『ポルターガイスト』
1982年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 トビー・フーパー
脚本 スティーヴン・スピルバーグ/マイケル・グレイス/マーク・ヴィクター
撮影 マシュー・レオネッティ
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 クレイグ・T・ネルソン/ジョベス・ウィリアムズ/ドミニク・ダン/オリバー・ロビンス/ヘザー・オルーク/ベアトリス・ストレイン/ゼルダ・ルビンスタイン/リチャード・ローソン/ジェームズ・カレン/マイケル・マクマナス/ヴァージニア・カイザー
《解説》
この恐怖=次は、あなたの家を襲う!
「この家、何だか変」、面白がっていられるのも最初のうちだけ、突如吹き荒れる嵐、襲い掛かる木、そして幼いキャロル・アンは、異界の入り口に吸い込まれてしまう
ハリウッドのホラー映画は新たな次元に突入した、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグ、そして監督のトビー・フーパーが、絶叫を知り尽くしたスタッフを率いて作り上げたホラーの傑作
《物語》
クエスタ・ベルデという郊外の宅地開発の行われた一区画に住む、不動産会社勤務のスティーヴ・フリーリング一家、妻のダイアンと16歳の長女ダナ、7歳の長男のロビーと5歳の末娘のキャロル・アン
その不思議な出来事はキャロル・アンから始まった、テレビを消し忘れて眠ってしまったスティーヴの横で放送が終了して砂嵐となったテレビ画面にキャロル・アンは話し掛けていたのだ
次の日の真夜中にも放送が終わったテレビはキャロル・アンを呼び出し、テレビ画面の中から手のようなものが現れたと思ったら家が揺れた、震度6くらいの揺れだったが翌朝のテレビやラジオでは何も言っていない
その日から家の中では奇妙な現象が起こり出した、スプーンやフォークは曲がり、片付けた椅子がテーブルの上にあったりとダイアンは驚き、キャロル・アンはテレビの人がやったと
帰宅したスティーヴにダイアンは興奮気味に今日一日実験した結果を見せた、椅子がキッチンの端から端まで滑るように動いたのだ、スティーヴは今見た光景が信じられない
そんなスティーヴをよそに次はキャロル・アンがキッチンを滑った、ダイアンはお腹辺りがムズムズして引っ張られる感じがして真空の中にいるような感覚だと説明
スティーヴとダイアンはこんな不可解で奇妙な事は誰にも相談出来ず、実害が無い事から理解不能な自然現象だと考える事にした
しかしその夜、嵐が訪れ、庭の木がロビーを襲い、家族が助けていると同時にキャロル・アンが怪しい光を出すクローゼットに吸い込まれて姿を消してしまった、彼女の声はテレビの中から聞こえてくる
スティーヴは超心理学の権威であるレシュ博士に助けを求め、科学的な調査を始める一方で、スティーヴの会社の社長より、この住宅地一帯はその昔はインディアンの墓地だった事を聞く
そして手に負えなくなったレシュ博士は遂にタニヤという霊能者を呼ぶのだが…
《感想》
まさか「E.T.」のスティーヴン・スピルバーグと「死霊伝説」のトビー・フーパーが手を組むなんてありえないと思ってました、でもスピルバーグが「E.T.」と同時に監督はアメリカ映画協会のルールで出来ないのでトビー・フーパーに任せたとか、トビー・フーパーの演出に納得出来なかったスピルバーグが結局は撮ってしまったらしいです
トビー・フーパーがインディアンのミイラのシーンで本物のミイラを使おうとしたりとスピルバーグはそれに怒ってトビー・フーパーに代わって監督したようです
確かにトビー・フーパーらしいのグロイ描写はほんの少しで、後はスピルバーグらしい家族愛を前面に押し出した作品となっています。でもおいらはレシュ博士の助手の顔がグチャグチャになるシーンは好きですよ
それにポルターガイストが暴れ出して主人公のスティーヴの妻のダイアンがベッドで寝ていたら壁を転がるように天井に上がってしまうシーンでTシャツが捲れてパンティが見えてしまうシーンはトビー・フーパーっぽいです(笑)
スティーヴを演じるのがクレイグ・T・ネルソンで妻のダイアンを演じるのがジョベス・ウィリアムズ、彼らは続編の「2」にも出演していますが、「3」には出演していません
なぜなら本作の公開直後に長女ダナ役のドミニク・ダンが元恋人に絞殺されてしまいました、22歳でした、「2」では神父役とインディアンの祈禱師役の俳優が死亡、ここでクレイグ・T・ネルソンとジョベス・ウィリアムズが「3」の出演を拒否したんです
そして「3」では遂に次女キャロル・アン役のヘザー・オルークが12歳で急死、子供が患うには珍しい病気らしくて撮影中にはヘザー・オルークの顔がむくんでいたとか
こうして本作は呪われた映画として有名になってしまったのです、キャロル・アン役のオーディションでドリュー・バリモアが受けたのですが、悲鳴がスピルバーグに気に入られて「E.T.」への出演となりました、運命の分かれ道みたいですね
最初はポルターガイストもイタズラをする程度なんですけど、段々と家族に襲い掛かってくるんです、キャロル・アンが消えてスティーヴはレシュ博士に依頼
レシュ博士の助手は何時間も掛かって肉眼では分からないスピードで物が移動するのをカメラに捉えたと喜々と話すのですがキャロル・アンの部屋に入ったら物が動きまくっていて飛びまくっていて、リビングでお茶を飲む時にレシュ博士の手の震えてる事!(笑)、このシーンは大好きですね
前半はコミカルなシーンが多いのですけど、後半はオドロオドロしたシーンに変わります、ロビーを襲うピエロの人形もやっぱ怖いです、このピエロの見せ方は素晴らしかったです
しかしラストは家族愛によって助かるんです、でも家は異界へと消えてしまいます、せっかく買ったマイホームなのに残念です、ホテルを借りてテレビは外に出して終わります、最後までユニークなのはスピルバーグらしさでした
家の中に、何かがいる、驚異的な不気味さ、まるで楽しくて仕方ない悪魔のようだ それが『ポルターガイスト』です。
直訳は“騒がしい霊”です、でもそれだけじゃなくて悪魔が後ろに居そうでした