第2話です。
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「まいったなぁ、これ。どうするよ?」とつぶやく俺。
「確かにな。やれと言われたはいいけど、どこから手をつけるか」と言ったのは市場純(いちば じゅん)。オーボエを吹いている。コイツとは中学からの付き合いで、まぁ悪友。といっても、穏やかな性格だから、ヤンチャするほどではなく、ちょっとしたいたずら心がある程度。でも、けっこう頭は良い方だと思う。まぁ、俺たちのムードメーカーってところかな。ちなみに、コイツは陽菜に惚れてるとか。まぁ、当の陽菜は天然の上、鈍感なので全く気付いてないみたいだが。時々、脳内の妄想が激しく暴走して、突拍子もないことを言うが、俺たちはもう慣れたから、フルシカトね。
「とりあえず、もらったDVD見てみるのが早いんじゃない?」と言ったのは藤咲唯夏(ふじさき ゆいか)。フルートを吹いてる。みんなからはユイとかユイちゃんとか呼ばれてる。ちなみに俺は付き合いが長いから「唯夏」って呼び捨て。こいつは俺の幼馴染で、小・中学校だけは、大学まである私立の女子校へ行ったため、俺たちとはしばらく別々だったが、何故か付属の高校へは進まずに、俺達と同じ桜花(おうか)高校を受験し、再会した。その辺の理由はよく分からん。唯夏本人に聞いてくれ。
ん?、今唯夏がこっち向いて首をかしげた気がしたが気のせいか?
まぁ、おっとりしたヤツだがなかなか頭がキレる。ズバっと一言筋の通ったことを言うから、説得力があって、納得してしまう。ちなみに結構天然だが、それがけっこうカワイイ。俺は密かにコイツが好きだったりする。まだ告白には至ってないけど。しかしまぁ、コイツその辺ガード固くて誰が好きなのか全く見当つかねぇ。ま、俺じゃないとは思うけど。まぁ、その話は追々。
「んじゃ、さっそく見ようぜ」と言ったのは松本響一(まつもと きょういち)。トランペットを吹いている。みんなからはイチと呼ばれてる。俺が唯一あだ名で呼ぶのは、コイツだけだ。コイツとは小学校からの付き合いで、まぁ言ってみれば親友とか、戦友というところか。性格も価値観も何もかも俺とは違うけど、何故かウマが合う。中学の頃は2人してヤンチャしてたけど、とりあえず今は更生して(?)マジメにやっている、かな。意見がぶつかることも多いが、不思議とケンカにはならない。昔はしょっちゅうケンカしてたけど。ま、ケンカした分だけ、分かり合えた部分も少なくはない、ってとこか。
「でもさ、どこで見るの?」と言ったのは、舘石奈那(たていし なな)。パーカッション(打楽器)を担当している。周りからは、ナナっちと呼ばれている。コイツは気が強くて結構短気だが、曲がったことは大嫌いな一本気なヤツ。相手が男だろうが、大人だろうが悠然と立ち向かっていくような真っ直ぐな性格だ。小6まで空手を習ってて、女だけどなかなか腕っぷしも強い。ホント女にしとくのは惜しいね。でも、奈那は意外にも響一が好きらしい。見た目も性格もボーイッシュだけど、ちゃんと女の子な部分も持ってる、なかなかイケてるヤツだ。
「そうそう、誰かの家に行くの?」と言ったのは坂口陽菜(さかぐち はるな)。ホルンを吹いている。コイツらとも中学からの付き合いで、はるちゃんと呼ばれている。性格はドが100個付くくらい天然で不思議ちゃん。天然度合いは唯夏の比ではない。でも、笑いを誘うコイツの天然ボケはどことなく憎めない。俺たちの中では、マスコットキャラみたいなヤツ。でも、意外にも、奈那と一緒に空手を習っていて、かなり強いらしい。一度キレると、なかなか止められないというから驚きだ。普段は、天然過ぎるくらいだから、コイツは誰が好きかよくわからん。ちなみにこの2人は同じマンションに住んでいるからか、だいたいいつでも一緒にいる。
んで、俺。椿木愁哉。「つばきき」じゃないぞ、「つばき」だ。「つばきしゅうや」。トロンボーンを吹いている。みんなからはシュウと呼ばれているが、何故か唯夏だけはシュウちゃんと呼ぶ。ちゃん付けすんな、呼び捨てでいいっていつも言ってるんだけど、「だって、シュウちゃんはシュウちゃんなんだもん。」とかわけのわからん理屈を言うので、最近は放置している。女子軍団はともかくとして、俺たちは、というか俺だけだが、運動がまったくダメで、運動には全く縁も興味もない。でも、小さい頃にピアノを習っていたおかげで、音楽は好きだ。だから小・中学校とも吹奏楽部に入った。とはいうものの、今はとある理由でピアノを弾かなくなった。その理由は、内緒だ。
「って、何独り言言ってんだ?シュウ」と響一。
「あ?この世界はいろいろと説明しなきゃいけないのだよ。イチ殿」
「はぁ?わけわかんねぇ。」
脇で唯夏がクスクス笑ってる。
さてさて、戻りますかね。
俺も考え込む。
「そうだなぁ、見るとは言っても・・・、あっ!イチ!」
「ん?なんだ?」
「今日真志まだいるかな?」
「あ?マッシ?なんで?」
「鈍いなぁイチ。アイツ放送部だろ?」
「うん。でそれが?」
「あーもー、放送部の部室でDVD見れるだろが!」
「おぉ、その手があったか。OK電話してみる。」と携帯を取り出してコールする響一。ほどなくして、真志が電話に出た。
「おーマッシ。いい天気だな」ってオイ。めちゃめちゃ雨降ってんじゃねーか!!
ズッこける俺と純。笑いを噛み殺している唯夏。目が点になっている奈那と陽菜。
「オマエはジジイかっつーの。貸せ」響一から携帯を奪い取る俺。
「真志、俺だ愁哉だ。今どこ?」
『ん?まだ放送室。』
「部活は?」
『今日はないんだけど、いろいろやることあってさ。』
「悪い、今からそこでDVD見られないか?」
『えぇ?!AVかや?!マズいがや。でらマズいがや。俺たちまだ16歳だぎゃあよ・・・。もう、シュウちゃんったら。』
「ちょ、おまっ、アホか。あと、DVDは8年前のSOAのだよ。」
『え?!SOA?マジかや!?そんぎゃ貴重なもんどこで手に入れたがや?』
「細かい話はあとだ。それよりそっち行ってもいいか?あと、そのヘタクソな名古屋弁やめろっての。」
『ああ。OKOK待っとるがや。』
「よし、OK。みんな放送室にいくぞ。」
「おー」「おっけー」
「イチ、携帯サンキュー」
「俺の携帯なのに・・・。」
「オマエがアホなこと言ってるからだ。」
「ふふふ。」唯夏が小さく笑う。この笑顔が好きなんだよな、俺。
「おじいちゃんみたい。あはっ」陽菜がトドメの一言。項垂れる響一を純が引きずって放送室へ向かった。
「悪いな、真志。」
「あぁ、構わねぇよ。どうせ俺一人だし。」と答えたのは斉藤真志(さいとう まさし)。マッシと呼ばれている。コイツは小5の時に名古屋から転校してきた。そのせいか興奮すると、ヘタクソな名古屋弁でしゃべる。男のクセにおしゃべりなヤツだが、それでいて、場を和ませたり、疑問を呈したりと、たった一言で場の雰囲気を変えられるという、意外な一面を持っている。突破口が見つからない時、コイツの一言で一気に好転なんてこともよくある。そのしゃべりキャラを生かしたのか、唯一真志だけは吹奏楽部ではなく、放送部に入った。ちなみに、中学までは放送部がなかったので、吹奏楽部でチューバを吹きつつ、放送委員会にも身を置いていた。だから、音楽と音響の両方が分かるという点では頼りになる。キャラはアホだが、頭は良く、芯はなかなかしっかりしている。俺自身も結構相談したりすることもあるくらい。ま、だいたい数秒で解決されちまうんだけど。
「で、例のブツは?」と真志が聞く。
「あぁ、これこれ」俺は、カバンからDVDを取り出して真志に手渡す。
「OK。再生すんぞ。」
さてさて、DVDの中身は?! 第3話へつづく。