問じゃなきゃ全国は狙えないし、そもそもSOAがなくなっちゃったから、結局演劇部を辞めちゃったの。」

「なるほどなぁ、SOAは桜花の黒い歴史そのものってわけか。」さすがの俺もしんみりとつぶやいた。

「まぁ、演劇部は、SOAの上演がきっかけでいろいろ賞を獲ったり、全国大会に出たりして、いい面もあったんだけどね。」話が一段落したちょうどその時、奈那と陽菜のマンションに着いた。


次回、それぞれの想いを乗せて、ワゴンは走る! 第5話へつづく。