日本文化、世界の歴史・健康・ミライにチャレンジ -11ページ目

静かなる叡智──ネイティブ・アメリカンと日本人の「心のかたち」とエコデザインの未来


この記事は、2025年春のプレミアム・インセンティブショーで開催されたエコデザインに関するセミナーに参加し、

その講演で語られた内容や、そこから得た気づきをきっかけに執筆したものです。



皆様こんにちはいかがお過ごしでしょうか。今日はエコデザインについて深掘りしようと思います。


大量生産・大量消費の時代が終わりを迎えつつある今、私たちは「より良く生きるとはどういうことか」「地球と共に生きるとはどういうことか」を、改めて見直す時期に来ています。

その問いに対するヒントは、最先端の技術の中ではなく、太古から自然と寄り添いながら暮らしてきた人々の知恵の中に隠れているのかもしれません。

今回はその一例として、アメリカ大陸の先住民族であるネイティブ・アメリカンと、日本列島に根ざす日本人の精神文化を取り上げてみました。

一見、まったく異なる歴史や風土を持つように思える両者ですが、自然との向き合い方や、命や死に対する感覚、人と人との距離感といった「心のかたち」には、多くの共通点が見られます。

そしてその中に、現代に求められている持続可能な生き方=エコデザインの核心が潜んでいるのです。




■ 共通点:自然との共生、目に見えないものへの敬意

ネイティブ・アメリカンにとって、大地や川、風や動物はすべて「スピリット(精霊)」を持った存在であり、人間もその一部に過ぎません。自然と自分を分けるという考え方はなく、調和の中に生きています。

一方、日本人の伝統的な精神文化にも「八百万の神(やおよろずのかみ)」という考え方があり、山・森・石・水といったあらゆる自然物に神が宿るとされてきました。

また、両者に共通しているのが、「沈黙」や「気配」といった目に見えないものを感じ取る力を重視する文化です。これは言葉以上に心のつながりや空間の静けさを尊ぶ価値観として表れています。




■ 違い:精神の表現方法と社会構造

ネイティブ・アメリカンの文化は、語り継ぎ(オーラル・トラディション)によって知恵を伝えてきました。歌や儀式、物語によって精神性を共有する文化です。

一方、日本では、書や建築、衣装や型(かた)といった“形”に精神性を込める傾向があり、静的で象徴的な表現を好む文化が形成されてきました。

また、ネイティブ・アメリカンの共同体は水平的で、対話による合意形成が重要とされてきましたが、日本社会は和と秩序を重んじる階層構造の中で成り立っています。この違いは、リーダーシップのあり方や、社会のまとまり方にも影響を与えています。




■ 死と再生へのまなざし

どちらの文化においても、死は終わりではなく、自然や祖先とのつながりの一部として受け止められています。

ネイティブ・アメリカンは、魂が自然界へと還り、再び大地をめぐると信じています。

日本では、死者は「仏」や「祖霊」となり、家の中で今も共に生きている存在として祀られています。

この「循環するいのち」の感覚は、どちらの文化にも共通する、時間の流れの捉え方にも通じているのです。




そして今、私たちが手にすべき「エコデザイン」

こうした文化の中に脈々と流れる「自然と共にある」という精神は、現代のエコデザイン(環境配慮型デザイン)の根底と深く重なります。

エコデザインとは、単に環境に優しいモノづくりをすることではなく、自然と調和し、資源を循環させ、未来を見据えた暮らしをデザインすることです。

素材選びから生産方法、廃棄や再利用のプロセスまで、すべてを“つながり”の中で考える視点が求められています。

これは、自然を単なる「資源」としてではなく、「対話すべき存在」と見なすネイティブ・アメリカンや日本人の感性と、まさに通じ合うものです。




静かなる知恵 × 未来志向の創造力

エコデザインとは、古くて新しい原点へのまなざしです。

私たちが失いつつある「自然との関係性」「感覚としての調和」「目に見えない価値」を、もう一度デザインに取り戻すこと。

それは単なる流行やマーケティングではなく、未来の命に責任を持つという、創造者としての在り方そのものです。

精神性と機能性、伝統と革新。

その両輪が重なったところに、本当に持続可能な未来が拓けていくのではないでしょうか。

いま、私たちが向かうべき未来とは、「新しい発明」ではなく、

自然と共にあるという“人間らしさ”への回帰なのかもしれません。




以上が、講演の内容をきっかけに広がった私自身の思考と気づきのまとめです。

これを読んでくださった方が、自然や暮らし、デザインとの向き合い方を少しでも見つめ直すきっかけになれば幸いです。



“奪う女帝”と“選ばれる女王”に学ぶ、現代女性の戦略思考



武則天とエリザベス1世の生き方から未来を切り拓くヒント ―




皆様こんにちは♪

今、世界はトランプ政権による激動の中にあります。

強烈なパフォーマンスと圧倒的な存在感で世界を動かす姿を見て、ふと感じました。

「一人のリーダーが時代を変えることがある」――と。

そこから自然と、歴史を動かした“女性リーダーたち”の姿が心に浮かびました。



特に注目したのが、異なる時代・文化でありながらも絶対的な存在感を放ったこのふたり。

  • 中国初で唯一の女帝・武則天

  • イギリスの黄金時代を築いた女王・エリザベス1世

今回は、彼女たちの生き方と戦略を通して、現代を生きる私たちが学べることをお届けします。




「女帝」と「女王」――ふたりの物語はこうして始まった

歴史の舞台に現れた、まったく異なる2人の女性リーダー。

東洋の武則天、西洋のエリザベス1世。

彼女たちは、厳しい時代と社会の中で、しなやかに、そしてたくましく頂点を極めました。




■ 武則天 ― 静かに、しかし大胆に「皇帝」へと昇りつめた女

唐の時代、名門でも王族でもなかった一人の女性が、14歳で後宮に入りました。

彼女の名は武則天。

最初は目立たぬ存在でしたが、観察力と知性を武器に、少しずつ政治の舞台に上がっていきます。

皇帝・高宗の寵愛を得ると、政務にも介入し、やがては政敵を粛清。

ついには、前代未聞の「女性皇帝」として自ら即位します。

約30年かけて築いたその地位は、並大抵の覚悟では実現できないものでした。




■ エリザベス1世 ― 宿命を逆手に取った“知将”

一方、イギリスで生まれたエリザベス1世は、王の娘でありながら波乱の運命に晒されます。

母アン・ブーリンの処刑により王女の身分を奪われ、命の危機にも何度も直面しました。

しかし、彼女は知性と沈黙で生き残り、ついには女王として即位。

「私は国家と結婚します」と宣言し、結婚という政治ツールを使わずして権力を維持したその姿は、まさに策略の女王。

外交、宗教、国内統治を巧みに操り、イギリスの黄金時代を築きました。




■ 二人の戦略の違い ―「奪った皇帝」と「選ばれた女王」

このふたりの最大の違いは、権力をどう手に入れたかという点です。

  • 武則天は、制度そのものを変え、前例を破って“皇帝”の座を奪い取りました。

      男の名を名乗り、女性という壁を壊しながら前進した「改革者型」の戦略です。

  • エリザベス1世は、王家の血統という“制度”の中で、知性とブランディングで力を高めた「内省型」の戦略です。

      結婚せずに「処女王」として神格化し、政治と感情を巧みに切り分けて国家を動かしました。




■ 武則天に学ぶ:「壁は壊して進む」戦略

  1. 自分の価値を見極め、恐れず主張する

      → 実績やスキルは数字や成果で語り、自信を持ってプレゼンを。

  2. 組織を変える覚悟と行動

      → 職場改革、女性ネットワーク構築、あるいは起業という選択も有効。




■ エリザベス1世に学ぶ:「制度を利用し、美しく勝つ」戦略

  1. 立ち位置を理解し、感情より戦略で動く

      → SNSや会議での発言も計算し、「沈黙」さえ武器に。

  2. 自分らしさをブランドにする

      → 年齢や性別にとらわれず、美学と信念を発信することで唯一無二に。




■ 現代女性へのメッセージ

  • 武則天のように、**「道がなければ、自分で切り拓く強さ」**を持ち、

  • エリザベス1世のように、**「自分という存在をブランドに昇華させる賢さ」**を磨くこと。

このふたりの人生は、

家庭でも仕事でも、どんなフィールドでも――

しなやかに、美しく、自分らしく生きるための羅針盤となるはずです。


装いは、心を伝える静かな言葉— 有職文様に込められた日本の美意識 —



皆さまこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

春から初夏へと季節が移り変わるこの時期、着物のコーディネートに迷われる方も多いかもしれません。

最近は気温も高くなってきて、袷(あわせ)の着物では少し暑く感じることもありますね。そんなときは、軽やかな単衣(ひとえ)を選ぶ方も増えてきました。

とはいえ、どんな着物を選ぶかは、気温だけで決められるものではありません。

特にフォーマルな場や格式ある会では、主催者の想いや会の雰囲気に合った装いを選ぶことが、大人のたしなみとされています。




着物は「心をまとう」もの

着物は、ただ身にまとうだけのものではありません。

一枚の着物や帯には、その人の気持ちや美意識が込められているのです。

特別な会にふさわしい着物を選ぶことは、主催者への敬意を形にすることでもあります。

それは言葉ではなく、色や模様で想いを伝える「静かなコミュニケーション」。

「装いと文様は、相手への思いやりを映す礼儀である」

この感覚こそが、古くから日本で大切にされてきた美意識なのです。




有職文様(ゆうそくもんよう)ってなに?

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「有職文様」とは、平安時代から宮中で使われてきた由緒ある模様のこと。

昔の貴族や皇族が装束や道具に使っていた文様で、今でもフォーマルな着物に取り入れられています。

たとえば、

  • 鳳凰(ほうおう)…平和や高貴さの象徴

  • 桐(きり)…格式ある家紋にも使われる、日本の伝統的な文様

  • 宝相華(ほうそうげ)…仏教由来の理想の花、浄化と調和を意味

  • 七宝(しっぽう)…縁や人のつながりを表す円満な模様

  • 青海波(せいがいは)…広がる波のように、穏やかで永続する幸福を表す

といったように、どれも美しさと深い意味を持っています。




皇室の装いに学ぶ「文様の意味」

有職文様の魅力は、今も大切にされています。

たとえば、皇室の方々が国賓を迎える宮中晩餐会では、皇后陛下や女官たちが、それぞれの立場や場にふさわしい文様を選んで着物をお召しになります。

2019年の宮中晩餐会では、皇后陛下が桐と鳳凰をあしらった金糸の着物で賓客をお迎えになりました。

その文様には、「平和を願う心」や「おもてなしの気持ち」が込められていたのです。



会の趣にふさわしい文様選び ― 美しさに意味を添えて

着物の文様は、ただ美しいだけではなく、その場の雰囲気や目的に応じた意味を持つ選び方があります。

ここでは、代表的な会のテーマに合わせておすすめの文様と、それぞれが象徴する意味をご紹介いたします。




◉ 平和や友好をテーマとする集いには

鳳凰(ほうおう)、桐(きり)、宝相華(ほうそうげ) などの文様がおすすめです。

これらは、高貴さや調和、心の浄化を表すとされ、相手を敬い、穏やかな関係を築きたい場にふさわしい意匠です。




◉ 祝賀や繁栄を祝う場には

七宝(しっぽう)、立涌(たてわく)、唐草(からくさ) などの縁起の良い文様がよく用いられます。

円満な人間関係や発展、長寿への願いが込められ、慶びの場をより華やかに彩ってくれるでしょう。




◉ 静けさや精神性を重んじる場には

青海波(せいがいは)、亀甲(きっこう)、雲文(くももん) といった落ち着きのある文様が好まれます。

これらの文様は、永続する幸せ、知性、静寂といった内面的な美しさを象徴しています。




◉ 四季や自然を感じさせる場には

花菱(はなびし)、松竹梅(しょうちくばい)、流水(りゅうすい) など、自然の美を表す文様が映えます。

それぞれが季節の移ろいと生命力を讃えるもので、場に彩りと風情を添えてくれます。




文様を選ぶということは、その場に調和し、心を通わせるためのひとつの方法です。

意味を知って纏うことで、着物はさらに奥行きのある表現となり、装う人の品格や想いをより美しく伝えてくれます。