「住まいは、もう一つの神経系」 | 日本文化、世界の歴史・健康・ミライにチャレンジ

「住まいは、もう一つの神経系」



皆様こんばんは♪いかがお過ごしでしょうか。

ようやくGWも終わり、日常が戻ってきましたね。私は相変わらず通常運転でしたが、体調を崩した息子が一時帰国しており、少しハードな日々でした。

またすぐ旅立ってしまうのでしょうけれど、家に一瞬でも灯が戻るのは、やはり嬉しいものです。



さて、最近また物件を探しています。お庭があり、できれば一戸建て。畑ができたらもっといい。そして何より今の私が求めているのは——

自然が豊かで静か、治安が良く、空き家の少ない、暮らしの温度が感じられる土地です。

実は、こうして新しい場所を探したくなるのは、単に「住環境を変えたい」という理由だけではなく、心理的・環境的な要因がいくつも重なって起こるもの。

人は、節目のタイミングや心が揺らいだときに、「引越ししたい」「別の土地で暮らしたい」という欲求を抱きやすくなります。これは心理学では「環境同調性」と呼ばれ、心の状態と暮らす環境の“ズレ”が大きくなると、私たちは無意識にそれを整えようとするのです。


また、自然環境が乏しい場所やストレスの多い都市空間では、交感神経が常に優位になり、心身ともに疲労しやすくなります。そうなると、「もっと静かで自然のある場所に行きたい」「このままじゃ自分らしく生きられない」と感じるようになるのです。

私自身、そうした変化の渦の中にいるのかもしれません。


そしてふと思いました。物件探しは、人生のパートナー探しに似ていると。


完璧な物件がないように、完璧な人もまた存在しません。

でも、どこかに「ここ、なんだか落ち着くな」と思える場所があり、「この人といると、自分らしくいられる」と感じられる相手がいる。

それは数字やスペックでは測れない、“居心地”という名の確かな感覚。


心理学では、そうした感覚を「安全基地」といいます。人は、外で冒険し、挑戦するために、帰れる場所——つまり心を緩められる“基地”を必要とするのです。


また、神経科学の研究でも、「安心できる環境」にいるとき、私たちの脳はオキシトシンを分泌し、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げます。つまり、「居心地がいい」と感じる場所は、脳と身体が“本当にリラックスできる”科学的な根拠のある空間でもあるのです。


さらに生物学的な視点では、人間は進化の過程で「水」「緑」「広がり」「風通し」のある場所を好んできました。つまり、本能的に私たちは自然のある土地を「安全で生きやすい」と感じるようにできているのです。


だから私は今、ただ便利な物件やきれいな家を探しているのではなく、

「ここなら、深く呼吸できる」

「この土地でなら、もう一度、暮らしを大切にできる」

そんなふうに心がささやく“居場所”を探しているのだと思います。

物件も、人も、最初から100点満点でなくていい。

でも、「ここに根を張ってみたい」「この人とならやっていける」

そう感じられる直感は、何よりも大切にしたい。

結局のところ、私たちが本当に求めているのは——

“居心地の良さ”という、目に見えないけれど最も確かな豊かさ。

それは、家でも、人間関係でも、人生そのものでも、きっと同じなのだと思います。