今回はエルヴィスがステージで着ていたジャンプスーツについてまとめます。
ジャンプスーツのデザインをしていたビル・ヴィリューが最初にエルヴィスの衣装を手掛けたのは、のちに”68’カムバック・スペシャル”と呼ばれるようになったTV特番です。その後、1969年から1977年まで開催されたショーの衣装のデザインを担当しています。
<1968年>
『68’カムバック・スペシャル』より
黒の革ジャン&パンツが本当に良く似合っていてかっこいいです。
<1969年>
69年のショーではツー・ピースを着用しています。ジャンプスーツへの移行期という感じですね。
Elvis Presley In Concert (elvisconcerts.com)
<1970~1977年>
1970年からいよいよジャンプスーツを着用し始めますが、1977年までの間に時々ツー・ピースも登場しています。
ところで、エルヴィスのジャンプスーツというと白のイメージが強いと思いますが、白以外もありますし、デザインもシンプルなものから豪華な刺繍や宝石を施したものまで、たくさんの種類のスーツがあります。
ここからは、ビル・ヴィリューの証言などを基に、ジャンプスーツのデザインや色などについてまとめます。
ー参考にした記事ー
・Interview with Bill Belew | Elvis Articles
・Remember when Elvis Presley’s white jumpsuits changed how men dressed forever? | CNN
・The Story About Elvis' Jumpsuits & Why He Wore Them (grunge.com)
<衣装がジャンプスーツになった理由>
「(ジャンプスーツは) 衣装デザイナーのヴィリューが制作し、ジーン・ドゥセットが刺繍を施した。ドゥセットは2010年に『ガーディアン』紙に寄せた記事の中で、ヴィリューがこのジャンプスーツのアイディアマンであり、「(エルヴィスが)ステージ上で服が何かに引っかかることを心配せずに動き回れるようにした 」と語っている。
ナポレオンのような高い襟と、エルヴィスの激しい空手やダンスに満ちたパフォーマンスの必要性からインスピレーションを得たジャンプスーツは、瞬く間に彼の定番となった。
エルヴィスが、動きやすいものをリクエストしたという話もあります。
<ジャンプスーツのデザイン、色>
「デザイナーとして大胆になり、エルヴィスに何でも着せることができた。そして、ラックに並んでいるときは特に目を引くようなものでもなかったシンプルな衣装も、エルヴィスが着ると華やかなものに変わる。彼はそれほど美しく、力強い存在だった」
ヴィリューによると、エルヴィスのジャンプスーツの多くは、ステージの照明がエルヴィスのステージを真にとらえられるように白だった。しかし、彼らは赤、黒、青などいくつかの色を実験的に使った。
デザイナーが白を多く選んでいたことは分かりましたが、『Elvis: From Zoot Suits to Jumpsuits』の著者Zoey Gotoによると、エルヴィス自身が白を好んでいたと語っています。
エルヴィスが白を使い続けたのは、メンフィスのブルース・ミュージシャンを見て学んだ 「ショービズ戦術 」だと説明した。
メンフィスのブルース・ミュージシャンが、落ち着いた色合いのバック・ヴォーカリストの中で白い服を着ているのを見て学んだのだ。
白といっても、真っ白だと照明が当たるとエルヴィスの顔がよく見えなくなってしまうことから、オフ・ホワイトにしたようです。以前チェイン・スーツの投稿にアップした動画で、実際の色がオフ・ホワイトであることを確認できます。
<襟について>
私(ヴィリュー)はずっとナポレオンの大ファンだった。ナポレオンの襟はエルヴィスの顔を縁取ることができる。女性の服をデザインする時は、顔に注意を向けるようにする。襟を立てれば、人々は彼の顔に注目するだろうし、顔を縁取ることができる。
確かに、高い襟はエルヴィスの顔立ちを際立たせているように思います。
襟については、牧師の服に似ているという説も聞いたことがありましたが、ナポレオンなのですね。それから、エルヴィスが子どものころ好きだった『キャプテン・マーヴェルJr.』からジャンプスーツ(ケープ付き)の着想を得たのではという話もあったりしますが、デザイナーの証言からは出てきていませんね。違ったとしても、エルヴィスの子どもの頃のヒーローとリンクしていると考えるのは夢がありますね。
映画『エルヴィス』(2022年)でも、キャプテン・マーヴェルJr.のエピソードが出てきています。
<エルヴィスのお気に入りのジャンプスーツ>
今回の投稿の参考にした記事の中で、エルヴィスが気に入っていたジャンプスーツの名前がいくつか挙がっていたので、ご紹介します。
☆アロハ・イーグル(別名 アメリカン・イーグル)
1973年のハワイ公演『アロハ・フロム・ハワイ』で着用したことで有名です。このスーツは1974年のショーでも着ています。
過去の投稿:『アロハ・フロム・ハワイ』
☆チャイニーズ・ドラゴン
チャイニーズ・ドラゴンについては、過去の投稿エルヴィスとレッド・ツェッペリン⑥ エルヴィスとジミー・ペイジの衣装で話題に出ています。
☆ピーコック(孔雀)
1974-17 (elvis-collectors.com)
ところで、ピーコックといえば、グレイスランドのステンドグラスのデザインに使われているのが印象的です。当時のガールフレンドのリンダ・トンプソンがデザインしたようですが、エルヴィスは孔雀が好きなのでしょうか?
最後に。。。68年カムバック・スペシャルから1977年までの衣装をまとめた動画を貼ります。みなさんは、どのジャンプスーツがお好きですか?今後、追々ジャンプスーツを取り上げていきたいと思います。
<追加情報 6/9/2024>
エルヴィスと孔雀について、倖さんから情報を頂きました。ありがとうございます!
エルヴィスはカムバックスペシャル放送の大成功に気分を良くして、放送したMBCの会社のシンボルの孔雀を、ハッピーアイテムとして生きた孔雀も飼いました
とのことで、詳細はコメント欄をご覧くださいませ。
こちらの記事↓にも、カムバック・スペシャルのエピソードが書かれていました。
用意した衣装は9000着以上! 映画『エルヴィス』の衣装デザイナー、キャサリン・マーティンに訊く制作秘話 | GQ JAPAN